前回のおはなし
7月23日のブログ
東奔西走:⑩東の猫たち~怪獣出現。

 

 

 

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給餌についての話です。

 

春田アパートの猫達の不妊手術を行うきっかけとなったのは、
TTさんがアパートに隣接する駐車場にいた子柄な猫たちに
通りががりに餌を与え始めたことでした。

TTさんはこれまでにも何度か、
ベテランボランティア・三木さんが
他の場所で複数のTNRを行う際に
かなりの金額をカンパしたことがあったそうです。
「未不妊の猫」に敏感なTTさんは、
駐車場の猫たちが未不妊であった為、これはまずいと思い、
ベテランボランティアの三木さんに不妊手術を依頼したのです。

あの辺の若い猫達のことは私も気付いており、
月齢からして、そろそろ手術をしないと・・・
と思っていましたので、
菅野さんからその話を聞いた私は、
三木さんがやるのであれば、と、
お手伝いのつもりで加わりました。

結局、三木さんは途中から来なくなりましたので、
私が引き継いだ形で捕獲その他を続行しました。
自転車で10分かけてご自宅からいらっしゃる三木さんより、
徒歩3-4分の場所に住んでいる私の方が動きやすいし、
その後のウォッチングがしやすいからです。

 

 

春田アパート庭。
カプ君とチャップ。

 

 

 

 

TTさんがさばみ達に餌を与えていた場所は、
春田アパートに隣接する「駐車場①の外=●イ」です。
猫たちがお腹をすかせて可哀想と思ったTTさんは
そこを通る度に地面に餌を置いていました。

また、駐車場から路地を入った奥「●ロ」でも
他の猫に餌を与えていましたが、
その場所が個人宅の車の下だった為、
住人に咎められ、「駐車場②の●ハ」に給餌場所を移動しました。

これは当然と言えば、当然。
そのお宅は室内で犬と猫を飼っています。
猫を飼っているからと言って、許可なく敷地を
地域猫現場にされたら、たまったものではないでしょう。
私も飼い猫2匹を飼い、庭で4匹の外猫の世話をしていますが、
知らない他人が勝手に私の車の下に
置き餌をしているのを見つけたら、怒ると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は、どの猫も以前から他の人間、他の場所で
ご飯を貰っている猫たちでした。
駐車場①●イ」のさばみ、スギくん、むうむ、ちゃみは
春田アパートのおじさんに「★A」でご飯を貰って育ちました。

駐車場②●ハ」で、TTさんは、
三毛ちゃん、チャップ、チョロちゃんにご飯をあげていましたが、
三毛ちゃんは春田アパートのおじさんから「★A」でご飯をもらい、
チョロちゃんはもと飼い主(高齢の為施設に入所)が
給餌を託した鈴木さんという方から
1日朝夕2回べつの場所「駐車場③★B」でご飯をもらっていました。
チャップは春田アパートのおじさん宅だったり、我が家だったり、
餌やりばあさん重田邸で食事をしていた猫です。

TTさんはそれをご存じありませんでしたので、結論から言うと、
餌やり場を新たに追加、あるいは移動してしまった形になりました。

三木さんは、TTさんに言いました。
「餌をやるなら毎日同じ場所、同じ時間、給餌の間は見守る、
皿を片付けてから帰る、ついでに周りの掃除もする」等々。

TTさんは当初そこまでやるつもりはなかったと思いますが、
それ以来ずっと、台風でも大雨でも雪の日でも、1日も休まずに、
1日1回、現場に通って給餌して下さるようになりました。

私からは、今後も給餌をして下さるのでしたら、
駐車場①●イ」はやめて、もとの場所「★A」でとお願いしました。
アパートのおじさまはこれまで同様、ドライの給餌(置き餌)を続け、
そこに、夕方、TTさんの豪華な給餌も加わりました。
猫達の食生活はぐんと充実したと思います。

TTさんはレトルトや缶のフードも与えていましたので、
普段、置き餌のカリカリばかりを食べていた猫たちは
「なにこれ~!」と美味しく感じたのでしょうね。
TTさんがやって来るのを、猫たちはワクワクして
待っていたに違いありません。

 

 

 

保護により、ちゃみとむうむが現場からいなくなりましたから、
アパート★Aでご飯を食べるのは、スギくんとさばみ、
駐車場②●ハ」から戻ってきたチャップ、そして我が家方面から
アパート方面にホームを移してしまったらしいカプ君、
近所の閉店した居酒屋から移動してきたと思われるイソダの5匹です。

駐車場②●ハ」でご飯を食べるのは、
春田アパート★Aから移動した三毛さんと
駐車場③★B」から移動してきたチョロちゃんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

