道で知人とすれ違っても気が付かないことが多い。
すぐ近くに知人が立っていても、
声をかけられるまで気が付かないことが多い。
「Hさん!」「H先生!」「○○ちゃん!」
考えごとばかりしているのか、認識能力の欠如なのか、
昔から、とにかく、私は気付かないんです。
人間だけではありません。猫にも気付かない。
菅野さんと一緒にいると、菅野さんは、
「あっ、猫、ほら、あそこ!」とすぐに気付くのですが、
私には猫の姿が見えないことが多いのです。
△丁目のとある広場に、たくさんの子猫がいる。
昨年の夏頃、何人の方々から聞いたでしょうか。
5-6名? もっとだったかもしれない。
しかし、私がそこを通る時には、1匹も姿が見えない。
これは、私の「気付かない」性質なのか、
それとも、私が通る時にはたまたまいないだけか。
ま、私のことは置いといて。
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「○○広場に小さい子が何匹もうろうろしてました。」
「○○広場で子猫をよく見かけます。」
「○○広場に茶色い子猫がいました。」
そう言われましてもねえ。
なぜ、それを私に知らせるの?
ただの世間話? いや、違う。
本当は何となくわかっています。
子猫が外にいるのは可哀想だから、
猫ボランティアの人間に、○○に子猫がいると言えば、
その場所に行って保護するとか何とかしてくれるかも、
そういう算段が頭の中に少なからずあると思います。
猫がいるとだけ言われても、私は動けない。
正確には動けないのではなく、
動かないようにしているんです。
「気になるならば、保護してあげたらどうですか?」
「近くの人がご飯をあげているのかもしれないから、
たずねて回ってみたらどうですか?」
と、相手が、恐らく、私にこうしてほしいと
思っているかもしれないことを、
逆にこちらから伝えます。
そして、ほとんどの場合、それっきりです。
私が住む◇丁目の隣、△丁目の大部分では、
TNR・地域猫活動が行われていないと思っています。
そういう話を聞いたこともありません。
野良猫問題は自治会にとっても興味のない案件のようです。
(と、私は思っています。)
2017年冬、△丁目の端っこに住むM姉妹が
複数の成猫の不妊手術行い10匹以上の子猫達を保護。
私自身でも数匹の成猫のTNRを済ませました。
2018年夏、隣町に住む若い女性・YAさんが、
居酒屋の置き餌に集まる成猫2匹のTNRと子猫7匹の保護。
そして、衣料品店主・Tさんが成猫1匹をTNR。
△丁目の野良猫に関して、私が知っているのはこれだけです。
全て、△丁目の縁の部分での活動でしたので、
△丁目の中心部分から西側にかけての野良猫状況は、
全くわかりませんし、情報も入ってきませんでした。
2018年9月の中旬、保健所から連絡が来ました。
「1週間前から、捕獲器を貸し出しているのですが、
猫が全然捕まらないそうなんです。
その個人の方のお宅に行って、捕獲器の設置の仕方とか、
様子を見ていただくことは出来ますか?」
保健所は捕獲器を一般市民に貸し出しています。
そういったサービスをしているのであれば、
捕獲器の効率的な設置方法やコツ等をアドバイス出来る
職員さんがいてもいいんじゃないのかなぁと、
常々思っているのですが、「貸すだけ」なんですよね。
その個人の方の住所を聞くと、△丁目。
何人もの方々が子猫達を目撃した例の広場に隣接しています。
その個人の方・HGさんのお宅に出向き、お話を伺いました。
「○○広場でうろうろしている子猫達が、
路地や自分の庭にも入ってきて走り回っています。
道路に出て危ないし、まだ小さい子達だから、
全部捕まえて家の中に入れようと思って、、
捕獲器を仕掛けているのですが、全然入ってくれないんです。」
家の裏側にまわってみると、
保健所の捕獲器が1台置いてありました。
「捕獲器1台で何匹捕まえようとしているんですか?」
「6匹。」
それはちょっときびしそう・・・。
更に詳しく話を伺ってみました。
HGさんは、亡くなったご両親が残された大きな住宅に
お一人でいらっしゃいます。
ご自宅とは別に、賃貸住宅を所有しており、
別の場所に住む弟さんが、その賃貸住宅の管理業務の為に、
週に何度かやって来て家で仕事をするそうですが、
普段はHGさんお一人でお住まいです。
その広々とした芝生の庭を、小さな子達が走り回り、
トイレに使い・・・というわけです。
HGさんは長年わかめちゃんというキジトラ猫を飼っていました。
数年前に高齢の為、わかめちゃんは亡くなりました。
ですので、猫飼育初心者というわけではありませんが、
捕獲器を使って、野良猫を捕獲するのは初めての経験です。
子猫を捕獲出来たら、そのうちの1匹は、
知人の方が貰ってくれることになっているそうです。
HGさんご自身も1匹くらいなら自分で飼ってもいいかな…
と考えていらっしゃいました。
なるほど。
この6匹の子猫が広場や自宅庭にいることはまずいから、
捕獲したいと思い、保健所から捕獲器を借りたものの、
