前回のお話はこちら。
2020年3月10日のブログ。
「こねこWAVE到来:③微妙な子猫たち。」

こねこWAVE到来:③微妙な子猫たち。

 

 

 

 

 

 

「子猫7匹、何とか出来るか考えます。」

とは言いました。
ええ、私は言いましたよ。

言いましたとも!

 

 

でも、本音は、
「大変なことになってしまった。
また家人に怒られるだろうし、
「やらなくてはならないこと」リストに
ずらりと箇条書きされた案件は減るどころか、
新しい案件が増えてしまった。
どうやって、このピンチを乗り切ろうか。」
でした。

 

 

1匹、2匹の話じゃないんです。
7匹です。
人に慣れていないんです。

 

 

私がボランティアではなかった頃。
そして、ねこ藩を立ち上げた頃。

最も悩んで苦労して、心を痛めていたことは、
TNRは出来ても、猫の保護が出来ない、ということでした。
猫を保護して室内に入れることが許されず、
保護した猫を預かって世話をして下さるような
知人もいないに等しかった。
そういう事情があったからこそ、保護する以外の部分、
つまり、TNRやTNRの必要性の啓発、
捕獲や個人の方が保護した猫の里親探し、
病院への運搬や、備品の貸し出し等、
その時の自分に出来ることを、
ただひたすらやるしかなかったんです。

 

ねこ藩が始動してから今年で5年。
その間、お手伝いや猫の譲渡をきっかけに
知り合いになった方々はたくさんいます。
そして、その中の一部の方々は、
今では、信頼できる、有難い仲間になりました。

 

「私に出来ることがあればやります。
何でも言って下さい。」

 

常々、そう声をかけて下さいます。

 

That’s right.
こういう時こそ、頼らせてもらおう!

 

 

早速、安心して猫達をお任せできる2名にLINEをしました。
いつも力になってくれるIKさんと、市議のKさんご夫妻です。
お2人は、「うちは大丈夫です~。」と快諾して下さいました。

最初、Kさん宅に3匹、IKさん宅に2匹、
ボランティアのKさんか私が2匹頑張るしかないな、
と考えていましたが、IKさんが、
「4匹はきょうだいなんですよね?
まとめて一緒の方が良くないですか?
うちは4匹でもいけます。」
と、扉を大きく開けてくれましたので、
(観音開きの扉がバアアーンと音を立てて開いた・笑)
そのご厚意に甘えることにしました。

 

 

 

 

6月19日。

ボランティアのKさんと、再びOさん宅を訪問。
前日ケージに入っていた白い母猫はケージから出て、
今度はサビの母猫と子猫3匹がケージに入っていました。

母猫はケージに入っているうちに捕まえられそうな気もしましたが、
「触らせてはくれない。逃げちゃう。」とOさん。

母猫はやはり捕獲器で捕獲、の方が良さそうです。
子猫はどうだろう。
ケージ内にいた茶系の子猫達は、逃げ回りはしますが、
触れないというわけではありません。

子猫がケージに入ったら扉を閉めておいてもらう。
その時入った子猫を手掴みでキャリーに移し替え、
また別の子猫がケージに入ったら、その子も手掴みで
キャリーに移動していけば、何とかなりそう。

よし、それでいきましょう。

 

 

6月20日。着手の日。

人手が必要になるかもしれないと思ったので、
ユミさんに、夕方、Oさん宅に来て下さいと、
お願いしておいたはずなのですが、
ユミさんは現れませんでした。

彼女は彼女なりにやることもあるだろうし、
疲れて寝ているのかもしれない。仕方ないですね。

 

Kさんが仕掛けておいた捕獲器に、
白い母猫が入っていました。
サビはケージに入っていたのですが、
KさんとKさんのご主人との奮闘により、
ケージから捕獲器に移動させたそうです。

