野良猫に餌をあげることは悪いことであり迷惑な行為
世間ではこのような考え方が定着しているのではないでしょうか。
その為に、誰かに見られないか、
怒鳴られたり咎められたりしないかと、
ビクビクしながら、こそこそと
野良猫に餌をあげている方々も多いと思います。
いったい、いつからこういう風潮に?
猫は愛護動物です、と法律で規定しておきながら、
地域猫として猫を見守りましょうと奨励しておきながら、
野良猫に関する問題が発生する、あるいは、しそうになると、
行政は、フェンスの向こう側の観覧席で
傍観しているだけのように思えることがあります。
飼い猫にご飯をあげず世話をしなければ、
それはネグレクト、つまり、動物虐待になります。
飼い主のいない猫=野良猫にご飯をあげると、
迷惑行為だと怒る人々がたくさんいます。
(怒る人々が犬猫を飼っていることも少なくありません。)
命ある生き物は食べなければ死にます。
飼い猫に食べさせるのはよくて、
飼い主のいない猫に食べさせるのはよくない?
飼い猫も飼い主のいない猫も、同じ猫。
クマ、イノシシ、サルその他の野生の動物は鳥獣保護法の対象となっています。
野生動物への餌やりは、望ましくありません、と、国が訴えています。
飼い主のいない猫=野良猫は鳥獣保護法の対象ではなく、
飼い猫と同じ、動物愛護法が対象としている生き物です。
飼い猫も飼い主のいない猫も一般の法律ではモノと定義されますが、
動物愛護法では傷つけたり虐待してはいけない動物です。
飼い主のいない猫=野良猫に餌をやることが
「悪」となってしまう理由とはなんでしょうか。
◎猫が増えるから
餌を食べることによって妊娠・出産し、猫が増えることはありません。
猫が増えるのではなく、餌(特に置き餌)目当てに、猫が集まってくるのです。
その猫たちは、ずっと遠くの地域からずんずんとやって来ているわけではなく、
もともとはその地域で生まれ育った猫たちばかりです。
不妊手術をすれば、次の代が生まれなくなりますから、
その地域の野良猫はゆるやかに減っていきます。
猫ボランティアや猫に関心のある人間だけではなく、
この地域にはいったいどのくらいの野良猫がいるのか、
地域住の皆さんが、ある程度知っておくことも
大切なのではないかと思います。
◎クルマ、バイク等個人の所有物にキズをつけるから
餌やり場のすぐ近くに住んでいる方が被害にあったのであれば、
餌に集まって来る猫が犯人の可能性もあります。
それでは、餌やりさんが餌やりをやめれば、
猫もクルマやバイクの上に乗るのをやめるか?
それは誰にもわかりません。
外においてある物に乗るな触るなと言っても、
猫にはわからない、通じないでしょう。
関係のない猫がふらりとやって来て乗っている場合もあります。
クルマやバイクにしっかりとカバーを被せたり、
猫が飛び乗る際の足場となる部分に工夫をする等、
個人で対応するしかありません
ただ、その地域に野良猫がいる限り、
完全に防ぐことは出来ませんから、
やはり、徐々に地域の野良猫を減らしていくことが
将来の解決に繋がるのではないでしょうか。
*猫に傷をつけられたと怒っている方の車を見せていただいたことがありますが、
それは猫というより人為的なキズだったことがあります。
車のボディに長く一直線のキズがついていたら、それは猫の仕業ではなさそうです。
◎個人の所有である敷地に糞尿をするから。
やはりこれが一番の理由でしょう。
どこそこの場所に行ってそこでトイレを済ませなさいと、
餌やりをする人間が猫に言い聞かせているわけではありません。
猫は自分でトイレをしたい場所を探し、そこでトイレを済ませます。
また、人間が与えた餌を食べようが、
ゴミを漁ったり小さい生き物を捕獲して食べようが、
上から物を入れれば、下から出るのは当然です。
しかし、隣人が野良猫に餌をあげ出してから
