さくらねこへの想いを歌にこめて。

7月22日,2025 | TNR活動, 日々活動

さくらねこ
初めて抱けた 哀しさよ

看とりて後の軽き身体を

 

 

 

 

 

親しくさせていただいている、市内の知人ボランティア、
Oさんが詠まれた短歌です。

 

 

 

2025年初めに開催された
「どうぶつ基金第2回さくらねこ短歌コンテスト」において。
大賞を受賞されました。

 

 

どうぶつ基金:第2回さくらねこ短歌コンテスト

(↑↑、大賞以外の短歌も掲載されています)

 

 

 

 

 

この短歌の意味がわからない。。。
という方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

これは、ペットとして猫を飼っている人間の思いではなく、
来る日も来る日も、人慣れしていない地域猫の世話をし続け、
その猫の最期を看取るという経験をした人間の声です。

 

 

地域猫のお世話をされている方であれば、
同様の経験をされたことがあるのではないでしょうか。

 

 

 

以前、ロイ君に関してのブログでも書きましたが、
地域猫への考えや、対応は本当に人それぞれです。

 


(亡くなる2日前のロイ君)

 

 

 

 

毎日決まった場所で給餌をし、排泄物の片づけをする。
出来れば寝床の設置をする。ご近所の理解を得る。
これが地域猫への対応の基本ではないかと思います。

 

 

病院に診察・治療に連れて行ったり、
保護して室内に入れたりすることは、
地域猫への基本対応以上。

 

 

家庭的な理由、経済的な理由、
「地域猫=自分の飼い猫ではない」という概念・・・
そういったことから、
基本対応以上のことをする人、しない人とに分かれます。

 

 

猫が姿を現さなくなった時、
それは猫の「移動」か「死」を意味します。
どんなにきちんと世話をしていても、
最期を看取ってあげられないことも多い。

 

 

また、ずっと世話をしてきた地域猫でも、
遺体には触れないという方々もいらっしゃいます。

 

 

 

さくらねこ
初めて抱けた 哀しさよ

看とりて後の軽き身体を

 

 

 

この短歌を拝読すると、こんな状況が浮かび上がってきます。

 

 

全く人なれしていない猫を、長年、庭で世話してきた。
触られたり近寄られたりすることを嫌がり、
人への警戒心を持ったまま生きてきた猫。

ある時、体調が悪化し、体格のいい大きなその子の毛並みは乱れ、
痩せて小さくなってしまった。
快適な寝床を用意し、療法食に切り替え、
獣医さんに処方していただいた薬をフードに混ぜて与えた。
衰弱していく猫を、毎日毎日気にかけて声をかけた。
地域猫として庭で生きてきたその猫に寄り添い、最期を看取った。

亡くなって初めてこの胸に、
その小さく軽くなった体を抱きしめてあげることが出来た。
こういう関わり合い方しか出来なかったという、
もどかしさと寂しさは残る。
それでも、あの日、私の前に現れてくれた。
ずっと私を拠り所にしてくれた。
看取らせてくれて、野辺の送りをさせてくれた。
心からありがとう。

 

 

短歌の作者、Oさんも、ご自宅の敷地で
たくさんの地域猫をお世話してきた方です。
年々その数は減っていき、現在の頭数は僅か・・・。

「数は減っていき・・・」と、さらっと書きましたが、
猫達が亡くなる度に、Oさんの心は痛み、悲しんだことでしょう。
そんなOさんの経験と涙がぎっしりつまった一句だと思います。

 

 

 

 

Oさんが世話をしてきた歴代の地域猫達の一部。

Oさん宅前の路地で寛ぐひととき。

 

 

 

 

 

「こういう関わり合い方しか出来なかったという、
もどかしさと寂しさ」

 

では、なぜ保護して室内に入れなかったのか、という
意見を持つボランティアの方々もいるかもしれませんが、
全ての猫をボランティアが抱え込むことには無理がありますし、
死を迎えつつある最期の時であっても、
家に入れてあげることはできないというケースは多いです。

 

保護されて飼い猫になる猫達は一部。
それ以外の猫は外で生きていくことになりますが、
保護対象ではない猫だからと言って、
その命を軽視するべきではありません。
将来、外で生きている猫達が1匹でも減るように、
自分の出来る範囲で、地域猫として世話をしていく。

「自分にもっと力があれば、余裕があれば、
室内に入れて飼い猫にしてあげられたのでしょう。
でも、それが出来ないからと言って、
あなたを見捨てることは到底できない。
だから、私の想いを「地域猫の世話」という形にして、
あなたと関わり、あなたの猫生の終わりを見届ける。」

さくらねこと呼ばれる、不妊手術済の印が耳に入った猫達。
日々、その猫達のお世話をする人間はみな、
そのように思っているのではないでしょうか。

 

 

 

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野良猫になぜそこまでと問う人に
なぜ平気かと 聞き返したい

 

これは数年前にふと目にした短歌。
この短歌に込められた想いは、誰もが共有できるものではない為、
他人に言葉にして伝えることは控えていますが、
ずっと私の心の中にある歌です。

 

 


ブログ見出しのこの画像は、Oさん宅の地域猫ではなく、
我が家に住んで7年になる、地域猫のくららです。

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