「あっくん飼い猫になる」

 

◆3月15日 火曜日◆

TNR済みの猫は耳に桜の花びらのようなカットが入っています。E病院では♂猫でしたら右耳、♀猫でしたら左耳をカットしています。耳の一部を切り取るなんて残酷と思われるかもしれませんね。でも、手術前後、まだ全身麻酔がかかっている間にカットされるのです。そして、これはその地域の人間達に対する、野良猫達からの「私は不妊手術済の猫ですので、(♀)もう子供は産みませんよ、(♂)うるさい声を出して喧嘩しないし、おしっこも臭くないですよ」という大切なメッセージであり、TNRとセットになった処置です。

当初あっくんはTNR予定の子でしたので、去勢手術の際、併せて耳カットをお願いしました。手術から3週間が経過し、あっくんの耳カットの部分、皮膚が小さくはがれ、ひらひらとしています。切り口がかさぶたとなり治りかけた耳の先が痒くて、自分で弄ったり掻いたりしてしまったのかもしれません。

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V字の真ん中にぴろーんと
皮膚の断片が立っています

 

 

 

 

◆3月16日 水曜日◆

あっくんを谷さんご夫婦にお届けする日です。その前に、E病院に立ち寄り、あっくんの耳カットの部分を診てもらいました。皮膚の断片を切り取り、切り口に止血剤を縫っていただきました。この日のあっくんの体重は2.5㌔。3週間前の保護時からほとんど変わっていませんが、健康上に特に問題はないとのことでした。

病院を出て、江戸川区→三郷→所沢…。狭山市の谷さんご夫婦宅に車で到着したのはちょうど正午。すぐ裏には里山が残るのどかな場所です。お見合いから1週間、谷さんはあっくんの為の新しいケージをご用意下さっていました。念には念をいれて、あっくんには洗濯ネットに入ってもらったのですが、あっくんは嫌がるでも緊張するでもない様子で、すとんとケージ内のベッドに落ち着きました。

お茶とお菓子をいただきながらお喋りを楽しみ、譲渡合意書に双方で署名捺印後、あっくんとご夫婦の幸せをお祈りしながら、ねこ藩Hと麻生さんは谷邸を後にしました。

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ボクのにおいがする毛布。
ボクのにおいがするおもちゃ。
あれ?でもなんかチガウ…。

 

静かにまわりを観察するあっくん。

 

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あっくん、これからの長い長い猫生、優しいお父さんとお母さんがずっとあなたと一緒だよ。

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谷邸のすぐ裏には自然が広がっています。
トレッキングが趣味のねこ藩Hにとっては
うずうずしてしまうような場所です。

 

医療費:800円/E病院
(キズ処置と止血剤処方)
【所要時間6時間30分】

 

「やる意志があれば出来る」

 

捕獲&手術後、麻生さんはあっくんをそれはそれは可愛がり、過保護過ぎるほど大切に飼養していました。そこまでするなら、もう自分であっくんを飼っちゃえば?と思う人々もいました。もう情が移りすぎてあっくんを手放せないだろうと…。

出来なかったんです。

麻生さんはその昔猫と暮らしていた方ですが、20年前に突然猫アレルギーを発症して以来、猫と暮らすことが出来なくなってしまいました。花粉症のような症状はつらいものです。

あっくん達を捕獲したその日、麻生さんは既にアレルギーの症状である痒みを少々感じていましたが、猫達をケージに入れてリリースする日まで室内で療養させるくらいは自分でやります!と言って下さいましたので、ねこ藩から必要な備品類を麻生さん宅に運び入れました。ちいことさやちゃんリリースの後、あっくんは里親探しを始めました。里親探しをするということは、里親さんが決まり、里親さんにお届けするその日まで、ずっと保護猫の世話をする毎日です。すぐに決まるかもしれないし、希望者が現れず何カ月もかかるかもしれない。期間は全く未知数。途中、麻生さんのアレルギーが悪化する可能性もあります。

