前回のお話
2019年4月6日のブログ
そうこちゃんの世界:①そうこちゃん
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2013年7月
母猫キジ子をTNR・子猫3匹を保護→譲渡
2014年6月
母猫くりこをTNR・子猫1匹を保護→譲渡
2014年9月
母猫こまつをTNR・子猫3匹を保護→譲渡
14ヶ月の間に、私が関わった猫はこれだけでした。
どの母猫もお隣のTさんがご飯をあげていた猫ですが、
不妊手術をしていなかった為に、妊娠・出産が続きました。
その頃の私は、自分の敷地に猫がいる、子猫を連れている、
これはやばいのでは?と焦る一住民に過ぎませんでした。
捕獲器など所有していませんでしたし、
捕獲出来たとして、どこの病院に連れて行けばいいのかさえ、
よく知りませんでした。
心よく、力を貸して下さったボランティアさん達が
いたからこそ成し得たことです。
この3匹の避妊手術を行ったことで、その後しばらくの間、
私の住むこの路地に新しい猫の姿はありませんでした。
しかし、私が知らないだけで、実はこの地域には、
未不妊の野良猫がまだまだたくさんいたのです。
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2014年の10月初。
隣人のNおばさまが、ニコニコして散歩から帰ってきました。
「子猫が遊んでたわよ~。すぐそこの倉庫で。
まだこーんなに小さくて可愛い赤ちゃん。」
いやーなことを知らされてしまいました。
くりこ、こまつの件が一件落着したばかりだというのに。
もう当分、こんな経験は嫌だと思っていたのに。
聞かなかったことにしよう。
我が家の庭の話じゃないんだし。
これ以上、猫に関わってお金を使ったら
「今度は何?いい加減にしなよ」
と、家人に怒られます、絶対。
と思いつつも、結局、翌日の晩、
私はこっそりと様子を見に行きました。
倉庫のある場所は、私が普段あまり行かない方向ですが、
我が家から徒歩2分とかかりません。
錆ついた門に南京錠がかけられた無人の倉庫です。
ああ、いますね。
くりこに似たキジトラの母猫と子猫3匹。
赤ちゃん猫ではありませんでした。
もう生後2ヶ月は過ぎているでしょう。
誰かが門の外側から差し入れたと思われる、
ドライフードと水が置かれていました。
この親子を助けたいのはやまやまだけど、
私にはもう無理だろうな。
くりこの件も、こまつの件も、
「これで終わりにするから」と
家人にあたふたと言い訳しながらの作業だった。
こまつの子供達3匹に関しては、「もう、やめてよ!」と
保護して家に入れることを大反対されてしまった。
他に方法もないし、仕方がないので、
この子達が手術できる月齢に達するまで庭で・・・と
ボランティアのIMさんに話したら、
「この子達は絶対に里親が見つかる。私のところに連れて来て下さい」
と言って下さり、3匹をIMさんに託したという経緯がある。
この倉庫の子供達だって、私は保護してあげられない。
こまつの子供達がお世話になったばかりなのに、
またIMさんに頼るなんて厚かましいにも程がある。
人間、やりたくても出来ないことはいくらでもある。
うん、忘れよう。あきらめよう。
・・・のはずでしたが、それから数日間、
普段は通ることのなかったその道をわざわざ選び、
必ず倉庫の猫一家を確認してから、仕事に行きました。
ある肌寒い日、門の中を覗くと母猫は留守のようでした。
少し前に刈られた草が倉庫の隅に積んであり、
その草の山の上に2匹の子猫がくっついて坐っていました。
すると、草の山の下の穴からもう1匹が出てきました。
ああ、なるほど。あの草山に穴を開け、中を寝床としているんだ。
子猫達は門の外に立っている私の方をじっと見ています。
子猫の社会化の時期は生後2週~8週齢の間です。
その時期に人間と関わりを持つことがないと、
人間に慣れにくい猫として成長する可能性が高い。
この倉庫の子猫達は、社会化の時期の大半を、
人間と十分に接することなく過ごしたはずですから、
人間に対する警戒心を既に持っているようでした。
ごめんね、助けてあげられない・・・。
ある日、いつものように私が門の前に立って中を覗いていると、
腰の曲がった高齢のおばあさんが、ドライフードを持った皿を手に
道路を渡って近付いてきました。
ああ、この人だな、近所の方々が言っていた餌やりばあさんって。
「お姉さん、どっから来た人?
