短くても幸せだった彼女の一生

7月23日,2019 | サポート, 保護猫, 日々活動

さくらちゃんが天に還っていきました。

 

 

さくらちゃんは、ジロ・チカの里親さん・YAさんが、
昨年4月にご自宅近所で保護した猫です。
末期に近い腎不全の状態で、疲れて空腹で、
行き倒れそうになっていたところを、
偶然見つけたYAさんは、そのまま放っておくことが出来ず、
看取るつもりでご自宅に連れ帰ったのです。

その頃、ご主人が海外に単身赴任中で、
YAさんは飼い猫のジロ・チカと、ひとりと2匹の暮らし。
平日はフルタイムで働いているYAさんですが、
さくらちゃんを頻繁に病院に連れて行き、
またご自宅でも補液を続けました。

 

そんなYAさんの頑張りに応えるように、
さくらちゃんも頑張ったのです。
保護した時のさくらちゃんの状態はかなり悪く、
もう長く生きられないだろうということでしたが、
あれから1年と3ヶ月以上も、さくらちゃんは生き延びました。

 

 

そろそろさくらちゃんにお迎えが来そうだと知った翌日、
どうしても最後にさくらちゃんの姿を目に焼き付けておきたくて、
YAさん宅を訪問しました。

 

 

 

既に寝たきりになり、トイレも垂れ流しになっていましたが、
一生懸命目を開いてYAさんの呼びかけに鳴いて応え、
私、もうちょっと頑張れるよ、とでも言うように、
さくらちゃんは手足をパタパタと動かしていました。

 

 

 

その翌日の、7月17日朝、
YAさんと、2月に単身赴任が終わり帰国していたご主人に見守られながら、
さくらちゃんは蝋燭の火が細って消えていくように、息を引き取りました。

 

 

 

 

お二人は都内の動物霊園でさくらちゃんの火葬を行いました。
ジロ・チカより3年遅れてYAさんご夫婦の飼い猫になったさくらちゃんは、
ジロ・チカより先にYAさんご夫婦の飼い猫としてその生を終えたのです。

 

 

 

 

 

 

10才をとうに超えている年齢でした。
シニア期に入り、末期の腎不全となり、
命の期限が迫っているさくらちゃんを
外に置き去りにして捨てた飼い主がいました。

 

でも、もうそんなことどうでもいいんです。
昔の飼い主のことは、さくらちゃん、YAさん、
そして経緯を知る全ての人間の頭の中から抹消します。
そんな人間はこの世にいなかったことにするんです。
存在すら認めたくない。

 

 

さくらちゃんは、年を取り腎不全を患った状態で、
昨年4月にこの世に生まれてきた女の子なのです。
そして、1年3ヶ月、愛されて生きた。
YAさんとジロ・チカと一緒に。

それがさくらちゃんの全生涯。
その短い一生を、さくらちゃんは精一杯生きました。

 

 

 

 

YAさんがこの1年で流したたくさんの涙は、
エメラルド色の湖になりました。
その湖の上にかかった美しい虹色の橋を、
さくらちゃんは歩いていきます。

「ありがとう」
何度もYAさんとご主人の方を振り返りながら。

柔らかい光の粒がさくらちゃんに降り注ぎ、
湖面へと落ちていきます。

橋の向こうに知っている仲間の姿が見えたのかな。
さくらちゃんが軽快に走り出します。

その姿がだんだん小さくなっていくと同時に、
湖の穏やかな水面は光に満ちて輝き始めました。

 

私にはそんな光景が見えてくるのです。

 

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ねこ藩士 まさむね

ねこ藩のイメージキャラクター
ねこ藩で一番最初に保護した子猫を基にしたキャラクター。ねこ藩のグッズなどに登場しています。モデルとなったキジトラ子猫まさむねは、現在市内の理容師さんご夫婦と一緒に暮らしています。