前回のお話はこちら。
2020年3月30日のブログ

人は去り、猫が残る:①どうせ野良猫。

 

 

 

近所の倉庫敷地に住んでいたそうこちゃんという猫。
2018年秋の終わりに、そうこちゃんは倉庫暮らしを卒業しました。
部外者が立ち入ることの出来ないこの倉庫で、
そうこちゃんは出産し子を育て、3匹の子猫が保護された後は、
避妊手術済の地域猫として4年間、ひとりで暮らしていました。

 

 

 

 

もともとは何年も放置状態の無人の倉庫でしたが、
定住猫のそうこちゃんが去った後は、本当に無人無猫となり、
門の柵から中が見えない程、雑草が生え放題になりました。

市内の別の場所に住む高齢のご夫婦が所有しているこの倉庫。

敷地から生えたツタは手入れされることなく伸び放題で、
通りの並びの住人や、裏の駐車場管理者は、困っていました。

 

 

 

2019年秋にやっと、この倉庫に人の手が入り、
建物や塀が取り壊され、さら地になりました。
今は分譲住宅地として売りに出されています。

 


そうこちゃんが住んでいた頃は、ご近所の住人Gさんと一緒に
倉庫内の草むしりや片づけをしたものでした。

 


建築用資材が詰まった倉庫の撤去開始。

 


更地に。


歪な形の土地ですが、現在は宅地として売り出し中。

 

 

 

何十年も界隈のお荷物的存在だった放置倉庫でしたが、
重い鉄製の門には南京錠がかけられ、
部外者が中に入れないようになっていたことで、
そうこちゃんが長い間、安全に暮らすことが出来たことを思えば、
勝手な言い分ですが、有難い場所だったと思います。

 

 

 

そうこちゃんは、長年住んだ土地を追い払われる前に、
タイミングよく外の世界を卒業した幸運な猫です。

 

 

 

 

(1)重田邸のはなし。

 

4年もの間、そうこちゃんに朝と夕方の1日2回、
ご飯をあげていた、通りの反対側に住む重田のおばあさん。

何十年もの間、自宅の敷地のいたる所に置き餌。
猫だけでなく、ハトやカラスにも餌をあげていました。
おばあさんは、近隣住人達の苦情は一切受け入れず、
そのやり方を何十年も続けてきた頑固な方です。

 


重田邸。広い敷地の手前におばあさん宅。
その後ろに1人しか住人のいない古いアパートと
あまり手入れのされていない庭があります。

 


玄関前のフード皿と水。
フード皿は、玄関前、通路、吐き出し窓の下、庭と、
敷地のいたるところに置かれています。

 


重田邸右隣りのマンションに貼られた注意書き。

 


重田邸左側に新しく建った新築の2軒。
庭のあちこちに猫除けシートを敷いています。

 

 

長い間、一人暮らしを続けてきたおばあさんですが、
おばあさんがあの家に戻ってくることはもうありません。

 

 

昨年夏、ご自宅で熱中症で倒れていたおばあさんを
毎日、生存確認にやって来る娘のCさんが見つけました。
足腰も悪く、杖での歩行さえ辛くなってきていたことに加え、
記憶も怪しくなり、入院中に認知症が進行した為、
そのまま施設に入所したそうです。

 

おばあさんと裏のアパートのバカオヤジ・海老沢が、
敷地内のあちこちに置き餌をしていましたが、
それは今でも変わっていません。

自分がいない時には、代わって餌をやるようにと、
おばあさんは海老沢に時々お金を渡していたそうです。
海老沢が新しいメス猫に餌をやり、その猫が出産すると、
ボランティアに不妊手術を頼んでいたのもおばあさんです。
手術代は当然、おばあさんが払います。

金づるだったおばあさんががいなくなった今、
海老沢にはまともな猫フードを飼うお金もないでしょう。

 

アパート階下には、いつも少量パックのカリカリの袋が置いてありました。
パチンコ好きで常にお金がない男ですから、お徳用のドライ大袋を買えず、
180円程度で売られている4連パックくらいしか手が届かないのかもしれません。
うどんや焼き魚の残りがフード用のボウルに入っていることもあります。
猫フードが切れた時は、、自分の食べ残しを猫にやっているのだと思います。

 


こんな量では庭の猫達の1日分にもならない。

 

 

 

敷地内に新しいメス猫が現れれば、
昔からの知り合いであるボランティアの三木さんに連絡して、
避妊手術をお願いしていたのはおばあさんです。
三木さんが動けない時は、私が手伝いました。

それでも、毎年のように子猫は生まれていました。
おばあさんは、一度出産した母猫の手術は行いましたが、
それ以外のメスはほぼ放置していました。
新しく登場した猫がメスかオスがわからないでいるうちに、
結局お腹が大きくなってメスだとわかる。
堕胎手術という選択肢がおばあさんの頭にないので、
出産後初めてボランティアに連絡する。