定期的な給餌が始まってまもなく、問題が起こりました。

 

広い駐車場②の入り口に、駐車場の所有者Wさんのお宅があります。
大家のWさんは駐車場を利用する人達から、
「駐車場に動物の糞が落ちている、駐車中の自動車にキズをつけられた」と
苦情を受けたそうです。
ある日、ご飯をあげに現場に行ったTTさんに、Wさんは言いました。
「駐車場で給餌するのをやめてもらえませんか。利用客から苦情が来ていて…」

大家のWさんは、顧客のクレームを聞き逃すわけにはいきませんので
TTさんにそのように伝えました。
ただ、Wさん自身は動物が嫌いではなく、むしろ地域猫活動というものに
理解を示して下さったそうです。

話し合いの結果、
給餌は目立たないように片隅で行い、お皿はすぐに片付けること、
毎週土曜日に、駐車場の糞拾いに通うことを条件に、
給餌を続けることを許してもらったそうです。
糞拾いといいますが、糞が落ちていたのはほんの数回、
あとはペットボトル、缶、タバコの吸い殻等、
利用者か通行人の投棄によるゴミを拾いでした。

私は、平日の早朝に2度、ゴミ拾いに行ったことがありますが、
ほとんどが人間がポイ捨てする類のゴミだけでした。

TTさんとご友人のFさんは、毎週駐車場のゴミ拾いに通いました。
その努力を見ていた大家のWさんは、数ヶ月後、
「毎週掃除に来なくてもいいですよ。月に2度くらいで。」
と言って下さったそうです。

 

広い駐車場の片側にある大家Wさん所有のアパートの端っこ、
駐車場②●ハ」で給餌を続けていたTTさんですが、
今度はその一番端っこの部屋に住む男性が文句を言いました。
「そこで猫に餌をやるのやめてくれない?虫が集まるから。」

 

 

そんなことが何度か続き、更には、春田アパートでも問題発生。

アパート1階の駐車スペースには、
春田のおじさまの車とバイクが置かれ、
実質、春田のおじさま専用となっているのですが、
その場所で給餌をしていたTTさんに、
2階に住むオヤジが怒りました。
「そこに餌をおくとカラスが来るからやめてくれ」

1階に住む春田のおじさまが、庭に置き餌することを容認していても、
他人が同じことをしたらダメなのね。
捕獲作業中に「下の人が可愛がっている猫をどうするんだ」と
私に怒っていたあのオヤジです。

カラスが来ないように側に立って見ていると、
近づいて来ない子がいる=ご飯が食べられない。
ご飯が食べられるようにその場を離れるとカラスが集まる。
どうしたものか。

 

 

ちょうどこの頃、新しい展開がありました。

用事の帰りに自転車に乗っていた私は、
春田アパート前を通り過ぎました。
カプ君がフラフラと歩いていたので、後をつけたところ、
春田アパート向かい側の道を入った奥の住宅に入っていったのです。
「ここは・・・」
私も知っているお宅でした。

そのお宅にお住まいのTOMOさんご一家が、
カプ君、チャップ、さばみにご自宅の玄関前で
ご飯をあげて下さっていることを知ったのです。

外に出てきたTOMOさんとお話しをし、状況がわかりました。
TOMOさんご一家のお義母さまはずっと前から存じ上げていましたが、
TOMOさんとはその時が初対面でした。

昨年夏、外猫としてしばらく世話をした後、室内に保護し、
里親探しをした三毛猫かよちゃん

我が家に現れた時、かよちゃんには既に耳カットが入っており、
お腹の毛の剃り後もまだ新しかった。
この地域のどこかに、かよちゃんの不妊手術をして下さった方がいる、
どなたかはわからないけれど、ありがたいことだ、そう思っていました。

 

 

 

我が家でのかよちゃん

 

 

 

 

 

 

お話の中に三毛猫の話が出てきました。
TOMOさんご一家が昨年世話をしていた三毛猫に不妊手術をしたが、
ある日を境にいなくなってしまったそうです。
スマホにあったかよちゃんの画像をお見せすると、
「あっ!三毛ちゃん!」

そう、TOMOさんご一家だったんです、
かよちゃんの不妊手術を行って下さったのは。

心強い方とお知り合いになったことを嬉しく思いました。

 

 

 

TOMOさん宅玄関に置かれたハウスに入る
さばみとカプくん。
とても仲良しだそうです。

 

 

 

 

カプ君とチャップ。

 

 

 

 

 

 

話を戻しましょう。

 

 

