ま¨ーま¨ー
う¨わ¨あ¨あ¨あ¨あ¨あ¨あ¨あ¨ーん¨
↑↑ これ。
モール、サービスエリア、観光地…。
人ごみの中で母親とはぐれてしまった迷子のお子さんを見たことはありますか?
お母さんの姿が見えなくて不安でいっぱい、腹の底から大声で泣いていますよね。
5月31日の夜中、私は近所でこの鳴き声を耳にしました。
人間の子供ではありません。子猫です。
み¨ゃ¨お¨う¨ーみ¨ゃ¨お¨う¨ー
(お¨か¨あ¨さ¨あ¨あ¨あ¨あ¨ん¨)
必死のSOS、大絶叫です。
外で生まれ、母猫に育てられている子猫は、大声で鳴きません。
居場所が知られてしまうから鳴いてはダメ!と教わっているのでしょうね。
子猫を残して出かけていた母猫は、戻って来て子猫の近くまで来ると、
まず「うんにゃ?」と子猫に呼びかけます。ただいまの合図です。
「あ、お母さんが帰ってきた」とわかった子猫は、か細い小さな声で
みーみーと返事をします。
私の耳に聞こえてきたのは、猫親子のそんなルールなんかどうでもいい、
近所中に響く絶望的な子猫の大声でした。
親、きょうだいとはぐれてしまったな? どれどれ。
日付が変わろうとしている時間帯です。
私は懐中電灯を持し、鳴き声のする方角へ歩き出しました。
一方通行の道路の向こう側、空き家になっている住宅の敷地で鳴いているようです。
しかし、その家の入口に近づくと、子猫の鳴き声は止みました。
耳を澄まして立っていると、今度は2軒隣から鳴き声が聞こえます。
そこまで歩いて立ち止まると、鳴き声もやむ。
反対側の隣の家からまた鳴き声が聞こえてくる。
「猫の声がする!」と窓を開けて外の様子を伺っている住民の方もいました。
しばらくすると、道の反対側の家から鳴き声が聞こえます。
い、いつの間に、道路を渡ったんだ? 忍法瞬間移動の術。
その後も、子猫は鳴く→移動→鳴く→移動、を繰り返しました。
要するに、母猫には早く迎えに来て欲しいけど、
人間のおまえに追い回されたくない、ってことなんでしょう。
勝手に人の庭に入っていくわけにも行かず、私はただ道路をうろうろするばかり。
そのうち、母猫と再会できるだろう…と楽観視して、家に入りました。
翌朝、洗濯機を回している時に、またあの子の鳴き声を聞いたような気がしました。
近いような遠いような? どこだろう。 しーん。気のせいだったかな。
みゃう~みゃう~
ベランダで洗濯物を干していると、今度ははっきりと聞こえました。
鳴き疲れたのか少々枯れた鳴き声です。
下に降りて玄関横の窓から外を見た時、小さい黒いものがささっと、
車の下に入り込むのか見えました。
うわ~いたよ、うちの駐車場に。
すぐに使えるよう、捕獲器は昨晩用意しておいたので、
そうっとそうっと、玄関の扉を開け、車の横に設置しました。
捕獲器が気になって近づこうとするかよちゃん(注*)に、
カニカマを見せてこちらに引き付け、
私とかよちゃんは、そうっと駐車場を離れます。
勝手口あたりまでかよちゃんと移動し、
かよちゃんにカニカマを食べさせようとした時に、
ガシャン!という音が聞こえました。
(*注:かよちゃんは、4月頃から我が家に定住している若い三毛猫です)
捕獲器には真っ黒なちっちゃい子が入って、鳴いていました。
脱出しようと暴れている様子もありません。
蹲って、ただただ、鳴き続けています。
みゃう~
近づいてよく見ようとすると、シャーシャーです。
その日はずっと家にいる予定でしたので、すぐに病院に向かいました。
トマトとかいろいろ、渡すものがあったので、未来ちゃんの保護主・菅野さんを誘って。
病院で洗濯ネットに移し替え、医療行為をお願いしました。
鎮静剤を打つ必要のない、おとなしい子だということがわかりました。
◆6月1日◆
黒猫はやて ♂
生後1.5カ月くらい
体重800g
レボリューション
爪切り・耳そうじ
三種混合ワクチン
血液ウィルス検査(エイズ・白血病共に陰性)
医療費合計:7600円
この黒い子、お腹を中心に、手足の内側がとりもちでベタベタでした。
ねずみ獲り、あるいは、大き目のハエ取り紙?に接触したのだろうか。
洗濯ネットに入れていた為、気付くのに遅れました。
この病院ではシャンプーが出来ないので、
明日にでも地元の「ちょっといい病院」に連れて行ってあげよう。
また、先生が検便棒を肛門に入れたのですが、腸内に便がない。
2日くらい何も食べていなかったのかも。
帰宅してすぐに子猫用フードを更に盛ると、大食い選手権のように
すごい勢いで食べ始めました。
ケージの上段、ベッドのあるフロアに入れてあげたのですが、
いつの間にか一番下の階に降りて固まっております。
ケージ内に敷いたマットや、タオルに体がくっつくのが気持ち悪いようです。
私がケージに近づいただけで、ものすごい威嚇の嵐です。
そんなに般若みたいな顔をしなくても…。
ところが、シャーシャーするだけで、触ろうが撫でられようが、
決して噛んだり、猫パンチしたりしません。
首根っこを捕まえて洗濯ネットに入れてしまえば、おとなしくしている子です。
しかし、まあ、ケージの全ての階が見事におしっこだらけ。
トイレという便利なものを知らないのかね、はやてくん?
小箱にちんまり
翌日、地元の「ちょっといい病院」にはやてを連れて行きました。
「ああ、これは家庭ではなかなか取りきれないかも。
油でベタベタを落としてから、薬用シャンプーで2度洗いかな。
昨日ワクチンを接種してしまっているのなら、可哀想だけれど
シャンプーはあと3日待ったほうがいいですね。」
診察台にうごめく…
その間に私に出来ることは、はやてを慣らすこと。
もう怖くない、ご飯も食べられる、寝床もある。
飼い主さん探しの為に、その般若顔はやめよう。
で、トイレ早く覚えてください。掃除疲れるから。
3日後の昼前、はやてを病院に預けました。
ストレスのせいか、2,3度血便が見られたので、
その検査と、待ちに待ったシャンプーです。
夕方迎えに行くと、つやつやピカピカの子猫に変身していました。
糞便検査の結果も、問題なしでした。
その晩から、はやては般若顔で威嚇することをやめ、
手を近くに持っていただけで、ゴロゴロと喉を鳴らすようになりました。
そして、トレイを完璧にこなすようになりました。
とりもちがとれてスッキリ、さぞ気持ちがよいのであろう。
わかりやすい子。
あら~ちっちゃいクロクマちゃん、ふさふさして可愛いね~。
親バカまるだし発言ですが、何か?
◆6月2日◆
再診料 756円
◆6月5日◆
再診料 756円
糞便検査料 1080円
シャンプー・薬浴 2700円
整腸薬 2268円
医療費合計:6804円
はやての出現はショックでもありました。
この辺りのブロックに、未避妊のメス猫はいないはずだった。
少し離れたところにある野良猫製造工場から流れてきたか…
あるいは家族とはぐれ、パニックで走り回るうちにかなり遠くに来てしまったか。
その後、きいて回ってみましたが、
母猫らしき猫も、きょうだい猫らしき小さい子もいないようです。
はやては、ひとりで突然現れた子猫でした。
To be continued ……