前回のお話はこちら。
2020年6月14日のブログ
「連れて帰ってくれる?:①赤ちゃん猫たち」

連れて帰ってくれる?:①赤ちゃん猫たち

 

2019年11月8日。

約1ヵ月前に保護した子猫達を連れて、
預かりの上村さんと一緒に、
M先生の病院を訪ねた時のことです。

病院の待合室に腰掛けると、先生は
「あのさ~」と言いながら、
奥の部屋から猫を抱っこして出てきました。
そして、その猫をポンと私の膝の上に置きました。

 

「すごくいい子だから、連れて帰ってくれる?」

 

 

えーっと・・・。

(‘◇’)ゞ

 

 

 


おとなしく膝に乗っています。

 

 

赤ちゃん猫達の件から4年半後。
第2の「連れて帰ってくれる?」事件発生中。

 

 

その猫の飼い主さんは癌を患って、
治療の為に働けなくなりました。
それまで住んでいた賃貸物件を出て、
家賃の安いアパートに引っ越すことになりましたが、
転居先のアパートはペット不可。猫を連れて行けない。
自分の治療費が嵩む為、猫の世話まで出来ない、
ということもあったのかもしれません。

自分の知人友人をあたってはみたが、
飼ってくれる人も預かってくれる人も見つからない。
そうしているうちに時間がどんどん過ぎてしまって、
遂に引っ越しの日が来てしまいました。

困り果てた飼い主さんは、以前から、
猫の診察に通っていたM先生のところに猫を連れてきました。
そして、「外に置いていきたくないから」と、先生に泣きつき、
半ば強引に猫を先生に押し付けていきました。

 

 

シマちゃんというこの猫。
キジ白の女の子で、8歳以上のシニア猫です。

 

 

 

 

もともとは地域猫として外で暮らしていた猫でしたが、
その後、飼い主さんの室内に入れてもらったそうです。

先生の治療履歴によると:

歯肉炎持ち。歯の状態が悪かったので数本抜歯。
残っている歯はまだ丈夫。
アトピー体質で、ステロイドを投与していた。
その内服液が高価であったため、
金銭的余裕がない飼い主さんは、
断続的に、投与を行っていた。
今後は、なめこわしが酷くなった時にだけ、
ステロイド投与をするということになっており、
現時点での投与はナシ。
下っ腹の毛が脱毛していて、それが数年続いている。
三種混合ワクチンは年に1回接種していた。

 

 

うーん。

 

 

とても人慣れしていて可愛いし、
何とかしてあげたいのはやまやまですが、
こちらも、今、保護猫が子猫6匹、母猫1匹。

しかも、母猫ルルちゃんは1才ちょっとにもかからわず、
初期の腎不全で、医療費、療法食費用がかさんでいる。

 

どうしよう。

 

 

とりあえず、いったん話を持ち帰り、
このシマちゃん飼ってくれそうな方や、
預かって下さりそうな方をあたってみよう。

「先生、また後で連絡します。」

 

だめ~。連れて帰るんなら今連れて帰って。
でなきゃ、他のボランティアさんにあげちゃう。

 

 

ほら、来た。
ああ、そうですか。
前もそう。

 

 

私はシマちゃんを病院に残してそのまま帰宅しました。
それから、シマちゃんの落ち着き先を探すため、
あちこちに電話やメールをしまくりました。

見つからなければ、最終的に私が引き取り、
いつでも「保護猫さんWelcome」状態のIKさんに
頼んでみるしかないかな。

 

 

でも、ちょっと待って。

 

先日のいちかわ市民まつりの際、
お手伝いに来てくれたAIさん
「うちの母が猫を飼いたいそうなんです。」と言って、
ねこ藩ブースに、画像付きでずらりと貼り出した、
保護猫たちのプロフィールを眺めていたではないの!

