前回のお話はこちら。
東奔西走スピンオフPART(3):Family Tree「ミアはどこから?」

東奔西走スピンオフPART(3):Family Tree「ミアはどこから?」

 

 

 

ここまで、ずっとミアのFamily Treeについて書いてきましたが、
ミアはM姉妹宅にやって来た初めての猫ではありませんでした。

M姉妹が現在のお住まいに越してきてから、
ミアが現れるまでの2年半の間に、
M姉妹宅のベランダとその付近には
ある猫一家が住んでいました。

M姉妹の撮影により、その一家の画像も
たくさん保存されています。

 


【M-side 関係図】

 

 

上記はM姉妹の記録と視点から作成したFamily Treeです。
「ちゃとら」という♀猫から、3代目までFamily Treeが広がり、
その後、見事に全ての猫の消息がわからくなっています。
3匹の大人猫、そして、4匹以上いたはずの子猫達は全て、
M姉妹宅から去り、姿を消してしまったということです。

 

この頃、M姉妹は猫の毛色についての表現をよく知らず、
キジトラ柄を「茶トラ」だと思っていたことから、
キジトラの母猫に「ちゃとら」という名前をつけました。
(「ちゃとら」の「ちゃ」にアクセントです。)

 

 

2度の出産後、最初にいなくなったのは、母猫「ちゃとら」でした。
その後、「ちゃとら」に続き、彼氏の「ちゃしろ」が消えました。
「ちゃとら」が最初に産んだと思われる子「ながとら」は
だいぶ大きくなってから、いなくなりました。

 

 

「ちゃとら」の1度めの出産については、いつ、どこで、何匹?
という、正確な情報はM姉妹にはありませんが、
「ながとら」が「ちゃとら」の乳を吸っていたことから、
「ながとら」は「ちゃとら」の子供だとわかったそうです。

 

「ちゃとら」の子「ながとら」は一度出産していますが、
M姉妹は、赤ちゃん猫達の声を耳にしたことがあるだけで、
その子猫達のことをほとんど知りません。
すぐにいなくなってしまったからです。

出産後の母猫は神経過敏になり、もっと安全な場所へと、
子猫を加えて移動を繰り返すことがあります。

 

 

 

大人の猫たち3匹が消えた後、M姉妹宅には、
「ちゃとら」が2度目に産んだ子猫4匹が残りましたが、
成長とともに、アクティ(♂)が、チビ(♀)が、
そして、小十郎(♀)が続けていなくなりました。

まさむねM(♂)は、1才半になるまでの長い間、
M姉妹宅に留まりましたが、やがて消息不明になりました。
遂に最後の子猫まさむねMもいなくなったのだと悟った時、
M姉妹はとても落ち込み、ペットロスの状態になったそうです。

 


姉妹によく懐いていたまさむねM

 

 

M姉妹宅での「ちゃとら」一家の記録はここで終わりです。
子猫達を残し、大人猫達はどこに行ってしまったのでしょう?

 

 

 

 

我が家だよ!

 

 

正確には我が家のある路地です。
3匹は、時間差で移動して来ました。
登場頻度が増し、滞在時間が徐々に長くなり、
やがてはこの路地に居着くようになったのです。
3匹は、我が家のお隣のTさん宅でご飯を貰っていました。

M姉妹宅からこちらの路地にに完全に移動するまでの間、
他にも一時的な居場所があったのかもしれませんが、
結局は、この路地の常在猫となりました。
2014年夏のことです。

 

 

下の図はこちらの路地に移動してからの関係図です。

 

【H-side 関係図】

 

 

M姉妹が詳しい情報を持っていなかった「ながとら」の出産。
それについては私がよーく知っています。
「ながとら」の赤ちゃん3匹を保護したのは私ですから。

【それが、私の猫活動の始まりでした。その時点ではそんな活動を後々続けるとは
考えてもいませんでしたが。】

 

 

「ながとら」は、こちらでは「キジ子」と言う名前でした。
「ながとら=キジ子」は、子猫を出産した3ヶ月後、
お隣のTさん宅のテラスで、突然死により亡くなりました。
「ながとら=キジ子」が産んだ子猫3匹は、
「もぐ♀」「とと♂」「まさむねH♂」と言い、
3匹とも生後2ヶ月を過ぎてから、貰われていきました。

