2019年3月23日のブログ
産んでもらいます!(4)フクが答えを導く。
話は少し遡ります。
フクが里親希望者・Nさん宅にトライアルに出る直前の12月2日。
市役所南庁舎で開催の、市役所環境保全課主催「猫の譲渡会」に
ANさんはサラとトワの親子を連れて参加しました。
市役所が用意したアンケートに個人情報を記入の上、
トワに申し込んで下さった希望者様が2組いました。
1組は2016年冬の初め、近所に住む若い女性・AYさんが保護して
ねこ藩で里親探しをお手伝いしていたあみちゃん(現ももちゃん)を
貰って下さった松戸市在住の奥村さんご夫妻です。
(奥村さんは、後日、IKさんが保護したレンを
2匹目の飼い猫として迎えて下さいました。)
もう1組は市内在住の主婦の方でしたが、75才という年齢。
ねこ藩では、高齢者のみの世帯に子猫を譲渡していません。
*高齢の飼い主様が飼育を続けることが出来ない状況に陥った時、
同居はしていなくても、責任を引き継いで飼って下さるご家族の方がいる場合、
または、その役目を引きうけて下さる方がいる場合にのみ、
高齢者世帯に子猫を譲渡することもあります。
譲渡会の後、75才になるというその希望者Aさんに電話をしました。
「75才ということですが・・・」と話を切りだそうとしたところ、
Aさんは、殺処分になりそうになった大型犬を貰い受けたり、
知り合いが拾った猫を引き受けたり、亀が、文鳥が云々・・・。
これまでにどれだけ自分が他人から頼りにされてきたかの物語を
こと細かく、延々と話し始めました。
やっとひと区切りつきそうな気配がした時に、すかさず、
「ねこ藩では高齢者のみの世帯に子猫の譲渡はしていないのですが、
Aさんに何かあった場合に、引き継いで猫の飼育をして下さるご家族が
いらっしゃいますか?」とたずねてみました。
Aさんはついつい乗せられてしまったという感じで。
「ええ、40過ぎの息子が同居しておりますよ。これがまだ独身でねぇ・・・」
と言ったかと思うと、突然人が変わったように
「なんでそんなこと知りたいんですか!?
年寄りじゃ猫は譲れないってこと!?。
そっちが困ってるっていうから(言ってません)、
猫を貰ってあげようと思ったけど、
こっちからお断りですよ、全くもう!」
とひとりノリ・ツッコミの後、
怒鳴って電話を切ってしまいました。
お断りをする手間を省いて下さって、
どうもありがとうございました(笑)。
トワの里親探しが振り出しに戻りました。
翌週開催されたふくねこ屋さんの里親会に参加しましたが、
来場者は少なく、トワに声をかけて下さる方もない。
でも、まだ生後2ヶ月に満たない子猫ですから、
そのうちまた何かお話がくるでしょう・・・。
クリスマス仕様の可愛いプロフィールを用意したのにね。
と思っていたところ、進展がありました。
ねこ藩なんかより、もう、ずっと昔から、地域猫の世話をしている、
隣の通りにお住まいのHさんというご年配の方がいらっしゃいます。
暮れも押し迫った頃、Hさんから
「ゴルフ仲間のご一家が、猫を迎えたいそうです。」
と連絡が来ました。
Hさんのご友人Kさんご一家と直接連絡をとり、
トワの画像をLINE送信で見ていただいたところ、
「トワくん、ぜひお迎えしたいというのが家族全員の意向です」
と即、お返事をいただきました。
先住猫ランちゃんの血液検査のことや、
Kさんが経営なさっているお店のスケジュールを考慮して、
トワのお届けは、年が明けてから、ということになりました。
フクが譲渡キャンセルになり、ANさん宅に戻って来たのは、
Kさん宅にトワをお届けする5日前でした。
最初は女の子が希望だとおっしゃっていたKさんですので、
フクの譲渡が白紙になって出戻って来ていること、
そして、当日2匹を連れてKさん宅にお邪魔するので、
その際にどちらかを選んでいただきたい旨をお伝えしました。
フクの出戻りにより再会した親子3名
成人の日。