それから、出産した形跡はなく、常にやってくる訳ではありませんが、
Oさん宅にはもう1匹、茶トラのメスも来ていたということがわかり、
これもタイミングよく、Kさんが捕獲して下さいました。

 


捕獲器に入った白い母猫と、メスの茶トラ。
(サビ母猫の写真は撮り忘れ)

 

 

今日のところは、大人のメス3匹を連れ帰り、
明日病院に避妊手術の為に病院に預けてから、
午後、またあらためて子猫を捕まえに来ることにしました。

 

 

Oさん宅を出て、もう一人の餌やりTさん宅に行き、
メス猫3匹を捕獲したことを伝えました。

その時、茶トラの猫が、
道路を渡ってこちらに歩いてくるのが見えました。

 

私「Tさん、ほら、あそこを歩いているあの茶トラ。
Tさん宅にご飯を食べに来るメス猫はあの猫ですか?」
Tさん「そうそう。ほら、あっちから来るでしょ。」

 

その時、様子を見に来た近所の菅野さんを含め、
Tさん宅庭には人間が4人いましたので、
茶トラのメス猫は警戒し、こちら側に来ようとはしません。
また道路の向こう側に戻っていきました。
Tさんは、あの茶トラは道路の向こう側から来るけど、
どこを居場所にしているのかは知らないのです。

「どこに戻るんだろう。つけてみようか。」

 

道路を渡った向かい側に店舗があり、
その横の路地を入った3軒目のお宅の脇に、
茶トラの猫はまっしぐらに入っていきました。

そっと後をつけ、2軒目と3軒目の間の敷地を覗いてみました。
猫は、通路の奥にある室外機の裏に座っています。

 

え? ちょっと待って!
な、な、なにあれ!

 

茶トラの猫が3匹!
しかも2匹はちっちゃい!
母猫のおっぱい飲んでる!

 

頭がパニックになりそうです。

Tさんがご飯をやっていた茶トラはメス猫で、
しかもこの2ヶ月以内に出産していた猫だったのです。

 

「どうする?いっちゃう?」
と、菅野さん。

 

手元には空の捕獲器があります。
しかも1台ではなく3台!

 

わざとらしい程、状況が整い過ぎている感。

 

 

ちょうどその時、3軒目の住人の方が帰宅されましたので、
事情を話し、通路に捕獲器を置く許可をいただきました。

 

捕獲器内を整え、餌をおいて、
通路の入り口付近にまずは1台。
小さい子1匹捕獲。

そしてまた1台。
2匹目の小さい子捕獲。

母猫は用心しているようです。
最後の捕獲器を通路において、
私と菅野さんはいったんその場を離れました。

Tさん宅でご飯を貰い損ねた母猫・茶胡(ちゃこ)は
お腹がすいていたに違いありません。
5分して戻ると、捕獲器の中に入っていました。

親子全員捕獲できました。
茶トラの茶胡発見から、15分足らずの出来事です。

 


すぐに捕獲器に入っちゃった子猫たち。
目の状態が良くないです。

 


子猫達が捕まるのを見ていた筈なのに、
空腹に勝てなかったのか、
すぐに母猫・茶胡も入りました。

 

 

 

 

あれ?
ってことは、今日2匹捕まえたでしょ。
明日以降、7匹捕まえるでしょ。
えーっと。

「いよいよ野球チーム、結成ですな。」

 

パニック通り越して、むしろ冷静。

 

 

ボランティアのKさんには母猫3匹をお願いし、
私は2匹の子猫をすぐに病院に連れて行きました。
もともと、Oさん宅の計7匹の保護計画でしたが、
この茶トラ2匹が、列に横入りしてきた感じです。
しかし、子猫が増えてどうしようとか言っている場合ではナイ。
捕まえてしまったのだから、責任持って保護し、
幸せになってもらう為に努力をするのです。

 

 

