これまでのお話:
2018年1月18日のブログ
「猫は嫌い:①ミケちゃん一家」

 

 

 

母猫・三毛ちゃんの件が片付きましたから、 先に貰われたタマのように、
タム、ヒナ、キビにも家族を探してあげなくてはなりません。
今回の里親探しに際しては、HKさんが保護主となって下さいました。

 

 

保護主というのは、保護の責任者、つまり、救った命の責任者になります。
保護した子猫達に飼い主さんが見つかり、幸せを掴むまで 見届けなくてはなりません。
飼い主さんが見つからないからと言って、保護主をやめる! という訳にはいきません。
ねこ藩は里親サイトへの掲載をお手伝い、 HKさんはご自身の交流関係を使い、情報を拡散しました。

 

 

タムとヒナを保護したちょうどその日、 里親募集サイトから、
百音ちゃんの子供・ロールへの里親申し込みがありました。
小田原市在住のAAさんです。
AAさんには、ロールの他に、保護したばかりの子猫が2匹いることをお伝えした上で、
土曜日の午後、お見合いにいらしていただきました。
子猫達と触れ合った後、AAさんは
「ロールちゃんのお見合いに来たのに、タムくんに変更してもいいでしょうか?」

理想の形になりました。

実は、その日の午前中、MHさんという希望者さまも
ロールのお見合いに来て下さっていたのです。
ロールの希望者さまがもう1組いらっしゃることをお伝えすると、
MHさんは「ロールが他の方に決まってしまったら、ヒナちゃんを。」
と 言って下さいました。

AAさんがタムを選んで下さったことで、MHさんには予定通り、
ロールの里親さまになっていただくことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

我が家に2日間滞在した時の
タムとヒナ。

 

 

 

タムはまだ生後1ヵ月弱、保護以来、軟便が続いていたこともあり、
預かりのNおじさまが、獣医さんから処方されたお薬をタムに飲ませ、
ケアをして下さいました。

 

 

そして3週間後の10月13日、タムを小田原市まで連れていきました。
AAさんのお宅には、ノアちゃんという、
タムよりほんの少しだけ早く生まれた子猫がいます。
とても人懐っこいノアちゃんはタムに興味津津でしたが、
タムはケージ内のベッドに隠れていました。

 

 

 

 

 

 

小田原まで2時間弱の旅です。

 

 

 

 

 

 

 

 

人懐こい先住猫のノアちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはケージ内のベッドに隠れるタム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タムに優しく話しかけるAAさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可愛いハウスやトイレの数々・・・

 

 

人見知りしたり怖がりな子ではないから大丈夫だろうと思っていましたが、
その通り、すぐにノアちゃんと打ち解けて一緒のハウスに入ったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに仲良しになった二匹。

 

タムはその後も軟便が続き、AAさんは獣医さんに相談しながら
あれこれ試して改善方法を探って下さいました。

 

 

 

こうして、タマ、タムは卒業していきましたが、
ヒナとキビの希望者がなかなか現れず、
時間が経過して2匹は生後2ヶ月を過ぎました。

その間、お見合いもありました。
希望者さまは何匹もの子猫の里親に申し込んでおり、
全ての子猫達とのお見合い後、1匹を選びたいということで、
タムとヒナにも会いに来て下さいましたが、
最終的にはご辞退されました。

 

 

 

 

 

 

 

お見合い時のキビとヒナ。

 

 

 

 

 

 

10月末、ミケちゃん一家の件を菅野さんに相談したHKさんが、
「私の知人が子猫を飼いたいと言っている。男の子の方を。」
と嬉しい話を持ってきて下さいました。
男の子=キビの方です。

菅野さん宅からそう遠くない場所にお住まいのご一家で、
子猫を飼うのは20代の次男さん。
里親さまには、ケージ、トイレ等の準備をお願いしておきました。

HKさんの知人なのだから、HKさんにお任せしてはどうかと思いましたが、
ずっとキビを預かって大切に育てて下さったISさん、
そして母猫の捕獲前からずっとこの件に関わってきた、
HKさんの知人である菅野さんにとっては、
キビがどういう環境で飼われるのか非常に気になるところです。
さらに、次男さんは猫を飼うのが初めてだということで、
脱走防止のことや、食事のこと、ワクチンのこと等々、
Hさん(私)も一緒に来てアドバイスをしてあげてほしいと頼まれ、
3人でキビをお届けに伺いました。

 

