オスの野良猫は、それぞれ自分のテリトリー(縄張り)を持っています。
そのテリトリーの境目にあたる部分については、
人間の土地境界線のようにはっきりと分かれたものではなく、
テリトリーが一部重なっていたりすることがあります。
その重なっている部分は、2匹のオス猫が「ここは仲良く共有しよう」
と取り決めている安全地帯・・・だと平和なんでしょうが、
実際はそうではなかったりする。

A君もB君も、A⋂Bの部分=激戦区をなんとか自分の領土に組み入れたい。
A君が「ここは俺がとった!」と自分のおしっこをかければ、
後から来たB君が「いやいや、ここは俺がもらう!」と、
A君のおしっこを自分のおしっこで塗りつぶす。
A君とB君だけのの争いならまだマシな方で、
「悪かったな、ここは俺んだ」と別のオス猫C君が登場し
新たに自分のおしっこをかける…なんてこともあるでしょう。

AB

 

 

 

 

 

 

ねこ藩H邸の庭は、そのA⋂Bというか交差点に当たるようで、
昔から、オス猫が次から次へとやって来てはマーキング。
サキエル・・・シャムシェル・・・ラミエル・・・ガギエル・・・
使徒をやっと倒すとまたべつの使徒来襲。
攻撃して倒しているわけじゃないが。

本当は未手術のメス・ムギ子ちゃんをずっと狙っているのですが、
神出鬼没のムギ子ちゃんをなかなか捕獲出来ない状態が続いています。
で、ちょっとブレイク…ではないですが、
最近ここいら辺をうろついている未去勢のオス猫数匹を優先することにして
恒例の「庭に捕獲器を置いてみた作戦」を実行してみました。

 

===============================================

 

◆3月23日 水曜日◆

夜、勝手口に仕掛けた捕獲器に、オス猫が入りました。
第八の使徒サンダルフォン、白黒のブッチです。
顔と後ろ足に怪我をしているようです。超音波のように唸る唸る。
明朝、病院に連れていくまでの間、ひと晩は玄関外で過ごしてもらいます。
地面に段ボールとウレタンシートを敷き、ブッチの入った捕獲器を置きますが、
寒くないように捕獲器を毛布でくるみ、空気穴を少し残してビニールシートで包みます。

160323

 

 

 

 

 

 

 

超音波のような音で唸り続けるブッチ

 

 

◆3月24日 木曜日◆

午前中、江戸川区のE病院にブッチを連れて行き、
去勢手術と怪我の治療をお願いしました。
創口から膿を出し、消毒して薬を塗っていただきました。
夜の7時にブッチは退院して戻ってきました。
術後、金属ケージにブッチを入れてもらいましたので、
ケージINのまま室内でひと晩過ごした後、リリースです。
この晩も断続的に超音波音を発していました。

体重4.7kg、推定3-4才

ブッチ医療費:7000円
(去勢手術/5500円 ノミダニ除去/1000円 怪我治療/500円)

 

160324-01 160324-02

 

 

 

 

 

 

 

ガンガンとケージに体当たりを食らわし暴れる

160324-03 160324-04

 

 

 

 

 

 

 

 

栄養価の高い美味しい (と思う)フードをケージ内に差し入れましたが、
ブッチは全く食べませんでした。水は飲んだようです。

 

◆3月25日 金曜日◆

昼過ぎにブッチを庭にリリースしました。
ケージの扉にお尻を向けて座っていましたので、
扉が空いていることに気付かずしばらくボーっとしていましたが、
やがて、「げっ、なんだ開いてるじゃん!」と気付き、
超ダッシュで壁の向こうに消えていきました。

160325

 

 

 

 

 

 

 

バイバイ、ブッチ。
数日間はどこか安全な場所を探して
隠れて傷を癒すんだよ。

 

 

===============================================

 

オス猫は去勢するとマーキングの臭いが軽減され、
テリトリーへの執着がやや薄れるとききます。
また、性格も少し丸くなり、あまりケンカをしなくなるそうです。

ブッチは後ろ脚の付け根を怪我していましたが、
それは恐らく他のオス猫に噛まれたことによるものです。
オス猫同士のケンカでは、弱い方または敗者が先に逃げ出し、
強い方または勝者が、逃げる相手の後ろ足に噛みついたりします。
ということは、ブッチはあまりケンカの強い子ではなかったのかな。

ブッチの治療をして下さった先生は、
「この子はもう生粋の野良猫だから、ケージに入っていることがすごくストレス。
怪我が完全に治るまで家においてあげようなんて思わず、早めにリリースしてあげて。
怪我の治療は一応してあるんだから、あとはこの子が自分で身を潜めて治すよ。」
とおっしゃっていました。

怪我をしている以外は、堂々とした体格のブッチ。
きっとこの子もこの地域のどなたかにご飯をもらっているんでしょう。

住宅街に住む野良猫の食糧事情は深刻です。
獲物になる小動物などそうそう見つからないし、
きちんと管理されたゴミ出しではゴミ袋も漁れない。
それを不憫に思ってご飯をあげる優しい人間は多いです。
ただ、この時代、ご飯をあげるだけではもうダメなんです。

ご飯をやる人間もご飯をもらう猫も、ご近所から非難される時代なんです。
だから、ご飯をやって面倒を見ている気でいるなら、
ぜひ不妊手術もあわせてお願いしたいと思います。