前回のお話 ↓
2025年2月12日のブログ
◆2月2日(日)◆
病院から我が家に到着する頃には、
鎮静からすっかり目覚めて、
しっかりとしていたロイ君ですので、
キャリーケースからケージに慎重に移し替えました。
強めの威嚇あり。
控えめな空気砲あり。
あまり大したことない猫パンチあり。
バスタオルをかぶせてくるむと結構な力で暴れましたが、
キャリーとケージの距離はたかだか50㎝程度です。
バスタオルごとドーム型のハウスに押し込み、
中におさまったのを確認して、バスタオルを引き出しました。
ハウスをのぞくとシャーシャーが続きます。
思ったより元気ね、あなた。
ケージ内に段ボールで作ったハウスを入れて用意していたのですがが、
隠れる部分が少ないのと、ロイ君の体の長さに比して少々小さい気がしたので、
ドーム型ベッドと取り替えておきました。
緊張して警戒しているので、ボウルで出したフードや水に
口をつけようとはしません。
ケージに布をかぶせ、静かに休んでもらうことにして
2時間ほどそのままにしておきました。
夜、気になって、そっと布の端をめくってチェックしてみると、
ロイ君はハウスの中で湯たんぽにべったり。
湯たんぽのほんわりとした温かさが心地いいようです。
夜中には、ハウスから出てトイレの中に座り込んでいました。
寒ければ、自分でまたハウスに戻るだろうと思い、
ハウス内の湯たんぽを温め直しておきました。
トイレからか弱いシャー。
◆2月3日(月)◆
朝から、ハウスの中にこもっています。
トイレには数回分のおしっこがありました。
昨日は何も口にしようとしなかったロイ君でしたが、
夜中の間に、大目に盛っておいたフードを完食していました。
腎臓が悪いは猫は、がぶがぶと大量の水を飲みますが、ロイ君もそう。
水のボウルはすっかり空になっていましたので、
もう少し大きめの容器にたっぷりと水を入れておいた方がよさそうです。
ケージに顔を近づけたり、扉を開けて作業すると、
相変わらずシャーしていますが、威嚇とは呼べない類の威嚇。
ロイ君がしっかりと乗っかっている湯たんぽを引き出そうとした時に、
強烈な猫パンチが出ましたが、ひるむほどのものではありません。
敷物、水のボウル、フードボウル、ペットシーツ・・・。
こちらが黙々と取り替える作業をしている間、
ロイ君はハウスの奥から観察しています。
パンチを一度出した後、ハウスの奥にこもりました。
粘液性の強い鼻水が鼻の穴から垂れていて
鼻の頭には、乾いた鼻水がこびりついています。
蒸しタオルで拭いてあげたいのですが、
あまり早い段階からあれもこれもやってしまうと、
彼も気が休まらないでしょうから、様子を見つつそれはもう少し後で。
夜の食事の時に、手で持ったボウルを差し出してみると、
小さな小さなシャーを発した後、体を乗り出し、食べてくれました。
人の手があまり怖くないことを認識したのか、それとも、
空腹時にそんなことはもうどうでもいいのか・・・。
食後にぼーっと座ってこちらを見ている時に、
孫の手で、ロイ君の顎や額のあたりをそっと撫でてみると、
まんざらでもなさそうでした。
手で持ったボウルから食べる。
美味しそうに食べる子だね、あなたは。
この時、ロイ君がハウスの片側に寄っていたのですが、
その理由は翌日わかりました。
反対側にうんこがあって、それが嫌だったのです。
おむつも用意しておいた方がよさそうです。
◆2月4日(火)◆
朝、玄関外にKさんからのお届け物がありました。
フードと2枚の封筒。KさんとNさんからのご寄付でした。
ロイ君が食べられそうなフードや、おむつなどを買いに行き、
昼前に帰宅して玄関ドアを開けた途端、ホールにすごい臭いが充満していました。
布をめくってケージの中を見ると、ケージの床全面に下痢。
下痢がない部分も、触ってみるとおしっこでぐっしょりです。
昨日、ガンガン、ウェットフードを食べていたからな。
トイレに行くのもしんどくなってきたのかもしれない。
さぞ不快だっただろう、可哀想に。
これはもう全取っ替え。
ロイ君にはちょっとキャリーに入っていてもらいましょう。