結果から言いますと、準備万全という感じではありませんでした。
ご一家は自己所有のアパート住まいで、ご両親が1階部分、
息子さん達が2階のそれぞれの部屋に住んでいます。
猫を迎える準備として揃えていただいた品々が置かれていたのは
2階の端っこのひと部屋。そこは次男さんの部屋ではありませんでした。

100均で揃えたワイヤーラック等の部品で組み立てた
ケージ(の代わり)は 天井部分がなく、少々不安定。
スナップボタンだけで留めるフェルトのバッグがキャリーの代わり。
部屋は片付けの最中で、玄関付近までしか入ることができません。
そして、実際に猫を飼うことになる次男さんのお部屋は
母親のSさんの判断により拝見できませんでしたし、
また次男さんにも会うことは出来ませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず100均のワイヤーラックで作ったケージに入るキビ。
扉部分と天井部分がしっかりしていませんでしたが、
トイレやベッドは中に用意して下さっていました。

 

 

子猫がケガをする危険性があるから、
乱雑な部屋ではないかどうか、 網戸の建て付けはどうか、
くらいの確認はさせていただきたいと思っていましたが、
SさんはHKさんがよく知る知人ですから、波風をたてたくありません。

「今日中に猫用品は全て息子の部屋に運び、きちんとしますから」
とおっしゃる母親のSさんにキビを託し、
キビは母親のSさんに預け、ISさん、菅野さん、私は
里親さま宅を引き揚げました。

 

 

キビの食欲はどうか、トイレは使ったか、ストレス症状はないか、
健康上問題はないか・・・等々、
キビの様子を心配した預かりのISさんと菅野さんが、
保護主のHKさんを通して飼い主のSさんに送った質問に
返答が来たのはお届けからだいぶ経ってからでしたので、
ISさんも、菅野さんがやきもきしていました。

 

「きちんとしていないとか、状況がわからないとか、
皆さん、Sさん一家のことが信頼できないみたいだけど、
次男さんがキビの面倒をよくみているから大丈夫だって。
猫ちゃんが元気で幸せならそれが一番でしょ?」

間に入っていたHKさんも少々疲れ果てた感じでおっしゃいました。

 

 

その通り。キビを大切に可愛がって育てて下さり、
キビが幸せな日々を送っているのなら、それでいいんです。
ISさん、菅野さん、私は、1歩、いや、5歩くらい、
引き下がることにしました。

キビに関しては、Sさんからも息子さんからも、
直接知らせを受けることはありませんので、
キビがどんな風に成長しているかも知りません
保護主のHKさんと飼い主のSさんに全て委ねたのですから、
こういう譲渡の形もあるという、新しい経験だと思うことにしました。

 

 

 

 

残るはヒナです。

 

これまで、タムやキビへの問い合わせは複数ありましたが、 ヒナに関してはゼロ。
こんなに可愛い子なのに、どうしてだろうね… と皆で不思議に思っていました。

11月3日の「いちかわ市民まつり」のねこ藩ブースで、
ヒナちゃん里親募集のポスターを貼ってみましたが反応はいまいち。
譲渡会に連れていく、ポスターを作って貼りだす…
他の方法もトライしてみなくては。

これまでずっとヒナを預かって育てて下さっていたNおじさまは、
「べつにいつまででもいいよ、ヒナはうちでいい子にしているから」
と言って下さいました。

Nおじさまが所用で数日留守にすることになった時に、
ISさんがヒナを預かって下さることになりました。

 

 

 

 

 

Nおじさま宅から、ISさんご一家のもとに
移動します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ISさん宅でのヒナ。
よく遊びよく食べる。
少々、便が緩いのが悩みの種。

 

 

 

 

 

 

ISさんは少し前に、「もう1匹猫を飼うのだったら女の子がいいかな。」
とおっしゃっていましたが、
息子さんはこれから受験、将来的にいろいろ費用もかかりますから、
飼い猫は1匹だけと決めていました。

ところが、預かって世話をしているうちに、ご夫婦で話し合い、
「飼い主さんが見つからなければ我が家でヒナを…」という
流れになってきました。

 

 

 

不思議なことが起こるものです。
その意志をISさんからお聞きしたその日、
里親募集サイトに掲載しているヒナ情報を削除しようと サイトにアクセスしたら、
ヒナへのお問い合わせが来ていました。 しかもほぼ同時に3組です。

これには驚きました。
しかし、ヒナが生まれた場所の目の前に住み、
ヒナの母親ミケちゃんの世話をし、
ヒナやきょうだい達を次々と預かって育てて下さったISさんご一家が
ヒナちゃんを迎えて下さるのが最善なのではないか?
というか、それ以上に理想のご縁はないだろうということになり、
ヒナはそのままISさんご一家の2匹目の飼い猫になりました。

