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レジ袋の中の赤ちゃん猫:①ドンキホーテと嵐が丘

 

赤ちゃん猫、子猫を育てた経験がある方ならば、
その成長の早さと変化に驚いた記憶もあるのではないですか。

昨日までは登りたくても登れなかった台の上に、
今日は一度のジャンプで乗っかっている。
トテトテと危なっかしく走ってはずっこけていたのが、
一直線に猛ダッシュするようになる。
頼りなげにピーピー鳴いていた小さな声が、
ご飯の気配を感じた途端、大絶叫になる。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

↑ ↑ ↑
上村さんが丸一日遠出をすることになり、
2泊3日で我が家に滞在していたヒースとクリフ。
元気に遊んでいました。

 

 

 

 

 

 

 

Nさん宅の、お転婆キトリ。

 

そろそろ離乳の時期になろうとしています。、
ミルクと併せて、やわらかいフードを与え始めました。
フードを自分でお皿から食べるのに、なぜミルクは哺乳瓶。
お皿にミルクを入れても拒否しています。
でもまあ、気長に見守っていけば、自然と哺乳瓶→お皿、
ミルク→水へと、自分達で摂取の仕方を変えていくでしょう。
上村さん宅のヒースとクリフ、Nさん宅のキトリとバジル。
赤ちゃん達は子猫へと、順調に育っていたはずでした。

 

 

保護から2週間が過ぎた5月23日~24日に、Nさんから来たメールの内容です。

5月23日 午前10時
「先程、バジルが勢いよく吐いていたので病院に連れて行こうかと思います。
喉からしゃくりあげるような声を出していました。」
5月23日 午後1時
「軽く脱水していて、胃が炎症しているらしいので、点滴と注射をしてきました。
朝はキトリと争ってミルクを飲んでいたのに・・・。」
5月23日 夜12時
「今日病院から帰ってから、バジルが良くならず、何も受け付けません。
夕方から4回程、泡みたいなものを吐きました。今夜が不安です。」
5月24日 午前8時
「少しだけ離乳食を欲しがっていますが、ミルクは拒否しています。
今週はミルクだけにするように病院で言われましたが、心配なので、
M病院に行ってきます。」
5月24日 午前10時
「血液検査の結果、ヘマトクリットと赤血球の値が低いので、
感染症かもしれないと。毎日注射に通うことになりました。」

元気で過ごしていたバジルの容態が加速度的に悪くなっていきました。

 

お腹がすいているのに、上手に飲めない食べられないで、
空気ばかり吸い込んでお腹がパンパンになってしまった。
シリンジでミルクを飲ませていた私のやり方がまずかったのか。
主人と話し合い、バジルには出来るだけのことをしてあげようと思っています。

 

 

そして、バジルはM病院に入院しました。
私は、Nさんと一緒に入院中のバジルに会いに行きました。
私も専門家ではないので難しいことはわかりません。

 

「食べ物が口から入れば、それは喉、食道を通り、胃に行くけれども、その流れが出来ていない。
開腹手術すれば正確なことはわかるだろうけれど、まだ小さすぎておすすめできない。
ぜん動運動の障害と、脳神経からの信号がきちんと出ていない感じです。
これは、先天的なものだと思います。自力で飲んだり食べたりすることも出来なくなってる。」

 

先生はわかりやすく説明して下さいました。

 


 

ふっくらして可愛かったバジル。
カテーテル給餌で、顔は汚れ、
やつれていました。

 

 


 

 

 

 

 


 

 

見ているのが辛くなります。

 

 

 

自力で食べることが出来ない、食べた物を取り込むことも出来ずに戻す。
それでは、全く栄養がとれない。成長しない。生きられない。
「自分では生きていけないということでしょうか。この先どうなるんですか。」

 

ものすごく言いにくいことだったでしょう。
でも、先生はハッキリと言って下さいました。

「今はずっと奥までカテーテルを差し込み、強制給餌をしています。
バジルちゃんにとっては、とてもとても苦しいと思います。
カテーテル挿入の給餌は、一般の方には用意ではないです。お家でやるのは難しい。
かと言って、病院で預かり、一生、こうやって強制給餌をするわけにはいきません。
ご自宅に連れ帰って衰弱していくのを見守るか、苦しみを終わらせてあげるか、です。」

 

あと1週間、このまま入院を続けて様子をみる。
自力で食べられるようになれば、希望がもてる。そうでなければ・・・。

 

来週、また先生と話して、今後どうするのかを決めましょうか、
とNさんと話してその日は別れました。

 


 

 

 

病院では保育器のような部屋にいるバジル。
先生も看護婦さんも手をつくして下さっていましたが、
ひとりでいる時間の方が圧倒的に長い。

 

 


 

 

Nさんに抱っこされて、バジルは少しの間、
安心したような表情でした。

 

 

明日、突然、「自分で食べる~、自分で飲み込む~全然、問題ない!」
なんていう状態になるんだろうか。その可能性はないに等しいだろう。

 

私も重い気持ちでしたが、保護してからずっと世話をして可愛がってきた
Nさんの気持ちは計り知れません。
2つある選択肢は、どちらも、どうやって終わらせてあげるのか、ということなのですから。

 

 

 

3日後、Nさんから連絡がありました。
「今朝、バジルが病院で亡くなりました。」

 

朝、自分からご飯のお皿に顔を突っ込んで少し食べていたということです。
先生とスタッフの方がミーティングを始めた直後、
食べたものを喉に詰まらせて、息が止まってしまった。

 

Nさんはすぐにバジルを引き取りに行きました。
翌日、お花と子猫フードを箱に入れ、私とNさんでクリーンセンターに行き、
小さなバジルが入った、軽い軽い箱を職員方に預けて、火葬をお願いしました。

 

 

 

 

 

お焼香が出来る仏壇。
とてもきちんとしたシステムです。

 

 

 

 


 


お腹いっぱい、自分の力で
食べさせてあげたかったな。
子猫のフード、入れておくよ。

 

 

 

火葬が済んだ後日、Nさんと再びクリーンセンターを訪れ、
バジルの骨を小さな缶に納めました。
Nさんは、バジルの写真と共に、その缶をご自宅に置いています。

 

Nさんと話しました。
辛い決断が出来ずに先延ばしにしていた私達の変わりに、
先生が選択して下さったんじゃないだろうか。

 

バジルは逝ってしまいましたが、
小さい体で苦しんだ日々は終わりました。

 

 

 

生まれ変わったら、デブ猫になってもいいから、
大食漢になりな。

 

 

 

 

 

 

さよなら、バジル。