前回のお話はこちら。
2019年5月22日のブログ
ミーコと赤ちゃん:③4匹4色

ミーコと赤ちゃん:④4匹4色

 

 

 

ミーコは、10月11日に避妊手術を終えた後、
知人・Kさん宅の大きなケージの中で5日間、
術後の体を休め、キズを癒しました。

上村さん宅にはなとほのかを移動した10月16日の朝、
Kさん宅にミーコを迎えに行き、
ミーコを入れたキャリーを積んで、
ミーコを捕獲した場所=事務所の通路に向かいました。

 

事務所の通路で1ヵ月も子育てをしていたミーコです。
この通路は安全な場所だと学習していて、
子猫がいなくなった後も居着くようになるかもしれない。
あるいは、捕まってしまうという嫌な経験をした場所だから、
もはや安全ではないと判断するかもしれない。

いずれにしても、数日は様子を見ようと思いましたので、
「母猫は術後ですので、もしハウスに入っていたら、
しばらく休ませてあげて下さいますか。」
と事務所所長さんに承諾をいただいた上で、
通路の一番奥に、外猫ハウスを置きました。

 

通路の手前にキャリーを置き、キャリーの扉を開けて、
私は事務所裏口の門の外から様子を伺いました。
警戒しながらゆっくりとキャリーから出たミーコでしたが、
一目散に、ハウスとは逆の方向に逃げて行きました。

 

 

 

その後、2日間、事務所に通い、ハウスの中をチェックしました。
ハウス内に猫が入った形跡は全くありませんでした。
それからまた数日間、通路に銀のスプーンを入れた容器を
置いてみましたが、フードは手づかずのまま残っていました。

ミーコが事務所の通路にやって来て留まることは、
もうしばらくないだろうと確信しました。

 

 

ミーコ一家を発見した9月中旬、
事務所隣にある個人商店のおばあさまに、
ミーコの画像を見せました。

「この猫、昨年くらいから、時々来るのよ。
昨年はうちの倉庫で子供産んだんだから。」

ということは、ミーコはこの数年間、
このブロックのどこかをホームとして生きている。
そして、どこかでご飯を貰っている。

我が家からそう遠くない△丁目のこの場所ですが、
私には、この△丁目の猫状況がどうなっているのか、
さっぱりわかりません。

ミーコをリリースした後、その個人商店を訪ねたのですが、
あいにくおばあさまは不在でしたので、
お嫁さんにミーコの件を伝えておきました。

「あの三毛猫には不妊手術をしましたので、
こちらのお宅で出産することはありませんよ。
今後も敷地を通ったりするかもしれませんが、
外にいる猫なので、その辺は大目に見てあげて下さい。
もし、また新しいメス猫がやって来るようになったら、
教えていただけますか?」

「はい、わかりました。」
とお嫁さんは、おっしゃいましたが、
こちらから働きかけない限り、
あのご一家が、何らかのアクションを起こすことは、
恐らくないだろうと思います。

野良猫が迷惑だと思っている人々というのは、
不妊手術をすれば数年後には野良猫がいなくなるという
長期的な考え方はしません。
今、野良猫がいなくなることを望んでいる場合が多い。

5年前に不妊手術をしていれば、
現在の状況はかなり変わっていた筈。
そう思えるような場所はいくつかあります。

まだToo lateではない。
今、不妊手術をしてしまえば、
5年後には状況は劇的に改善される。
しかし、そのような説明をしても、
「現在」にこだわる人々の
耳には届かない、心には響かない。

 

 

 

 

ミーコをリリースしてから数週間経った頃、
事務所近くの道路の端を歩いているミーコを見つけました。
そっとついていきましたが、とある路地の奥で消えました。

それから更に、数週間後、またミーコを見かけました。
先日、ミーコが入っていったあの路地です。
路地の奥からとことこと出てきたミーコは、
路地の真ん中に座り、ペロペロを洗顔を始めました。
ご飯を食べたあとの猫の行動です。

路地にある数軒のお宅と集合住宅を眺めました。
「ミーコはこの中のどこかでご飯をもらっている。」

 

帰宅して、△丁目の住宅地図を広げました。
ミーコの行動範囲を考えるまでもなく、
ピン!とくるものがありました。

私が野良猫製造工場と呼んいる場所が、
このエリアにはいくつかありますが、
そのうちの一か所の居酒屋。

路地の奥は、居酒屋の建物の裏に接しています。
どうぞ寄って食べて行って下さい、とばかりに、
店の前にはいつも餌がたんまり置かれています。

地図で確認すると、事務所の裏から居酒屋裏までは
直線距離にしてたったの60メートルです。

 

[ミーコの行動でわかった2ヶ所の位置関係】

 

ミーコが子育てしていた事務所と居酒屋。
我が家から見ると、この2ヶ所は同じ西の方角にあります。

しかし、それぞれの場所に行こうとすると、
事務所はずっと北に向かってから左折して真っ直ぐ。
居酒屋は少し南に向かってから右折してずっと真っ直ぐ。
2か所の猫道距離が60メートルだなんて考えてもいなかった。

 

[私の頭の中でとらえていた2ヶ所の位置関係]

 

 

そうでしたか、
南通りは、北通りに対して平行ではない。
西に進めば進む程、北通りに鋭角的に近づいているんだった。
私が考えていたよりも、事務所と居酒屋はずっと近いはずだ。

自分が歩いて回る時に通る道路を基準に、
猫の行動範囲、移動距離を考えてしまう。
私の悪いクセです。

 

もし居酒屋がミーコの餌場でなかったとしても、
あの路地奥の一角のどこかで、
ミーコは食事をしていることは間違いない。

事務所で初めてミーコを見た時、
その体格から、餓えていない猫だとわかりました。
ずっと前から、ご飯を貰っている猫だった。
ただ、不妊手術だけがなされていなかった。
△丁目のことです。驚きもしない。

 

 

猫が可哀想だからと、猫に餌付けをするだけで、
猫を救っている気になっている人間は好かないですが、
不妊手術の済んだ猫にご飯をあげて下さる方は
それが誰であっても、有難いと思います。

 

 

長年ご飯をあげていても、
その猫の耳にカットがあるかどうかなんて、
気にしたことのない人もいます。
また、餌をあげたことのない人でも、
耳カットの意味をご存じの方もたくさんいます。

 

耳カットのある猫を見かけたら、
このように考えていただきたいのです。

●不妊手術をしてしまえば、その猫はその代で終わる。
●新しい、迷惑な野良猫はもう生まれてこない。
●この地域で野良猫の数を増やさないようにする為に、
この地域に住む野良猫の不妊手術をする必要があった。
●だから、この猫には耳カットが入っている。
●この耳カット入りの猫は、私達人間によって、
野良猫問題を解決するという任務を与えられた。

 

 

ミーコのような耳カット入りの猫を見かけた時、
そのように思って下さる人が増えていきますように。

頑張るんだよ~と声をかけて下さる方が増えていきますように。

そして、願わくば、
「これは野良猫じゃなくて地域猫ね?
だったら、世話をしてあげなくちゃ。」
と考えて下さる方が増えていきますように。

ミーコ、滅多に会えないけれど、頑張るんだよ。

 

 

The end.