年末から人懐こくて可愛い野良の黒猫が庭に来ます。
我が家には犬がいて飼える状況ではありません。
さくら猫というのがあるとネットでみました。
不妊手術だけでもしてあげたいと思っていますが、
お手伝いをお願いできませんでしょうか。

 

 

 

駅北側地域にお住まいのご一家・TMさんから、
1月末にホームページに問い合わせがありました。

TMさんがお住まいのエリアでは、私が知る限り、
野良猫のTNRや地域猫活動が進んでいません。
この黒猫がお庭に現れる前までは、Tさんも
不妊手術済の印である耳カット入りの猫を
「さくら猫」と呼ぶことをご存じありませんでした。

猫の発情シーズンを前に、不妊手術くらいはしてあげたい…
と考えて連絡を下さったTMさんご一家でしたが、
結果的に、不妊手術くらい…ではない、
それ以上のことまでして下さったというお話です。

 

 

 

初めてのお問い合わせがあった翌日、

まだこちらから捕獲器もお届けしていないうちに、
TMさんは人慣れしたその猫をさっと確保して
去勢手術を済ませてしまいました。

何とまあ、手際良く展開の速い!!

「にゃんと」と名付けられたその黒猫さんは
手術後にリリースされたお庭で、
ご一家に可愛がってもらっているとのこと。

「ご飯をあげる、駆虫薬を滴下してあげる、
寝床を提供してあげることくらいしか出来ませんが、
にゃんとを見守っていきたいと思います。」

余っていた中古の猫ハウスが我が家にありましたので、
ご主人が取りに来て下さり、お庭に設置。
にゃんとのおうちが出来ました。

 

 

 

こちらでお手伝い出来ることもほとんどなく、
これで一件落着・・・と思っていましたが、
しばらくすると、TMさんのお庭に、
にゃんととそっくりな黒猫が現れました。
まだ寒い時期でしたので、その新しい猫用に、
2つ目のハウスをお届に伺いました。

 


ハウスを2つ並べる

 

 

新しい猫「にゃのわ」は、にゃんとと違い、
人慣れしていませんが、♀ですので、
避妊手術をしようということになりました。
TMさんは庭に捕獲器を置きましたが、
にゃのわは入らず、捕獲出来ないまま3週間が経過。

 

3月27日、TMさんからメールが来ました。
「にゃのわがハウスの中でぐったりしています。
怪我をしているみたいです。」

弱っているにゃのわを捕獲器で捕獲する必要がなくなり、
ご夫妻はにゃのわを洗濯ネットに入れて確保し、
すぐに病院に連れて行って下さいました。

 

 

 

にゃのわは交通事故で怪我をしていました。
右脚付け根近くの骨折、左脚も痛めている様子。
その病院での診察はそこまでが限界でしたので、
抗生剤を打っていただきました。
TMさんご一家はにゃのわをハウスに戻し、
様子を見ることにしました。

「なんとか骨がくっついてくれますように・・・」

しかし、ハウスは庭にあります。
にゃのわはハウスから出て、お庭に隠れてしまいました。

 

 

きちんと療養してもらおうとすると、
閉じ込めなくてはなりませんから、
我が家の2段ケージをお貸ししました。

翌日、ご主人が網を使ってにゃのわを再捕獲し、
にゃのわをケージに入れました。

 

 

ご飯も食べるし、お水も飲む、
トイレもきちんと出来ているし、よく寝ている。
骨がきちんとくっついているのかどうかは不明でしたが、
にゃのわは徐々に回復しているようでした。
元気になってくると、もとのにゃのわに戻っていき、
シャーシャーと威嚇が始まりました。

 

 

 

この頃、もう1匹の猫、にゃんとは既に室内に入り、
TMさん宅の飼い猫となっていました。
人懐こくて抱っこも出来るにゃんとは
家の中で飼ってあげようということになったのです。


にゃんと、飼い犬の姫ちゃん、私。

 

 

もともと、猫を飼うことは出来ないと
おっしゃっていたTMさんご一家です。
まだ小学生のお子様二人の子育て中ですし、
全く人に慣れていない、にゃのわまで
室内に入れて飼ってあげることは出来ません。

にゃのわに関しては元気になるまでケージで世話をし、
体力が回復したら避妊手術をして庭にリリース、
ということになりました。

 

 

 

元気になったにゃのわの確保は、
にゃのわがケージの中にいても
少々勇気が要ります。
TMさんは引っ掻かれながらも、
にゃのわをケージからキャリーに移し替え、
避妊手術の為に病院に連れて行きました。

手術から数日後、家族全員が見守る中、
庭にリリースされたにゃのわは走っていきました。

 