金属ケージからソフトケージに替え、
ビニールシートを敷き、毛布を敷き、ペットシーツを敷く。
ハウスも新しいものにして、ハウス内には水分吸収性の高いタオル。
もうおむつにした方がいいのかなと思い、
おしりを拭いておむつを吐かせようとしましたが、
そんなことはされたくないとばかりに抵抗し、
すかさず新しいハウスの奥に入り込んでしまいました。
不機嫌になる・・・
◆2月5日(水)◆
朝、玄関にまたKさんからのお届け物が置いてありました。
古タオル、ペットシーツ、ドーム型ベッドです。
前日のInstagramで、処分するような不要なベッドの寄贈を
お願いしたところでした。
とてもありがたかったのですが、ロイ君の垂れ流し対応など、
徐々に手がかかるようになってきていましたので、
ドーム型ハウス型よりもフラットなベッドの方が世話をしやすい…
また、オープンになっていた方が、ロイ君がのびのびと寝られるし、
這って移動しやすいと思い、今後はフラットベッドでいくことにしました。
フラットベッドにすると隠れることが出来ませんが、
ロイ君は落ち着いていました。
前の晩から、直接触らせてくれるようになったロイ君。
孫の手こちょこちょも好きですが、手の感触も気に入ったようで、
ゴロゴロ音を出すようになりました。
顔回りを優しく撫でる。
猫はリラックスして甘えモードになる時だけではなく、
具合の悪い時にもゴロゴロと喉を鳴らすことがありますが、
このロイ君のゴロゴロははたしてどっちだろう。
「気持ちいいなあ・・・」のゴロゴロだといいのだけれど。
夜はNちゃんが、スープ類などのパウチを手土産に
ロイ君のお見舞いに来てくれました。
◆2月6日(木)◆
前の日からドライフードを多めに与えていた効果なのか、
朝、トイレの中に形を成しているいい感じのうんちがありました。
でも、おしっこは垂れ流しになっていましたので、
おむつに切り替えることにしました。
2日前には拭かれるのを嫌がったロイ君ですが、
蒸しタオルでおしりやしっぽ、
お腹などを拭いてあげるとゴロゴロと音を出すようになりました。
おむつは頻繁に確認して取り替え、体もまめに拭きました。
その時間が彼は好きなようです。
人間もそうですよね、さっぱりして気持ちがいいのだと思います。
ただ、猫風邪の最終症状とでも言うのでしょうか。
我が家に到着した時から膿のような目脂が出続けていて、
拭いても拭いても追いつかず、この日はついに目が塞がってしまいました。
昼前に動物病院で抗生剤の目薬を買いました。
目脂を拭き取り、目が少し開いたところに点眼。
直後はまあまあいいのですが、またすぐに塞がってしまう・・・。
今や、ロイ君は盲目状態です。
見えていない時にいきなり近づいたり触ったりするとびっくりするでしょうから、
必ず小さな声で「ロイくん」と声をかけてから。
私の声は認識しているようで、名前を呼ぶと頭をあげるようになりました。
午前中、親しくしている中山ねこ家のふっきーさんが、
古タオルを届けに来た際、ロイ君に会って下さいました。
夜のお見舞いは近所の仲間・M姉妹。おむつを持ってきてくれました。
いびきをかいているようなロイ君の寝息です。
猫風邪による鼻づまりのせいで、そうなってしまいます。
夜中、ふがーふがーと音を出して爆睡していたロイ君のそばに座り、
スマホでLINEやメールに返信作業をしていると、
彼はすくっと起き上がりました。
喉が渇いて、お腹がすいたようです。
温めたペーストとドライを用意して食べてもらいました。
水も飲んだところで、おむつを替え、お尻を温かいタオルで拭く。
目も拭いて目薬を入れ、顔もタオルできれいきれい。
ロイ君は安心したように横になりました。
指で軽くブラッシングをするように体を撫で始めて間もなく、
軽いいびきが始まりました。
湯たんぽを新しくして体の両隣に置き、毛布かけて
長い時間、私は彼を見ていました。
ロイ君との距離がぐんと縮まったことを実感した日でした。
喉を鳴らしながら自ら顔を私の手に擦り付けてきたり、
手からちゅーるを舐めたり・・・可愛い子。
奇跡が起きて、ロイ君、復活しました!
