「やせ細ったメス猫が庭に現れ、9月からご飯をあげているのですが、
発情の時期になり、オス猫達が現れて近隣の迷惑になっています。
メス猫の不妊手術をしたいのですが捕獲に協力して頂けるとありがたいです。」

 

2 月初め、市内にお住まいのMMさんからお問い合わせをいただきました。
ぽんちゃんというその猫は、バ―マンやシャムのような、
ポイント柄のきれいな女の子です。
MMさんに防水バッチリの暖かいハウスを用意してもらい、
そこに寝泊まりしているそうです。

 

 

翌日、MMさん宅に捕獲器をお届けし、使い方を説明。
ざっと、お庭の状況を拝見していたところ、
タイミング良く黒のオス猫がちょろちょろっと出てきて、
車の下に隠れているぽんちゃんを覗き込みました。
ぽんちゃんは頑なに出て来ようとはしません。
その時は現れませんでしたが、他にもぽんちゃん狙いで
やって来ているオス猫がいるそうです。
少し前から、この状況が続いているらしいので、
もしかしたら、ぽんちゃんはもう妊娠しているかも。
堕胎手術になってしまうかかな。

 

捕獲器をお届けしてから数時間後、MMさんから連絡が来ました。

「捕獲器をただ置いておいたら、ぽんちゃん、捕獲。
呆気にとられています。」

 

あら~。
エサもないのに入っちゃったの~。
オス猫に追われて逃げ込んだ先が捕獲器とか?
好奇心が警戒心に勝ってしまったとか?

 

ひと晩、MMさん宅の玄関内で待機してもらい、
翌日、MMさんご自身が車で病院に行って下さいました。
ご自宅内の一室にケージを組み立てて、
ぽんちゃんを療養させて下さるということで、
夜、雨降りの中、病院にぽんちゃんを迎えに行った帰り、
我が家に寄って、貸し出しケージをピックアップ。

 

◆ぽんちゃん◆
推定年令:1-2才
体重:3.5㎏
避妊手術+駆虫:6500円
(依頼主のMMさん全額負担)

 

療養5日目、元気になったぽんちゃんがケージ内で暴れ出し、
ケージの外にまで手を伸ばして大騒ぎ。
療養ケージは、子猫用の二段ケージでしたので、
ぽんちゃんにとっては狭い個室です。
MMさんは翌日、ぽんちゃんをお庭に戻しました。

 

避妊手術が済み、耳カットが入ったぽんちゃん。
あのオス猫達は現れなくなったそうです。
しつこく追いかけまわす理由がなくなってしまったからね。

 

 

2月4日:MMさんからSOS
2月5日:捕獲器貸し出し・ポんちゃん捕獲
2月6日:ポンちゃん避妊手術
2月12日:ポンちゃんリリース

 

初めてお問い合わせをいただいてから、
手術・退院までが早いこと、早いこと!
あっという間の1件でした。

それにしても、ぽんちゃんはガードが固い女の子だったのね。
複数のオス猫達があの手この手でぽんちゃんに付きまとっていましたが、
ぽんちゃんは妊娠していませんでした。
強烈な威嚇でガンガン追い払い、逃げ切り成功。
小さな体でよく頑張った!感動した!
TV番組・「逃走中」に参加していたら「100万円」貰えたわよ。

ぽんちゃんは、今もMMさんのお庭で暮らしています。
いつか、何年か後に、ぽんちゃんがゴロゴロ猫に変身したら、
MMさん宅の2匹目の飼い猫になるか、
保護猫となって家族探しをする可能性もゼロではないと思いますが、
MMさん宅庭の居候猫という形で十分だと思います。
今もこの先もお庭にはぽんちゃんだけ。
「野良猫の増加に繋がる」要素がないのですから。

「自宅の庭に猫が来ている、発情期のようだ。うるさい。」
そういう状況を経験した方は多いと思いますが、
ほとんどの方は、猫を追い払うか、いなくなるのを待つかでしょう。
「やばい。妊娠・出産したらこの辺りの野良猫が増えてしまう」と
先々のことを考えて、手を打とうとする方は本当に少ない。
仕方のないことだと思います。自腹を切らなくてはなりませんから。

 

市川市では、地域猫団体登録をしたグループだけが、
事前に登録した地域猫の不妊手術を行う際にだけ、
市の助成金を申請することができます。
言い替えれば、一個人が、誰のものでもない、
地域の野良猫の不妊手術を行っても、
市からの助成はありませんので、
個人負担で行わなくてはならないということです。

地域猫の世話をするグル―プに属さなくても、
個人でTNRを行っている方はあちこちにいらっしゃいます。
そういう方々にも市から何らかの助成があれば、と思いますが、
飼い猫の不妊手術を助成金でやろうとする飼い主や、
対象地域外(他の市町村)でのTNRの為に、
助成金の不正申請をする人間も出てくるでしょうから、
個人に対する助成金制度の確立は難しいものがあるのかもしれません。

ねこ藩では、個人の依頼者の方々に、
経済状態や、TNR頭数等々を考慮した上で、
手術費用の3-5割のお支払いをしています。
個人でTNRをして下さるというのですから、
その前向きな行動を後押ししたいという気持です。

最初から「そちらもお金を出してくれるんでしょ?」(-_-;) とか
途中で「もうお金は出せない」(T_T)という方もいましたが、
ほとんどの依頼者の方々に共通しているのは、
「自腹を切ってでも何とかしたい」というお考えと、
「こちらは大丈夫ですから、他の猫さんの為にお使い下さい」と
ねこ藩の手術費用一部負担をご辞退される点です。

MMさんもそうでした。
手術費用の一部を入れた封筒をお渡しすると、
「それでは、これはねこ藩さんへ寄付しましょう。」
と、封筒をこちらに戻して下さいました。
MMさん、どうもありがとうございました。