 

 

AIさんは、IKさんが2018年夏に次々と保護した、
黒猫一家の子猫達のうちの1匹、
長毛のエルちゃんを迎えて下さった里親さんで、
IKさん宅の近くにご実家があります。

 


2018年秋、譲渡した頃のエルちゃん

 


2020年現在のエルちゃん(現こきびちゃん)。

 

 

 

AIさんに連絡してみると、
「母の第一希望は茶トラの男の子です。」でした。

 

 

その時、保護していた子猫・ちゃおくんのことです。
可愛いくて丸っこい茶トラ男子。
複数のお問合せをいただいていました。

 

やっぱりそうだよね~。

 

 

 

こうなったら、IKさんに預かりを頼めないか聞いてみよう。
でも、IKさんは今、怪我をして入院中のご友人のところに
足繁く通っているし、気持ちの余裕がないかもしれないから、
とりあえず我が家に連れてくるしかないか。
家人にまた怒られることを覚悟の上で。

 

 

ところが、翌日の昼過ぎに、AIさんから連絡が来ました。

「やっぱり、母がシマちゃんがいいそうです!
もう他の方のところにいっちゃいましたか?」

 

 

急いでM先生に電話し、シマちゃんがどうなったかを聞きました。

「昨日、別のボランティアさんに連れて行ってもらったんで、
そのボランティアさんに連絡とってみてくれる?」

 

そのボランティア・Iさんは私とは違うエリアの方でしたが、
同じ市内在住です。
すぐにIさんに電話し、シマちゃん引き継ぎOKとなりました。

 

 

夜、AIさんと一緒に、ボランティアのIさん宅に
シマちゃんを迎えに行き、その足で、AIさん宅に向かいました。

 

AIさんのお母さまが、ケージは使いたくないとおっしゃるので、
1階の和室にハウスやトイレを置き、シマちゃん専用の部屋にして、
連れて来たシマちゃんを放しました。

昨日、病院で出会った時はあんなに人懐っこくておとなしかったのに、
シマちゃんは警戒してテーブルの下に隠れてしまいました。

 

その後、箪笥の後ろに入り込んで出て来なくなりましたが、
新しい環境を理解して慣れてくれることを期待。
お母さまも「数日は、そっと見守ってみます。」と
おっしゃって下さいました。

 

 

 

シマちゃんは、丸2日間のハンスト状態の後、
まずトイレを使い、徐々にご飯も食べるようになりました。

 

 

シマちゃん移動から10日目の午前、
お母さまから電話がありました。

 

シマちゃんがいないんです。
脱走したかもしれません。

 

 

すぐに捕獲器を持って伺いました。

シマちゃんがいた和室というのは引き戸を開けると、
目の前が脱走防止柵のない玄関です。
しかし、お母さまはその引き戸を開けてはいないそうです。
玄関を開け閉めした際、引き戸は閉まっていました。
和室の窓も閉められた状態です。

和室にはもう1か所入口があり、ダイニングに接しています。
お母さまが和室からダイニングに出る時に戸を開けたとしたら、
シマちゃんはダイニングにいるはずです。
しかし、ダイニングにシマちゃんの姿は見えませんでした。
どうやって、脱走するというのだろうか?

家回りを歩いてみましたが、シマちゃんはいません。
外に出たというのであれば、玄関からしか出られませんから、
玄関前に捕獲器を仕掛けることにしました。
一応、2階にもご飯とトイレを置いておきました。

 

翌日、AIさんから連絡が来ました。
「2階のご飯を食べた跡と、トイレを使った跡があります!」

 

ああ、やっぱり。
シマちゃんは脱走なんかしていなかったんだね。

 

AIさんは外に仕掛けていた捕獲器を2階に移動させました。
そして、その日の夜中、シマちゃんは家の中で捕獲器に入りました(笑)。

 

恐らく、お母さまがきちんと閉めたつもりのどちらかの戸が
少しだけ空いていて、そこからシマちゃんは和室を脱出したのでしょう。
脱出しても、そこは廊下と2階に通じる階段。
ずっと和室の中にいたシマちゃんですから、
新しい場所を見つけ、行ったことのない2階に、
探検に行ったのかもしれません。
そして、そこで新たに隠れられる場所を見つけた。
そんな感じではないだろうか。