なんてことになったらいいな。
しかし・・・そうはなりませんでした。
◆2月7日(金)◆
6時前に、先に起きていた家人が、
「ロイ君、逝っちゃったみたい」と
私を起こしに来ました。
急いで降りてケージを覗くと、
まだ温かい2つの湯たんぽの間に、
冷たくなったロイ君が横向きに寝ていました。
呼吸はなく、心音も聞こえず、身体も冷たい。
身体の下に手を入れてみると少し暖かい部分がありました。
苦しんであがいた跡もありませんでした。
おやすみなさいとロイ君を撫でて額にキスをして就寝したのが午前2時過ぎ。
それから3時間足らずの間に彼は逝ってしまった。
最期は抱きかかえて膝の上に乗せて看取りたいと願っていたのです。
・・・そっか。
温かい布団の中で、夢を見ながら、ひとりで旅立つことにしたのね。
それがあなたが選んだ幕の引き方だったんだ。
おむつを脱がせてみると、健康な猫のような普通便が1回分、
無臭となってしまったおしっこも出ていました。
最後までしっかりと食べ、しっかりと出して、静かに去っていく。
なってしっかりした子!
午前中、LINEグループトークで、Nさん、Kさんのお二人に
朝方、ロイ君が逝ったことを伝えました。
ご連絡ありがとうございました。
最期までのお世話お疲れさまでした。
これにて、トークルームを退出させていただきます。
と、Nさんからメッセージが来ました。
死んでしまったからもう連絡網は必要ない的な。
ドライ過ぎるというか、なんというか・・・(^_^;)。
この日は用事が入っていましたので、
出かける前にロイ君をきれいにして箱に収め、
急いで買ってきた花で飾りました。
何となく、ロイ君はライラック系のイメージで。
午後帰宅し、「ご一緒したい」というKさん親子を途中で拾い、
車でクリーンセンターに向かいました。
お仏壇に手を合わせ、ロイ君の火葬をお願いしてきました。
Kさん親子は嗚咽していましたが、私の目に涙はありませんでした。
寂しいという気持ちはありますが、悲しくはないのです。
ロイ君の最期の現実から目をそむけず、
心の準備をしてしっかりと向き合い、気持ちを注いだからなのか、
よくわかりません。
ロイ君と過ごした時間はたったの5日間でしたが、
私はたくさんの言葉を彼に伝えました。
友達や家族と話す時のような口調で、声に出して何でも話しました。
「うちは、Kさんの通りを出てまっすぐ来て、左に曲がってすぐなんだよ。
来たことある?ベン君やくららと会ったことはある?」
「Nちゃん宅近くのお店の前に、あなたに似たサバトラみたいな子がいたんだけど、
その子知ってる?あなたのご親族じゃないの?」
「ドライ、美味しかったでしょ。あれね、JSPCAからたーくさんいただいた
プレミアムフードなんだよ。人気はいまいちだけど、あなたは好きなんだね。」
「さっきケージに入ってきた子いるでしょ、あれはくりこ。
昨年秋に手術をして脾臓を摘出したの。今は薬を飲んでるんだよ。」
「そこのガラス戸からこっちを見て騒いでいるのはニャースっていうの。
あの子もあなたと同じ地域猫だったんだけど、大怪我をして大変だった。」
「ロイ君って、本当はすごく素直で甘えん坊な性格なんじゃないの?
それを引き出してもらうチャンスが今までなかっただけだよね?」
人間の言葉ですから、彼はもちろんわからないでしょう(笑)。
しんどい時にうるさく感じたかもしれません。
子猫の時に出会っていれば、
ロイ君は全く違う猫生を生きていたと思う。
昨夏、体調が良くなさそうだと聞いた時に、
お世話をしている方々を差し置いて、出しゃばって、
医療にかけてあげれば、まだまだ元気でいたかもしれない。
私は、それをしなかった。
他人が世話をしている地域猫だからと・・・。
どんな場合でも後悔はつきものです。
だから、ネガティブなことばかり考えるのはやめる。
ロイ君、ぜひまた生まれ変わってきてください。
今すぐじゃない。
この国がもっともっと動物の命を尊重して
大切に扱うような時代になってから。
一緒の時間を過ごさせてくれてありがとう。
End.