2018年6月30日
知人のCDさんから連絡が来ました。
「近所の森を見に行ったら、野良猫がたくさん出てきました。
その中に酷い疥癬の猫がいて目が塞がっています。
耳カットがあります。市が一斉TNRでもした地域なんでしょうか。」
添えられた画像はショッキングなものでした。
[目が塞がり衰弱した猫」
CDさんは、毎年、市民まつりのねこ藩ブースに遊びに来て下さる方です。
ご一家には、子猫の時に保護したキジトラの可愛いきょうだいがいます。
[よく似たきょうだいチャコ♀とダイア♂]
野良猫がたくさん出てきたという森は市の外れ。
我が家からは距離があり、あまり馴染みのない場所でした。
耳カットが入った猫がいるということで、
その場所近辺に地域猫登録グループがないか、
野良猫がたくさんいる場所として話題になっていないか、
仕事の合間にネットで調べてたり知り合いに聞いたりしましたが、
実態がよくわからないまま。
管理と言える程のものではないみたいだけれど、
地元の住民が餌をやったりしているらしい。
CDさんが聞き込みによってそんな情報を得てきました。
[自然が残っている場所。この右手奥が現場です。」
翌日、CDさんからまた連絡が来ました。
「主人と行って捕まえました」
はやっ!
CDさんは保護した猫を病院に連れて行き、
疥癬の治療薬であるイベルメクチンの皮下注射。
帰宅後猫を隔離ケージに入れました。
ケージが置かれた部屋は2階の1室。
疥癬は猫にうつりますから、飼い猫さんとは完全隔離。
また、猫の疥癬は人にもうつりますので注意が必要です。
[ああ、辛そう。でももう大丈夫、治るよ!」
保護から3日目の夜、
とりあえず手元にあった数個のad缶を持って、
CDさん宅を訪問しました。
[*ad缶:日本ヒルズ販売の、高タンパク・高カロリーの特別療法食。]
猫の名前は、ダニ得る、じゃなかった、
ダニエル=Daniel。
(^_^;)
部屋のド真ん中にステージのように置かれたケージ。
これはなかなかgood ideaです。
ダニエルは緊張すると思いますが、
CDさんご一家にとっては、360度、
どの位置からでも見られますから、
ダニエルの全身状態を観察できます。
ダニエルの体から剥がれた皮膚が
ケージのフロアにバラバラと落ちています。
[皮膚が飛散しないよう、ペットシーツでカーテンを。」
感染予防の為、CDさんご一家は手で直接ではなく、
孫の手らしきモノを使ってダニエルとの
スキンシップをはかっていました。
[こちょこちょ。」
私自身、猫疥癬についてはある程度知っていますが、
疥癬にかかった猫を保護したことがありません。
CDさんがご自身のInstagramに投稿された経緯を
読んでいただくと、とてもわかりやすいと思います。
ダニエルの変化を見てみましょう。
(ライザップじゃないから!)
右が保護直後で、左が元気になっ・・・あれっ?
空気を入れ過ぎちゃった感・・・。
もう少し細かく見てみると・・・
回復に向かう過程がよくわかります。
右上が精悍な顔つきでベストに見えますが、
そこで止まらず通り越しましたな(笑)。
でも、まあ、丸っこくて可愛いじゃないの。
[別猫ではない。ダニエルです。別の猫ではないです(二度言う)。」
保護から8ヶ月経ち、ダニエルはCDさんご一家の3匹目の飼い猫として暮らしています。
♂のダイア君は割と早い時期から、ダニエルの側にいるようになり、
チャコちゃんは、まだ少し警戒しているかな。先住の♀ですからね。
ダニエルは、徐々に人にも猫にも新しいお家にも慣れていっているようです。
まだ好きに触らせてくれる程にはなっていませんが、
CDさんが昼寝をしていると側で一緒に寝てくれるようになったそうですよ。
酷暑の中、ひどい疥癬で衰弱していたダニエル。
あのまま放置していれば、間違いなく命を落としたでしょう。
CDさんのご主人の目にとまってくれて、
CDさんご夫婦がすぐに保護して連れ帰って下さって、
CDさんご一家が暖かく見守って下さっていて、本当に良かった。
末期の疥癬だった野良猫ダニエル。
腎不全が進んだ捨て猫さくらちゃん。
2匹がそれぞれに出会った人間はたくさんいたと思いますが。
その中のたったひとり、CDさんとYさんが命を救ったのです。
弱っている猫、怪我をしている猫を外で見かけることがあるかもしれない。
その時に、可哀想だけれど自分は助けてあげられないから、
見ていてもしょうがない、とその場を立ち去る人は多いと思います。
そのような猫の運命は、遭遇した人間の手のうちにあります。
人それぞれ事情もあるでしょうから、保護してあげて下さいとは言えないし、
保護しなかったからと言って非難するものでもありません。
ただ、保護してしまえば何とかなる場合も多いと思います。
優しい人には、優しい人達が、
ポジティブな人には、ポジティブな人達が、
フットワークの軽い人には、フットワークの軽い人達が、
集まってくるものです。
知恵を絞り、情報を共有し、出来ることを分担して行う。
そうすることによって1匹の動物の命を救えることもあるのですから。