前回のお話はこちら。
2019年5月17日のブログ
超特急で行けるかな?:①子猫3匹・里親募集中

超特急で行けるかな?:①こねこ3匹・里親募集中

 

 

知人のボランティアKさんに連れられて
初めてKMさん宅に伺ったのは5月8日のことでした。

 

 

「私は成猫達のTNRの方で手一杯。申し訳ないけれど、
里親探しの方をお手伝いしてもらえるとありがたい。」

と、Kさんから少し前に頼まれていましたので、
離乳前~離乳後生後2ヶ月くらいまでの子猫の預かりに、
いつも気持ちよく協力して下さる上村さんに話し、
信頼のおける上村保育園を確保してありました。

 

 

母猫には威嚇、空気砲、猫パンチが見られます。
人慣れしていないのです。
子猫達は生後1ヶ月過ぎており、離乳の時期ですが、
母猫と常に一緒にいる為に、人を警戒する仕草を
見せるようになってきていました。

これから貰われて人間と生活をしていくわけですから、
出来るだけ早いうちに、人慣れしていない母猫と離したい。
それにパウチ食もドライも食べ始めていますから、
母猫の授乳はもう必要ありません。

 

経験のある預かりさんに子猫達を預かってもらい、
こちらで里親探しをします、とお話ししたところ、

「ここにおいておけば、母猫が世話をするんだから、
なにも、子猫達だけ、私の知らない人のお宅に
連れて行く必要はないでしょ。」

と、KMさんが子猫の移動に難色を示されました。

 

子猫達が卒業までに過ごす場所として、
上村さん宅が理想的な理由はいくつかあります。

●脱毛やキズ、体調の変化にすぐに気付いて下さる。
●代わりに病院に入って下さる。
●シャンプーや顔拭きをまめにして下さる。
●体重を定期的に測って下さる。
●上村さん宅で過ごした子猫は人を怖がらない。
●上村さんが掃除好きで、いつも部屋が清潔である。

KMさんにはちょっと難しそうです。

 

それと、これまでの上村さんとのお付き合いから、
もう充分という程わかっていることですが、
上村さんは、撮影がとても上手なのです。
上村さんが過去に撮影した子猫達の画像は
もう何点も、ねこ藩グッズに使わせていただきました。

「撮影なら、私が自分でするわよ。
撮れたらLINEで送ればいいのね?」

KMさんはそうおっしゃいます。

KMさんは足が悪く、歩行もそうですが、
立ちあがったり、坐ったりがとても辛そうです。
子猫達の世話をしたり、撮影をしたりするのは、
容易ではないと想像出来ました。

しかし、KMさんは保護主です。
保護主が子猫はここに置いておくようにと
おっしゃっているのですから、仕方がありません。

 

子猫の移動はなくなりました。
久しぶりに子猫が来る!と、上村さんご一家は、
楽しみに準備して待っていて下さいましたが、
申し訳ない結果となってしまいました。

 

KMさん宅では、母猫も子猫達も名無しの状態。
早くいいご縁に恵まれますようにと、
超特急の名前をつけました。

母猫:のぞみ
子猫:ひかり(♀)、こだま(♂)、つばさ(♀)

 

 

 

その1週間後に、子猫3匹を預かり通院。
まだ1ヵ月と3週という月齢でしたが、
獣医さんのご判断で、検便、駆虫、
そして、初回三種混合ワクチンを済ませました。

 

 

 

里親募集をする為には、まず画像です。
それぞれの猫の特徴がよくわかる、
質のいい、可愛い画像。

残念ながら、この1週間の間に、
保護主のKMさんがスマホで撮影して、
送信して下さった数種類の画像の中には、
使えるものがほとんどありませんでした。
目からビームが出ているような画像、
端っこにちょこっとしか写っていない画像、
暗過ぎる画像、顔が見えない画像、ボケた画像などなど。

 

 

 

