前回のお話はこちら。
2019年6月3日のブログ
「微動・伝動・連動へ:①傍観者だけではない。」
10月2日早朝に捕獲した生後4ヶ月過ぎの子猫6匹。
その日の夕方までに、獣医さんが、
保護~里親探しの為に必要な医療行為を全て行って下さり、
夜、HGさんと一緒に車で6匹を迎えに行きました。
HGさんが同行した理由は、支払いの為です。
HGさんと初めて会ってお話をした時に、
「子猫を保護して里親探しをするのであれば、
必要となる基本医療行為がいくつかある。
その費用は、後日、里親さんに負担していただけるので、
HGさんが立て替えて支払うことになる。」
と伝えてありました。
通常、捕獲直後に行う基本の医良行為とは、
◎不妊手術(月齢による)
◎三種混合ワクチン(1回目)
◎血液ウィルス検査
◎駆虫(1回目)
となり、目ヤニ、鼻水等、風邪の症状が出ていれば、
更に抗生剤等の注射が加わります。
今回は6匹一度の医療行為でしたから、
一時的な立て替えとは言え、HGさんにとって、
決して少ない出費ではありません。
子猫達は生後4ヶ月でしたが、
獣医さんの判断で6匹全て不妊手術を行いました。
1匹あたりの金額は12300円。
6匹分で合計73800円になりました。
その他に、三段ケージやトイレも
ご自身で購入されていますから、
HGさんは、既に100,000円近くの金額を
支払っていることになります。
簡単にぽんと払える金額ではないと思いますが、
かと言って、私が払う義務もありません。
子猫を保護して里親探しをすると決めたのは、
HGさんご自身です。
こういう判断の仕方は大変失礼だとは思うのですが、
HGさんがは広い敷地の大きな住宅にお住まいです。
また、賃貸物件も所有していらっしゃるという点から、
経済的に比較的裕福な方という印象を私は持っていました。
それ故、この件に関して発生する費用は全て、
HGさんがご自身で負担して下さるだろうと思っていました。
もちろん、野良猫問題に対する価値観は人それぞれですから、
富裕層であっても、猫が嫌いだったり関心がない方は、
一銭だって出さないでしょう。
また、経済的に厳しい暮らしを強いられている方であっても、
野良猫の処遇に心を痛め、自分より猫の為にと、
お金を使ってしまう方もいると思います。
HGさんには、最初にお会いした時に、
私が通常、相談者の方にお話ししていることを、
はっきりと言葉にして伝えています。
「私は、今回の猫問題のお手伝いをする為に
ここにこうして来ています。
財布代わりのボランティアではありませんから、
金銭の支払いはしません。」
「それは当然だと思います」と
HGさんは、おっしゃって下さいました。
よくよく考えてみれば、
こんなことを伝えなくてはならないというのも
非常におかしな話ですが、
猫のボランティアというのは、
野良猫問題解決の為の手伝いだけではなく、
医療費他、発生する費用までも肩代わりする人、
と勘違いしている方々が非常に多いのです。
さて、子猫達は夜にHGさん宅に帰宅し、
男の子(キジトラ1匹と茶トラ3匹)は3段ケージ。
女の子(ムギワラとキジ白)は2段ケージに入りました。
これから里親探しをすることになりますが、
まずは名前を決めて、それぞれの特徴や性格を
把握していかなくてはなりません。
インターネットでの里親探しでは、まず画像が大切です。
猫を迎え入れるにあたっては、
性別、月齢、健康状態、個々の性格等、
どういう猫なのかを知ることが先決ですが、
人はどうしても、見た目の可愛いさを優先して、
選んでしまう傾向にあります。
Well, OK, then.