TTさんが春田アパートの給餌をやめるとどうなるか。

◎カプ君、チャップ、さばみ → TOMOさんご一家がご飯をあげて下さっています。
◎カプ君、チャップ → 我が家か森本さん宅に来ればその都度食事をお出ししています。
◎スギくん、イソダ → 春田アパートのおじさまが給餌(元に戻るだけ)。

つまり・・・

食事の内容は変わってしまいますが、
春田アパートに付近にいる猫達が餓える心配はありません。

怒られながらの給餌は身も心も疲れます。
TTさんは春田アパートでの給餌をやめることにしました。

 

 

もと飼い主に頼まれて、2016年夏から
駐車場③★B」でチョロちゃんに給餌をつづけていた鈴木さんは、
TTさんのことを知り、
「他にご飯をあげる人がいるなら私はやめる。」
と給餌をやめてしまいました。
頼まれたことを途中でやめるのは無責任なのではないか?
とTTさんが問うと
猫が好きでもないのに、知人だった元飼い主に頼まれたから
ずっとご飯をやっていただけ、もうコリゴリ、今後一切やりたくない、
という感アリアリの言い方だったそうです。

鈴木さんという方と連絡をとれるようになるまでが
ちょっと厄介でした。
菅野さんのお知り合いにNさんという方がいますが、
鈴木さんはそのNさんのお知り合いだそうです。
チョロちゃんの給餌に関しては、
TTさんと鈴木さんが話し合うのが最も良い方法なのですが、
その連絡経路が、
TTさん ⇔ 私 ⇔ 菅野さん ⇔ Nさん ⇔ 鈴木さん
だった為に、スムースにいかなかったのです。

 

 

TTさんが、「駐車場②●ハ」での給餌をやめるとどうなるか。

三毛は、もともとの場所=春田アパート「★A」に戻るでしょう。
彼女は春田アパート付近で生まれて育った猫ですから。
しかし、チョロちゃんは、もとの場所ー=「駐車場③★B」に戻っても
もう鈴木さんの給餌がないのです。

給餌を続ければアパートの住人に怒られ、
給餌をやめればチョロちゃんが餓えてしまう。

悩んだ末にTTさんが出した結果は、
「自宅の庭でチョロちゃんにご飯をやる」でした。

とは言っても、人間の意図と都合を理解して
簡単に移動するとは思えませんから、
策を講じなくてはなりません。

 

第1案
駐車場②●ハ」から、TTさんのお宅までは約120メートル。
●ハ」から毎日数メートルづつ、TTさん宅方面に
ジリジリと給餌場所を移動して、チョロちゃんを自然に導く方法。

第2案
チョロちゃんを捕獲し、TTさん宅に移動。
TTさん宅室内でしばらくケージ生活をさせた後、
室内フリー、やがて出入り自由にし、
この場所なら安全だしご飯がもらえると学習させる。

 

 

今のところ、TTさんが考えているのは第2案ですが、
とりあえずしばらくは「駐車場②●ハ」で、
周囲を気にしつつ給餌を続けている状況です。

 

TTさんはお疲れのご様子です。
ニャジラの件、この実ちゃんの件、庭に来る猫の件。
そして給餌通い。餌代もバカにならない。
ご自宅の内外併せて5-6匹、春田アパートの5匹、駐車場の2匹。
週に2度、猫フードの買出しをしていたそうです。

春田アパートでの給餌がなくなりましたから、
現在は「駐車場②●ハ」で2匹に給餌するのみですが、
昨年秋以来続けてきたこの「毎日の給餌」という
ルーティンががキツくなってきたとのこと。
1日だけでいいから、誰か代わってくれないかしら・・・。

給餌のローテンションに私が入ることをTTさんは望まれていたと思いますが、
「他人の土地で許可なく給餌はしない」という考えを私は昔から持っていて、
今でもそれを守るようにしています。
また、1日のうち猫活動に費やせるのは数時間、
やることがあり過ぎで、常に全てのことが押せ押せになっていますので、
そこに「必ず、そして、ずっと続けなければならないこと」を
これ以上追加するのは物理的にも心理的に正直苦しいものがあります。
病院への送り迎え、里親探し、費用の面で協力させていただくので、
給餌の件はごめんなさいと、伝えました。

では誰が?

