こねこ。
ふわふわ。
すやすや。
なんて愛らしい。

 

 

 

 

 

 

 

缶バッジ、ポストカード。
初期のねこ藩グッズに使用した、
こねこ・ととちゃんの画像です。

 

 

 

 

 

2017年12月26日。
4才と6カ月。
ととちゃんは交通事故により亡くなりました。

 

 

 

 

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2013年夏、生後1ヵ月の子猫3匹を保護しました。
猫ボランティアでも、猫飼いでもない、
私がただの一住民だった頃の話。
あれからもう4年半、いや、まだたったの4年半です。

 

 

「子猫を捕まえたんだって。」

隣宅のお嬢さんが我が家に知らせに来ました。
道に出てみると、
庭で捕まえた子猫を入れた汚いプラスチック容器を手に
近所の方が路上で立ち話をしていました。

「去年もうちの庭で子猫が生まれたんですよ。何とかならないかしら。」
「その去年の子達はどうしたんですか?」
「そこのアパートに住んでいる方にお願して貰ってもらった。」

 

ああ、なるほど。
何となく、この方の「ひととなり」がわかったような気がしました。

その子達の母猫・キジ子をよく知っていた私は、
「これから診察に連れて行き、私が預かりますから、
里親探しなどの協力をしていただけますか。」
そう言って、子猫を連れて帰ってきました。
その後、里親探しをして下さったのかスル―なのか、
その方から声をかけられることは一度もありませんでした。

 

 

 

 

少し大きくて果敢な女の子・
キジ白のもぐちゃん♀。
おっとりして甘えん坊の男の子・
キジトラのととちゃん♂。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに膝に乗ってきて
うとうとする可愛い子。

 

 

 

 

 

私の父が子猫を育てるのを側で見ていたことはありますが、
母猫に代わって自分で赤ちゃん猫を育てるのは初めてでした。

歯の矯正が始まり抜歯で顔が腫れ、仕事は詰まっている、
もうひとつの仕事の研修が並行した上に、
長引く夏風邪で、気持ちがダウン気味の夏でした。

 

菅野さん、個人ボランティアのIさん、
ベテランボランティアの三木さん、中央区のTMさん。
今では何でも相談できる猫飼い経験豊富な知人がまわりに沢山いますが、
当時の私は、TNRなんて言葉、初めて聞いたというレベル。
野良猫を、しかも、よちよちの野良の子猫を保護するのは初めての経験です。

「どうするの、その子猫。」
当時、家族が猫を飼うのに反対でしたから、
何とか飼い主さんを見つけなくてはなりません。

「もしお知り合いに猫を飼いたい方がいたら…。」
と、友人知人達に何十通ものメールを送信しまくりました。

メールを送って2分も経たないうちに、
「私にはそういう知り合いはいないので、無理です。」
と返信が来た時には、その知人が全くの他人に思えたりしました。

子育て、飼い主さん探しに家族の協力はあまり得られず、
私ひとりを残して、家族全員が東北旅行に出かけた時には、
孤独感を味わったりしました。

結果的に、保護から40日で3匹とも貰われていったのですが、
私にはそれがまるで半年くらいの時間に感じられました。

 

 

 

子猫達を保護して1週間を過ぎた頃、
昔、習い事をしていた教室で知り合った女性・Sさんから連絡が来ました。
「職場の男性が、2匹一緒に貰い受けたいそうです。」

 

3匹のうちの1匹・まさむねは、保護当日、
ふとした隙に玄関から入りこんで来た 母猫きじ子に
あっという間に連れ去られ行方不明になっていましたので、
Sさんから連絡が来た時、我が家にいたのは
もぐちゃん♀・ととちゃん♂だけでした。
(まさむねは10日後に再保護し、きょうだいと合流しました。)
そのきょうだいを2匹一緒に、と申し出て下さったのです。

 

 

私は心から安堵し、緊張が解けて涙腺が緩みそうでした。
「邪魔者扱いされていたこの小さい子達を
自分の家族に、と言って下さる方がいる。」

 

 

 

 

 

 

一旦は行方不明になったものの、後に再保護。
きょうだい達と合流できたまさむね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで3きょうだい揃いました。

 

 

 

 

男の子同士、常にプロレス。

 

 

 

 

 

 

まさむね(上)・
ととちゃん(下)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このドアの向こうから美味しいご飯が来るんだよ」

お腹がすくとキッチンへと通じるガラス戸の前に
いち早くやって来て待っている賢い子でした。

 

 

 

 

 

 

 

外の室外機の上で過ごす、母猫キジ子。
この窓から、子猫達が遊ぶ姿を
いつも眺めていました。

 

 

 

 

 

 

子猫達の体重が、保護時の倍になり、
生後2カ月になった頃、
もぐちゃん&ととちゃんをTIさんにお届けしました。

 

子猫用トイレ、食器セット、ミニマット、
肉球マークのついたミニテントハウス。
全て色違い。

 