それならば、目をひくような可愛い画像を、
まずトップに持ってきましょうということで、
HGさんには毎日のお世話の間に、撮影をお願いしました。
しかし、得意なこと、不得意なこと、人それぞれ。
HGさんは、撮影があまり得意ではないようで、
送信されてくる画像は、逆光だったり、
猫が端っこに寄っていたり、
ケージや背景ばかりが目立っていたり、
正面の顔がほとんどなかったり。
何とか小さく切って延ばして加工しての作業で、
とりあえず形にはなりましたが、やけに加工が目立つ、
不自然な画像になってしまいました。
子猫を保護して里親探しをスタートさせる一方で、
HGさんのお庭でやってしまわなくてはならないことが
まだ残っています。母猫のTNRです。
最初に話を伺った時、HGさんの頭は、
6匹の子猫を何とか捕まえることでいっぱいで、
母猫の不妊手術がプランに含まれていませんでした。
子猫を保護した後、母猫の不妊手術を行わなければ、
最悪の場合、1年度、また同じことの繰り返しになります。
これはHGさん宅の話だけではありません。
子猫がいるということは必ず母猫がいるわけです。
いくら子猫を外から保護して救ったと思っていても、
母猫の不妊手術を行わなければ、
その現場では毎回毎回、同じことが繰り返されます。
そういう場所が△丁目の北にありますが、
たくさんの人間がその場所を知っています。
風邪をひいている子猫がいたから、
可哀想で病院に連れ行き、そのまま飼い猫にした。
別の人が、もう1匹いた子猫を連れて帰ったそうだ。
他にも数匹子猫がいたようだが、どこかに行ってしまった。
だから、あの場所には子猫はもういない。
そうでしょうね、とりあえずあと数ヶ月の間だけは。
病気になった時、その原因がわかり、
治療法があるのならば、
根治を目指して治療を受けます。
病気の症状だけを緩和する対処療法は、
もともとの病気を治す為の治療ではありません。
そんなこと、私達は誰でもわかっています。
子猫の保護と母猫のTNRも同じです。
母猫が妊娠可能な状態であれば、
いくら子猫をせっせと保護しても、終わりがありません。
蛇口から滴り落ちる水滴でバケツが一杯になり、
その度にバケツを取り返るくらいなら、
もとの蛇口をきちんと閉めればいいのです。
子猫達の母猫の捕獲を目指します。
庭にやって来るサビ柄の母親の姿を、
HGさんは時々、目撃していました。
子猫達が庭からいなくなってしまうと、
母猫はしばらく庭に来なくなりましたが、
10月後半になると、また現れるようになりました。
捕獲器をセットして辛抱強く待った結果、
1匹のサビっぽい猫が捕獲器に入りました。
しかし、この猫=マチコは、子猫達の母親ではなく、
親族だと思われる別の猫でした。
「母猫じゃないから捕獲器から出してあげたい」
とHGさんは言い出しましたが、
母猫ではなくても、明らかに♀なのだから、
このまま不妊手術をしてしまいますと、
私の判断で、手術→預かりさん宅で療養→リリース。
子猫達の母親=ママコが捕獲出来たのは、
最初のマチコの捕獲から1週間後でした。
ママコの術後療養の為のスペースが、
その週、預かりさんではとれなかった為、
HGさん宅庭に設置したケージで、
数日療養してもらう予定でいましたが、
キャリーからケージに入れ替える際に、
ママコはするりと隙間に体をねじ込んで脱出し、
庭の外に逃げて行ってしまいました。
手術が終わってまだ数時間、
望まないリリースという形になってしまい、
ママコの体を案じていましたが、
数日後には元気そうに、HGさん宅の庭に戻って来ました。
現在も、ママコは外で元気に過ごしているようです。
HGさんの保護部屋で過ごしている子猫達。
6匹のうちの1匹、ムギワラのむぎは、
保護から数日後、HGさんの知人に貰われていきました。
残っている5匹のうち、唯一の♀ロッテが手強い。
ケージに手を入れて触ろうとすると、パンチが飛んできます。
怖い、怖いといって、ケージの中にご飯を入れるだけでは、
ロッテの人慣れも進まない、
人慣れが進まなければ、里親探しも難航するだろうから、
頑張ってみて下さいと励ましましたが、
HGさんは猫飼いの経験はあっても、
人慣れしていない猫を慣らしたことがありませんから、
そう簡単にはいきません。
他の4匹の男の子達も、ケージの中に入れば、
触ることは出来ますが、それは逃げ場がないからであって、
部屋に話したら、確保は難しくなるでしょう。
だからと言って、ずっとケージの中というのも可哀想です。
ということで、ケージから出して部屋フリーにしましたが、
ご飯をケージの中で食べさせるようにしました。
確保しなくてはならない時は、ご飯で釣って
ケージに入ったところ、扉を閉めるという方法。
HGさんも私も保護直後は、楽観視していました。
まだ生後4ヶ月の子猫達だから、貰い手はあるだろうと。
充分に人慣れしていない、そこが唯一の問題点でした。
そして、その問題点は、私たちが考えるよりも、
ずっとずっと大きかった。
希望者が現れるのを待ちますが、
何の進展もなく時間は過ぎていきます。
希望者がいなければ、このまま自分が一生、
5匹を飼わなくてはならないのだろうかという不安、
TNRしたマチコが誰かの飼い猫だったとしたら、
勝手に手術したことを、後々、他の住民から、
責められたりしないだろうかという不安。
頭の中は心配ごとばかり。
もともと病を抱えていらしたHGさんですが、
この一連の出来事で、徐々に体調を崩され、
回復傾向にあった病が再び悪化し、
やめていた薬をまた飲むことになってしまいました。
To be continued・・・