前回のお話。
2021年1月14日のブログ
ねこ藩城下の猫たち:⑧トントンは悪くない。

ねこ藩城下の猫たち:⑦トントンは悪くない。

 

 

トントンを今後どうすればいいのか。

仕事をしていても、家事をしていても、
出先でも、湯船の中でも、眠りにつくまでの間でも、
常にそのことが頭にありました。

 

 

 

 

わんわん、うるさく鳴く。
こまつを追いかけて襲う。

 

怪我の治療だけして、すぐに庭に戻せばよかった。
室内に入れて、くりこ&こまつと一緒にするんじゃなかった。

そもそも、2018年春、我が家の庭に来なければ、
トントンという猫と知り合うこともなかったし、
手術後、地域猫として私が世話する必要もなかった。

 

ああ、もう、本当にめんどくさいし、頭が痛い。

 


庭にいた頃のトントン。

 

 

 

 

 

ある晩、ゴミ回収に出す為に、
玄関内に可燃物用ゴミ袋を置いておきました。
翌朝、袋はあちこち嚙みちぎられて、
中味が三和土に散乱していました。

その日の夜、トイレ掃除の際、
トントンの便に白いものが混ざっていることに気付きました。
取り出し、水洗いして、広げてみると、白い紙のようなものです。

それが何か、すぐにピンときました。
スーパーで売られているパックの魚。
あの魚の下に敷いてある四角いビニールです。

 

外猫時代、ゴミ収集場所の袋のにおいに惹かれ、
中に美味しいものがあると学習したのか。

でも、室内に入った今、
毎日しっかりご飯を食べてるじゃないの!

 

 

トントン、やめてよ!
私の仕事を増やさないでよ!

 

 

って、時間が経ってから怒ったってだめ。
猫にはわかりません。

 

 

 

 

 

 

ため息をつきながら、
これまでのことを色々と考えてみます。

 

 

静かにしてね。
うるさくしたらダメよ。
うるさいよ?
うるさい!
うるさ~い!

 

優しいトーンで言い聞かせるように話しかけることもあれば、
感情的に大声になってしまうこともありました。

 

膝を折って床につき、トントンに顔を近づけ、
人差し指でトントンの鼻先あたりを差しながら、
「う~る~さ~い!」と低い声で叱りつけると、
トントンは、眩しいものを見るように目を細くしてシパシパ、
両耳は後ろにペタンと倒れ、腰が引き気味になりました。

おっと、いけない、いけない。
明らかに「おばちゃん、こわーい。」モードだ。

しかし、また、1分もしないうちに鳴き出します。

 

 

いくら言ってもわからない。
静かになったかと思えば、また鳴き出す。

どうすれば、トントンは静かにしてくれるのか。
どうすれば、いい子の行動をとってくれるようになるのか。

 

 

 

 

 

 

でも、ちょっと待って。

 

うんざりしたり、怒ったり、後悔したり。
トントンを室内に入れてからの私は、
ネガティブな思考にはまり込んでいる。

 

でもそれって、猫のふるまいはこうであってほしいというこちらの期待に、
トントンのふるまいが合致しないから、イライラしているんじゃないの?
トントンという猫について、じっくりと考えてあげたことはあったのか?

 

理由もなく猫は鳴かない。
鳴くからには訴えたいことがある。

 

 

家の中をウロウロしてうるさい。
人の後を付いてきてうるさい。
夜中、あちこちでうるさい。

 

我が家の飼い猫2匹がそういう猫ではないからと言って、
その2匹を猫の標準みたいに考えてはいけないんだ。

 

犬と違って、猫を言葉でしつけることは出来ない。
その猫に向かって、うるさい、うるさいと叱っても、
トントンがそれを理解できるわけがないんだ。

 


なに、おこってるの~?

 

 

 

猫ボランティアをしていると、
里親募集中の保護猫がいることが当たり前になってくる。
保護→里親探し→お見合い→トライアル→卒業。
どんどん保護猫を送り出していく。

 

はい、庭から保護しました。
必要な医療行為は全て終わっています。
粗相もなく、人慣れもしています。
譲渡の条件はこうです。迎えて下さい。

この、ある意味、お決まりの流れ作業の過程で、
次から次へと猫がやって来る日々の中で、
1匹の猫にどれだけ真剣に向かい合っているだろうか。
本当に向かい合っていると言えるだろうか。

 

私は、トントンと真剣に向かい合ったことがあったの?
トントンという、世界にたった1匹しかいない子を
理解しようと努力したことがあったの?

 

 

あるよもちろん!

・・・とは言えない。

 

 

ああ忙しい、忙しいと、
トントンにご飯をあげてトイレ掃除をするだけ。
隙間時間に、ちょこっと遊んであげるだけ。
それで保護猫の世話をしている気になっていた。

 

 

そうか・・・。

 

 

基本中の基本に、今頃気が付くなんて、
私、カ~バじゃあない?

 

 

 

 

 

 

 

トントンを理解して鳴く原因を突き止めなければ、
ふるまいが改善するような手立ても見つけられない。
一方、トントンは、訳も分からず怒られるだけで、
不満が解消出来ない状態がずっと続く。

 

どうして、こんな簡単なことがわからなかったのか。
私は全然成長していないんだな。

 

 

トントンは、嫌がらせのつもりで鳴いているわけではない。
猫は意味もなく鳴く生き物ではないのだから。
正当な理由・・・正当な理由・・・正当な理由・・・。

 

 

私は、腰を据えて、トントンとじっくり付き合うことにしました。
ストーカーのようにトントンについて回り、観察するのです。
そして、トントンの行動パターンをメモしていくことにしました。

 

 

 

To be continued・・・