前回のお話。
2020年6月23日のブログ。
「みんなかわいい:①ウシくん」
ウシ君の去勢が済み、これで事業所にいる猫3匹は
みな揃って不妊手術済の猫となりました。
実際、社員の方々が手術をしたのはウシ君だけですが、
ぶっちゃんとおはぎちゃんも不妊手術済なのです。
ぶっちゃん(左)とおはぎちゃん(右)
ぶっちゃんはこの8年近くの間、
一度もお腹が大きくなったことがなく、
子猫連れでやってきたこともないそうですから、
耳カットがなくても、手術済の猫と考えて良さそうです。
おはぎちゃんは、なぜか既に右耳にカットがありました。
(市川市とその近郊では、通常、メスの場合左耳カットです。)
どなたがこの猫達に不妊手術をして下さったのかはわかりませんが、
この地域にお住まいの数名の方々に話を聞くうちに、
少しづつ、この子達の過去が見えてきました。
昔、この事業所から直線距離で60メートルと離れていない場所に、
食品販売業を営んでいる個人事業者の方の事務所兼倉庫がありました。
倉庫の外には常に複数の猫達がうろうろしていました。
事務所の方々が猫達に不妊手術をした上で
親子猫達にご飯をあげて下さっていたようです。
地域猫ということですね。
その後、事業者は会社をたたみ、
倉庫だけが残っていましたが、
その倉庫もだいぶ前になくなりました。
この地域には、その倉庫から比較的近い場所で、
地域猫の世話をしている方々が数名いますが、
ぶっちゃんとおはぎちゃんの画像を見せても、
ご存じないようでした。
この女子2匹は、もともと倉庫でご飯をもらっていて、
何かきっかけがあり移動していったのかもしれません。
反対方向にある、近くの地域猫現場ではなくて、
Nさん、HYさん達が務める事業所に。
ウシくんによく似た、白黒男子も、
近くの地域猫現場で目撃されていましたが、
2匹の画像を突き合わせ確認してみると、
似てはいますが別の猫であることがわかりました。
事業所の前にあるマンションの住人の方々も、
ぶっちゃん、おはぎちゃん、ウシ君に
ご飯をあげているとのことですので、
この子達は地域猫として見守られているようです。
わかっているのは、日中、事業所の敷地内にいることだけ。
事業所の休日には、社員の方がわざわざ、
猫達にご飯をあげて来て下さっているそうですが、
その際にも3匹はちゃんと敷地内で待っているのです。
しかし、この3匹が、寒い夜や悪天候の時に、
どこに隠れているのか、どこで休んでいるのか、
事業所の方々もいまだにご存じないのです。
こんなに人慣れしている猫達ですから、
家の中に入れて飼って下さる方がいるといいんだけど・・・。
ご飯をあげて下さっているHYさんもKYさんも、
ご自宅では猫の多頭飼いをしています。
これ以上、飼い猫を増やすのは厳しい。
もしも、HYさんかKYさんがこの子達を飼うのではなく、
一時的にご自宅に保護してお世話をして下さるのなら、
里親探しのお手伝いをしようと思っていました。
ただ、この子達は皆さんが事業所でお世話をしている猫ですから、
急いで保護する必要はありません。
そのうち、そういう時が来たら・・・という前提の話でした。
物事には必ず自然な流れというものがあります。
無理もせず、焦りもせず、こじつけず。
雪解けの澄んだ水が、さらさらと浅い小川を静かに流れていくように。
それは、事業所の猫、おはぎちゃんに起こりました。
2020年11月3日。
ねこ藩は、いちかわ市民まつりに参加しました。
お買い物に来て下さる地元の方々や、里親さま達、知人達、
猫に関する相談があってブースに立ち寄る方々。
この日、開催場所である公園のすぐ近所に住んでいるという
Oさんと知り合いになりました。
2匹の飼い猫のうちの1匹が最近亡くなり、
Oさんはペットロス状態に陥っておられました。
涙ながらにその話をして下さるOさんに、
「ずっと大切に育ててもらって、猫さんは感謝していますよ。」
「早く、前向きな気持ちになれるといいですね。」
そんなありきたりの言葉しかかけてあげられませんでした。
それから3ヵ月後、Oさんからメールが届きました。
「また猫を飼う気持ちになれました。
紹介していただける保護猫はいますか?」
飼い猫のサバくんが淋しそうにしているのを見て、
もう1匹、お友達をと思われたのです。
