もっと早く手を打つことも出来たのに、
大切な飼い猫のケアを怠ってしまい、
3年以上も飼い猫に辛い思いをさせた
バカな飼い主。
私のことです。
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「この子は多分カリシウィルスか何かの保菌者かもしれませんね。」
2014年6月。
野良猫・くりこのTNRをお願いした病院で、
鼻水ズルズル状態のくりこを見て、
獣医さんがおっしゃった言葉です。
療養後、くりこを庭にリリースし、
1年と2ヶ月、地域猫として世話をしましたが、
その間にも、猫風邪らしいその症状が
悪化することはしょっちゅうでした。
2015年8月。
くりこは我が家の室内飼いの飼い猫になりましたが、
それからも頻繁に症状がひどくなることがありました。
室内に入れる際、病院に連れて行き、
ワクチン接種、マイクロチップ挿入、血液検査、
抗生剤注射、駆虫を行いましたが、
その時の獣医さんもおっしゃっていました。
「これは、ヘルペスとかカリシに感染した風邪だと思うよ。」
外で世話をしていた時も、家に入れてからも、
くりこの症状が悪化していることに気付くと、
手持ちの抗生剤を飲ませ、しばらく様子を見る、
また悪化すれば抗生剤を飲ませて・・・
の繰り返しでした。
「猫風邪は一生治らない。」と言われています。
症状が緩和されることはあっても、
保菌者として一生を送ることになるのです。
「だから仕方がないのだ」と私も思っていました。
2月17日(日)の夜、家人がビックリして私を呼びました。
「くりこが涎を垂らしてる!」
数時間前までは、いつもの籠ベッドの中で
丸くなっていたくりこが、段ボールの上に蹲り、
口は半開き、つららのように涎が垂れています。
昼間はいつものようにこまつと並んで
かごベッドで昼寝をしていました。
ここ数日、くしゃみの回数が急激に増え、
鼻詰まりがひどくなっているな、とは思っていました。
それで、また例の可もなく不可もない抗生剤を砕き、
ちゅーるに混ぜて飲ませていました。
もともと食欲にもムラがある猫ですが、
その日は朝ごはんを少なめに食べたきり、
その後は寝てばかりで何も食べていませんでした。
その晩、くりこのベッドに湯たんぽを入れ、
毛布を2枚かけて様子を見ました。
翌朝も同じ格好で丸まっており、起きてきません。
この日から、くりこと一緒にせっせと病院に通いました。
ほぼ回復の状態になるまで9日間。通院は6回。
普段は、確保しようとすると脱兎のごとく逃げますが、
症状が悪化していた間は、動くこともしんどいのか、
そうっと洗濯ネットを被せ、抱きあげてキャリーに入れると、
「うぇ~」と小さい声で鳴くだけでした。
ベッドに潜ったまま起きてきません。
食べる物は、ジュレやスープをスプーンで1,2杯。
1日でちゅーる1本だったり、2本だったり。
全く飲まず食わずの日も1日だけありました。
仕方なく、途中から強制給餌を始めましたが、
固定された上で、無理矢理口の端をめくられ、
そこからフードを入れられることを嫌がる嫌がる。
またそのフードの味も気にいらなかったようです。
当然、摂取量が少ないので、排泄も少ない。
3年ぶりの病院です。抵抗する力もない。
強制給餌では、エネルギーちゅーるや、ヒルズのa/d缶や
ロイヤルカナンの退院サポート缶をシリンジに詰めます。
改善する望みが少しでもあるならはと、
通常は3回セットで接種するインターキャット
(犬猫用インターフェロン製剤のこと)も
2回目の接種後、具合がさらに悪くなった為に中止。
名前を呼ぶと、眠い時でも必ずサイレントニャー
(口を開けるのに鳴き声が聞こえない鳴き方)で
応えてくれるくりこですが、
いくら呼んでも、話しかけても、ぐったり。
甘えん坊ですが、抱っこが嫌いなくりこが、
私の腕の中で、体重を預けてじっとしている。
足元で寝ることはあっても、一緒に寝ることのないくりこが、
私の布団の中に潜り込み、私の脇腹にぴったりとくっついて寝る。
熱のせいで体は熱く、呼吸は速く荒く、
くりこの心臓の鼓動が直に伝わってきました。
くりこが楽に選べるように、お気に入りの寝床は
全て私のベッドの上に移動しておいたのですが・・・。
私は全てのことを後回しにして、
くりこに付き添い、病院に通いました。
強制給餌後、少し目力が出てきた。
猫風邪の症状と言っても、原因菌はひとつではありません。
