不妊手術を行ったり、保護(やむを得ない場合)することによって、
この地域で生きている飼い主のいない猫達の数を減らしていく。
大袈裟な表現をすれば、これがねこ藩の「根本理念」です。

 

 

相談を受けたり、お手伝いの要請があったりして、
他の地域に出向いたことは数えきれない程ありますし、
これからもまたそういったことはあるでしょうが、
基本的には、活動地域は「この地域=地元」に拘っています。

 

 

「地元」というのは、どこから見るかによって、
違ってくることがあります。

 

昔、旅行先のケニアでこんな会話があったことを思い出します。

「君、どこから来たの?」
「イングランド。ロンドンです。」
「いや、そうじゃなくて、どこ出身?」
「東京です。」
「え~ほんと?俺のいとこも香港に住んでるんだよ。」

 

「も」って。
あんたねぇ~。

 

 

 

 

ケニアに住む人から見たら、東京と香港はほぼ一緒なのか。
どちらもアジア圏内と言えばそうですが、アバウト過ぎる。
香港は「海」の向こうの違う「異国」だよ。

 

 

あ、でも、逆パターンで考えると、これって、

「あなた、どこから来たの?」
「ルワンダ。」
「へえ!私のいとこもウガンダに住んでるのよ。」

みたいなことか。

 

日本から見たら、
ケニア、ルワンダ、ウガンダ、ブルンジなんて、
同じ場所に集まっている小さめの国だものね。
失礼しました。

 

「世界の国家」と「地理」について、
正しい知識を持つことって大切だわ。

 

 

 

例がグローバル過ぎましたので、
規模をぐんと狭め、アフリカ大陸から総武線。

 

 

 

例えば、総武線の「下総中山駅」と「東船橋駅」。
どちらの駅も住所は船橋市になっています。

同じ千葉県内でも、野田市、銚子市、館山市など、
船橋市からかなり距離のある地域にお住まいの方々から見れば、
「下総中山駅」が最寄り駅の住人も、
「東船橋駅」も最寄り駅の住人も、
同じ船橋市南部地域の住人=地元が一緒の人達、
となるのかもしれません。

 

しかし、実際、下総中山駅と東船橋駅の間の距離は6㎞あります。
下総中山駅の本八幡寄り(東京寄り)側にお住まいの方が、
自宅から8㎞近く離れた東船橋駅の津田沼寄り(千葉寄り)の地域を
「地元」と考えるかどうか。
私ならば、「同じ市内だけれどあまり馴染みのない場所」と考え、
地元とは呼ばないかもしれません。

 

 

 

地元とは、その人が「どう感じるのか」に依るところが大きく、
定義については様々な見解があると思いますが、
とある調査で、「自宅から何㎞以内を地元と考えるか」についての
回答を集めたところ、このような結果が出たそうです。

 

 

 

30%の人々が「自宅から半径5㎞以内が地元」と回答しています。
次に多いのが、「自宅から10㎞以内」で26%、
その次が「自宅から1㎞以内」で20%です。

 

但し、この調査では飲食関係を含む店舗情報や、地元の話題など、
「地元の知りたい情報」についても調べていますので、
回答者は、地元の範囲を少々拡大して考えるのではないでしょうか。

皆さんは、どうですか?

 

 

===================================

 

 

猫のボランティア活動をスタートしてから、
私の中では、「自宅から半径150メートル前後以内」が地元でした。

 

小さ…


そうだよ、小さいよ。

悪かったな。

 

 

確かに小さいエリアなんですが、
東西に3本の通り、南北に2本の通り、
その狭い範囲に、飼い猫ではない猫達が、
以前は30匹程いたと思います。
数匹には耳カットが見られましたが、
大方は耳カットなしの猫達でした。

また、耳カットのあるなしにかかわらず、
隣町からも頻繁にオス猫達はやって来ていましたので、
総数で考えれば50匹近くいたのかもしれません。

 

その頃、私にはボランティアの知人もなく、
この地域でそういった活動に協力して下さりそうな、
住人の知り合いもいませんでした。
(まだ出会っていなかっただけで実はいました)。

猫が多いことが気にはなっていても、
どこから、どんな風に着手していいのかがわからない。
だったら、とりあえず、自宅路地にやって来る猫を1匹づつ、
着実にTNRしていこうと考えました。

 

「Trap(捕獲する)」
「Neuter(不妊手術する)」
「Return(元の場所に放す)」

この頭文字をとって、TNRと言います。

TNRFは、TNRに「Feed(食べさせる)」がくっつき、
術後に餌をあげることを意味します。

TNRMは、TNRに「Manage(管理する)」がくっつき、
術後に餌をあげたり、排泄物を片付けたり、薬を飲ませたりと、
術後の猫を管理していくことを意味します。