子猫ではなく、大人の猫を。
2日後、Oさんが我が家に来て下さいましたので、
パソコンの画像を一緒に見ながら、
里親募集中の猫達を紹介していきました。
「この子、可愛い。」
Oさんの目を惹いたのは、我が家の庭にいる地域猫・くららです。
庭のくらら。
しかし、くららは、まだまだ人慣れには程遠い。
我が家に居着いて2年。
ご飯をあげる私が、やっと頭を撫でたり、
ブラッシングできるようになったくらいで、
確保はまだまだ難しい、警戒心の強い女です。
そこで、くららによく似た別の白三毛を紹介しました。
事業所のおはぎちゃんです。
人に慣れていること。
抱っこができること。
事業所の方達がお世話をして下さっていること。
どこで寝ているかはわからないこと。
「私、おはぎちゃんを迎えたいです。」
Oさんはそう言って下さり、
その後、おはぎちゃんに会いに、
ご自分の足で事業所に出向いて下さいました。
事業所の社員の方々もびっくり。
可愛がっていたおはぎちゃんがいなくなることに
淋しい気持ちがあるのは当然ですが、
家の中で可愛がってもらい、
安全に暮らせるのであればと、
快く送り出して下さいました。
ウシ君をリリースしてから4日後、
社員のHYさんが、おはぎちゃんをキャリーに入れて下さいました。
Oさん宅には飼い猫・サバくんがいますから、
血液ウィルス検査をする必要があります。
【*血液ウィルス検査:猫エイズウィルスと猫白血病ウィルスの
キャリアかどうかを調べる検査】
おはぎちゃんを預かって病院に連れて行き、
駆虫、三種混合ワクチン等、必要な医療行為をお願いしました。
血液ウィルス検査の結果は、どちらも陰性。
これで、おはぎちゃんはサバくんと一緒に暮らすことが出来ます。
とは言っても、おはぎちゃんは外で生きてきた猫。
家の中でどういうふるまいを見せるのか。
家猫としてうまくやっていけるのか。
ここで、預かりのKさんの出番です。
おはぎちゃんは病院からKさん宅に直行。
Kさんが、1週間、おはぎちゃんを預かって、
様子を見て下さることになりました。
Kさん宅に到着したその日、その瞬間から、
おはぎちゃんはケージ内のベッドで
安心したようにくつろいでいます。
騒がず暴れず、表情もとても柔らか。
2月29日。
Kさん宅で1週間過ごしたおはぎちゃんを
Oさん宅にお届けしました。
一応、ケージをお貸ししましたが、
お部屋の中でごろんごろんするようになり、
ケージはすぐに不要となりました。
Oさん宅でもおはぎちゃんは全く変わりません。
ケージから出ると、隠れるわけでもなく
居心地のいい場所を探し当てて、
サバくんよりえらそうにふるまっています。
先住猫のサバくん。
サバくんはフレンドリーな猫ですから、このように近くにいても大丈夫。
可愛いリボンをつけています。
2匹、いい感じでぬくぬく。
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地域猫といっても、外で生きている猫ですから、
その行く末は様々です。
年をとり寿命が来て、そのうち姿を見せなくなる猫。
病気になったり、事故に遭って亡くなる猫。
しかし、お世話をして下さっている方や、
ご近所の住人に引き取られたりして、
室内飼いの飼い猫になる、幸せな猫もいます。
おはぎちゃんもそうです。
市民まつりがなければ、私とOさんは、
知り合いにはならなかったかもしれません。
私がNさんと知り合いでなかったら、
事業所の猫のことなど知らずにいたかもしれません。
2年前、くららが我が家に偶然やって来なければ、
私はくららを知らずにいただろうし、
くららが我が家の庭に住むこともなかったでしょう。
Oさんが、くららに興味を持って下さらなかったら、
おはぎちゃんを紹介することもなかったでしょう。
Oさんとおはぎちゃんの接点はゼロでしたが、
縁というものは、こういう風に、
ぽっと出てくることもある。
人間同士の繋がり、情報の共有は
大切なものだとあらためて実感しました。
ウシ君とぶっちゃんは、相変わらず、
事業所敷地でのんびりと過ごしています。
意外なところでご縁が見つかり、
あたかもそれが決まっていたかのような流れ。
ウシ君とぶっちゃんも、いつか、
そんなご縁に恵まれるといいな。
The End.