そこで、この日の早朝、子猫達の診察が終わった後、
上村さん宅に子猫達を預け、夕方までお世話をお願いしました。
6時間程の上村家滞在でしたが、その間、上村さんは、
たくさんの可愛い画像を撮影しておいて下さいました。

 

 

 

その晩、上村さん撮影の画像をフルに使い。
募集掲載したところ、すぐに数件の問い合わせが来ました。

 

 

 

募集掲載開始から2日後には、2組みの希望者が
子猫達とのお見合いにいらして下さいました。
守谷市のKRさんご一家と、世田谷区のOMさんご一家です。

 

 

 

どちらも先住猫さんがいるご家庭ですので、
子猫が猫エイズ・猫白血病のウィルスキャリアでないことが
とても大切になってきます。

子猫は生後6ヶ月を過ぎないと正確な結果は得られません。
生後6ヶ月未満の子猫に血液検査を行っても、
検査薬が反応するのは母猫から貰った抗体だからです。

ということは、母猫が陰性だとわかれば、
子猫が陰性である可能性は高くなります。
トライアルを始めるかどうかは、
母猫のぞみの血液検査結果次第となりました。

 

 

お見合いから5日後、やっと市の不妊手術助成金がおりることになり、
ボランティアのKさんが、母猫のぞみを病院に連れて行きました。
避妊手術の麻酔下で行った血液検査結果は、陰性でした。

ひかりご希望のKRさん、つばさご希望のOMさん。
心配しながら、この結果を待っていて下さいました。
これでもう大丈夫。チビ達をお届け出来ます。

 

 

唯一の男子、こだまにも問い合わせはありました。
先住猫さんがいるご家庭です。

先住猫さんの血液検査結果について訊ねたところ、
「今まで病気もしたことがなく健康ですが?」
という答えが返ってきました。
先住猫さんの血液検査の結果が陰性であることを
確認したかっただけなのですが、
もう1度質問分を送ったところ、
「執拗に質問なさるのなら辞退したいです」
とメールが来て、その後は音信普通となりました。
(執拗って・・・質問したのは2度だけよ?)

想像するに、血液ウィルス検査というものを
ご存じなかったのだと思います。

子供の事からずっと犬猫を飼っています…という方でも、
血液検査だけではなく、犬猫の病気の知識のない方は
時々いらっしゃいますから。

 

 

 

こだまのお見合いがキャンセルになり、
仕切り直そうとした時、はっと閃きました。

2年前に、キビ君(現・ミア)を貰い受けて下さったSさんご一家が、
そろそろ2匹目の猫さんを迎えようかな、と言っていたわよ、と、
先日、知人から聞かされていました。

 

すぐに連絡を取り、翌日SさんがKMさん宅に
こだまに会いにいらして下さいました。
こだまの里親さまもこれで決まりました。

 

 

 

 

◆5月30日◆

ちょっとしたドライブです。
守谷市のKRさんご一家にひかりをお届けしました。

 

事前に宅急便でお送りしておいたケージを
きれいな専用部屋の中に組み立てておいて下さいました。

 

 

◆5月31日◆

市内平田のSさんご一家にこだまをお届け。
こちらも事前にケージをお届けしてありましたので、
当日は、自転車の後ろにこだまを乗せて10分です。

 

 

◆6月5日◆

この日は、電車を2つ乗り継ぎ、つばさのお届けに
世田谷区のOMさん宅にお邪魔しました。
3匹の中では、つばさが一番落ち着いているようでした。

 

OMさん宅の脱走対策は見事なものでした。
我が家でも、最近、飼い猫のこまつが、
ストッパーを超えるか押しやるかして、
玄関に迎えに出て来るようになったので、
参考にする為に、撮影させていただきました。

帰りに、OMさんの案内で、商店街を歩きました。
私が住む市川よりも安い八百屋があって驚きました。
ししとう2パックで128円とか、
大きな新玉ねぎ3つで100円とか。
もちろん、買って帰りましたよ。
つばさを運んで来たキャリーに野菜を詰めて。

