前回のおはなし
7月19日のブログ
「東奔西走:⑨東西の猫たち~待てば海路の日和あり。」

 

 

春田アパートでの保護とTNRが終わり、現場は落ち着いていました。
春田アパート庭のハウスに住んでいたのはスギくんとさばみでしたが、
TTさんの給餌の時間になるとやって来るイソダ、カプ君、チャップがいます。

春田アパートは、我が家から最寄駅まで行くのとは反対方向にあります。
近所に買い物に出る時には別の道を通った方が近いのですが、
さばみ達の様子を見に、時々、春田アパート前を通るようになりました。

 

ある夕方のこと。
春田アパートの脇に白い謎の生物が坐っていました。
あ、いや、べつに謎の生物じゃない、猫です、猫。
確かに猫ではあるのですが・・・

スマホ片手に近づくと、ノコノコと物陰に移動してしまい、
撮影が出来ませんでした。

用事を済ませた帰りにまたアパートに寄ると、
今度は春田アパートの塀の上にいました。

 

 

 

えっ!?

 

 

 

 

 

ええっ!?

 

 

 

うわっ・・・
なんじゃあこのこのサイズ。

アパートにゴジラニャジラ出現しました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日またニャジラを見に行きました。
隣のお宅と向こう側の境になっているアルミフェンス手前に坐り、
すっかり固まってしまい動けなくなっていました。

 

 

 

ん? どうしたニャジラ?

 

 

 

 

 

超音波のような声が聞こえてきます。
こちらからは見えませんが、
フェンスの向こう側にいる、
もう1匹のオス猫に睨まれているようです。

 

はは~なるほど。
ニャジラは体がデカイだけで気が弱い猫というわけだな。
他のオス猫に唸られて、怖くて凍りついてしまっている。
フェンスの反対側が見える場所に移動すると、
唸っていたのは、茶トラのチャップでした。

はいはい、そうでしょうとも。
この辺りをテリトリーにしているオス猫は決まっていますからね。

 

早速、昨年の11月から春田アパートに給餌に通っているTTさんに
新しいオス猫・ニャジラが来ているようだとメールしました。

しばらくして、TTさんから
「来てますね、灰色男子。足が悪いの?引きずってます。」
と返信が来ました。

足が悪い?
ああ、それはニャジラじゃなくて、ポッちゃんだ。

 

 

 

 

 

足が悪いポッちゃん。
こちらもビッグ男子です。

 

 

 

 

 

置き餌による給餌が好ましくない理由はいくつかありますが、
そのひとつがこれ↓。、
「出遅れた猫、タイミングを逃した猫はご飯にありつけない」
以前の、カプ君への森本さんの給餌がそうでした。

 

ポッちゃんは、この地域の有名人、餌やりおばあさんの重田邸で、
2015年頃から置き餌を食べていました。
おばあさんの玄関前に置かれた空のお皿のにおいを嗅いだりして
うろうろしているポッちゃんを何度か見かけたことがあります。
ぽっちゃんは十分に空腹を満たすことが出来ないでいたのかもしれません。
徐々に北東に移動し、我が家のあたりをうろついた挙句、
春田アパートまで行ったのでしょう。

(ぽっちゃんはこの直後我が家の庭に戻って来ました。
TNR後は庭に定住し、我が家の滅多に出歩かない外猫となりました。)

 

「TTさん、それはポッちゃん。
私が言っているのはニャジラですよ。」

すると翌日、TTさんから画像が送られてきました。
TTさんが給餌場所にいる時に現れたニャジラの画像です。
「この子全然触れますよ。おとなしい。」

 

 

 

 

よっ、米俵!

 

 

 

 

 

うーむ。
ニャジラと名づけたものの、あらためてよく見ると、
これはほぼ北極圏にいる生き物だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニャジラは毎日やって来て、
TTさんの給餌を待つようになりました。

 

 

 

 

 

お行儀よく待っている。

 

 

 

 

この地域で活動を始めて以来、
複数の住民の方々と知り合いになり、
猫の情報などが入ってくるようになりました。
それはネットワークというにはまだまだ穴だらけのネットですが、
オリオン座くらいの形にはなっています。
私が1、2度しか見かけたことのない猫のことを
よ~くご存じの方がいたり、その逆もあります。
つまり、この地域では、オリオン座であっても、
何とか情報の共有が出来るようになり、
地域の猫はだいたい把握出来ているような状況にあるわけです。

しかし、ニャジラについては、見たことも聞いたこともない。
どなたもご存じないのです。

こんなに栄養満点過ぎる野良猫はいないでしょう。
人を怖がらない。触れる。
他のオス猫に対抗出来ない。

これは、恐らく、引っ越しで置き去りにされたか、
他の地域から連れて来られて捨てられたかのどちらかだ。
捨てた本人は、この辺には他の野良猫もいるから、
1匹くらい増えてもバレないだろうと思って捨てたんだろうか。
キミ、それは大間違いだよ。
少なくとも、春田アパートのある通りでは、わかってしまうのです。

 

 

ニャジラは未去勢の猫でした。
「こんなにおとなしくていい子だから、私の家で飼おうかな。」
と、TTさん。

昔は複数の飼い猫に、複数の外猫がいたTTさんですが、
現在は出入り自由の飼い猫わさびちゃんと、
庭のハウスに住んでいる外猫=白黒1匹。
室内飼いの猫としてもう1匹迎えてもキツくはない。
よし、わかった、保護しましょう。

*TTさんが庭でずっとお世話をしている白黒のオス猫は、
2016年1月に私が自宅庭でTNRしたウッチーであることがわかりました。
リリース後全く姿を見なくなってしまったので心配していましたが、
TTさんの庭で暮らしていると聞き、ホッとしました。

 

 

 

 

ウッチー

 

 

 

 

 

 

「入ってくれるかなぁ、どうだろう」
そう思いながら、捕獲器を仕掛けてみたところ、
ニャジラはものの1分で捕獲器に入りました。
暴れることもなく、捕獲器の中でボーっとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寒くなくして、我が家の玄関で
ひと晩待機です。

 

 

 

 

捕獲器重量+ニャジラの体重・・・・・・超重っ!

