初めて猫を飼う方、将来猫を飼おうと思っている方

 

猫を迎え入れると、これまでの生活が変わってしまいます。
いいことばかりじゃない。うんざりすることもたくさん。

 

猫は人間の言うとおりになんかなりません。
叱ったって説教したって聞いちゃいません。
人間の言うことに従う気なんてありません。
犬と違って、猫をしつけることは出来ません。
人間が知恵を絞るしかありません。
だって、それが猫を飼うということだから。

 

 

以前、動物病院の診察室で、飼い猫が嫌がって暴れ出した際に
「○○ちゃん、やめなさい!どうしてわからないの!」と
ものすごい大声でどなりつけている飼い主さんの動画を見ました。

病院に来なくちゃならない理由を猫が理解するわけがない。

私達人間が、大きい、うるさい、耳触りだと感じる音が
人間よりずっと感度の高い聴力を持っている猫にとって、
どんな風に聞こえるのか…。
それを知った上で、あのように大声でどなるんだろうか。

動画の飼い主さんは、猫を飼うべき人ではないな、
とは思いませんでしたが、
自分で飼い主を選べなかった、そのベンガルという猫が
気の毒になりました。

 

猫を飼う前にまず、人間中心の生活があります。
そこには人間が決めた個々のルールがあります。
そこに猫が入って来る時、そのルールは一方的に破られます。
猫にはそれがわかりませんから、人間の方が変わらなくてはなりません。
猫は置物や家具ではありません。生きています。
人間がしてほしくないと思うことを、よーくわかっていて、
それを見事に短期間で成し遂げたりします。
猫が生活の一部になった瞬間から、様々な弊害が現れます。

さんざん考えて選んだ輸入物の壁紙も、イタリア製の本革ソファも、
アンティークな家具も、悲惨な状態になる。

人間がくつろげるようにデザインされたリビングの景観は
あっという間に変貌を遂げます。
キャットタワー、爪とぎ台、猫ハウス…
部屋の雰囲気に合わないものばかりが増えていく。
壁紙と色を合わせて特注したレモン色のカーペットは
表面がけば立ち、猫の毛だらけ。
カーテンと生地を揃えて誂えたクッションには、
猫のくしゃみでとんだ鼻水がこびりついてる。

 

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   ツメトギトギアト…          カラダヌリヌリアト…

 

 

ほんとやめて、冗談じゃない、迷惑。

 

でも…

 

それが猫を飼うということでしょう。
そして、私達人間はその状況に次第に適応していきます。
しかも、案外すんなりと。

 

猫に部屋を荒らされる、物を壊される、布を汚される…
それが私達の日常となります。
「あらあら、悪い子だ」と手際よく片づける。
ふと気付けば、そこにもはや怒りの感情はない。

どうしてこんなことするの?
どこか具合が悪いの?
さびしくなっちゃったの?
えっ、ちょっ、だいじょうぶ?

と心配して終わる。なにそれ。

 

いいことをしてあげたって、猫はそんなこと覚えちゃいない。
一方、嫌だと思ったことはいつまでも覚えている。
本当に扱いづらい生き物です。

お腹がすいた時には、これでもかと思うくらいの猫なで声で甘え、
小さい頭を一生懸命擦りつけてきます。
食べ終わると「なに?あんたにもう用はないよ」とばかりに
冷やかな目でこちらを見ています。

 

それでも、この小さな毛だらけの生き物が
仰向け大の字になって寝ているのを見るだけで、
夜中に階段をトコトコ上り下りする足音をきくだけで、
干したばかりの布団のようなモフっとしたお腹のにおいを嗅ぐだけで、
人間は幸せを感じるものです。
この空間に一緒にいてくれることに感謝さえしたくなります。

 

それが猫と暮らすということ。

 

 

 

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私達人間が世話をしてやらなければ、
弱って死んでしまう無力な小さな生き物=ペット。
それに気付いた時、心の底から愛しい存在だと思えます。

これは猫だけに限ったことではありません。
小動物、鳥、魚、昆虫、爬虫類…。
ペットとしてこれらの生き物を迎え入れる以上、
私達はその命に責任を持たなくてはならないんです。