怪我や病気で蹲っている野良猫を見た時、
あなたはどうしますか?
すぐに助けて病院に連れて行くべき。 それが人間として当たり前の行為。
なぜ、それが出来ないのか? あなたは冷酷な人間なのか?
自分が猫の立場だったら、他人に助けてもらいたいと思わないのか?
↑↑↑の意見は、動物愛護関係者にありがちな過激な意見、
価値観の押しつけに近いものではないかな、と私は密かに思っています。
ごくごく普通の感覚・常識の持ち主ならば、
大怪我を負った、あるいは弱って倒れている猫をみたら
「ああ、可哀想に…」と思い、心を痛めるのではないかしら。
「すぐに助けて病院に連れて行く」という行動は、またべつの話です。
人にはそれぞれの人生と日常があります。
家庭環境、住宅事情、経済状況、信念、考え、感情…。
そして、生き物に対する温度差。
どういった行動をとるかは、個人の事情によります。
「あ、猫が死にそうになってら!ざまあみろ!」
自分は猫に迷惑をかけられている被害者だと思っている、
あるいは、猫なんか大っ嫌いだから消えればいいのに…
そんな顔をしかめたくなるような人も中にはいるでしょうが、
「可哀想だけれど、何もできない、ごめんなさい。}
と思って立ち去る人間が圧倒的に多いのでは?
「手を差し伸べない」「見捨てたから」といって、
その方を責める権利は誰にもありません。
「すぐに助けて病院に連れて行き治療をお願いする」
ことが出来る人は恐らく少ないでしょう。
市内にお住まいのNGさんは、 その少ない人々のひとりです。
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1月28日に怪我をした子猫を保護して、
検査と治療をしてもらいました。
里親を探す為にこちらで情報を作成すれば
ネットに載せて頂く事は可能でしょうか?
NGさんから届いた問い合わせメールです。
パソコン作業が苦手で、どうしようかと悩んで、
ネット検索をした結果、ねこ藩を見つけたそうです。
NGさんとすぐにお会いしてお話を詳しく伺いました。
外で猫の鳴き声がするので、窓から覗いてみたら、
野良の成猫に襲われ追い立てられている子猫がいた。
お尻を噛まれて怪我をしており、怖くて鳴いていた。
すぐに外に出て、その子猫を拾い上げた。
子猫は抱っこでも何でも大丈夫なくらい人慣れしている。
経緯と現在の状況が把握できたところで、
NGさんご自身にやっていただきたいこと、
現在のねこ藩がお手伝いできることを説明しました。
カラ―をつけて落ち着いています。
治りかけでかさぶたになっている
お尻の怪我。
みのりちゃんは黒白、4つ足にそれぞれ長さの違うソックス。
ケージの中から可愛い声で一生懸命話しかけてくる可愛い子です。
NGさんご一家の飼い猫メイちゃんは、保護活動をしている方から譲り受けた猫だそうです。
その譲渡元である方にも相談してみるとおっしゃいました。
また、息子さんの知人で飼ってくれる方がいるかもしれないとのことで、
ねこ藩が今後どのように動けばいいかのお返事は、数日間待つことになりました。
NGさんご一家の飼い猫メイちゃん。
子猫のみのりちゃんはメイちゃんと遊びたいようですが、
メイちゃんの方が逃げ回っています。
数日後、NGさんから再度連絡が来ました。
メイの保護主さんから提示された預かり&里親探しの条件は、
引き受け代20000円+フード医療費実費は全て依頼主負担。
理解は出来るが、費用の点で二の足を踏んでしまう…。
残念ながら息子の知人関係は望みがなくなってしまった。
そういうわけで、このまま自分でみのりちゃんを世話しますので、
里親探しのお手伝いをお願いできませんか?