 

 

 

翌日、3月4日に去勢手術と併せ、ワクチン、駆虫もお願いしました。
その際の血液ウィルス検査では猫エイズに陽性反応が出ましたが、
「大丈夫ですよ。」とTTさんは了承して下さいました。

 

◆ニャジラ◆
推定年齢:3-4才
体重:6.2kg
去勢手術:4500円
駆虫:1400円
3種混合ワクチン:3000円
血液ウィルス検査:2500円
消費税:912円
合計:12312円
(ねこ藩負担5900円・TTさん負担6412円)

 

TTさんが用意した即席ケージに、退院してきたニャジラを移します。
ニャジラはモゾモゾと奥の箱の中に入り、おとなしく坐っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、ニャジラは家の中フリー状態になりました。
外が恋しくてパニックになることもなく、
のそのそと室内を歩き回って探検し、
用意したご飯を当たり前のように食べていたそうです。

 

 

 

 

 

 

飯はしっかり食う!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丸めたシーバの袋をおもちゃにして遊ぶ。
安上がりな猫(笑)。

 

 

 

 

 

 

1週間後、「ニャジラ脱走事件」がありました。
ベランダから隣の家の屋根に飛び移ったか、
下に降りて逃げていったか。
とにかく付近を見てみようと、さんざん探しまわり、
居間に戻ってきたTTさんが見たものは、
椅子の上にデーンと坐っているニャジラでした。

窓が開いていた為、てっきりニャジラが
外に逃げ出してしまったと思ったTTさんですが、
その間ニャジラは逃げも隠れもせず、
ずっと居間の椅子に座っていたわけです。

「何やってんの?ここにいるよ」
って、教えてあげなさいよ~、もう。

その後ニャジラは順調に家猫街道まっしぐらです。

 

 

 

 

5月。
TTさんの知人が子猫を1匹拾って、TTさん宅に連れてきました。
離乳前のサビ猫・この実ちゃんです。

数時間おきの授乳に排泄。
1か月の間、TTさんは子育てを頑張りました。

 

 

 

 

 

ハクビシンじゃないよね。

 

 

 

 

 

この実ちゃんが生後2ヶ月になったら、
ねこ藩で里親探しをお手伝いする予定でいましたが、
ニャジラがこの実ちゃんをとにかく可愛がって
片時も離さなくなっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっさん猫のおっぱいを吸っていること、
この実ちゃん、気付きなさい。

 

 

 

「これはちょっと、離せないわ。」
TTさんはニャジラに加え、
この実ちゃんも飼い猫として迎えることに決めました。

 

それからまもなくして、TTさんの庭に白黒の子猫が1匹で現れ、
さらにグレーのオスも現れるようになりました。

白黒子猫:保護して里親探し
グレーのオス:TNR

のつもりでねこ藩の捕獲器を仕掛けましたが、
捕獲器に入ったのは、その2匹ではなく、
何度か庭に来たことがあるメスのキジトラ・ニコラでした。

 

病院が休みの日の午前中に捕獲してしまった為、
手術まで丸1日以上狭い捕獲器の中で待機させてしまいましたが、
翌日、無事、避妊と堕胎手術、駆虫、抗生剤投与を済ませました。

耳のところにただれがありましたので、
これも処置をお願いしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳まわりの皮膚がただれて、
出血が見られました。
蚊が原因のようです。

 

 

 

 

堕胎手術ですと通常の避妊手術よりも傷口が大きくなりますから、
例え感染症予防の注射を打っているとしても、
十分に療養させてあげた後、リリースしたい。
しかし、人慣れしていない野良猫というのは
ケージに入れられていることによるストレスも大きい。
リリースのタイミングについてはいつも悩みます。

 

ねこ藩H宅にこれ以上大きな備品が置けない為、
新品でまだ箱に入ったままの三段ケージを
TTさんはご自宅の広い仕事部屋に
預かって置いて下さっていました。

ちょうどよかった。これをニコラに使いましょう。
ニコラの療養期間は1週間程度と考えていましたが、
シーツに血液と膿のようなものが少々ついていましたので、
大事をとって療養期間を延ばしました。
出血も見られなくなり、うーと怒るくらいに回復しましたので、
退院から16日目に、TTさんは二コラをリリースしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ニコラ◆
推定年齢:3才くらい
体重:3.2kgで体は痩せ気味
避妊手術:9000円
駆虫:1200円
持続性抗生剤:3250円
内服薬:800円
消費税:1140円
合計:15390円
+胎児埋葬料:2500円
(ねこ藩負担12700円・TTさん負担5190円)

 

 

TTさん宅庭にいる白黒子猫はなかなか捕獲出来ないでいますが、
常に庭をうろちょろしてご飯も食べています。
グレーのオス猫はいたりいなかったり。
ニコラのリリース後、大きな法事があったりして、
TTさんも多忙でしたので、あとの2匹については追々ということで。

 

 

To be Continued ・・・・・・