私が彼と過ごした時間。
命の灯が徐々に細くなり消えていくのを
見守り続けた5日間でした。
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2022年夏、知人のボランティアMさんから、
Hさん(私)宅からそう遠くないところで、
アメショみたいな猫を見たが、何か知っているか?と
連絡が来ました。
そこは隣の〇丁目で、我が家からは2本向こうの通りを
北に100mほど行ったところで、遠くはありませんが、
猫事情についてはほとんど把握していませんでした。
Mさんが興味を持って調べてまわり、
集合住宅にお住まいの住人がその猫にご飯をあげている、
ということがわかったそうです。
オス猫で、近所から苦情が出ているわけでもない、
猫も健康そう。
妊娠出産可能なメスならともかく、
何も問題が起こっていない場所に、
ボランティアが切り込んで行く必要があるのか?と考え、
その件はそのまま・・・ということにしました。
それから3カ月後。
知人のNさんが、庭に新しい猫が来ていると
画像をLINEで送ってきて下さいました。
例のアメショもどき君です。
Nさん宅のバルコニーでご飯を食べるロイ君。
両肩あたりに左右ほぼ同じ量の白い毛があり、
天使の羽根のようです。
Nさん宅と、ボランティアMさんが調べた集合住宅は僅か90mの距離。
地図で見れば両方とも同じ路地上にありますが、路地の中ほどには
高いブロック塀が作られて通り抜けできないようになっています。
そうか・・・人間には通れない壁がある路地ですが、
猫にしてみればすぐそこの距離ですね。
Nさんは、ご自身でTNRを済ませたビビちゃんというメスの地域猫を
自宅でお世話をして下さっている方です。
この新しいアメショもどき君に、ロイ君という名前をつけ、
我が家の庭に通ってくるならば、ご飯をあげます、とのことでした。
その後、Nさんはビビちゃんとロイ君を地域猫メンバーにリストし、
ご自身で市川市の地域猫団体登録を済ませました。
我が家の庭に住んでいる地域猫のベン君やくららのように、
ビビちゃんはNさん宅にどっかり住み着いていましたが、
ロイ君は時々いなくなったり、また戻ってきたりを繰り返していました。
未去勢のオス猫でしたから、行動範囲が広かったのでしょう。
それからもNさんは、時々、
「最近、ロイがずっといるのでハウスを置きました」
「ロイが数日姿を見せません」
「久しぶりにロイが来ました」等々、
近況を知らせて下さいました。
ロイ君の行動から察するに、ロイ君のお世話をしている方はNさんだけではないな、
例の集合住宅の住人の他にもどなたかいそうだな・・・と思っていました。
2024年の春、同じ〇丁目にお住まいのKさんという方から、
「自治会掲示板の貼り紙を見ました。ちゅーる等の空袋を差し上げたいのですが・・・」
という連絡をいただきました。
自治会掲示板に貼らせていただいているポスター
Kさんはその後も不要になった猫砂やフードなどを寄贈して下さいました。
2世帯住宅にお住まいで、ご自身、そしてお嬢様夫婦も猫を飼っており、
庭に来る野良猫達にご飯をあげているということでした。
そしてその野良猫のうちの1匹がロイ君でした。
Nさん宅とKさん宅は150mしか離れていません。
ロイ君のテリトリーがだんだんと明らかになります。
★我が家の庭を管理場所として地域猫登録しているトム君。
★昔からこの〇丁目西側地域にいるイソダ。
この↑2匹にも、Kさんはご飯をあげて下さっていました。
あ~なるほどね!
ロイ君はいつもNさん宅でご飯を食べたり休んだりしているわけではなかった。
→ 集合住宅の方に行っているのか?
トム君は我が家でご飯を食べたりハウスで休むのは2-3日1度くらい。
我が家の近所のMさん宅にお邪魔することもある。
→ じゃあ、それ以外はどこにいるのか?
イソダは、Sさんという住人が世話をしているが、常にSさん宅にいるわけではない。
→ じゃあ、それ以外はどこにいるのか?
この謎が解けた気がします。
この3匹のオスはこの界隈をうろうろして、
数軒のお宅で(あざとく・笑)お世話になっている猫だったということですね。
つまり、判明しているだけで、
トム君:H(私)宅、Mさん宅、Kさん宅
イソダ:Sさん宅、Kさん宅
ロイ君:Nさん宅、Kさん宅、集合住宅
となりますが、イソダとロイ君については、私が把握していないだけで、
他にもまだ1-2軒、ご飯をもらいに通っているお宅があるのかもしれません。
後で気づいたのですが、実は、2023年夏の一時期、
仲間のNちゃん宅にもロイ君は現れていました。
Nちゃん宅庭でのロイ君。
赤いライン:ロイ君の移動
緑のライン:トム君の移動
青いライン:イソダの移動
人に慣れず他の猫ともあまり仲良くしないシマシマ野郎たち。左から:イソダ、トム君、ロイ君
トム君、イソダも丸々としていますが、ロイ君も同様。
きちんと給餌をしてもらってお世話されている猫という風貌をしていました。
地域猫活動(TNRM)というのは、
TNR後の猫の管理をすること。
*TNR:つかまえて(Trap)、不妊手術をして(Neuter)、元の場所に戻す(Return)
外で生きる、飼い主のいない猫をゼロにすることを
最終目的として行う方法のひとつです。
給餌や排泄物の片づけの他に、
健康管理までしてもらっている地域猫達の中には
長生きする猫もたくさんいますが、
地域猫の平均寿命は7-8才というところでしょうか。
猫エイズウィルスキャリアの場合、猫エイズを発症すると、
口内炎やリンパ腫などの症状が現れ、
ワクチンを接種していない場合は、猫風邪が悪化し、
健康管理を目的としたフードを食べていない場合は、
徐々に腎臓や肝臓に影響が出てくることもあります。
また、健康に問題がなくても、結局は外にいる猫ですから
交通事故で亡くなる可能性もあります。
健康そうに見えても、病院で検診を受けているわけではありませんから、
何らかの病気が徐々に進行していても人間にはそれがわからず、
あまり表に出てこなくなったり、頻繁な嘔吐や下痢が見られたり、
痩せて毛並みが悪くなったりして初めて、
「この子、病気なのでは?」ということになり、
その地域猫の猫生の終わりが見えてきます。
数年間、元気そうに過ごしていた地域猫のロイ君にもその時期が訪れました。
続く・・・