ANさんと一緒に、トワ、フクの2匹を連れ、貸し出す為のケージや、
Nさんが寄贈して下さった子猫用品を車に積んで都内のKさん宅を訪れました。
少し緊張気味のトワとフク。
リビングのスペースにケージを組み立てている間、
キャリー内で待機していてもらいましたが、
Kさん宅のお嬢様がそれは優しく、
2匹に話しかけながらあやして下さっていました。
とても朗らかなご一家で、お鼻にユニークな柄のある
先住猫ランちゃんもとても可愛い猫です。
ランちゃんはちょっと変わった猫で、
通常の猫トイレを使わないのです。、
パスタ皿サイズの大きさの容器に猫砂を入れたものに、
はみだすことなくきちんと用を足すのだそうです。
先住猫のランちゃん。
シニア期に入っています。
キャリーの中で緊張するトワ。
お会いするのはその日が初めてでしたが、
安心して猫をお任せできるご一家だと確信しました。
Kさんご一家はトワとフク、2匹を一緒に迎えて下さいました。
お姉ちゃんに抱っこしてもらうフク。
お届けから数時間後。
すぐに緊張が解けて遊びだすのが子猫。
よく遊んでよく食べて・・・
新しい環境に移動してもあまり関係ないみたいね。
トワは生まれてから母猫とサラとずっと一緒に過ごしてきましたので、
寂しがって鳴かないかしら・・・と不安はありましたが、
トワの隣には、4週間に渡る親離れのトレーニングを積んで
少し大人になった(と私が勝手に思っている)フクがいます。
通常は生後4週間を過ぎると離乳するものですが、
サラの子供達は離乳が大幅に遅れていて、
生後2ヶ月を過ぎたこの時点でも、子猫達は
まだサラのおっぱいを吸っていました。
Kさんご一家に移動したら、もう母乳はなし。
これでやっと完全に離乳できます。
Kさんご一家はカフェを経営なさっています。
和歌山県の特産品も店内スペースで販売。
今の時期は、抹茶ソフトクリームが食べられます。
ランチも食べられるそうですよ♪
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ANさん宅のお姉さま宅に貰われていったブブ太と黒まめ太。
Kさんご一家の飼い猫となったトワとフク。
サラの子供達は皆、生まれた場所であるANさん宅から巣立って行きました。
これでおしまい・・・?
母猫のサラは?
サラは、ANさん宅の飼い猫として暮らしています。
市役所の里親会でトワに申し込みがあり、
全ての子猫に里親が見つかった時、
ANさんは言いました。
「やっぱり、サラは私達が飼いたい。」
「猫は外で飼うもの!」と反対していたお父様ですが、
室内飼いを受け入れて下さったとのこと。
サラの出産後は、お父様も2階のサラ一家スペースで
子猫達と遊ぶのが日課になってしまっていたそうです。
外に放置されていたサラと偶然出会い、
サラの妊娠を知り、受け入れ、
「頑張れ!」とサラの出産・子育てを見守り、
子供達の卒業をサラと一緒に見送ったANさんご一家。
これからは、サラがANさん宅の子供になるのです。
どんな保護猫にもストーリーがあります。
スム―スに事が運ぶこともあれば、
なかなかうまくいかないこともある。
一生、親子で仲よく過ごすことが出来るのであれば、
それはとても幸せなことです。
しかし、そのような猫一家はほとんどいません。
はなればなれになっていくのが普通です。
「ずっと世話をした子を譲るなんて、情が移らないの?」
以前、そう聞かれたことがあります。
情はめちゃくちゃ移ります。
卒業後にふと思い出して、
目頭が熱くなることなんてしょっしゅう。
それでも、笑顔で子猫を送り出すんです。
なぜ?
子猫の記憶はすぐに新しい経験に塗りかえられ、
過去のことなんてすぐに忘れてしまうものだから。
そして、幸せが約束されたそれぞれの道を
歩き始めたのだとわかっているから。
The end.
ねこ藩さんの言葉に、思わず目頭が‥。
どの子も幸せになってもらいたいですね。