2019年9月6日。市役所環境保全課より電話がありました。

近所の高齢の餌やりさんが猫を増やしてしまっている。
こちらで費用を負担しても構わないので、
メス猫だけでも避妊手術したいのだが、
手順を知りたいのでボランティアさんを紹介してほしい。

と、市内在住の一住民から相談があったそうです。

 

 

 

ここで話をちょっとストップし、
「猫ボランティア」、「市川市の猫ボランティア」について、
私が理解していることを記しておきます。

 

猫ボランティアというのは資格も登録も必要ありません。
「猫ボランティアです」と自己申告しただけで、
その人は猫ボランティアなんです。
そして、東京都のどこかで実施されているような、
区に登録された公認ボランティアなどというものは、
市川市には存在しません。
つまり、市川市には、行政が認めるボランティアとして、
登録した公認の猫ボランティアなどいないのです。

 

では、野良猫問題に関する相談があった時に、
なぜ、市役所は自称「猫ボランティア」に連絡をしてくるのか?

 

市川市では、地域猫登録団体の登録制度を設けています。
不妊手術済の飼い主のいない猫達に、
数人の構成員から成る1グループが、
決められた場所で給餌・排泄場所の掃除をし、
それを続けることで猫を管理しながら、
飼い主のいない猫達を減らしていく。
その活動が、地域猫活動と呼ばれています。

 

現在、市内全域に50近くの地域猫団体が登録されています。
それぞれのグループ(団体)が、ご自宅、あるいは、お住まいの地域で、
飼い主のいない猫のTNRを行い、手術済の猫達の管理を行っているわけですが、
その構成員の活動範囲に多少違いがあります。

 

ご近所数軒で協力し合い地域猫活動をしている住人の方々は、
それがご自身の地域猫活動=ボランティア活動であり、
他の地域に生息する飼い主のいない猫のTNRや保護はしません。

一方、自分でも決まった地域で地域猫活動をしつつ、
自らが情報を集めたり、あるいは、他人から相談を受けたりして、
市内のあちこちで起こっている野良猫問題の解決に奔走している方々もいます。

「あそこにたくさんの未不妊の野良猫がいる」と聞けば捕獲器持参で駆け付け、
「あの地域に子猫がたくさん生まれているようだ」と聞けばキャリー持参で駆け付ける。
どさくさに紛れて猫を押し付けられたりすることもあります。

それが、一般的な「猫ボランティア」ではないかと思います。

 

市川市の地域猫団体に登録している方々全てが
この「猫ボランティア」に該当するわけではありません。

 

野良猫問題に関する相談が寄せられると、市役所(または保健所)は、
あらかじめ「協力してもいいですよ」と申し出ている猫ボランティアに、
連絡をしてくる、というわけです。

市内北部で起こっている野良猫問題に関して、
市内南部在住のボランティアに連絡がくることはまずなく、
ほとんどの場合、相談案件に近い場所に、
地域猫団体登録をしているボランティアに、
連絡がくるようになっています。

 

このブログで詳しく書いたことはありませんが、
ねこ藩も地域猫団体として市に登録しています。

「何でもほいほい引き受けることはしませんが、
この地域のことで協力出来そうなことがあれば」と、
「市への協力OKな猫ボランティア」として、
ねこ藩も、一応、手をあげていました。

 

 

 

 

話を元に戻します。

 

野良のメスの不妊手術云々かんかんで、
市役所に連絡をしてきたのは、
YNさんという方でした。

住所を伺うと、徒歩7-8分の場所。
我が家から駅に向かう時は、商店街を通っていくのですが、
その商店街から2本裏に入った路地にお住まいです。

 

ご本人と直接話してみていただけますか?と、
環境保全課から連絡先をいただいていましたので、
何度も何度も電話をしてみました。

 

出ない。

 

やっと電話が繋がったのは2週間後です。
内容は、既に環境保全課から聞いていた通り。

 

「高齢者の餌やりがいて猫が増やしてしまっているから、
こちらで費用を負担してメス猫を手術したい。」

 

しかし、いきなりYNさん宅に捕獲器を仕掛け、
やみくもにTNRをスタートさせるわけにはいきません。

 

「高齢の餌やりが猫を増やしてしまっている」のが紛れもない事実なのか、
YNさんがそのように思い込んでいるのかを確かめる必要があります。

 

  • 成猫・子猫合わせて何匹くらいいるのか。
  • 耳カットのある猫はいるのか。
  • 猫の色柄がわかるか、画像はあるか。
  • どのお宅が餌をやっているのか。
  • いつ頃からそういう状況なのか。
  • ご近所で困っている方々が他にいるのか。
  • 費用負担に協力して下さりそうな住人は他にいるか。

 

こういったことを事前に知っておくべきです。

 

3日後に、ボランティアのKさんと私が現地に出向くことにし、
それまでの間、YNさんには、
上記の内容に沿って、ご自分で出来る範囲で、
もう少し詳しく状況を調べていただくことにしました。

「喫茶店でお茶でも飲みながら話しますか?」
とYNさん。

 

 

は?

いや、結構。

 

 

てか、そんなヒマないの。
自宅前でちゃっちゃっと話せば済みます。

 

 

 

お手伝いするとなったら、
頭の中の段取りスイッチが自動で入ります。

 

何曜日からスタート?
成猫だったら、2-3日に分けて捕獲して○○病院?
術後療養はKさん2-3匹、うちが1-2匹?
子猫だったら、月齢によって、〇〇さんと〇〇さんに応援を頼む?
捕獲器は、ねこ藩の2台、Kさんの2台、あとは・・・?
療養ケージは、〇〇さんに預けてあるものを持ってくる?

 

 

その夜、YNさんから電話が来ました。

 

「すみませんが、今回の話なかったことにして下さい。
私はやめます。やるならご自由にやって下さい。」

 

 

 

なにそれ。

 

 

 

初めてのパターンじゃないですけどね、こういうのは。

 

ボランティアが来て全部やってくれる。
自分は何もせず、最後にお金を渡せばいい。
(それはまだいい方で、だいたいはお金も出さない。)
と、思っていたのに、
自分も動かなくてはならないと知った途端途端、
態度が急変。「前のめり」から「尻ごみ」へ。

 

 

 

 

きみたちのために
難度の高いステージを用意したよ!

さて、クリアできるかな?
では、さらばじゃ!
あーはっはっはっ!

 

 

 

いや、ちょっとなに、わからな・・・
てか、攻略本は?
え、攻略本ないの?

 

しーん。

 

 

 

 

市役所から紹介されて来てみれば、
依頼者のいなくなってしまった、
訳のわからない混沌としている現場で、
勝手にやって下さいという課題を与えられた
Kさんと私なのでした。

 

 

 

To be continued・・・