これまでに何度か「カリシウィルスの可能性がある」と言われただけで、
私は「くりこの風邪は、カリシウィルス感染症なのかも」と思っていました。
また、くしゃみと鼻水がひどくなることが多い為、
「ヘルペスウィルスによる猫ウイルス性鼻気管炎かもしれない」と
思うこともありました。
しかし、実際のところ、きちんと調べてみない限り、
どの菌が原因でこんな状態になってしまっているのか、
はっきりと断定は出来ません。
異なる原因菌であっても、共通の症状はありますし、
ウィルスは目に見えるものではありませんから、
獣医さんでさえも、猫の状態をみただけで
「この子は○○が原因の風邪ですね」
と100%の診断することはできません。
動けるようになると、お気に入りの寝床に
入るようになりました。
病院の診察台の上にいる時に、タイミング良く、
くりこの鼻からじゅるっと鼻水が垂れましたので、
先生はそれを綿棒ですくって検査に出して下さいました。
検査結果は、ヘルペスでもカリシでもクラミジアでもない。
「マイコプラズマ感染によるもの」だとわかりました。
先生が、「よく効く薬があります」と
新たに処方して下さったのは、
「アジスロマイシン」という薬でした。
それまで服用していたのはビブラマイシンという薬で、
それも効き目がある薬なのですが、くりこの場合は
このアジスロマイシンの服用を始めてから、
あっという間に元気になりました。
猫の免疫力等、個体によっても多少の違いはあるのかもしれません。
5日目。くりこは初めて自力で1階に降りてきて
お腹が空いた~と鳴きました。
回復したくりこは別猫になりました。
おとなしくて控え目で、常に落ち着いていたくりこは消え、
活発で勝気でやんちゃで、よく鳴く猫になりました。
また、以前よりもしつこく(笑)甘えてくるようになりました。
これまで私は、くりこの全速力ダッシュを
見たことがありませんでしたが、
回復後は1日に何度も目撃します。
本来のくりこの姿、私が初めて見る姿です。
3年もの間、体調の悪さに耐えて過ごしていたんでしょう。
もっと早く原因を突き止め、適切な治療をしていたら、
「この子はおとなしくてあまり動かない猫」なんて
誤った見解を持つこともなかった。
ハリセンがあったら自分の頭をひっぱたく、絶対。
「猫風邪で猫が命を落とすことは珍しいことではない」
それは外で生きる猫のことだと決めつけていた気がします。
体を休める為の、静かで温かくて安全な場所もなく、
適切な治療を受けることもない外で生きる野良猫。
ぜんぜん違う。
室内飼いの猫だって適切な治療をしなければ同じことです。
この3年間、くりこは大バカ野郎な飼い主の飼い猫だった。
これから、くりこはやっと普通の飼い主の飼い猫になる。
ごめんなさい、その1です。
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前回ワクチンから3年が経過しましたので、
くりこの体調が完全に戻るのを待って、
2匹のワクチン接種を済ませてきました。
病院では怖くて固まってしまうトド…こまつ。
無抵抗なので、色々と処置しやすい。
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体調の悪いくりこにずっと付き添っていた間、
もう1匹の飼い猫・こまつは鳴いてばかりいました。
構ってもらえないストレスです。
一生懸命何かを訴えるこまつ。
私はこまつを構ってあげているつもりでしたが、
それが適当で中途半端な構い方だということを
こまつはよくわかっていました。
こまつが以前に比べて嘔吐する回数が増えました。
ガツガツと勢いよく食べては、全て吐く。
これは猫にはよくあることですので気にはしていませんが、
そんなにたくさん食べているとは思えない時にも
こまつは戻すようになりました。
猫草をよく食べる猫ですから、嘔吐物の中に草も入っています。
毛玉を吐く時の吐き方ともちょっと違う。
ほんのちょっとおやつを食べたくらいで、なんで吐くの。
4月1日の朝。
リビングのカーペットの上に吐いた後がありました。
「あ”あ”~こまっちゃんは、もうっ!」
お掃除セットを持って来てしゃがみ込み、私は固まりました。
スパゲティがにょろにょろ・・・。
うぅ・・・
回虫です。便からではなく口から。
室内飼いのこまつから回虫?