ここの猫達に私がご飯あげてんの。
人の顔さえ見りゃ、餌やりはやめろってみんな言うけどね、
あたしはね、殺されたってやめないからね。」
何度か倉庫に通ううちに、おばあさんやご近所の方々との会話から、
この倉庫近辺の状況がわかってきました。
【おばあさんの評判】
■おばあさんは以前にも倉庫の中に餌を勝手に入れていた。
■おばあさんは自宅庭に1日中置き餌をしている。
■おばあさん宅の置き餌には猫だけでなく、ハトやカラスも集まる。
■おばあさんは昔から餌やりのことで、近所の方々と揉めている
■おばあさんは頑固で、他人の言うことを聞き入れない
■おばあさんはゴミの出し方もマイルール
なかなか根が深そうですな。
私がいきなり介入するのもどうかと思うし、
介入したとことで、あんた何様?となるでしょうから、
この問題に関してはスル―させてもらおう。
【倉庫の猫について】
■おばあさんは野良猫♀の不妊手術を、知り合いのボランティアさんにいつも頼む
■おばあさんは今回もそのボランティアさんに不妊手術を頼みたいと思っている
■おばあさん宅の裏に住む中年男性も餌やりをしているが、不妊手術は一切しない
おや?おばあさんにはボランティアさんの知り合いがいるのね。
じゃ、そのボランティアさんのお手伝いくらいは私にも出来るかも。
私は、おばあさんから電話番号を教えてもらい、
そのベテラン・ボランティア、三木さんに連絡してみました。
三木さんは10年くらい前から、おばあさんに依頼されて、
おばあさん宅の庭に来る猫達の不妊手術を行ってきたそうです。
おばあさんはこの辺の土地を切り売りしてきた元地主で、
現在も家の裏と横にアパートを3棟所有しています。
経済的な余裕がある。不妊手術費用も当然自分で負担する。
裏のアパートに住む中年の餌やり男性・海老沢(呼び捨て)が
絶対に不妊手術をしないそうで、
海老沢が餌をやっている猫達の不妊手術代も全て
おばあさんの財布から出ているとのことです。
「倉庫の母猫、手術してしまいましょう」
三木さんは言いました。
子猫達についてはどうだろうか。
三木さん宅の裏庭には子猫やリリース出来なかった成猫数匹がいます。
全頭、個別のケージに入れ、毛布を上にかけるという保護方法。
これ以上保護することは出来ないとのことでした。
外のケージに入れっぱなしって、それ、保護とは言わないのでは?
とツッコミたくなりましたが、それは今は関係ありません。
ということは、子猫3匹の預かり先を探さなくてはならない。
友人達をあたってみましたが、キジ子やくりこの子猫達の時と同様、
野良の子猫を預かることの出来る知り合いはいませんでした。
それどころか、「まだそんなことやってるの?」
と言った知人もいました。
駅近くで理容室を営む知人のKさんに相談したところ、人を介して、
「2匹くらいなら預かりましょうか」と言って下さる方が見つかりました。
なんとその方=森本さんのお住まいは我が家のすぐ近く。
私はすぐに森本さんに挨拶とお礼に出向きました。
森本さんに繋いで下さった理容師のKさんが、
「じゃ1匹はうちで預かるよ」と協力を申し出下さいました。
ああ、これで、倉庫の猫・そうこちゃんの一家を
何とかしてあげられる。
自分で出来ることは最大限に努力して、
出来るだけ他人に迷惑をかけないようにしなければ。
【倉庫について】
■おばあさんが猫一家にご飯をあげている倉庫はおばあさんの所有ではない。
■倉庫所有者は隣町に住んでいる高齢のご夫婦。
■倉庫所有者の連絡先を誰も知らない。
■所有者に許可を得て、敷地の中にご飯を入れているとおばあさんは主張
■門から餌を差し入れてるだけで、自分が敷地に入っているわけではないから、
問題ないとおばあさんは主張
所有者の承諾なしに勝手に敷地に入ることは出来ません。
門には鍵がかかっていますから、どちらにしろ入れないのでそこはOK。
所有者の承諾なしに勝手に敷地を使うことは出来ません。
ここですよ、おばあさんの問題は。こ
倉庫の所有者は隣町のOさんという人だが、
連絡先まではわからないと近隣の住民の方々が言うので、
私は法務局に出向き、倉庫の住所から所有者を調べました。
そしてその足で所有者Oさん宅を訪ねました。
最初は私を疑わしい目で見ていて、
怒ったような口調のOさんでしたが、