 

「他の猫と仲よく出来なかったら、ヒナちゃん、 いつでも帰ってきていいからね~」

Nおじさまも寂しいのです。
1ヶ月半もヒナを大事に育てて下さいましたから、
Nおじさまはご自身の年齢と、一人暮らしという状況から、
自分ではこれから猫を飼うのは難しいとよくわかっていらっしゃいます。
だから、「ずっとでないのなら」と預かりを引き受けて下さるのです。

 

こうして、タマ、タム、キビ、ヒナの4きょうだいは、 終の棲家を見つけました。
母猫のミケちゃんも元の場所でご飯を貰いながら暮らしています。

 

 

その後の子供達。

 

 

タム(左)

 

 

 

 

 

キビ

 

 

 

 

 

 

ヒナ。

 

 

 

 

 

 

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さて、このブログのタイトル「猫は嫌い」って何?
と思っている方もいらっしゃるでしょう。

 

これまでにも、隣人達から少しづつカンパをいただきながら、
ISさんと一緒になって猫達の不妊手術を行ってきたHKさん。
今回も、母猫ミケちゃん一家の件でせっせと動き回り、
4匹の子猫達の保護主になったHKさんは、
実は猫が嫌いなんです

 

 

 

野良猫の不妊手術、子猫の保護…
猫が嫌いな人間が、なぜそんなことに
手を貸さなくてはならないのか、
猫好き人間が勝手にやったらいいじゃないか。
そう考える方々がまだまだ圧倒的に多いと思います。

 

猫が好きな人間がやるべきこと?
果たしてそうでしょうか?

 

 

野良猫へのアプローチは2通りあると思います。

「猫が好き」
「猫は可愛い」
「外で生きる猫が可哀想」
「ご飯をあげなくては猫が死んでしまう」

だから、「猫を守ってあげたい」

猫に対する個人的な感情・愛情・同情で行動する、
動物愛護の精神が軸となっているパターン。
これは人よりも猫が優先されています。
その為、そういった気持ちを前面に押し出して行動を起こすと、
猫が嫌いな人間や、TNRの知識がない人間から 理解を得るのは難しく、
猫好きVS猫嫌いの揉め事になる発展するケースもよくあります。

 

 

もうひとつは、

「外に猫がいると庭が糞尿で荒らされる」
「車やバイクに傷をつけられる」
「空腹な野良猫が生ごみを漁る」
「♀の発情期の声や、♂同士の喧嘩の声がうるさい」

 「野良猫によるトラブルを減らしたい」

つまり人間の生活環境を良好に保つ為には
野良猫の数と行動を人間がコントロールすることにより、
野良猫によるトラブルを減らし、
野良猫と人間が共存できる状況を作っていくという、
環境保全の観点から行動するパターン。
こちらは猫ではなく、人が優先です。
地域環境を守る為に行動する住人が一人いると、
出来ることは協力しようと腰をあげて下さる方が
徐々に増える可能性があります。

 

要するに、猫の好き嫌いではなくて、
その活動がどういう考え方に基づいたものなのか?という話です。
後者は猫が嫌いでも出来る行動であり、 HKさんはその代表例ではないでしょうか。

 

最後の子猫・ヒナがISさん宅に収まってから、
HKさんと話をする機会がありました。
「ああ、今回は本当に疲れた。もうたくさん。
でも、まあ子猫達4匹、幸せになったから良かった。」

 

もう、うんざり…とおっしゃっていますが、
HKさん、ISさんがお住まいのあの通りに、
いつかまた新しい猫が住みつくようになったら、
HKさんはまた「不妊手術!」と行動を起こすでしょう。

 

猫が嫌いでも、出来るんです。
不妊手術で野良猫の数を減らしていくことが出来るのならば、
そして行政が住民のリーダーとなって行動しようとしないならば、
猫の好き嫌いは関係なく、誰かが手をつけなくてはならないでしょう。

 

猫は嫌い。だからやる。

その点に気付き、 HKさんのような行動をとって下さる方が増えてくれば、
住宅街、地域、町全体は少しづつ変わっていくと思います。

 

 

一番厄介なのは、猫嫌いの人間ではなく、
地域の問題や環境保全に全く関心がないか、
不平不満があったとしても、
結局はただ傍観しているだけの住民・・・
なのかもしれませんね。

 

 

 

The End