子猫はみんな同じように可愛いものですが、
保護して育て、毎日接していると、
個体によって、性格や行動が全く異なってきます。
今日は、昨年保護した、
とてもとても不思議な行動をする子猫の話です。
2022年9月18日。
ルルちゃん一家の件で知り合った、
縫製会社社長のHさんから連絡が来ました。
「昨晩、うちの社員さんが子猫を保護したんです。」
その社員・TNさんと直接連絡を取り、
子猫保護の経緯を詳しく伺いました。
前日の夜、職場の1階で残業をしていたTNさんは、
外で子猫が叫び声をあげているのを耳にしました。
慌てて出てみると、会社の駐車スペースで、
1匹の小さな子猫がハクビシンに襲われていたのです。
子猫は首を噛まれて怪我を負っており、
恐怖で動けなくなっていました。
かなり酷い噛まれ方です。
時刻は夜の19時をまわったところ。
近場の動物病院に連絡をしましたが、
3軒とも既に診察時間を過ぎて閉まっている。
この辺りで唯一、夜間資料を行っているのは
医療機器の設備に優れた、医療費が高いK病院です。
翌日まで待つという選択肢もあったかもしれませんが、
TNさんは迷わず、すぐに子猫をK病院に連れて行きました。
怪我の治療、駆虫、補液、抗生剤注射に、内服薬の処方。
その晩、TNさんはその子猫を自宅に連れ帰りました。
翌日、TNさんは子猫をキャリーに入れて、職場に同伴出勤。
そこで、「この猫を保護して里親さん探しをお願いできるか。」と
社長さんから連絡があったのです。
TNさん曰く、
とりあえず昨晩は家に連れて帰ったものの、
猫嫌いの家族がいるので、家にずっと置いておけない。
怪我の様子も心配だし、自分がみていてあげられるから、
職場に連れて来ている。
I see.
(なるほど・・・ )
失礼ながら、昨晩K病院で、
TNさんが支払った医療費の金額を訊ねました。
4万・・・
4万・・・
4万・・・
WAIT!!
猫のボランティアじゃないですよね?
猫飼い一家でもないですよね?
それなのに、咄嗟に怪我をした子猫を保護して
高いと評判のK病院に連れて行って下さった。
治してあげたいと、躊躇うことなく自腹を切って下さった。
猫嫌いの方がいるご自宅に連れて帰って下さった。
TNさん、頑張って下さったんだ。
はい!
即、バトンタッチ決定!
ボランティアが、ほいほいと猫を引き受けていたら大変なことになります。
なので、通常は、保護した方に出来るだけ頑張っていただきますが、
事情をお聞きし、これはTNさんと子猫を助けてあげなきゃ、だめでしょ。
かかった医療費の半分もこちらで負担しよう、そう思いました。
咄嗟にこの小さな子猫を助けたはいいけど、今後どうしたら・・・。
TNさんだって、不安を感じていたと思います。
用事がぎっしりと詰まっていたため、
社長さんの会社に伺ったのは、
連絡をいただいてから3日目のこと。
その日もTNさんは、子猫を会社に連れて来ていました。
TNさんの職場で。
子猫は職場の皆さんに
温かい目で見守られているようでした。
キャリーの中でおとなしくしていた子猫が
きょとんとこちらを見ています。
まあ、可愛らしい男の子。
そして、とってもハンサム。
同行したANさんが抱き上げても無抵抗。
おとなしく腕の中におさまっています。
あら~、
いい子ちゃんだわ~。
2日後に、あらためて子猫を迎えに来ますから、
それまでお世話をよろしくお願いしますと伝えました。
「私達が引き取ったら、TNさん淋しくなっちゃうでしょうね。
あんなにおとなしくて可愛い男の子だもの。」
車中でANさんとそんな話をしながら、別の猫案件場所に向かいました。
この子は、ねこ藩仲間でいつも子猫の預かりを引き受けて下さる、
上村さんがお世話をして下さることになりました。
その頃、夏に保護した子猫で、里親さんがまだ決まっていなかった、
いちごという黒猫が仲間のANさん宅にお世話になっていました。
(ANさんのお父様はその子を飼う気満々でタンゴと呼んでいましたが。)
いちご。黒猫の女の子。
ANさんの同僚の知人で、
子猫を希望している候補者さんがいるとわかり、
しかも、2匹迎え入れたいということで、
だったら、今回、TNさんから引き取るこの子も黒猫で、
いちごとほぼ同じ時期の生まれなのだから、
いちごとセットにして、名前は「大福」。
いちご大福。
ステキ。
が、後日、希望者さんは女の子がご希望だとわかり、
残念ながら、こちらで勝手に盛り上がっていた、
「いちご」「大福」作戦は消滅しました(笑)。
さて。
外から猫を保護する際に忘れてはいけないこと。
それは、その猫が本当に野良猫なのかどうか、ということです。
どなたかに飼われている猫で、室内室外、
出入り自由な飼い方をされている猫かもしれないし、
脱走中の迷い猫かもしれない。
あるいは、地域猫として、どなたかがお世話をしている
可能性だってあります。
大ちゃんは比較的きれいな状態でした。
生後2ヶ月半くらいで、人をあまり警戒していないことから、
人間と関わってきた経緯がありそうだと思いました。
飼い猫にしろ、地域猫にしろ、会社周辺に、
大ちゃんのお世話をしていた住民がいるかもしれない・・・。
そこで、大ちゃんについての情報を求めるフライヤーを作成し、
会社周辺の何か所かと、自治会の掲示板に貼付しました。
これを見て、大ちゃんの飼い主さんか、お世話をしていた方が
名乗り出てくれるといいのだけれど・・・・・なんて口で言ってはいても、
誰も名乗り出て来ないだろうと思っていましたし、
このまま誰も名乗り出てきませんようにと、心の中で願ってもいました。
こんな小さい子を外に放っておくんだから、
そんな環境で飼われるよりも、
家の中で飼ってくれる里親さんのところに
行った方が幸せになれるよねえ。
と掲示板へのフライヤー貼付許可をいただく際、
自治会長さんさえ、そうおっしゃっていました。
そして、予想(期待)通り、
大ちゃんに関する連絡は1件もありませんでした。
これで、私達の保護猫として、
大ちゃんの里親さん探しをしてあげられる。
しかし・・・
安堵の気持ちと高まる期待に反比例するように、
大ちゃんの人慣れ度が怪しい感じになっていき、
同時に考え難い不思議な行動をとるようになりました。
To be continued・・・・・