M姉妹が「ながとら=キジ子」の赤ちゃん猫達を
見ることがなかった理由もわかります。

私は「キジ子」が臨月に入ると、注意深い観察を始めました。
2日間、路地に来なかった時に、「出産したな」と思いました。
この近所を見てまわりましたが、どこで出産したのかがわからない。
そこで、ご飯を食べ終え、歩き出すキジ子の後をつけることにしました。
キジ子は気にする風でもなく、子育て場所に戻って行きました。
その行動によって、私が確認できた場所は5ヶ所ありました。

そのうち2ヶ所は、M姉妹宅の玄関から
3メートルと離れていない場所でした。
(当時はそこがM姉妹宅だと知りませんでしたが。)
キジ子は子育て場所を頻繁に変え、
少しづつ、M姉妹宅から離れていったのです。

「ちゃしろ」はこちらでは「福ちゃん」という名前、
隣のTさん宅では「大将」と呼ばれていました。
「ちゃしろ=福ちゃん」は、その後1年程この路地にいましたが、
去勢手術後しばらくしていなくなってしまいました。

 

 

「ちゃとら」は、こちらでは当初「ミジ子」と言う名前で、
「ながとら=キジ子」の姉妹猫だと私は思っていました。
「ながとら=キジ子」と比べるとだいぶ尻尾が短いので、
「ミジ子」という仮名ををつけていましたが、
こちらの路地に定着してから「くりこ」という名前に変えました。

2014年6月に避妊手術をして庭にリリース、
1年と2ヶ月、地域猫として庭で世話をした後、
2015年8月に再保護し、我が家の室内飼いの飼い猫となりました。

 

 

 

【H-side関係図】の下方、④の「こまつ」は、
くりこと福ちゃんがこの路地で仲よくしていた頃、
ある日突然やって来て、我が家の駐車場に居座り、
福ちゃんの新しい彼女になった猫です。

 

 

 

「ちゃとら=くりこ」が2度目の出産で産んだ、
4匹の子猫は消息不明のままです。

1.小十郎♀(男名ですが♀)・・・3番目に消える。
2.まさむねM♂・・・最後まで残りやがて消える。
3 アクティ♂・・・早い時期に消える。
4.ちび♀・・・2番目に消える。

【まさむねという名前の猫が2匹いて間際らしいので、
M姉妹宅にいたちゃとら=くりこの子・まさむねを「まさむねM」、
私が保護したながとら=キジ子の子・まさむねを「まさむねH」と表記しています。】

 

実は、ジャングルハウス近くの駐車場内で、
この子猫達が遊んでいるのを、私は2度ほど目撃しています。

キジ子の子猫達を保護し、最後の子まさむねHを
里親さんに届けた後のことで、猫疲れしていたのです。
「見なかったことにしよう・・・」と、目を背けました。

当時の私は猫のボランティアなどではなく、
近所の方に子猫3匹を押しつけられてしまった
「お人好しな住人」という意識が自分の中にありました。。
「もう、しばらくこんな大変なことは遠慮したい。」
と思っていたので、関わる選択をしなかったのです。

猫ボランティアと称している今、
なぜあの時、あの小さな子達を、
少々無理してでも保護しなかったのか、
と思い出しては後悔しています。

 

 

私が駐車場で見かけた子猫はいつも3匹。
白キジ1匹(アクティ♂)、アメショ柄のキジトラ1匹(小十郎)、
スタンダードなキジトラ1匹(まさむねMかチビのどちらか)でした。

アクティとまさむねは♂ですから、移動していなくなったことは
そんなに不思議なことではありません。
M姉妹宅付近には他の♂猫も少なからず生息していたと思いますから、
強い♂に追い払われたか、♀猫の発情に触発されて遠出したまま、
辿り着いた先で落ち着くことにしたのかもしれません。

 

しかし、♀猫は生まれ育った場所から、
大きく離れてしまうことはないといいます。
ということは、♀猫の小十郎とちびは、
この近くにいてもいいはずなんです。

【M姉妹は最初、小十郎を♂だと思っていましたのでこの名前。
後に♀だとわかりましたが、名前はそのままにしました。】

 

小十郎は、アメリカンショートヘアによく見られるような、
クラシックタビー柄のキジトラ女子で、目立つ柄ですが、
私はこの通りでアメショ柄のキジトラ成猫を見たことがありません。
子猫時代に駐車場で数回見た、あの時だけです。
この地域のどなたかが、拾って飼い猫にしてくれていたら…
そう思わずにはいられません。

 

 

では、一番小さいから「ちび」と名付けられた子は
どこに行ってしまったのでしょうか?

