ウレタン液というものがあります。
ウレタン樹脂を液体状にした塗料で、
防水力がある為、ベランダ、外壁、屋根などに使います。
塗料ですから、最初は液体ですが、
時間が経つと乾いて、液体から個体になり、固まります。

このウレタン液を
子猫に使った男がいました。
仲間のANさん宅には、にゃんこ(旧サラ)という飼い猫がいます。
にゃんこは、2018年秋、ANさん宅の庭に現れた若い妊婦猫。
ANさんご一家は、にゃんこの出産を見守り、
にゃんこが産んだ子猫の成長と卒業を見届けた後、
にゃんこをご一家の飼い猫として迎えました。
ANさんご一家にとって初めての飼い猫です。

ANさん宅で出産後、ANさんの飼い猫となったにゃんこ。
2020年初夏。
にゃんこが、1階リビングの窓の外を、
ずっと気にしている素振りを見せていました。
「窓の外に何かあるのか?」
ANさんとお母さまは、不思議に思い、窓を開けました。
リビングの窓はANさん宅の裏側にあり、窓を開けると、
隣の通りに玄関があるお宅=S宅の裏庭がすぐ間近に見えます。

★=S宅 矢印=玄関の方向
そのお宅=S宅の裏庭には、縁側のようにも見える、
足場か、物を置くための台のようなものが建てつけられていますが、
その下に小さな子猫達が見え隠れしているのです。
母猫はその台の下を、一時の子育て場所として選んだようです。
「大変だ~」
とANさん親子は思ったことでしょう。
それから数時間もしないうちに、裏のS宅の住人が、
その台の下にウレタン液を流し込んでしまったのです。
猫の一家が住み着いていることに気づき、
台の下をウレタン液で固めることにしたのか・・・。
そうすれば、猫は台から出て行き、
どこか他所に移動すると。
ところが、ウレタン塗料が流し込まれた台の下には、
まだ子猫たちがいたのです。
午後の時間帯ですから、子猫達はうとうとしていたのかもしれません。
庭の花壇に糞尿されて困るのであれば、トゲトゲシートを置く。
車に乗られて爪痕がつくのが嫌なのであれば、カーシートをかける。
そんな野良猫対策をしている人も多いです。
この住人も、猫に居着かれないようにと、
隠れ家となっている台の下を塞ぐ、という対策を行おうとした。
それはわかります、わかるのですが、
これから塗料を流し込もうとする場所に、
猫が残っていないかどうか、なぜ確かめなかったのか?
もしかして、まだ非力な赤ちゃん猫達だから、
ウレタン液で固めて埋没させようとでも思ったのか。
知っていてやったのであればアクマ、
知らずにやったのであればマヌケです。
呆れて言葉が出ない。
このS宅というのは一般住宅ですが、
同住所に「S社」という名義で。
建築関係会社の登録がありました。
なるほど、そういう職種だから、
ウレタン液を持っていたのね。
それを商売としているのであれば、
ウレタン液の扱いには慣れているだろうから、
場所をきちんと確かめずに塗料を流し込むことは
しないと思いますが、
確かめずに流し込んでしまったのならば、
浅はかな行為です。
やはり、アクマかマヌケのどっちか。
子猫たちはべっとりとした液体の洪水にのまれて
パニックに陥ったでしょうか?
それとも、なんか面白いものが体にくっついた!と
無邪気にはしゃいだでしょうか。
どういう気持ちだったのかは、人間側にはわかりかねます。
それを見たANさんの保護心に火がつき、
「どうする気ですか!?そんなことをして。」
とS宅主人を問い詰めました。
S宅主人は、「保健所に・・・」とぼそり。
ANさんはすぐにS宅に出向き、
薄緑色の液体まみれになった子猫5匹を保護してきました。
シンナー等の有害物質が混ざっていますから、
体にいいはずはありません。
一刻も早く、除去してあげなくては!


鼻と口を塞ぐようにウレタン液が固まっている。
これは危ない状態です。
ANさんがいつも利用している近所の動物病院が受け入れて下さり、
獣医師の先生と看護師さん達が3時間以上かけて、
子猫達を何とかきれいな状態にして下さいました。

すっきりきれいになって帰ってきました。

にゃんこ一家保護の時にもそうでしたが、
ANさんは、猫の居場所を作るための工夫して下さる方です。
5匹の子猫を病院に預けた後、
手持ちのワイヤーネットを使って、
とりあえずのケージを手早く組み立てました。

病院から帰宅した子猫達はケージに入ると、
ベッド変わりにおいた奥の段ボール箱に隠れましたが、
すぐに出てきてわちゃわちゃと動き出しました。
何にでも興味のある年ごろですからね。


体重が400gを超えていますから、生後1ヶ月くらい。
どの子もしっかりとして健康そうです。
ANさんは早速5匹の子猫たちに名前をつけました。
唯一の女の子はミカ。
男の子たちは、ヨナ、エス、ムニ、
そしてウレタン被害が一番ひどかった子がルカ。
翌日、ANさん宅玄関にお届け物がありました。
袋に入れられたたくさんの猫缶です。
裏のS宅の奥様が置いていったものだとわかりました。
迷惑をかけて申し訳ないという気持ちの表れでしょうか。
もしかしたら、奥様は猫に好意的な方で、
自宅の敷地にいた小さな子達に、
密かに心を寄せていたのか・・・。
本当のところはわかりません。
To be continued …….