飼い猫3匹(うち1匹は寝たきりの未来ちゃん)+外猫1匹の世話、
ご自宅近所で10年以上も給餌している地域猫4匹の世話、
喫茶店店主の餌やりを手伝う為に始めた地域猫現場(5-6匹)での給餌と、
毎日猫の世話であちこち忙しく動き回っている多忙な菅野さんが
週1度だけ、TTさんの代わりに「駐車場②●ハ」に
給餌に行って下さることになりました。

菅野さんはずっと前からチョロちゃんのことを案じて下さっていましたし、、
何しろ、猫を想う気持ちがものすごく強い方ですから、
TTさんからの要望を引き受けて下さったのです。
菅野さんのお宅は、「駐車場②●ハ」からずっと離れています。
私が加わらない為に、菅野さんの負担が大きくなってしまい、
これは本当に申し訳ない気持ちです。

菅野さんに用事があって給餌に行くのが難しい時には
少しだけ自分のルールを曲げて
ピンチヒッターをやらせていただくつもりでいます。

近い将来、チョロちゃんの給餌状況は変わると思いますので、
それはまたその際にご報告しようと思います。

 

 

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地域猫活動で、誰のものでもない猫を見守っていきましょう?
実際はそんなに簡単なものじゃない。

 

公園、道路等、市内の公の場所を地域猫活動に使うことは、
許可されません。例外なく、です。

となると、あとは私有地になります。
一軒家ならば隣近所に理解を得つつ、
ご自宅敷地内で地域猫活動を行うことは可能でしょう。
ただし、猫は敷地の外、道路に出たりしますから、
同じ通りに住む他の住人が反対すれば、
自分の敷地でさえ、地域猫活動は難しくなります。

また、全ての人間が一軒屋に住んでいるわけではありません。
ペット飼育禁止の集合住宅の住人が、
猫を飼ってあげられないからせめて外でと、
住宅の庭=共有スペースで地域猫活動をしようものなら、
他の住人から反発をくらい、非難されます。

個人の敷地を「どうぞどうぞ使って下さい」と、
喜んで地域猫の場所に提供して下さる人は
なかなかいません。
結局、地域猫活動を困難にしている理由のひとつが、
場所なんです。

 

場所がない、でも猫を飢えさせたくはない。
その優しい気持ちから、周りを気にしながらも、ついつい、
住宅の玄関先、私道の入り口、務所や店舗の駐車場などの他人の敷地、
あるいは、「餌やりをしないで下さい」と看板が掲げられた公共の場所で
猫に給餌をしてしまう方も多いことでしょう。
もちろん、許可なく勝手に使うのは望ましいことではありませんが、
人間が本来持っているはずの(はずの!)
慈愛の心まで否定・非難するのは淋しいことです。

 

餌やりを咎められて逆上する人もいます。
頭の中だけで逆上して怒るのは結構です。
それは個人の感情ですから、誰にも止められません。
しかし、大人の人間なのですから、
感情的になって喧嘩腰にならず、
その場ではグッと押さえてとりあえず頭を下げ、
「何かいい方法はないでしょうか?
きちんと掃除もしますので、
少しだけ場所を貸して下さるようなお知り合いは
いらっしゃらないでしょうか?
私もずっと悩んでまして…。
お力になっていただけると助かります。」等々、
低姿勢、柔軟、丁寧にアプローチすれば、
話が違った方向に向いていくこともあるかもしれません。

 

「猫だってお腹がすくんですよ!
あなただって毎日食事をするでしょ!
それとも猫は死んでも構わないっていうんですか!」
このタイプは、私個人としては、ちょと苦手かな。

 

今後、猫が増えないように不妊手術をしてありますので、
数年後にはこの辺りの野良猫の数はぐんと減っていくか、
いなくなる可能性もあります。
その為に、今はこうして出来るだけの世話をさせていただいています。
と、給餌をする理由を説明することは大切ですが、
「自分でお金を出してやっているんです!」と言ってしまうと、
気難しい方や、野良猫問題に関して知識の少ない人からは
「それはあんたが勝手にやってることだ。自分の行為を正当化するな!」
と、逆効果になる可能性があると思います。

聞かれたなら「助成金的なものがありましたので」と答えれば、
個人ひとりじゃない、後ろに行政がいるような「感じ」の印象を
与えられるかもしれません。
「市からの助成金」とは言わないことです、嘘になるから。
「助成金的なもの」とぼやけた表現がいいと思います。
どうぶつ基金さんの無料チケットかもしれないし、
有志の方々からの寄付金かもしれない。
聞かれないのならば、
「自腹で…」とは言わない方がいいような気がします。
それを押し付けと感じる方々もいますから。
あくまでも、自分の経験上ですが。

野良猫(たとえそれが不妊手術済であっても)への給餌、
そして、地域猫活動を続けるには忍耐が必要です。

活動する人々が、反対する人々と対立して争うのではなく、
「良い例」「良い効果」を示して理解を得られるように、
地道に続けていくしかないのだと思います。

猫好きの正義=世間の常識ではないからです。

 

 

To be continued ・・・・・・