「ボランティアが来て猫を連れて行ったら承知しねーぞ!」と
怒鳴り散らす海老沢を怖がっている時もありました。

 

現在、この敷地には、主のいなくなった住宅と、
家賃が払えない海老沢が住む古いアパートがあるだけです。

 

以前、住宅もアパートも全て取り壊す、
大家自宅兼賃貸マンションを建設する計画があると、
おばあさんから聞いたことがあります。

もし、近いうちにその計画が実現すると、
今、この敷地でご飯を食べている猫達は
食堂を失うことになります。
食べ物を求めて行動範囲を広げることになるでしょうが、
長年居着いた重田邸から遠く離れることはないと思います。

 

 

 

現在、地域猫として我が家の庭で暮らしている4匹は、
おばあさん宅から流れてきた猫達です。
我が家のある路地に現れるようになったので、
不妊手術をする為に、路地で美味しいフードを与え、
敷地内に留まってもらえるよう箱ベッドを用意しました。
TNR後は重田邸方面には戻らず、
我が家の庭で暮らすようになりました。

 


重田邸にいた頃のポッちゃん(2015年秋)。

 

両隣のお宅は、4匹にご飯やおやつをあげて下さるし、
糞尿の後片付けもして下さっていますし、
私の活動をご存じの近隣の方々も好意的に許容して下さっていますが、
私が知らないだけで、また、なかなか言い出せないだけで、
迷惑だと思っている住人の方もいるかもしれません。

そういったことを考慮して、
人慣れが進んだ猫から1匹づつ順番に室内に保護し、里親さんを探し、
ゆくゆくは足の悪いポッちゃん1匹だけを残したいのです。
ポッちゃんは我が家の外猫として世話をし、最期はうちで看取る。

手始めに、首を怪我をしていたトントンを12月に室内に入れました。
なかなかご縁が見つからずにいますが、いつかトントンが卒業したら、
次はニャース、最後がくららと予定をたてています。

 


まだ若いトントン。
室内暮らしも4ヵ月を過ぎました。

今ではすっかり慣れて飼い猫モードです。

 

しかし、重田邸での給餌が無くなった場合、
餓えて空腹になった複数の猫たちが、
こちら側の〇丁目に流れて来る可能性があります。
そうなると、私の計画も予定通りにはいかないでしょう。

 

 

 

おばあさんが「これは私の飼い猫」と言っていた猫がいます。

白茶のオス「ニャンコ」で、昼間は出入り自由でしたが、
夜はおばあさんが家に入れていました。
ボランティアのNさんによると、
私が以前TNRした「凪ちゃん」も、
その後飼い猫扱いになり、「ニャンコ」と同様、
出入り自由で過ごしていたそうです。

 


凪ちゃんは、2015年春、M姉妹宅ベランダで、
こむぎちゃんが生んだ3匹の子猫のうちの1匹です。
M姉妹のところを去り、重田邸に移動しました。

 

 

今年の初め、我が家の庭に、見慣れない白茶の猫が現れました。
その時は、「見たことのない猫がいる」としか思わなかったのですが、
あれは、おばあさんの猫「ニャンコ」ではないだろうか。

 


路地に現れた白茶のぽっちゃり男子。
我が家の地域猫4匹の共同作業による、
「他の猫侵入警アラーム」が鳴り出し、
すぐに立ち去ってしまいました。

 

 

おばあさんの娘で、近くの幼稚園の教諭をしているCさんに
おばあさんがいなくなった今、おばあさんの飼い猫だった2匹は
どうしているのかと、訊ねました。

 

「母の家に行く度に庭を見ていますが、ニャンコは見ていません。」
とCさんからLINEで返答がありました。

 

親の飼い猫は親の問題、自分は知らないし関係ない。
そういうCさんの気持ちが行間に表れているようです。

重田邸から5-6分もかからないご自宅から車でやって来て、
重田邸の庭に車を置いて、数分歩いて勤務先へ。
そんな毎日、何年(何十年)と送ってきているのに、
親の行動に近隣住民からの苦情が出ていることも、
何が苦情の原因になっているかもご存じありませんでした。
飼い猫が1匹から2匹になったことも知らなかったのだと思います。

 

ニャンコと凪ちゃんを捕まえ、

「お母さまが飼っていた猫です。
せめてこの2匹だけでも、きちんと責任を持って世話をして下さい。
飼い猫をこの地域に放たれても、他の住人が迷惑するだけですから。」

と、言ってCさんにキャリーを渡したらどうなるか。
まず、あれこれ理由をつけて断られるのでしょうね。

 

 

To be continued ・・・・・