10月中旬、こんなお問い合わせをいただきました。

 

 

家の庭に住み着いている三カ月くらいの子猫が一匹います。
保護しようと思って、保護するためのゲージは購入して準備をしました。
素手で捕まえようとトライしてみたのですが、
失敗して、なかなかうまくできません。
ぜひ捕獲器を貸して下さい。
保護に成功したら、他に飼主を見つけるか、
見つからない場合は家で飼うつもりにしています。

 

 

市内下新宿にお住まいの上村さんご一家です。
この時点では、この、とらちゃんという子猫の保護の話だけでしたが、
翌日、捕獲器を取りにいらした上村さんから、
実は、とらちゃんの母親である、ちこちゃんも来ていると伺いました。

上村さんがお住まいの地域では野良猫があちこちにいて、
何軒かのお宅がその猫達に餌をやっているようだとのこと。
ちこちゃんもそういった野良猫の1匹ではありますが、
ちこちゃんが庭に現れた時に可哀想に思って、
数度ご飯をあげてしまったことを上村さんは心配していました。

定期的に来るようになったらどうしよう。
餌をやることで、お隣・ご近所に迷惑がかかったらどうしよう。

上村さんはボランティアでも何でもありません。
その地域に複数いる猫のTNRを一人で行うことは出来ません。

ねこ藩が医療費の4割を負担しますから、とらちゃん保護と併せて、
ちこちゃんの避妊手術をやってしまいませんか?
お庭に来ているのなら、捕獲できるチャンスです。

上村さんは快く承諾して下さいました。

捕獲器を取りにいらした日の夕方すぐにとらちゃんを捕獲、
そのまま近くの病院でレボリューションを済ませ、
室内のケージに保護して下さいました。
同日、扉が閉まらないように工夫した捕獲器の中で
ちこちゃんがご飯を食べるトレーニングを開始。
ちこちゃんが捕獲器に疑いを持たなくなったら捕獲予定です。

 

 

◆10月17日◆

とらちゃん保護・ちこちゃん訓練からちょうど1週間目の早朝、
「ちこちゃん、捕まりました」と連絡が来ました。予定通りです。
捕獲器の中でおとなしくしているちこちゃん、
そして、保護後の初期医療行為を1週間待っていたとらちゃんを
ケージ→洗濯ネット(いい子ですが一応)→キャリーケースに移し、
上村さんと一緒に江戸川区の病院に行ってきました。
夜は上村さんご夫婦がちこちゃんのお迎えに行って下さいました。

 

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◎とらちゃん(子猫)
キジトラ♂・生後4~5カ月・体重2㎏
検便・初回3種混合ワクチン・耳そうじ/点耳薬、
つめ切り、 血液検査(エイズ・白血病ともに陰性)
上村さんご負担・・・7500円
ねこ藩負担・・・0円
合計7500円

 

 

Chiko-01

 

 

◎ちこちゃん(母猫)
白キジ♀・推定2才に近い1才・体重3.1kg
避妊手術・ノミダニ駆除・検便駆虫・
3種混合ワクチン・耳そうじ・つめ切り
上村さんご負担・・・7300円
ねこ藩負担・・・4200円
合計11500円

 

 

20161024-02

 

 

 

 

 

耳カットが入っています

 

 

 

Cage

 

 

 

 

術後、上村さん宅玄関に設置した2段ケージで、
ちこちゃんは1週間たっぷりと療養した後、
24日にリリースしました。

 

 

 

 

 

手術が終わったら、もうエサもあげず、縁を切るつもりです。

 

捕獲前に上村さんはそうおっしゃっていました。
冷たい…と思われる方もいるかもしれませんが、私はこれでいいと思っています。
ちこちゃんは近所の方からご飯をもらっている子のようです。
ご飯をあげているその方がちこちゃんの不妊手術を行うのが望ましい。
しかし、現実には、そこまでやって下さる方はなかなかいません。

この地域に新居を建築し越して来て2年、
まだご近所にお知り合いも少ない上村さんが、
手間もお金もかかるその役目をを担って下さったのです。

1匹だけ避妊手術したって意味はない? そんなことはありません。
ちこちゃんは、1年に2度、3-6匹の子猫を産むことはなくなりました。
私はこの地域の野良猫をこれ以上増やさない猫です
という看板を背負っているんです。
そんなちこちゃんを今後見かけたら、上村さんご一家はきっと
「あ、ちこちゃん! 元気そうでよかった。」
と思って声をかけて下さるでしょう。

