Sさんがくぅちゃんの給餌に通った駐車場に貼られたポスター。
猫に餌やりをされている方へ
猫が車の屋根に乗ったり糞の多さに
猫で大変迷惑しています。
飼い猫ではない猫に
餌やりはしないでください。
まずは糞尿についての反省点。
これは地域猫の世話をする方が責められても
仕方のない部分がありますので、
ポスターに書かれた「糞で迷惑」は
苦情の正当な理由だと思います。
「不妊手術をする」
「決められた時間、場所で給餌をしてあと片付けをする」
「糞尿の始末をする」
地域猫管理の3大原則です。
地域猫現場として許可された場所であれば、
プランターを置いたり砂場を作って、
管理する猫にトイレとして使ってもらうわけですが、
猫が必ずそのトイレを使ってくれるという保証はありませんので、
トイレ内に糞尿が少ない場合、付近を歩きまわり、
糞尿がないかどうか確かめ、あれば拾って片付ける、
・・・という努力が求められると思います。
トイレは、地域猫現場として許可された場所では設置できますが、
許可されていない場所=他人の土地で、
勝手にトイレを作ることはできません。
つまり、許可されていない場所で地域猫の世話をする場合、
「不妊手術する」「決められた時間場所で給餌をする」のみで、
「糞尿の始末をする」が行われていない形。
地域猫のルールを守っていないことになります。
次にポスター警告文の「?」な部分。
猫が車の屋根に乗るのは餌をあげている人間のせいではないと思います。
野良猫であろうと、出入り自由の飼い猫であろうと、
餌をもらっている猫だろうと、餌をもらっていない猫だろうと、
猫は駐車してある車やバイクや自転車に乗ります。
この駐車場で、自分の車に猫が乗って迷惑だ!と文句を言った方、
どの猫が車に乗って足跡をつけているのかを確かめる必要があります。
その猫が駐車場に隣接する住宅の、出入り自由の飼い猫だったとしたら、
苦情を伝える相手は駐車場所有者ではなく、
飼い猫を出入り自由にさせている飼い主です。
「飼い猫ではない猫にエサやりはしないでください」
これもよく理解できないですが、
「飼い主のいない猫(野良猫)に餌やりをしないでください、
でも、飼い主のいる猫には餌をあげてもいいですよ」
という意味ですか?
千葉県は飼い猫を室内で飼いましょうと推奨していますが、
そんなことを全く知らないか、
知っているけど自分の猫は除外、マイルール適用で、
飼い猫を出入り自由にさせている飼い主も多いでしょう。
実際、駐車場にいる猫の1匹は出入り自由の飼い猫です。
その猫には餌をあげてもいいということですかね。
いやいや、べつにあげ足をとっているわけではありません。
このポスターを作成した、不動産会社の事務員さん、
昨今の野良猫事情にあまり詳しくない人物かもしれませんね。
「飼い猫ではない猫」という表現を選んだのは、
「飼い主のいない猫(野良猫)」という表現に慣れていないから?
ポスターに「猫にエサやりをされているかたへ」と
書いてあります。
それはくぅちゃんをTNRして給餌を続けてきた、
Sさんに対してだけのものではなく、
駐車場内で餌やりをする人間全員にあてたものでしょう。
Sさんとくぅちゃんが去った今でも、
駐車場には、毎日、容器を置きっぱなしにしている、
餌やりさんがいます。
Sさんは、何度か、容器の下にメモをはさみました。
「地域猫のくぅちゃんは保護して、もうここにはいません。
餌をやるべき猫はもういませんので、餌やりはやめて下さい。
容器を置きっぱなしにしないで下さい。」
確かめに行くと、メモだけが抜き取られていたそうです。
不動産屋さんが掲示したポスターの横に、
「この場所にいた地域猫は保護済です。
長らく可愛がっていただきありがとうございました。
駐車場にいる他の猫は、飼い猫ですので、
餌はあげない方がいいと思います。」
とでも書いた紙を貼っておくべきですかね。
行間を読めば「飼い猫ではない猫にエサやりはしないでください」というのは、「飼い猫だったら(責任を持って)家でご飯をあげているはずだから、ここで餌やりはしないはず」というのが前提で、「他人の土地で、自分の飼っていない猫に(無責任に)餌をあげないで」という意味ではないかと思いますよ。もちろん飼い猫だから駐車場で餌あげて良いということではないでしょう。
でもね、このことで駐車場を貸し借りしている人や管理人をディスるのは、的外れではないでしょうか。駐車場は土地を貸して生業にしている人と、お金を払ってでも安心して車を置きたい人との間に契約が成り立った土地で、空き地のようでも空き地ではない。本来的には契約者以外立ち入り禁止なはずです。Sさんが今まで何も言われずに餌をやり続けられたのはきちんと後始末をしていたからで、ひょっとすると、気がついた人もいたけど見て見ぬふりをしていてくれただけかもしれません。でもクレームが入ってしまえば、管理人は対処しなくてはなりませんよね。仕事なのですから。
そして駐車場は車が出入りする危険な場所でもあります。事故があったら誰が責任を取るのでしょうか。だから駐車場では、どんな猫でも犬でも、人間だってご飯をたべたり遊んだりすべきではない。ここに入る猫たちに罪はないけれど、餌やりに適していないことは、人間が理解しなくてはなりません。
というと、すぐ「あなた猫が嫌いなんでしょ」とか「じゃあ、どこで餌をあげればいいって言うんだ」って責める人がいるのでややこしくなるわけですが。寛容さが失われつつある現代、都会が猫にとって生きづらい場所であることは確かで、そう簡単に答えが出る問題ではないでしょうね。私は猫の餌やりは、その土地のケースバイケースで、白黒はっきりしないグレーゾーンだと思っています。今回のいきさつを教訓とするなら、安易に猫に餌をあげる前に、ねこ藩さんのような地域に根付いた活動をする人のネットワークに相談するところから始めては、ということぐらいしか思いつきません。
まずは年老いたくうちゃんがなんとか保護された事は何より良かったですね。
まさに100%仰る通りです。ディスったつもりもありません。私も自分の敷地内で同じことをされたら「餌やり禁止・私道への侵入禁止」と明確な言葉で警告文を掲示すると思います。道路・公園といった市・県所有の土地での給餌は禁じられており、他人の住宅の門前で勝手に給餌をするのも言語道断(それでもやる人はやります)。となると、どうしても管理人が常に目を光らせているわけではない集合住宅の一角や駐車場の死角になる部分に、餌やりさんは目をつけます。そして、承諾・許可を得ずに、こそこそと勝手に猫の給餌を始め、後々咎められると感情的になって揉めるケースが多いと思います。それが私が知るこの辺りの実情です。隣近所に最大限の気配りをしつつ、環境・衛生面に留意して、猫が好きだからとか猫が可哀想だからという気持ちだけが先走った給餌とならないよう、個人個人が努力をするしかないのが現状です。