と疑問に思ったと同時に、
ざーっと鳥肌が立つみたいな感覚。
「く、駆虫してなかった!」
すぐに、プロフェンダー(駆虫薬)を買ってきて、
こまつと、感染予防の為くりこにも滴下しました。
こまつを家に入れたのは2015年11月で、あれから3年以上も経っています。
もちろん、室内に入れる時にはレボリューション(駆虫薬)を滴下しました。
こまつが庭猫だった時代、トカゲやセミやスズメやネズミを、
半殺し状態あるいは惨殺状態で、せっせと私に運んできました。
外にいる猫は、与えるご飯以外にも、そういった物を口にすることがあります。
お腹にいる虫は、1回の薬で全て駆虫出来ることもありますが、
しぶとい奴は2回、3回の駆虫でやっと出てきます。
少なくとも、期間を少し開けて2回は駆虫した方がいい。
それなのに・・・。
庭にいた頃、定期的にプロフェンダー(駆虫薬)を滴下していたし、
保護時にもレボリューションを1度しているから大丈夫、
というこのアバウトな判断。
例え、家猫でも定期的に駆虫をした方がいい理由は他にもありました。
私が野良猫と接触する機会が多いからです。
野良猫に使用した捕獲器やキャリーを洗浄消毒する時間がなくて、
「明日やろう」と玄関に置きっぱなしにしたり、
外の活動で来ていた上着の汚れを、玄関に入る前に払い落さなかったり。
使用した軍手をその辺にポンと投げて置いたり。
そんな状況から、室内飼いの飼い猫が、
何らかの菌をもらってしまう可能性は大です。
実際、使用した金属ケージを玄関内に短時間置いた時、
ケージの柵にこびりついていた「銀のスプーン」(まぐろ)を、
こまつがちょいちょいとはがして食べていたことがありました。
3年前からしぶとくこまつの体内で生き延びていた奴なのか、
私が外から持ってきた何かが原因なのか、真相はわかりませんが、
定期的に駆虫をしてあげていれば、今回のようなことは起こりづらい。
これも私の詰めの甘さからくることで、
またもや、バカ野郎飼い主の条件を満たしています。
ごめんなさい、その2です。
ごめんね、こまっちゃん。
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こういった活動を始めてから
友人知人、近所の方々、そして時には保護猫の里親様達から、
猫についての様々な質問を受けるようになりました。
自分でわかる範囲で回答したりしていましたが、
それではあまりにも心許ないと思い、
愛護動物飼養管理士の1級の資格をとりました。
国家資格ではありませんから、資格自体は大それたものでもなく、
また合格する為のハードルも高いものではありませんが、
2級および1級の受験の為に勉強した内容は、
動物愛護の歴史、人間と動物の関係学、動物に関する法律
動物の行動と社会、犬猫の栄養学、遺伝と繁殖、
疾病の種類と予防、感染症、体のしくみ、
犬猫の学習としつけ、飼養管理と公衆衛生、等々
動物と接する上でとてもためになることばかりです。
他人に答えを求められれば、
こういった知識が役立つこともあり、
「○○ですよ」と答える一方で、
毎日一緒に生活している自分の飼い猫を
こんな目に合わせているようでは救いようがない。
深く反省した今回の件でした。