 

 

猫達をお届してすぐにそのまま譲渡、
というわけではありません。
重要視しなくてはいけないのは、先住猫さんとの相性です。

先住猫さんというのは、その家に住んでいる猫で、
何においてでも、優先権があります。
新しい猫が来たことによって、先住猫さんが体調を崩したり、
著しく性格や行動が変わってしまい、それが続くようであれば、
先住猫さんにとってかなりのストレスになっている証拠です。
そうなってしまうと、新しい猫の迎え入れは見送るか、
検討し直す必要が出て来る場合もあります。

先住猫と新猫が、初日から打ち解けてベタベタ仲良し。
そんなケースは、あまりありません。
お互いの存在を確認し、許容するまでに
だいたい、数日~数週間かかりますが、
子猫はもっと早く受け入れられる傾向にあります。

ひかり、こだま、つばさ。
3匹のトライアルは、同じような感じで進みました。

シャーシャー言ったり、手をちょいちょいしたり、
小バトルになったり・・・。
子猫達は物怖じせずに、ぐいぐいといきます。
先住猫さん達の方が、最初は、うわぁ~と引きますが、
やがて、「小さいから怖い相手じゃないな。」と理解して、
「どれどれ探ってやろう」と興味を持ちます。

トライアルは1週間となっていましたが、
KRさん宅でも、OMさん宅でも、Sさん宅でも、
お届けしてから3-4日くらいで、
猫達の関係が落ち着いてきたようでした。

 

↑ KRさん宅:先住猫おとちゃんとひかり。

 

↑ Sさん宅:先住猫ミア君とこだま

 

↑ OMさん宅:先住猫シャルルちゃん、雪ちゃんとつばさ

 

 

その後、皆さまのご意志を確認させていただき、
トライアル終了時に正式な譲渡となっています。

 

ひかりは「なぎちゃん」、
こだまは「レオくん」となり、
つばさはそのまま、ツばさです。

 

皆さん、賑やかで楽しそうなご家族です。
子猫達も幸せに暮らしていくでしょう。

この時期、里親募集中の子猫達はたくさんいます。
そんな中から、のぞみの子供達を見つけ、
家族として迎えて下さって、心から感謝です。

 

それぞれの里親さまよりいただきました寄贈品、寄附金は
ホームページ内の「寄附金の御礼」「寄贈品の御礼」に
記録してあります。

お心遣い、ありがとうございました。

 

 

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さて、母猫・のぞみのことです。

今のひかり達くらいのサイズだった子猫時代から、
KMさんはのぞみを知っていました。
お庭でご飯をあげていたのです。

KMさんは対面でご飯をあげるのではなく、
大きなお皿にドライフードを入れて置いておくので、
猫があちこちから集まってきます。

その中の猫が産んだ子猫がのぞみでした。
そういった餌を置きっぱなしの給餌方法ですと、
ご飯を食べて去るだけ、猫はなかなか人に懐こうとしません。
のぞみもそうやって成猫になりました。

まだ小さくて無防備な子猫だった頃に、
のぞみを保護して下さっていれば、
のぞみにも飼い猫としての猫生も待っていたでしょう。

 

人に慣れないまま大きくなってしまったのぞみですが、
食事中は背中を触らせてくれることもあったようです。
しかし、のぞみ一家を丸ごと室内に保護してみると、
子供達を守る為なのでしょうが、威嚇がすごく、手も出ます。
人にとっては扱いづらい態度でも、
のぞみは母猫の役目をしっかりと努めていたのです。

 

室内に保護しでも、ご飯をあげているだけでは
猫はすぐには慣れていきません。
慣らす工夫も必要になってきます。
しかし、KMさんはのぞみを慣らすことよりも、
子猫の相手をすることに時間を割いていた為、
のぞみは相変わらず警戒心むき出しのままでした。