いきなり母猫と離れ、狭い箱の中に閉じ込められて
さぞ怖い思いをしているだろう、攻撃的になるかも…と、
と覚悟していましたが、小さいシャーを何度か連発しただけで、
首根っこを捕まえ洗濯ネットに入れるとおとなしくなりました。
診察台で大暴れということもありませんでした。

 

 

外生まれの子猫は常に無数の細菌や病原菌に晒されています。
風邪を引き、結膜炎になり、目は目ヤニだらけ。
適切な処置を受けられない為に、瞳が白濁したり、
眼球が委縮したり、そのまま目が潰れたりする子も多いのです。

この2匹も既に、その方向に向かっているようでしたが、
根気よく目薬を滴下して、抗生剤の投与をすれは、
いずれはきれいでつぶらな目に戻るでしょう。

外暮らしの経験と体重から推測して、
4月20日頃に生まれた、生後2ヶ月の子猫でした。

その晩、我が家の3段ケージに入れて、様子を見ました。
今はまだ怖くて隠れていたいだろうから、
キャリーをハウス代わりにしてもらう為、
キャリーごと、ケージに入れておきました。

 

 

 

 

Oさんも、Tさんも、あの路地のお宅も、
子猫の存在に全く気付いていなかった。
母猫の茶胡に守られながら、人と接することなく、
ひっそりと過ごした2ヶ月だったのだろうか。
ということは、これまで母乳だけで育った?
母猫が仕留めたものかを食べていた?
捕獲器にすぐに入ったのも、
今まで嗅いだことのない美味しいフードの匂いに
惹きつけられたから?

 

 

まだビクビクして固まって、こちらにお尻をむけている2匹の前に、
小さなお皿に盛った子猫用のレトルトを置いてみました。
鼻をひくひくとさせていますが、怖くて動けないようです。

 

ケージの幕をおろして、少し離れてみました。
やがて、ガツガツとフードに食いつつ音が聞こえました。
ものすごい速さで完食です。
子猫用のシーバを追加すると、これまたすぐに完食。

 

こんなに美味しいものがあるとは知らなかったんだね。
お腹いっぱいになって良かったねえ。

 

「訳あって小さな子がうちにいます。」
と、LINEで家人に連絡しておきました。

家人は帰宅すると、玄関近くに置いたケージを覗き込み、
「ほんとだ、小さい子がいる。誰これ?」
もう半ば諦めモードです(笑)。

私は事の経緯を話しました。

私より一回り以上も年上の、ボランティアのKさんが
せっせと現場に通って、大人の猫の捕獲をしているのに、
私が何もせずに見ていることなんて出来ないでしょう?
既に生まれてしまった子猫達を何とかすれば、
あの場所の問題は一気に解決するの。
Kさんが大人猫サイドを担当してくれているのだから、
Kさんの出来ない部分を、私やIKさんやKさんで、
カバーしてあげるのが筋だと思うのよ。

「じゃあ、目が良くなったら、里親探しだね。」

(なんだかんだ言って、慣れっこの家人)

 

 

まだ警戒した眼差しの2匹ですが、
触れないわけではありません。
猫ミルクを入れたお皿を手に持ち、
鼻先まで持っていくと、
ピチャピチャと舐め始めました。
ミルクを下に置いて、
ちょこっと頭を撫でてみましたが、
気にしていないようです。

 

夜中にケージを除いてみました。
3段目に置いたブルーのハウスの中で、
2匹に寄り添って、落ち着いた様子でした。

 

 

改めてよく見てみると、可愛らしい。
きれいなマーマレード色の茶トラです。
男の子にはターシャ、女の子にはミーシャと名付けました。

 

今はまだ目の状態が酷いけれど、
必ず可愛いお顔になるでしょう。

問題は目薬の滴下。
割と従順なターシャに比べ、ミーシャは手ごわいです。
この日から1週間、目薬の滴下をめぐり、
私とミーシャとの熱い闘いが始まることになります。
流血のおまけ付きで。

 

さて、あとまだ7匹。
明日も頑張ろう。

 

 

To be continued・・・