 

 

 

キジトラほど色濃くなく、ムギワラ程明るくない・・・。
しっかりとした縞々のしっぽ・・・。
背中の柄が、線だったり点だったりぼやけていたり・・・。
額のMの出方と、クレオパトララインの角度・・・。
目の回りと口の周りの白毛に、
何かをたくらんでいそうな黄緑色の目・・・。

 

 

 

あれ?

あれれ?

えーっ!

 

 

 

なんか、そういうのいる!
うちに!

 

 

 

 

 

 

なまえ:トド村こまつ、旧名ちび。
6.25㎏の♀ トド、ねこ。

 

 

そうだったの~、ちびちゃん。
いきなり無関係の猫が庭に現れたと思っていたけれど、
おばちゃん(ながとら=キジ子)や、
お父さんや(ちゃしろ=福ちゃん)や、
お母さん(ちゃとら=くりこ)のように、
ちびちゃんもM姉妹宅を後にして、こちらに・・・

 

あれ?

あれれ?


えーっ!

 

ちびちゃん(娘) ⇔ ちゃとら(母猫)。
うちのくりことこまつが親子。

うわぁぁぁぁ!

 

 

この2匹が?
親子で、隙あらば、お互いの頭殴ってるよ?
猫団子なんてあり得ないよ?

 

 

 

 

 

でも、基本の定説に戻ると、なるほどな、と思います。

 

M姉妹宅と我が家の直線距離は約80メートルですから。
血縁関係のある♀同士の交流・・・。
殴り合いもある意味交流なんですかね(笑)

 

まあ、でも、親子一緒ならそれがいいですよ。
すごい無理してまとめますが。

(^_^;)

 

 

 

今、思い出します。
くりこがまだ我が家の庭にいた頃、時々、
そうこちゃんの倉庫に出かけていたようでした。
倉庫裏の資材置き場の板の上で、
そうこちゃんと2匹並んで昼寝をしていたことがあります。

「血縁関係にある♀同士は交流することがある」

M姉妹宅に現れる前の「くりこ」について、
そして、「そうこちゃん」の過去について、
私もM姉妹も何も知りませんが、
想像するに、「くりこ」も「そうこちゃん」も
濃い血縁関係にある猫ではないかと想像します。

 

最後に、M姉妹視点の「ちゃとら一家」の関係図と、
私視点の「くりこ」と中心とした関係図をひとつにまとめます。

【Family Tree Combined】

 

 

 

小十郎、まさむねM、アクティ。
いまだに消息のわからない猫達のことを思えば、胸は痛みますが、
行方不明になったと思っていた全ての猫のうち4匹と、
ながとらから生まれたはずの子猫達のその後の消息が明らかになり、
M姉妹も少しは安心かな・・・と思います。

ちゃとら(くりこ)とちび(こまつ)は、
我が家で1日中ふんぞり返っていますから、
来れば会えるしね。

 

 

 

 

 

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M姉妹視点、そして私視点からの、
とある猫一家についての話を長々と書きました。

あまりにローカルな、特定の猫の話で、
この地域の住人でない方々にとっては、
面白くも何ともない話だと思いますが、
私にとっては、これまでに関わってきた、
この地域にいる猫達の歴史を知ることは、
とても意義のあることだったのです。

 

同地域に住む複数の人間が、猫を観察し情報を持ちよると、
その地域にいる猫達のFamily Treeや関係図を描くことが出来ます。
それによって、特定の猫の行動範囲・習性、地域のボス猫の有無、
♂同士の力関係がわかる場合もありますし、また、
将来の野良猫候補についても予想出来るかもしれません。

Family Treeは1匹の猫を中心とした、その猫の歴史です。
過去に遡り、Family Treeを知ることは良しとしても、
これから築かれていくFamily Treeを見守ることは出来ません。
外で生きる猫達に限っては、その猫の血を、DNAを受け継ぎ、
FamilyTreeを繋げて更に広げていく新しい命の誕生が
あってはならないのです。

 

今、目の前にいる1匹の♀の野良猫。
彼女のFamilyTreeの終点は彼女でなくてはならない。
終わらせるのは    彼女ではなく、私達人間の役目。

不妊手術を行い、繁殖にストップをかけるということです。

 

 

The End.