 

 

 

 

最初はかなり戸惑いも見られ、
隠れていることの多かったシマちゃんでしたが、
移動から1ヵ月もすると、
くつろぐ姿を見せてくれるようになったそうです。

 

 

 

 

 

AIさん親子は、シマちゃんの歯やお腹の毛の状態を
気にして下さっていましたので、
M先生から聞いた話を伝えました。

詳しいことは、もと飼い主さんからも聞いてみたら?と
先生からもの飼い主さんの電話番号をいただいていましたので、
「飼って下さる方が見つかりましたよ」の連絡も兼ねて
シマちゃんを移動させた翌日に、
もと飼い主さんのその電話番号に電話をしてみましたが、
既にその電話番号は使われていませんでした。

 

 

大人の猫、特に、シニアの猫を引き継いで飼って下さる方は、
決して多くありません。

今回は、AIさんのお母さまが手をあげて下さったので、
預かって里親探しをする必要もなく、スムースに
シマちゃんは落ち着くべき場所に落ち着くことが出来ました。

シマちゃんはとても幸運な子です。
AIさんのお母さまにとってかけがえのない存在になりますように。

 

 


現在のシマちゃん。貫禄のボディ。

 

 

 

 

 

 

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ねこ藩では、お見合い、トライアルご希望の里親候補者さまに
質問書へのご回答をお願いしていますが、
その中に、こういった質問があります。

 

●Q23:万が一、ご自身がペットの飼育を続けることが出来ないような状況に陥った場合、
ペットはどのようになさるのか、お考えをお聞かせ下さい。

●Q24:猫1匹あたりの年間飼育費用は10-12万円、平均寿命を15年と考えた場合、
生涯飼育費用は150-180万円になります(重篤な疾病に罹った場合の医療費は含まれていません)が、
ご自身の経済力で充分にカバー出来る範囲の金額でしょうか。

 

どちらの質問も、命を引き受けるということに対しての
お気持ちを伺う為のものです。

 

 

犬猫、全てのペットに言えることですが、
飼い始める時に必ず考えておかなくてはならない重要なポイントは、
自分で終生飼育が出来るのかどうかです。

その点について、無理があるとわかっている方や、
自信がない方には、命を任せることは出来ません。

こちら側としても、とりあえず猫を保護して命を助けたから、
あとはあなたの方で適当にやって、なんて事はあり得ないのです。

 

シマちゃんのもと飼い主さんは、自分が病気になり、
これまでの暮らしが出来なくなったことで、
相当、慌てたのではないでしょうか。
何とかしようにも、もう、M先生に頼るしか方法がなかった。
もと飼い主さんの状況も気の毒だとは思います。

 

 

しかし、これが、まさに、
「望ましくない例」。

 

 

先のことを考えずに猫を飼い始める。

ご自身は地域猫のシマちゃんを室内に入れて飼い始め、
シマちゃんを助けた気分になっていたかもしれません。

しかし、結局、最後は自分でどうすることも出来なかった。
最後まで責任を持てないのであれば、どういう事情があれ、
命を軽く考えていたと言われても仕方がない。

そして、最後は、獣医さんに押し付けて、
連絡を絶ちました。

 

獣医さんのお仕事は、動物の診察・治療です。
飼えなくなった飼い主から、
無理矢理、ペットを押し付けられることではありません。

「こういう事態になってしまったら、先生、お願いします」
という、獣医さんも同意していた約束事があったならいざ知らず、
いきなり連れてきて、病院に置き去りにしていく。
獣医さんにとっては本当に迷惑な話でしょう。

 

 

これから、保護猫を迎え入れて飼ってみようと思っている方々には、
「うちに猫が来る!」「かわいい!」「嬉しい!」と盛り上がる前に、
生き物を飼養するということは、飼養者としての責任が伴い、
その責任はそんなに軽いものではないということを
よく考えていただきたいと思うのです。

 

 

 

The end.