「のぞみは手に負えない。」

子猫が貰われたら、のぞみは庭に戻すと、
KMさんは決めていました。

 

1ヵ月以上も、雨風の心配のない室内で
授乳させ、子育てをさせておいて、
子猫がいなくなったら。庭に戻す。

のぞみがあまりにも可哀想な気がして、
私も、ねこ藩・菅野さんも、Kさんも、
「のぞみを少し慣らして里親探しをしましょう」
という提案をしました。

 

KMさんも、「こんな感じで里親が見つかるのかしら」と言いつつも、
のぞみをこのまま保護するかどうか考え直しているように見えました。

 

 

 

6月5日に最後のつばさをお届けした翌日、
その連絡を差し上げると、KMさんがおっしゃいました。

「のぞみは庭でご飯をたべたり、ベランダに来たりしてるわよ。」

子猫がいなくなるや否や、
のぞみを外に放してしまったことがわかりました。

 

 

まだ生後1年にも満たない、小さな体格ののぞみ。
去勢していないオス猫もうろうろしている庭で、
のぞみはうまくやっていけるのだろうか・・・。

心配していた通りになりました。
他の猫達に追いやられて、
庭に入って来られないことがあるそうです。

 

 

 

 

 

 

近所で野良猫の餌やりをしていたスナックの店主が、
そのまま猫を置いて、隣市に引っ越しました。
ご飯を貰えなくなった猫達は近くのKMさん宅に来るようになり、
KMさんはその猫達にもご飯をあげるようになりました。

KMさん宅付近で、猫が増えてしまった原因のひとつです。

「スナック店主さんはご飯をあげていた猫達の
不妊手術をしていなかったんですか?」

そう訊ねた時に、KMさんは、当たり前のように、
こう言いました。

 

「してない、してない。
ご飯をあげていた猫達は
飼い猫じゃなくて、野良猫ですよ?」

 

スナック店主さんもKMさんも同じような考え方なのです。
毎日ご飯をあげるということは、自宅に居着くようになります。
その猫達に不妊手術をしなければ、自宅周りに
どんどん猫達が増えていくのは、当たり前です。

 

 

今回、偶然、近所で猫が増えていることに気がつかなければ、
また、ご近所からKMさん宅に対する苦情がちらほら出て来なければ、
ボランティアのKさんは、KMさん宅の実情を知らずにいたでしょう。

KさんがKMさん宅のお手伝いに入って初めて、
KMさんが餌を与える猫達の不妊手術が進んだのです。
と言っても、今のところ、メス猫だけですが。

 

 

飼い猫に不妊手術をするのは当然のことです。
しかし、野良猫というのは飼い主のいない猫ですから、
不妊手術の責任者がいません。

行政が税金を使って市内に生息する猫の不妊手術を行うこと、
自治会が自治会費で町内に生息する猫の不妊手術を行うこと、
どちらも、市川市ではあり得ない。

だからこそ、野良猫に餌をあげている人間か、
野良猫を減らしていきたいと思う人間が、
率先して不妊手術を行うしかないのです。

 

自分が庭で餌をあげている野良猫は、
飼い猫ではないから不妊手術はしなくていい、
という考え方を持っている餌やりさんがいる地域では、
後々、必ず、その餌やりさんの存在が問題視されます。

KMさんは、他人が置いていってしまった
野良猫達にご飯をあげて下さり、
野良猫達が産んだ子供を保護して下さいました。

しかし、厳しい意見を言わせていただけば、
不妊手術を一切行っていなかったのですから、
他人の目には「無責任な餌やり」としか写らないのです。

 

収拾がつかなくなり、苦情がもっと増える前に、
子猫達が、それぞれ大切にして下さる家族のもとに貰われ、
メス猫達だけでもとりあえず不妊手術が済んで
今は少しホッとしています。

 

 

The end.