前回の「東奔西走シリーズ」の話はこちら。
2019年4月 24日のブログ「東奔西走:⑫西の猫たち~猫に境界はない。」

前回の「東の猫たち」の話はこちら。
2018年7月 24日のブログ「東奔西走:⑪東の猫たち~給餌する人怒る人」

東奔西走:⑫西の猫たち~猫に境界はない。

 

 

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東の猫たちについて最後に書いたのは昨年の7月。
あれから状況は少し変わりました。

 

TTさんは春田アパートでの給餌をやめました。
現在は許可を得た近くの駐車場の隅で、
チョロちゃんと三毛に週6回給餌を続けています。
(週1回はねこ藩・菅野さんが当番。)

春田アパート1階に住んでいるおじさまは、
イソダとスギ君にご飯をあげていましたが、
心臓の持病の為、入退院を繰り返し、
毎日の決まった給餌が出来なくなりました。
それによって、スギ君はアパートから離れ、
きょうだいのさばみがお世話になっている
近所のTOMOさん宅に移動しました。

イソダは界隈から姿を消してしまいましたが、
先日、久しぶりに少し離れたマンション敷地で
気持ちよさそうに寝ころんでいました。
体も丸々としていましたので、どなたかに
ご飯をもらっているようです。

 

 

カプ君、チャップ、さばみのホームになっている、
春田アパート近くのTOMOさん宅にスギ君が合流し、
TOMOさんは4匹に給餌をして下さっています。
TOMOさん宅敷地内には頭数分のハウスもあります。

 

 

以前は我が家の庭に置いたハウスを別荘のように
使っていたカプ君とチャップですが、
我が家にニャース達4匹が定着してからは、
たまに遊びに来て唸り合いをする程度で、
長居することはなくなりました。

スギ君は1度だけキッチンの窓から見かけました。
我が家の庭には♂が3匹いますから、
無用な争いを避けているのか、ほとんど来ません。
さばみももう滅多にこちらまで来なくなりました。

 

 

我が家のニャースとトントンは、
時々TOMOさん宅のある路地まで出かけています。
この界隈に住む雄猫は全て去勢済ですし、
イソダのホームが未だに不明だということを除いては、
ご飯と寝床のある猫ばかりですから、
テリトリーにこだわる必要もないはずなのですが、
猫の日常生活の中で、パトロールは欠かせない行動なのでしょう。

 

 

 

我が家からTOMOさん宅まで人間が行こうとすると、
は北方面、南方面、どちらから行くにしても、
ぐるりと回って300mくらい歩きますが、
猫達は塀伝いに5軒進むだけですので、たったの50mです。

猫道沿いでいうと、我が家とTOMOさん宅の間には、
空き家が2軒並んでいて、草も生い茂っています。
猫達はその場所を共有スペースとして使っているようです。

 

 

 

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さて、これまでの話の中で度々出てきているチャップ。

 

一斉TNR後、TTさんの給餌に突然加わった猫・・・
みたいにブログに登場しましたが、
チャップは以前からこの界隈にいた猫です。
先日のブログに書いたように、M姉妹と知り合いになり、
チャップはカプ君の子供であることがわかりました。

赤いチョッキを着せられた茶トラ猫・カプ君が、
我が家の庭に初めて現れたのは2014年の12月頃です。
まわりの人間達からの働きかけにも関わらず、
飼い主は未去勢のカプ君を外に放置したままでしたので、
2016年8月にこちらでカプ君の去勢手術を済ませました。

我が家の回りで、私が見かける茶トラは
長らくカプ君1匹だけでした。

今となっては正確に思い出せませんが、
カプ君ではない大人の茶トラが庭に来るようになったのは、
カプ君の去勢から3-4ヶ月経った頃だったと思います。

その茶トラは、未去勢のオスにありがちな、
大きな丸い顔をしていましたが、
右耳には細めのカットが入っていました。
よく食べて育ったようなぽっちゃり体系だし、
警戒心は薄く、近づいてもぼーっと坐っていますから、
どなたかがご飯をあげている外猫かと思っていました。

 

徐々に我が家にやって来る回数が増え、
「あ、あいつ、今日もまた来てる。」
と思って見ていたことから、チャップと名付けました。

 

英国英語で、男性のことをチャップ、チャッピーと言い。
日本語で言う「ひと・あいつ・奴」に該当します。
「あの人(男性)、いい人。」=「He is a nice chap.」。
つまり、Manの代わりに使う言葉です。

 

チャップは我が家の庭に一時期定着したり、
しばらく姿を見せなかったり、その繰り返しでした。
きちんとご飯をもらっている猫ではなかったのかな?
でもまあ、去勢手術をしてもらった猫なんだから、
地域猫として歓迎してあげましょうと、
我が家にいる時にはきちんと食べてもらいました。

 

 

 

チャップは、あちこちふらふらしていた猫です。
餌やりばあさんの重田邸から出てきたところを
見たこともありましたし、
隣の○丁目から、ネズミを咥えて
こちらに走ってきたこともあります。
しばらく我が家付近で姿を見ないな…
と思っていたところ、
2017年末の一斉TNRの際、カプ君とつるんで、
春田アパートのおじさんや、
TTさんにもご飯をもらっていることがわかりました。

 


駐車場のど真ん中。

 

 

チャップは簡単に触らせてくれる猫ですから、
地面に転がっている時には、お腹をモフったり、
顎をこちょこちょしたり出来ます。

 

