環境省が平成28年度の犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況に関するデータを公表しました。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

 

 

全国で考えると私にとっては宇宙的な数字になりますので、
千葉県だけにライトを当ててみます。

平成28年度に殺処分、つまりガス室に送られ、その後焼却された猫の数は、
734匹(うち幼猫が674匹)です。

殺処分となる前に、自治体が引き取るわけですが、
その数は1667匹(うち幼猫が1486匹)です。

それでは殺処分とならなかった933匹はどうなったのか。
飼い主のもとに戻ることが出来た成猫4匹、
譲渡された猫達が898匹(うち幼猫が768匹)、
その他31匹です。

人間の手により734匹の命が葬りさられてしまったことは悲しいことですが、
引き取り猫の60%にあたる898匹の猫達は譲渡済、となっています。

「捨てる神あれば拾う神あり」と喜ぶのはまだちょっと早い。

これは898匹の猫全てが里親様に貰われていったという記録ではなく、
愛護センターにはもういないということだと思います。
自治体開催の譲渡会等で実際に譲渡された猫も多いと思いますが、
千葉県を含む関東近隣に点在している団体さんや個人の猫ボランティアさん達が、
ご自身の保護猫としてセンターから引き出して下さったということでしょう。
その中にはまだ貰い手が見つかっていない子もいると思います。
国が「譲渡済みの猫」として計算している猫の中には
国に代わって個人が世話をしている猫もたくさんいるはずです。
いやな言い方をすれば、国は猫ボランティアに責任を転嫁した時点で、
はい、自治体はここまでで終わり、あとは個人で勝手にやって下され。
ちがうの?

自宅近くにいた子猫を保護して飼い主さん探しをする。
これはやろうと思えば誰にでもできることだと思います。
やろうと思えばね。

しかし、センターに収容された猫を引き出して自宅に連れて来て、
世話をし、しつけをし、飼い主さん探しをする・・・これは勇気のいることです。
そして、それを行っている方々は千葉県内にも数多くいらっしゃいます。
同じ県内の無責任な人間が飼育放棄したり、見捨てた猫に、
同じ県内の他の人間が無償で手を差し伸べる・・・。
かなりすごいことではないでしょうか。

 

少し戻ります。
自治体引き取り数1667匹のうち、
飼い主による持ち込みが197匹(成猫129匹・幼猫68匹)。
飼い主以外による持ち込みが1470匹(うち幼猫が1418匹)。

私は統計学を知りませんから、アバウトに考えます。
自分の飼っていたペットを「殺してもらう」目的で自治体に持ち込む飼い主が、
この千葉県だけで約200人いることになりますね。
そして、未不妊のままの出入り自由な飼い猫が出産してしまい、
その子猫達を保健所に持ち込む。飼い猫はそのまま飼い続ける。

200人を集めてみて下さい。
地方での大きな披露宴を想像してみて下さい。
会場内が人、人、人、という印象ではないですか?
200人という人数は大人数ですよ。

飼い主以外の人間が持ち込んだ猫のうち、
1418匹が赤ちゃん猫~子猫ということは、
我が家の庭で野良猫が出産して困ってるから、
引き取ってくれ、の図が浮かびます。
その人はきっとその野良猫に不妊手術などしないだろうから、
来春も来夏も、また産んだよ~と保健所リピーターになる。

 

昨年1年、ねこ藩のTOPページで表示していた
平成27年度に殺処分された幼猫(負傷収容の除く)の数は
全国で44068匹でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後は千葉県内の数字を表示することにします。
平成27年度の幼猫処分数(負傷収容を除く)は、全国44068匹のうち1048匹。
平成28年度は29654匹のうち674匹でした。

この「674匹」という数字を1年間、頭の中に置きます。

殺処分数が減るのは喜ばしいことです。

ただ、それは人の手による持ち込み数が少なくなることによる結果でなくてはなりません。
巷のあちこちに見られる幼猫達の数が少なくなることによる結果でなくてはなりません。
ペットの命に対する責任を放棄する人間が少なくなることによる結果ではなくてはなりません。

持ち込まれた猫を引き出すボランティアさんの数が増えることで
殺処分される猫の数が減るのでは、本当の意味での改善、解決にならない。
持ち込まれた猫をどうこうするだけではなく、
持ち込まれないような社会を作っていかなくては。

「要らないから捨てる」「邪魔だから捨てる」というのは物に対する考えであって、
命がある生き物=ペットには当てはまりません。

これから猫を飼うご予定の方、今ではなく、10年後のご自身とペットの姿を想像してみて下さい。
子猫は可愛いから、この子に一目惚れしたから・・・一時の感情で猫を飼うことを決めないで下さい。
猫は飼い主の望むようなふるまいをする生き物ではないことを理解して下さい。
猫の為に雑用は増え、面倒くさいことも日常茶飯事になることを覚悟して下さい。
猫を飼い始めたら一生寄り添ってあげてください。

当たり前のことです。