そうこちゃんの世界:①そうこちゃん

そうこちゃんの世界:①そうこちゃん

小さな箱の中に坐る。 暗闇に目を凝らす。 静寂に耳をすませる。 冷気に草のにおいを感じる。 世の中の動きが全て止まったような 永遠に続くかと思われるほど長く暗い時間。       「おまえは、いつもここにいるな。」 「こんばんは。今日も寒いね。」 「残ってる食べ物ある?」 顔見知り達が塀の上から私に声をかける。 いつものことだ。 聞こえないふりをしていると、 やがて彼らは去っていく。   空が白み始め、陽が昇る。 門の下から差し入れられたご飯を食べる。...