TIさんとお母様が、2匹の到着を首を長くして待っていて下さったのがよくわかりました。
お届けの数日後には、2匹は2階に進出し、 朝、気がついたら、
自分のすぐそばで寝ていました、 とTIさんから嬉しそうなメールが来ました。
キャットタワーも届き、家中追いかけっこして遊んでは、
電池が切れて爆睡している2匹の姿が 目に浮かぶようでした。

 

 

 

 

 

立派なキャットタワーです。
もぐ・ととは登れるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2匹の成長ぶりも画像で拝見させていただきました。
掌サイズだったちびさん達がすくすく育っていきます。
ベランダには脱走防止のネットを張り巡らし、
玄関にはフェンスゲートを取り付けて下さっていました。

 

 

 

 

 

 

 

ネット越しに外の観察。

 

 

 

 

 

 

 

凛々しい顔立ちになってきた2匹。玄関のフェンスゲートが見えます。

 

 

 

お届けから2年目の夏にTIさんから来たメールです。

「運動不足で肥満体になってきたもぐちゃんを
朝夕外に出して運動させています。
ととちゃんは裏山に入っては、
色々なお土産を捕まえてきます。」

猫達を外に出してしまっているの?

 

 

 

 

更に翌年の報告です。

「ととは食事と寝る時に帰宅するだけ。
裏山と家の周りをテリトリーにしていて
いつも外を巡回しています。」

 

時が経ち、ととちゃんは出入り自由の飼い猫になってしまっていたのです。

 

 

 

TIさん宅の裏側は、広い敷地に小屋と駐車スペースがあり、
こんもりとした土地にたくさんの木々、草花が生えている裏山と繋がっています。
ととちゃんがその裏山に出かけているとのことでした。
反対の玄関側、つまり家の正面は交通量の多い道路に面していました。

 

 

 

 

 

 

ブルーの枠がTIさん宅。
イエローのサークルが裏山です。
TIさん宅左側には交通量の多い
道路が通っています。

 

 

 

 

ボランティア活動をしている今は、譲渡合意書というものを作成しています。
合意書には譲渡に際しての飼育条件が明確に記してあり、
その条件を守って下さるという約束と所有権を明らかにする為の書類です。
最も大切な飼育条件が、「完全室内飼い」です。

 

しかし、当時の私は単に、近所の方から丸投げで子猫を預かり、
飼い主さん探しに必死だった、ただのお人よしな住民ですから、
そんな書類を用意することなど頭にありませんでした。

お届けの際に、
「外は危ないですから、出てしまわないよう、注意してあげてくださいね。」
と伝えましたが、絶対に外に出さないようにというお願いはしませんでした。

 

 

父が飼い猫にリードをつけて散歩させていたこともあり、
飼い主の監視下ならば、飼い猫がたまに外に出てもいいのでは?
という考えがあったのです。

 

最初に、もぐの運動の為の散歩と、ととの裏山探検の話を伺った時、
TIさんが2匹を見ていて下さるのだろうと思うことにしましたが、
不安な気持ちは残りました。

そして、1年後、ととは食事と寝るときだけ家に帰ってくる、 と知らされた時、
あの子達は、私がそうなりますようにと心で願っていた
完全室内飼いの猫にはならなかったのだと悟りました。
それでも、私はTIさんに「外に出さないで下さい」とは言えなかった。

TIさんは愛情を持って2匹を可愛がって下さっていました。
それはTIさんから送られてくる写真とメールの文面から伝わってきました。
せっせと裏山で獲物をしとめては、お父さんに運んで来るととちゃん。
上手に狩りが出来てととちゃんはさぞ楽しかったでしょう。
お父さんに褒めてもらえて嬉しかったでしょう。

人慣れしているととちゃんはご近所の方々にも可愛がられていたそうです。

 

今年のお正月にTIさんからいただいた年賀状にはこう書いてありました。
「ととちゃんがいなくなって落ち込んでいますが、もぐちゃんに癒されています。」

 

 

 

外に出したりするからこういうことになるんだ、
という意見をいただくかもしれません。

でも、私はTIさんを責めません。
子猫を抱えて困っていた私に手を差し伸べて下さった方です。
きょうだいは離したら可哀想と、2匹一緒にもらって下さった方です。
4年半、ととちゃんとずっと一緒に暮らしてきた
TIさんの後悔と悲しみは、 測り知れません。

 

TIさん宅にひとり残ったもぐちゃんには、
ととちゃんの分も長生きしてもらいたい。
そして、他のご家庭に貰われていった、
もぐちゃん・ととちゃんのきょうだい猫、まさむねにも。

 

 

 

 

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人間誰でも歳をとれば病気になります。
ペットも同じです。
特に猫は、腎臓系の病気になる可能性が高く、
腫瘍、エイズウィルス発症による疾病もあります。
ペットを飼っている以上、ペットの死は必ずやって来ます。

 

でもひとつだけ、私たち飼い主が確実に防いてあげられることがあります。
外に出さなければ、交通事故には合いません。
室内で暮らす猫が、車に撥ねられることはないんです。

 

人間の寿命よりずっと短い猫の寿命。
飼い猫を敢えて死のリスクに晒すような飼い方をせずに
どうかあなたの家族であるその猫の一生を
フルに全うさせてあげてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The End