 

TNTAは、「Trap(捕獲する)」「Neuter(不妊手術する)」
「Tame(人慣れさせる)」「Adopt(譲渡する)」の略で、
術後の猫をリリースせずに保護して、里親探しをすることです。

 

 

私は当初、TNRすることだけに留め、
リリース後、餌をあげること(TNRF)はしませんでした。
なぜなら、どの猫達も、丸々としていて毛艶も悪くなく、
どこかで餌をもらっている猫であることが明らかだったからです。
餓えて痩せこけて倒れそうな猫は一度も見たことがありませんでした。

その後、色々と訊ねまわって調べたりして、
近所に「野良猫製造工場が4か所」あったことを突き止めました。

 

 

 

 

 

このエリアの猫達の不妊手術がひと通り終わり(と私的には思った)、
今度は1本向こうの通り…その向こうの通り…と、
エリアを少しづつ広げていくのと同時に、
餌をあげている方や、猫飼いの住人達と知り合ったりして、
ネットワークも広がっていきました。

 

手術をしたらそれで終わり・・・ではありません。

リリースした猫は相変わらず元気でやっているのか、
きちんとご飯をもらっているのか、
新たに入り込んで来た猫がいないか。
定期的に、エリアの猫達のモニタリングをします。
いなくなったり、亡くなってしまったり、
家に入って飼い猫となっていたりする場合もありますから。

 

自宅から半径150メートル以内って、
あんたのキャパシティ小さ過ぎ!

 

そう思われるかもしれませんが、
その後のウォッチングも必要なことを考えれば、
これは妥当な面積ではないかと思うのです。

 

私が住んでいるS3丁目の世帯数は約2000。
自宅から半径150メートル以内と言うと、
世帯数1500のS4丁目、世帯数2100のS2 丁目、
世帯数1100のO4丁目の一部も入ってきますから、
合計で7000近い世帯数になります。

 


赤い丸が自宅のあるS3丁目。
青い四角が半径150メートル以内。
緑の四角が半径1㎞以内。

 

自宅のあるS3丁目の一角に30匹程の猫がいるのですから、
半径150メートル以内にはいったいどのくらいの猫がいるのか。
あそことあそこに、こういう猫がいて…と見知ってはいても、
正確な数はなかなかわからないものです。

もし、自分の活動エリアを「自宅から1㎞以内」にすれば、
隣町、そしてまたその隣町も次々と含まれていくことになり、
結局、隣の「M駅」まであと少しのエリアまでと到達します。
そうなると、世帯数だけでも、軽く30000を超えてしいまいます。

 

 

飲食店、美容院などの各種専門店やサービス業、
病院、駐車場、行政施設…。
日々の生活の中で、常に地元の情報は必要です。
そういった意味で考えれば、
「地元とは半径5㎞以内」という定義に私も賛成です。

しかし、行政から委託されてやっているわけではない、
この地域に住むただの一住民である猫のボランティアとして、
自分がカバーしてフォローできる範囲はどのくらいかと考えると、
やはり、半径150メートル以内というのは妥当な範囲だと思っています。

 

 

実際には、「地元」である半径150メートルを遥か超えて、
車で15~30分かかる市内の別の場所に
捕獲や保護に出向くこともありますが、
それはあくまでも「お手伝い」です。

やはり、自分がイニシャティブをとって積極的に動くのは
地元内に限っていますし、それが一個人にとって
無理のない範囲ではないかと考えているのです。

(地元内でも、無理のない範囲以上の活動はありましたし、
これからも無いとは言い切れませんが。)

 

 

 

 

さて、地元の定義はここまでにして、本題。

 

 

昨年5月に、別の地域に住むボランティアさんから、
「ある居酒屋に猫がたくさんいるらしいんだけれど、
何か知っている情報はありますか。」
とメールが届きました。

 

その場所は、私が定義している「地元」ではありませんが、
自宅から歩いて10分で到達できる、半径1㎞以内の場所でした。
我が家から見ると、最寄り駅の反対側の地域になります。

買い物や通勤の際に、通ることがあり、
決して知らない場所ではありませんが、
馴染みのある場所かと問われれば、「いいえ」。

 

知人ボランティアさんが持ってきたこの案件。
そのボラティアさんは結局、
この件に関して関与することはありませんでした。

話が持って来られた時点から3ヵ月間、
複数の人間がこの居酒屋の件に巻き込まれる形になり、
それは現在に至るまで続いています。

 

 

To be continued・・・・・