この計画を順序立てて説明すると、
Oさんは理解を示して下さいました。
私はOさんから門の南京錠のカギを預かりました。
あのばあさんは昔っからだよ。
他人の言うことなんか聞かないし。
場所を使っていいなんて一言も言ってない。
もうやめるように言ってくれ。
Oさんからの伝言をおばあさんに伝えると、
おばあさんは怒りだしました。
「バカなこと言うんじゃないよ!私はちゃんと許可をもらって餌やりしてるんだ。
前に倉庫の草刈りに来たバイトの人と話はついてるんだ!ふざけるな。」
「話がついてる?」
「お兄さん、あたしはここに餌をおかしてもらうからね!って。」
「バイトのおじさんはなんて答えたんですか?」
「無視だよ。だから、あんた、人が話しかけてるんだから
ちゃんと聞きなさいよ、ってあたしも怒ったよ。
何と言われようとここに餌をおかせてもらうよって。
あたしはちゃんと伝えてあるの!許可してないなんて、それは大嘘!」
いやいやいや・・・
許可じゃないでしょ。
一方的な宣言でしょ。
しかも、バイトの人でしょ。
あ~あ、なんかすごい面倒くさい場所に関わってしまった・・・。
私はおばあさんに計画を話しました。
母猫を捕獲して避妊手術する。
子猫は保護して預かって下さる人の元に連れていく。
そして里親探しをする。
おばあさんは、またまた怒り出しました。
(すぐ怒るんだ、これがまた)
「あたしはね、母猫の手術をしてくれって言ったんだよ。
なんで子猫まで連れて行く必要があるの!
手術しないなら連れて行く必要ないでしょ!
母猫、手術したら、ちゃんとここに戻してくれるんだろうね?
あたしが餌やってる猫なんだ!戻さなかったら承知しないからね!。」
「母猫のそうこちゃんは戻します。
子猫はまだ不妊手術が出来る月齢ではないので、
ここに置かず、別の場所に保護します。
そして飼ってくれる人を探します。」
「だから、あたしがご飯やってるんだから、
ここに置いときなって言ってんの!あんたもわからない人だね。
あと何ヶ月かすれば大きくなって、勝手にどっかに行くから、
その時までここに置いておけばいいじゃないの」
勝手にどっかに行く・・・。
うーん・・・。
猫が大好きと言いつつ、
その後の猫がどうなってもいいのか。
色々と矛盾。
あんたは猫が嫌いなんだね。
だから、猫をどっかにやろうとしてるんだ。
あんたは鬼。死んだらろくな目に合わないよ。
(死んだらどんな目にも合わないけどね。)
母猫を捕獲して避妊手術。
子猫は2匹と1匹に別れ預かり先に。
里親探しをするのは私。
よしっ、と。
私は着々と準備をすすめました。
(倉庫の見取り図)
倉庫の入り口は一か所しかありません。
門には南京錠がかかっていますが、
鍵を持っている私は入れます。
いきなり門をガラガラと開けて入っていくと
猫達は怖がるだろうから、他の方法も考えておく必要もある。
倉庫裏手にある駐車場の管理会社に電話をし、
駐車場側の塀から脚立を使い、倉庫に入る可能性もあるのでと、
駐車場に入る許可をいただく。
ボランティアのIMさんから捕獲器1台、
入れ替えの金属ケージ1個を借りておく。
捕獲器1台では足りないので、
保健所に捕獲器貸し出しの申し込みをする。
子猫1匹を預かって下さるKさんに貸し出す
子猫ケージと子猫トイレを用意しておく。
同時に、森本さんとKさんに渡す子猫用フードも購入。
おばあさんには、捕獲前日の晩と、当日の朝には
ご飯をあげないようにとお願いをしなくては。
(忘れてあげてしまうだろうけど。)
三木さんはお義母様の介護があり、午前中は来られません。
でも、手術の猫は午前中に病院に連れて行かなくてはならない。
IMさんは「ひとりで4匹、出来そう?」と心配してくれました。
出来るかどうかはわからないけれど、やらなくてはね。
そうこちゃんを一家を始めて見た時から、
2週間近く経過しています。急がないと・・・。
仕事が休みの水曜日に捕獲するつもりで
用意+スタンバイしていましたが、
あいにく、当日は朝から雨降りでしたので、
2日後の10月24日、金曜日の早朝に
捕獲を実行することにしました。
自宅敷地以外で行う、初めての捕獲作業です。
咎められる理由などないのですが、
他人の敷地に入って猫を捕まえることに対して
罪悪感に似たものも感じていました。
To be continued・・・