それからがあっという間でした。
2月6日にふくねこやNEKO部さん主催の里親会へ参加申し込み。
同日、里親会ではマストの条件、初回ワクチンを接種しに通院。
10日には今度はべつの病院で血液検査。
11日にはネットでの里親募集掲載を開始。
同日夜に、HAさんというご夫婦からお見合い申し込みをいただき、
翌12日には、里親会場でHAさんご夫婦と対面。
その場で里親さまが決定しました。
病院では暴れることも騒ぐこともなく、
本当にいい子。
里親会の開始時間に合わせて来場して下さったHAさん。
ご夫妻に代わる代わる抱っこをしてもらい、
その場で里親様が決まりました。
そのままトントンとHAさまご希望の17日にみのりちゃんとお届け…
となればよかったのですが、
HAさま宅にはまだ生後8ヶ月の先住猫さんがいて、
まだ鼻水が出ているみのりちゃんと一緒にするには不安がありました。
再度病院で診ていただき、薬を1週間飲んで状態が改善してから、
HAさんのお宅にみのりちゃんを連れていくことになりました。
その間、HAさんはケージを用意したり、名前を考えて下さたりして、
みのりちゃんの到着を楽しみに待っていて下さいました。
お薬を飲んで元気になって、
もうすぐ本当のおうちに行くよ。
2月20日は、保護主のNGさんと一緒に、みのりちゃんのお届けでした。
HAさん宅は稲敷市、市川からだと少し距離がありますので、
午前10時に、少々ドライブ気分で市川を出発。
普段よく鳴くみのりちゃんが、キャリーの中でひと声も発しません。
酔ったかな? 不安に思って途中で停車し、確認すると、
きょとんとした顔をメッシュの窓につけて、こちらを見ていました。
高速を降りると、田んぼと畑が延々と広がる地域。
この日は強風だった為、こういった地域ではほとんど砂嵐です。
稲敷市の風景。のどか・・・とか言ってる場合じゃなかった当日の砂嵐。
一度、HAさん宅を通り過ぎてだいぶ先に行ってしまいましたが、
位置確認をして戻り、昼前に、無事HAさん宅到着。
HAさん宅は築60年の古民家でした。
土間、障子、襖、太い梁、広縁、そして間続きの広い和室。
昔、子供の頃に行った祖父母の家のような、
暖かい雰囲気の落ち着いた素敵なお住まいです。
HAさんご夫妻で手を加え、土壁を白く塗ってありましたが、
一部わざと残して露出させていることろもあり、
それがまたとってもいい感じの仕上がりになっていました。
お布団敷いて寝たい気分になる落ち着いた和室です。いいなあ。
HAさんがご用意下さったケージにみのりちゃんを入れましたが、
ご飯を食べてケージ内をチェックすると、外に出たい~と鳴き出しました、
人見知りをしたり、怖くてすくんでしまったりする子ではありませんので、
すぐにみのりちゃんをケージから出し、自由にしてやると、
好奇心キラキラの目で、2間続きの和室と広縁を歩きまわり、
やがては丸めた紙のボールを追いかけて遊び始めました。
土の少ない市川の住宅街で生まれて育ったみのりちゃん。
新しい名前はキトちゃんになりました。
HAさまご夫妻の愛情に包まれ、のんびりとした静かな田舎で、
キトちゃんの新たな生活がスタートしました。
怪我した小さな女の子を迷わず 拾い上げて下さったNGさん。
その優しい手のおかげで、みのりちゃんの猫生は
大きく大きく変わりました。
ネットに里親募集掲載をしてすぐに
みのりちゃんを見つけ 選んて下さったHAさん。
連絡をいただいた20時間後には
もう里親会会場でみのりちゃんを抱き上げて
下さいました。
HAさん、先住猫のTちゃん、そしてキトちゃんと一緒に
どうか穏やかで満ち足りた生活を。
また1匹、幸せへの道を歩み出した卒業生を見送ることができました。
ありがとうございました。
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みのりちゃん~ねこ藩のお手伝い
◆医療内容◆
1月28日:13932円 / 市川市I動物病院
(レボリューション、検便、ドロンタール錠、目薬、シャンプー+初診料)
2月06日:4320円 / 市川市I動物病院
(初回3種混合ワクチン+再診料)
2月10日:3300円 / 江戸川区E病院
(血液ウィルス検査)
2月13日:3402円 / 市川市I動物病院
(ビブラマイシン錠、目薬+再診料)
2月19日:324円 / 市川市I動物病院
(診察のみ=再診料)
医療費合計:25278円(全て保護主負担)
[HAさんには医療費として15000円をいただきましたので、
そのまま保護主のNGさんにお渡ししました。】
◆ねこ藩◆
2月1日 状況を伺いにNGさん宅を訪問
出動時間:1時間30分
移動距離:7㎞
2月10日 江戸川区のE病院で血液検査
出勤時間:2時間30分
移動距離:37㎞
2月12日:里親会に参加
出勤時間:3時間
移動距離:7㎞
駐車料金:700円
2月20日:稲敷市へみのりちゃんのお届け
出勤時間:6時間
移動距離:170㎞
高速料金:2150円×往復=4300円
ねこ藩負担:
交通費4300円+駐車料金700円
ねこ藩H個人負担:
出勤時間13時間
移動距離221㎞
ガソリン:25ℓ=3275円