そんな時「もしよければあっくんを預かりましょうか?」と申し出て下さったのが、鎌ヶ谷市在住、個人で保護ボランティアをなさっている福田さん(仮名)です。本当にありがたいお申し出で、麻生さんも大変感謝をしていました。が、体育系なのか何なのか( 笑 )、麻生さんは「どうしても無理な状態になったら、福田さんにお願いします。でも、出来るところまでは自分で頑張る。大丈夫、こちらは人間なんだし、アレルギーくらいどうにか対処できますから!」と俄然やる気をだしました。頼もしい保護主です。

そうこうしているうちにあっくんのお見合いとなり、飼い主さまが決まり、お届けまで1週間となりましたので、麻生さんはあっくん卒業の日まで、痒みと戦いながら自分で保護をやり遂げることにしたのです。あっくんを室内に入れて世話をしたことだけではありません。庭に来る猫の一家にご飯をあげながら、「このままではいけない、不妊手術をしてやらなければ。」と思い行動に移して下さったことに拍手です。先月の松戸の江川さん、そして今回の麻生さんのような方々がもっともっと増えてほしいと思います。

20年ぶりに猫を抱きしめました。
大変でしたし短い間でしたけれど、
あっくんが可愛いかった。
あっくんがいて楽しかった。

谷さんにあっくんを届けた後、麻生さんは言いました。

 

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あっくんとさよならする麻生さん

幸せで長生きしてね。
さやちゃんやちいこのことは心配しないでね。

 

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今回の下総中山の件のまとめです↓

◎期間:2月22日~3月16日
2/23:あっくん捕獲 保護→3/16譲渡
2/24:さやちゃん捕獲 3/3リリース
2/24:ちいこ捕獲 3/3 リリース

◎医療費
さやちゃん:13,800円 避妊手術・ワクチンほか/江戸川区E病院
ちいこ:9,500円 堕胎手術/江戸川区E病院
ちいこ:5,184円 預かり/市川市K病院
ちいこ:8,000円 ワクチンほか/江戸川区E病院
あっくん:13,800円 去勢手術・ワクチンほか/江戸川区E病院
あっくん:3,000円 検便と補液/江戸川区E病院
あっくん:800円 傷処置と薬/江戸川区E病院
医療費合計:54,084円

◎ねこ藩
貸出;捕獲器2台、2段ケージ、3段ケージ、 トイレ、
猫ベッド、猫ハウス、おもちゃ、金属ケージ、キャリー等
出動:
2月22日午後 2時間 運転距離7.2㌔ 駐車代400円
2月24日午前 3時間30分 電車賃160円
2月24日夜 2時間30分 電車賃160円
3月1日夜 2時間30分
3月8日午後 1時間30分
3月9日午後 2時間30分 電車賃300円
3月16日午前~午後 6時間30分

合計6日7回
時間:21時間0分
運転距離:7.2㌔
交通費+駐車代:1020円

医療費全額、依頼者の麻生さんが自己負担して下さっていますが、3頭の不妊手術代金の40%=6600円をねこ藩から援助させていただくことにしました。

◎あっくん・さやちゃん・ちいこ
手術代/E病院(5500円×3) 40%→2200円×3=6600円

また、医療費の一部として、あっくん飼い主の谷さんご夫妻が10000円を麻生さんに支払って下さっています。

ということで、今回のねこ藩のお手伝いは備品の貸出しと避妊手術代の40%援助でした。以下はねこ藩Hの個人的なボランティア活動としようと思います。

実労時間・21時間0分
ガソリン代・1㍑=100円
交通費=1020円

ねこ藩Hが自分で車を出したのは1日のみ、捕獲器を持って初めて麻生さん宅を訪問した日です。あとは全て麻生さんがご自身の車を運転して動いて下さいましたので、ねこ藩としては大助かりでした。

谷さんご夫妻からは、ねこ藩の為に使って下さいと、3000円の寄付金をいただいています。ねこ藩グッズもお買い上げ下さいました。谷さま、ありがとうございました。

元気でね、あっくん!

160223-04.5 あっくん

 

 

 

 

 

 

 

 

~完~