 

Chiko-2

 

 

 

 

 

かわいいちこちゃん、
車に気をつけて長生きしてね。
手術させてくれてありがとうね。

 

 

 

 

さて、とらちゃん。
2㎏を超えだいぶ大きくなってきている子猫です。
威嚇やパンチ等が激しく慣れないようならば、無理に保護して抱え込まず、
去勢してリリースも視野に入れましょうと話していましたが、
この子はもうほとんど飼い猫のように人慣れしていました。
触る撫でるは問題なく、上村さんが簡単に抱っこできるほどです。

当初の話では、上村さんのお知り合いの方がとらちゃんを貰って下さるかもしれない、
それがダメだったら、血液検査の結果と先住猫むぎちゃんとの相性を見て
うちで飼ってあげようと思いますということでした。

お知り合いの方に貰っていただくことは難しくなり、
上村さん宅の飼い猫に…の線で進むはずでしたが、
ちこちゃんリリースの日に、上村さんはおっしゃいました。

とらちゃんをうちで飼ってあげたいと思っていたのですが、
将来のことを考えると、経済面で心配です。
とにかくよく食べて、フードの消費が激しい。
むぎ1匹を飼っているのと全然違う。
我が家は実家に帰省したりして留守にすることが多いのですが、
その際はむぎをペットホテルに預けています。
その費用が毎回1万円程度かかるのですが、2匹となると
ホテル代はもっとかかってきます。
長い目で見て、どうしてもそこに不安が残りますので、
とらちゃんには別の飼い主さんを探してあげたいです。

 

せっかく保護して慣れているのに、お金がかかるからよそにやりたい?

 

という風に考える方、きっといらっしゃるんでしょうね。
私は、今、この時点でそういった決断を下されたことは大正解だと思っています。
上村さん宅にはまだ小学生の娘さんがいらっしゃるし、ご自宅も建てたばかり。
そして都内の保護団体から譲り受けた1匹の猫さんを飼っています。

猫に限らず、ペットに関しては、「可愛い、可哀想」等の感情を優先し、
後にうまく立ちいかなくなるケースは多いです。
自分が責任を持ってこの生き物を一生飼ってあげることができるのかと、
冷静に判断する必要があります。
上村さんはとらちゃんが可愛くて仕方がないでしょう。
それでも、別のもっと幸せな居場所を見つけてあげたいと思われたんです。

 

以前、ペットショップのご相談テーブルで、
若い夫婦(いかにも子供にキラキラネームをつけそうなタイプ)が、
店員さんから36回返済ローンの説明を受けているのを見かけたことがあります。

だから?

自分でもうまく説明できません。
ただ、今回の上村さんのお話を伺い、思い出しただけのことです。

 

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今回の下新宿の件のまとめです↓

◎期間:10月10日~10月24日
10/11:とらちゃん捕獲
10/17:ちこちゃん捕獲 2匹の通院
10/24:ちこちゃんリリース

◎医療費
とらちゃん:7500円 初期医療行為/江戸川区E病院
ちこちゃん:11,500円 避妊手術ほか/江戸川区E病院 医療費合計:19,000円

◎ねこ藩
貸出;捕獲器1台、2段ケージ、トイレ
出動:
10月17日昼 3時間 運転距離28㌔
10月24日昼 1時間 運転距離8.5㌔
11月?日(備品回収予定日) みなし1時間 運転距離8.5㌔
合計3日3回
時間:5時間0分
運転距離:45㌔

 

依頼者の上村さんが医療費を全額自己負担をして下さっていますが、
ちこちゃん医療費の約40%=4200円をねこ藩から援助させていただくことにしました。

ということで、今回のねこ藩のお手伝いは備品の貸出しと医療費40%援助。
とらちゃんの里親探しの件はまた近いうちにご報告いたします。

現在、多忙の為、なかなか写真撮影には伺えていませんが、イベント終了後、
試験勉強の合間に、少しでも手が空けば、とらちゃんの様子を見に行き、
可愛いショットを撮影して、里親さん探しのお手伝いを始めたいと思っています。

 
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わんぱくそうな顔のとらちゃん。
頑張って本当のお家を探そうね。

 

 

 

 

なお、今回の件で上村さんからねこ藩へ5000円の寄付をいただきました。
どうもありがとうございました。