ある時、頭を撫でまわしていて、あれっ?と気付きました。
右耳のカット、よく見るとバランスが変なのです。
去勢済の印の耳カットじゃなくて、喧嘩で切れたっぽい。

チャップの去勢手術の有無に関しては、
それまでにも疑問に思うことはありました。

オス猫のお尻についている、モフモフボール×2。
あのボールの中に睾丸が入っているわけですが、
その睾丸を取り出す、つまり、除去することが
オス猫の去勢手術です。
去勢して中が空になってもモフモフボールは残る。
詰め物を抜いたクッションのような感じです。
手術後、残ったモフモフボールが目立たない猫もいますが、
チャップの場合は、まんまるで可愛らしい
モフモフボールがしっかりと残っていました。

「去勢済のはずなのにやけにボールが大きい。
しかも、玄関外のマーキングが超くさい!
これは、未去勢だな。」

 

TOMOさんがご自宅庭で世話をして下さっている、
カプ君、さばみ、スギ君は不妊手術が済んでいます。
チャップも地域猫の条件を満たしてもらわなくては。

 

ということで、早速、チャップの捕獲を試みました。

 

ところが、チャップは体が大きいせいもあるのでしょうが、
小さな箱に入りたがらないのです。
ご飯を食べる気は満々なので、においには釣られます。
しかし、捕獲器の入り口に頭を突っ込むとすぐに
「オレ、この箱パス。」とでも言うように、
そっぽを向いてしまうのです。

 

ああ、そう。
ならば作戦変更。

 

 

キャリーを置く → そんなもの興味がない。
抱っこしてキャリー → 何すんだ~と暴れる。
洗濯ネット → やや後ずさりしてガン見。

 

このおばちゃん何か悪だくみをしているなと疑って
とっとと逃げていくのかと思えば、そうでもなく、
「そんなのはどうでもいいから、撫でれ。」
と地面にへそ天で寝転がりくねくねするのです。

 

 

ならば、ステンレスの金属ケージはどうだ?
高さがあるから、かがまずに入りやすいはず。

 

 

 

8月の熱い晩、チャップを確保しました。
ケージの内側に脚が1本…2本…3本入ったところで、
お尻をポンと軽く押して中に入れ、扉を閉めました。

 

猛獣に変身。

 

 

チャップがピンボールのように暴れています。
「はいはい、ごめん、わかったわかった。」

 

ステンレスケージは折りたたみ式です。
入り口側の壁と、奥の壁を内側に倒して平らにすると
横の2つの壁が2つ折りになって畳めるようになっています。
内側から柵を持ってぐいぐいやられて隙間が出来ないように、
ところどころ、ビニタイで固定します。

ケージの中からチャップが手を出してくるので、
引っかかれまくり。痛い。

 

 

熱い晩ですから、ぴったりとケージを覆ってしまっては、
熱を逃せず蒸し上がってしまいそうなので、
風呂敷で包むように、ケージを薄いシーツで包み、
ほんの一部だけ空気穴を確保しました。
むっとした空気の玄関内側よりは、
少しでも風のある玄関外がいいでしょう。

ああ、やっと確保出来た~。
これで、この界隈に未不妊の猫は本当にゼロになるぞ。

 

 

 

翌日の早朝、TOMOさんから連絡が来ました。
「チャップが来ましたよ~。」

 

ないないない。
だって、チャップはうちの玄関に

 

いない!

 

 

固定したビ二タイがぶっ飛んで
壁が内側に倒れ、ケージが空いている。

まぢですか。

 

 

 

どんだけ力出したんだ!
Incredible Hulkかあんたは!

 

 

 

 

しばらく我が家を警戒するだろうから、
ほとぼりが冷めた頃を狙って、
TOMOさんにチャップの確保をお願いしました。

チャップが自然とキャンピングキャリーに入るよう、
TOMOさんは時間をかけて慣らして下さいました。

 

慣らしては下さったんですが、そうこうしているうちに、
TOMOさんに対する、チャップの警戒心はほぼセロになり、
結局、TOMOさんは、入り口を上にしてキャリーを立たせ、
抱っこしたチャップをすとんとキャリーの中に入れました。

はい、再確保。
予定より1ヶ月半遅れて、去勢手術です。

 

 

 

術後、ひと晩我が家で休んでもらい、
翌日、TOMOさん宅にリリースしました。

 

 

 

 

未去勢のオス猫というのは、ホルモンの関係で、
頭~顔が大きくなるそうです。
繁殖シーズン中、メス猫にアピールする意味も
あるのかもしれませんね。
ほら、オレは大きくて強いんだゾウ的な。

だいぶ成長してから去勢した場合、
既に大きく成長した頭~顔は縮小しないと
言われていますが、チャップはどうかしら。
我が家の庭にいるポッちゃんとニャースは
ずっと未去勢の野良猫として生きてきましたが、
去勢済の今、顔も頭もそんなに大きくないです。

 

これで、東の猫たちは、♂♀共に全て不妊手術完了。
あとは、私達住人がこの猫たちを地域猫として管理し、
長い目で見守っていくことになります。

 

こうして、TOMOさん宅の猫たちも、
しばらくは平穏な毎日を過ごしていたのですが・・・

 

To be continued ・・・

 

 

 

 

*TOMOさん宅では、カプ君はとら、チャップがマイケルという名前で呼ばれていますが、
ねこ藩のブログでは以前よりカプ君、チャップで通していますので、今回もそのようにしました。