捕獲は出来ないまま時間が経過してしまっている。
また、捕獲後にどうするのかという具体策がない。
計画性に少々欠けていると同時に、
この件を解決する為の全体的なイメージが
出来上がっていないのだな、と感じました。
猫の捕獲をしたことのないHGさんが、
使い方も、捕獲のコツもよくわからない捕獲器1台で、
人慣れしていない子猫達を捕獲しようとしているが、
1週間以上、仕掛け続けて成果なし。
広場の子猫達はたくさんの方々に存在を知られていましたし、
私も何人もの方々から話を聞いたことがありました。
しかし、その子猫達の為に何かしようと、
動く人は誰もいませんでした。
HGさんには、具体的な計画も捕獲の知識もありませんが、
傍観者しかいなかったあの場所のあの小さな子達を、
「助けてあげたい」と立ちあがった唯一の人間なんです。
まじめで物静かなで消極的な印象のHGさん。
私もいろいろと多忙ではあるのですが、
お手伝いしてあげなくてはこの件は進まないだろうし、
何とかHGさんの力になりたいと思いました。
これからどういう風に事を進めたらいいのかを提案しました。
【1】【①子猫を全頭捕獲して、月齢・体重から獣医さんがOKと判断すれば
避妊・去勢手術を済ませ、必要な医療行為を全て行う。
【2】家の1階のひと部屋を当面の間保護部屋にする。
【3】3段ケージを購入し、保護部屋に設置する。
【4】ねこ藩の備品・2段ケージを保護部屋に設置する。
【5】術後の子猫達を、保護部屋のケージにそれぞれ入れる。
【6】知人に1匹貰っていただく。
【7】あとの子猫達は里親探しを行い、最後に残った1匹か、
いちばん人慣れしていなくて貰われにくそうな子を1-2匹自分が飼う。
【8】子猫の医療費に関しては、里親さまが見つかれば、
里親さまに負担していただくので、HGさんが立て替え払いをする。
【9】必ず、子猫達の母猫のTNRをする。
こちらで出来ること、HGさんがしなくてはならないことを説明し
HGさんは理解・承諾して下さり、やる気になって下さいました。
保健所からHGさんの件で連絡があった翌日、
家人が、ミーコ一家を発見しました。
ミーコがいた事務所は△丁目。
HGさん宅のある通りと同じ線上にあり、
我が家からHGさん宅に歩いて行く途中にあります。
ミーコの事務所からHGさん宅までは直線距離で80メートル。
これまで、隣の△丁目は未不妊の野良猫だらけと
言い続けてきましたが、
M姉妹、YAさん、Tさん、私、そして
今回のHGさん宅の件にミーコ一家の件と、
まだらではありますが、ゼロではない。
更に猫情報を集め、1匹づつでも狙っていけば、
△丁目のTNRは案外すんなりと進むかもしれない、
という展望が開けてきたような気がしました。
捕獲実行日の10月2日まで1週間ちょっとあります。
その間、子猫達がHGさんに少しでも慣れてくれるのが望ましい。
HGさんには毎日、庭で子猫達にご飯を上げて下さるようお願いし、
ご飯は、扉が閉まらないようにした捕獲器3台と、
ステンレスの金属ケージの中で食べてもらうようにしました。
その間、自宅1階のひと部屋を開け、そこに三段ケージを準備。
こちらからもう1台、2段ケージも運び入れました。
◆10月2日◆
朝、6時前。
HGさん宅に出かける準備をしていると、
千葉市のAさんから、1週間前に窓から脱走し、
行方不明になっていたとらちゃんが捕獲器に入ったと
嬉しいLINEが来て、ホッとしました。
今日の子猫達の捕獲もスムースにいくような気がして、
上向きの気分でHGさん宅に向かいました。
HGさん宅の庭はしーんとしていましたが、
HGさんが朝ご飯のフードを用意し始めると、
あちこちから子猫達が集まって来ました。
キジトラ1匹
キジ白1匹
ムギワラ1匹
茶トラ3匹
計6匹。
人慣れしていない生後4-5ヶ月の子猫達です。
捕獲器3台に、ステンレスケージ1台ですから、
今日の捕獲は多分4匹のみと考えていましたが、
何ともまあ、想定外の展開になりました。
茶トラ3匹が、押すな押すなという感じで、
一気にステンレスケージのフードに殺到しました。
あまりにも楽な展開です。
そっと扉を閉めましたが、ご飯に夢中で、
閉まった扉にもなかなか気が付きません。
すぐにケージを布で覆い、離れた場所に隔離しました。
捕獲器3台には、残り3匹が1匹づつ、順番に入っていきました。
それぞれの捕獲器にフードを入れてから15分も経過していない。
6匹全頭の捕獲がサクサクと済んでしまいました。
ケージや捕獲器に警戒することなく、フード目がけて突進する。
それだけまだ猫生経験の浅い子供達なのです。
午前中、早い時間に病院に6匹を預けました。
生後4ヶ月過ぎ、体重も2㎏を超えていましたので、
基本医療行為に加え、不妊手術も行ってしまいます。
順調な滑り出し・・・と思ったのはここまで。
この後、子猫達もHGさんご自身も、
なかなか光の見えてこない、
長いトンネルに入ってしまうことになります。
To be continued ・・・