前回のお話。
2021年2月10日のブログ
ねこ藩城下の猫たち:⑨トントンを知る(2)。
https://nekohan.jp/archives/13230

 

 

トントンの要求鳴きの理由のひとつは「食事量の不足」、
つまり、空腹を訴えていることがわかりました。

 

次に、原因を究明し、改善が必要とされるのは、
「家の中を歩き回りながら鳴く」という行動です。

 

「うろうろと歩きまわる」という行動は、
他の猫にもみられる行動ですが、
なぜ、猫は「うろうろと歩きまわる」のでしょうか。

 

 

 

 

 

本来、猫科の生き物は、狩りをして食料を得ることと、
安心できる寝床を確保しておくためにテリトリーを持ちます。
テリトリーとは縄張りのことです。
猫科の生き物はテリトリー意識がとても高いと言われています。

 

そのテリトリーは他の存在に侵されてはなりません。
毎日、テリトリー内をパトロールし、
テリトリー内に異変がないかどうかを確かめます。

そして、「ここは私のテリトリーだ。」と他の個体に知らせる為、
テリトリー内にあるものに体を擦り付けたり、
尿をかけたりして、自分のにおいをつけます。
この行為をマーキングといいます。

人間が「ここは私有地。無断で入るべからず。」と
貼り紙を貼るようなものでしょう。

 

室内飼いの猫のテリトリーは、当然のことながら、室内です。
自分のハウス、ベッド、食事をする場所やくつろぐ場所、
ご飯をくれたり、撫でてくれる人間の手、
そして、その人間そのものもテリトリーです。

また、実際に歩き回ったりマーキングすることは出来ないが、
猫の目に映る場所もテリトリーの一部なんです。
室内飼いの猫の場合、「外の景色」です。

テリトリーは猫が安心できる場所でなくてはなりませんが、
テリトリーの中には「探索したい場所」と「見張り場所」が含まれています。

 

「探索したい場所」とは、普段あまり入れない部屋、
トイレや風呂場、押し入れやクローゼットの中など。
猫の出入りが禁止されている場所で、
猫が「そこに入って行けそうなのに行けない」と
わかっている部屋なども、「探索したい場所」です。

 

「見張り場所」とは、通行人、車の往来、鳥などの動きなど、
常に何らかの変化がある場所(通常は屋外)を監視するところです。
完全室内飼いの飼い猫は家の外に出ることはありませんから、
「見張り場所」から外を眺めて、監視することになります。
それが出来るのが「窓」です。

 

 

 

 

 

 

よく、飼い猫が窓辺に座り、じっと外を見ていることがあります。
まるで黄昏れているかのように窓から外を眺めている愛猫の姿に、
「ああ、外に行きたいんだな」と思っている飼い主さんもいます。

飼っている猫が野良出身の場合、外への未練が断ち切れない猫も
中にはいるかもしれませんが、
多くの場合、この行動は「観察」「見張り」であり、
猫にとっては欠かせない日課です。

 

自分のテリトリーに何か変わったことがないかどうか、
チェックしているんですね。

 

 

 

 

トントンの行動を記したメモを見ると、
トントンが歩き回るコースは、毎回ほぼ同じルート。

「うわああん、うわあああん」と鳴きながら、
1階のリビング~勝手口~廊下。
ルーティンのように、何度もぐるぐると歩き回ります。

 

動物園にいるクマやトラが、柵の中で、
同じ場所を行ったり来たりしていることがありますが、
あれはストレスからくる行動だと聞きました。
トントンの行動もストレスのせいか?

 

いや、多少のストレスは感じているかもしれないが、
どうも違うように思える。

 

トントンは、窓や玄関など外の空気を感じられる場所に行き、
網戸や壁をカリカリしたり、体当たりしたりすることはありません。
つまり、外に出たいという気持ちはない、とは言いませんが、
外に出たいという要求は強くなさそうです。

 


リビングの掃き出し窓。左側のお宅の庭、塀向こうにある木々と鳥たち、
路地に入ってくる人間達の動きが見えます。

 


飼い猫のくりこも好きな勝手口。裏のお宅の住人の行き来が見えます。
ここはあまり陽が当たらないので、開けておくと秋冬は寒い。

 


玄関横の窓。
駐車スペースや、右隣のお宅の庭が見えます。

 

 

 

 

リビングの掃き出し窓~勝手口~玄関横の窓。
ぐるぐると回り、要注意場所のチェック。
そして鳴く。

 

あっ、わかったかも!

 

トントンは、自分のテリトリーを、
しっかりと目で見てチェックすれば満足ですが、
時々、テリトリーチェックをする場所が、
何かによって塞がれ、視野が遮られてしまっている。

 

例えば、勝手口の網戸は、喚起の為に開けておくこともありますが、
夜は閉めてしまいますし、また寒い日も開けません。
玄関横の窓は、時々、出かける際に持って出るものを置いてあります。
それが、折り畳みケージや、寄贈品の段ボールなど、
かさばるものであれば、窓を塞いでしまいます。
リビングの大きな吐き出し窓は、太陽光が入る場所ですが、
気温が下がってくれば、外のシャッターを完全に閉めてしまいますから、
庭を見ることは出来ません。

 

トントンが鳴いて歩き回っている時に、確かめてみると、
やはり、そうでした。

 

特に勝手口の網戸。

 

テリトリーチェックをしたいトントンにとっては、
それが出来ない状態になってしまい、
「ちょっと~、見えないよ~」ってことなんですね。

 

また、網戸越しに、他の庭猫達と挨拶をしています。
時には、くららが勝手口の外に座ってくつろぎ、
トントンは網戸の内側で同じように静かに座っている。
庭猫時代い仲良しだったくららとトントン。
社交の場所でもあるようです。

 

 

 

 

外にいた頃、トントンは、よく動きまわる猫でした。
風で揺れる草木、地面に落ちた枯れ葉、
フェンスに掛けて干してあるマット・・・。
そんなものまでターゲットにして遊んでいました。

時々、私が、ヘビに見立てた長~い紐を持って、
路地の端から端まで小走りに移動すると、
トントンは野生の獣のように、
いつまででも紐を追いかけ、遊んでいました。

 

猫は1日に5-6度、真剣なハンティングモードになるそうです。
この時に「獲物を追いかけたい・狩りたい」という欲求が
満たされるような行動をとらせる必要があるのです。

要するに、1日にある程度決まった運動量をこなさないと、
それは猫のストレスに繋がります。

 

運動不足。

 

 

室内に入った途端、トントンの日常には
「運動したい要求」が満たされる頻度が
極端に少なくなってしまったのです。

 

 


庭猫時代。

 

 

 

仕事、家事、ボランティア活動に加え、通院などの用事。
少しでも時間が空くと、たまっている雑用を詰め込みました。
トントンはおろか、飼い猫2匹と遊んであげる時間さえ、
とれない日々が続いていました。

 

これじゃ、だめだ。

 

 

3分でもいいから、相手をしてあげなくては。
遊ぶ時間がないのなら、ひょいと抱き上げて、
「忘れてないからね。」と声をかけるだけでも良かったのです。

「はいはい、わかった、いい子、いい子」と
簡単に頭を撫でたり、お尻をポンポンして終わるのではなく、
対話の相手をして向かい合ってあげなくてはいけなかったのです。

 


そばに座り、私の作業をずっと見ているトントン。
性格が甘えん坊なだけに、かまってもらえずに、
ちょっと寂しさを感じていたのかもしれません。

 

 

 

To be continued・・・