にゃのわがどこから来た猫なのかは不明です。
健康そうな猫でしたから、他にホームがあり、
ご飯を貰える場所があるのかもしれませんが、
またお庭にやって来るかもしれないからと、
TMさんは猫ハウスを置いたままにして下さっています。

 

 

知人のボランティアさんにこの一件について話をしたところ、

怪我をした猫の骨折の治療もせずに
リリースしてしまうの?
健康な猫は室内に入れて飼い、
怪我をしてハンデを負った猫は外に出すの?
それって逆じゃないの?可哀想に。

とおっしゃっていました。

彼女の正直な気持ちであり、
猫ボランティアとしてのごく当り前の意見です。
間違っているとは私は思いません。

 

では、TMさん一家が選択を誤った?

それは絶対にあり得ないどころか、
私はTMさんは動物に対して、
とても優しいご一家だと思います。

 

ボランティアをしている方々には
「人慣れている猫は保護して里親探しをする。
人慣れてしていない猫や、病気持ちの猫は自分で飼う。」
という風潮がみられます。

 

ここで考えなくてはならないのは、
TMさん一家は、ボランティアでもなく、
猫飼いでもないご一家だということです。


交通事故にあった猫を助けようと、
病院に連れて行って下さる方が

どのくらいいるというのでしょう?

自分はそこまではしたくないと見過ごすか、
見過ごせなくてボランティアに丸投げするかが、
ほとんどではないでしょうか。

まして、自分の庭で餌をあげている猫にさえ
不妊手術を施さない人はそこいら中にいるんです。

 

 

TMさんはにゃのわの容態がおかしいと気付くや否や、
すぐに病院に連れて行って下さり、
その時点で出来ることを行って下さいました。
逃げたにゃのわを、自分も傷つくことを覚悟で
再度確保して下さり、家の中で世話をして下さいました。
そして、避妊手術も済ませて下さいました。
ねこ藩で手術代の半額を負担させていただきましたが、
そのお返しに寄付をして下さいました。

 

 

 

TMさんのお庭に現れたことで、にゃんとは
猫飼いではなかったTMさんご一家の飼い猫になりました。

TMさんのお庭に現れたことで、
にゃのわは交通事故後、薬を飲ませてもらい、
ご飯をもらい、静かな寝床をもらいました。
今後、♂猫に追い掛けられることのないように、
避妊手術もしてもらいました。

 

にゃのわが空腹でお庭に戻って来ることがあったら、
ごはんをあげて下さいね。
そのうち、にゃのわが少しづつ人慣れしてきたら、
保護して飼い主さん探しが出来るかもしれませんよ、
とTMさんにはお伝えしておきました。

 

TMさんご一家は猫の扱いに慣れていないにも
関わらず、これだけのことをして下さったのです。

 

 

 

やってみることもせずに、
「自分には出来ない」と線を引き、
自分の身を安全圏に置こうとする。
そんな人がたくさんいます。

一人の人間が出来ることには限界はあっても、
必ずひとつやふたつは出来ることがあるのです。
「出来ない」のではなく「やらない」だけです。

人間には物ごとを解決する力と知識、
そして慈悲の心があります。
時には、その力を、その知恵を、その気持ちを
人間より弱い命の為に、
少しくらい分けてあげてもいいんじゃないの?

 

TMさんのように出来ることを出来る範囲で
行って下さる方が増えていきますように。

 

 

 

 

 

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獣医さんがおっしゃっていました。

生まれつき脚が3本だったり、
怪我で切断して3本になっても、、
猫はその3本の脚をうまく使って生きる。
骨折が原因で、脚の形が変になってしまっても、
猫はその脚の使い方を工夫して生きる。
私達人間が思っているよりずっと、
動物はたくましいですよ。

 

うちの庭にいるポッちゃん。
ポッちゃんはもう6才以上になる♂猫で、
長い間、未去勢のまま餌だけもらいながら、
隣町のおばあさん宅付近で生きていました。

 

 

4年前に初めて出会った時、既にそのような脚をしていました。
去勢手術の際の、先生の触診と診察によると
小さい頃に車かバイクに撥ねられたかして、
骨折した関節部分が、そのまま変な角度でくっつき、
棒の用に固まってしまったのだろうということでした。

歩く、走る、体重を支える、坐る、横になる、
段差を登る、降りる、ジャンプする。

曲がらない脚であっても、
他の猫と何ら変わりなく動いています。

にゃのわの脚も変形してしまうかもしれないけれど、
うまく付き合いながら、工夫しながら、
頑張って生きていって欲しいと願っています。