我が家が糞尿だらけになったという場合、
これは餌をやっているその隣人に伝えるべきだと思います。
餌を与える以上、餌を与えるだけではなく、
トイレ問題が起こることも考えておかなくてはならないし、
それが迷惑だと言われたならば
迷惑にならないような方法を考えなくてはなりません。
庭に糞尿されて困っている方は、トイレ対策をしています。
トゲトゲシートを敷く、ネットを張り巡らす、
猫の嫌いな臭いを巻く、猫の嫌いな音を出す装置を設置する等、
人によって様々ですが、中には何十万とお金をかけている方もいます。
これでその方の敷地の糞尿問題が解決したとしても、
不快な感情はずっと残ります。
「あの人が餌をやるから、うちはこんなにお金をかけたんだ。」と。
私達人間というのは、不平不満がある時に、
自分以外の何かや誰かを責めることによって
自分の中の正義を保とうとする部分がありますから。
下の部分は私個人が感じたことであり、
賛否がある考え方だと思いますので、
気にいらない方は無視して下さい。
↓ ↓ ↓
猫のトイレ対策をすることにより、
ご自身の庭の糞尿問題が解決、あるいは軽減された場合、
ご近所の別のお宅が次の被害者となっている可能性があることも
考えておいた方がいいと思います。
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ひとつの例です。
餌やりKさんの住む通りです。
Kさんは5匹の野良猫に餌を与えています。
Kさんの餌を食べている猫か、近隣の他の通りから来る猫か
どちらかは判明していませんが、
敷地に猫の糞尿があって困っているお宅は3軒=D宅、E宅、H宅。
敷地に駐めたクルマにキズがつけられたお宅は2軒=B宅、G宅。
この5軒のお宅は、Kさんの餌やりが迷惑行為だと考えていますから、
「Kさんが餌をやるからうちは困っている」
「この路地には野良猫問題がある」と思っています。
ではA宅、F宅、I宅、J宅はどうでしょうか。
敷地に糞尿もなく、クルマにキズもありません。
特にJ宅。餌やりKさん宅のすぐ隣にも関わらず、
なぜか何の被害もありません。
数メートルしか離れていない隣人が餌やり宅であっても、
糞尿の被害がなければ、Kさん=迷惑な人とは考えませんから、
「この路地に野良猫問題はない」と思っています。
C宅については、個人の好き嫌いの話ですからカウントしないでおきましょう。
このことからわかるのは、
何らかの被害を野良猫から被ったお宅は、
餌やりをする人間がいるから野良猫問題が起こると考え、
被害を被っていないお宅ではは、
餌やりをする人間のことも野良猫の存在も気にならない、
ということです。
人は野良猫の被害を受けると、まず猫そのものではなくて
猫に餌を与えている人間を責めます。
被害を受けていない人は、怒る理由がありませんから
たいていは許容しているか無関心です。
この路地には11軒のお宅しかありませんが、
理想を言えば、地域猫管理に取り組みやすい区画だと思います。
Kさんがまず他の住民の理解を得る努力をし、
迷惑にならないような対策を練ることから始めなければ、
それは不可能です。
5匹全てに不妊手術をし、猫トイレを作る。
他のお宅に糞尿があれば、それを片付ける。
餌を必ず対面で与え、置き餌をしない。
不衛生な状態にならないように常に気をつける。
それを面倒くさがったり、感情的になって
他の住民に食ってかかるような餌やりさんでは困りますが、
現実には、そういうタイプの困った餌やりさんが多いという
印象を私は持っています。
売り言葉に買い言葉、
ああ言えばこう言う・・・
対立していても何も生まれません。
どうすればいい方向に事を持っていけるのか、
一人の力では野良猫問題は解決しませんが、
地域の問題として認識し、関心を持つ人が増えれば
新たな可能性が見えてくることもあると思います。