近所に猫がいる。
自宅の庭を猫が通る。
隣のお宅の屋根で猫が寝ている。

 

ありふれた光景だと思いますので、
「ああ、猫がいる」程度で終わりますよね。
それでは、こうなるとどうでしょうか。

近所にいつも同じ猫がいる。
自宅の庭をいつも同じ猫が通る。
隣のお宅の屋根でいつも同じ猫が寝ている。

 

「いつも同じ」という形容詞がつきました。
「単に猫がいる」という認識から、
「近所の人の飼い猫か、この地域の野良猫?」
という推測に変わると思います。

 

◆猫が嫌いな人
◆飼い猫・野良猫に関わらず、猫に関心がない人
◆外に猫がいることが当たり前だと思っている人。

多くの人々は上記に該当するのではないかと思います。
外に猫がいたからと言って、どうこうすることもない。
それが普通だからです。

 

その猫を見て、

◆あれは出入り自由の飼い猫? 不妊手術はしているの?
◆耳にカットがない。不妊手術されていないかもしれない。
◆あの猫がどこから来るのか、まわりに聞いてみよう。

と考える人々はまだまだ少ないでしょうが、
徐々に増えてきていると思います。

 

 

 

飼い猫に不妊手術をするのは当たり前のことですが、
(不妊手術しないで、しかも出入り自由にして、
飼っている飼い主も多いです。特に高齢者。)
外にいる野良猫が不妊済みかどうかを気にする人々は、
猫好きな方や、野良猫問題に関心がある方や
猫ボランティアの人間だけではありません。

親しくしている友人や知人、近所の方々で、
「野良猫の不妊手術」を行っている人がいたり、
そういった話を常に耳にしたりしていれば、
「不妊手術をしなければ猫が増えてしまう」
という考えが、自然と頭の中に定着していきます。

 

 

 

ねこ藩・菅野さんは、ずっと昔から、
ボランティア・三木さんの手を借りながら、
野良猫のTNRを行ってきました。
ご自分の懐から手術費用を払い、何十匹も。

菅野さんのお庭には、こすずという高齢のオス猫がいます。
もともとは路地にいた野良猫が連れて来た子供でした。
お庭には猫ハウスがあり、いつでもご飯が食べられます。
室内に入らないだけで、飼い猫とほとんど変わりません。

また菅野さんは、長年、隣の通りに住んでいる
三毛猫軍団への給餌にも、毎日毎日、通っています。
もちろん、猫達はとうの昔に不妊手術が住んでいます。
先日、保護したくうちゃんも同じです。

私なんか比べものにならない程の年月、
ご自宅周辺の野良猫のTNRを続けていたのです。

そのおかげで、菅野さん宅のある地域には、
見元不明の野良猫はほとんどいませんから、
新しい猫を見かけるようになると、
菅野さんだけでなく、菅野さんのご近所の方々も
「あの猫、何とかしなくちゃ。」と、なります。

 

 

 

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(1)エスポワール、通称エスくん

 

菅野さんがよく一緒にお食事に出かけたりしているUHさん。
菅野さん宅のある通りの、隣の通りにお住まいです。
UHさんはもともと室内で犬を飼っていましたが、
2年前に、飼い犬が高齢で亡くなった後、
長い間お庭でご飯をあげていた3匹の猫を室内に入れました。
その猫達ももちろん不妊手術済みです。

2018年冬、2匹のオス猫がうろうろしているので、
去勢手術をしたい、捕獲器を貸して下さいと、
UHさんから連絡がありました。
そのうちの1匹、エス君は新しい猫というわけではなく、
前々からご近所にいる猫ですが、
他のオス猫達と喧嘩をして怪我をして欲しくないし、
この地域のあちこちでご飯をもらっているのだから、
地域猫としてきちんと去勢手術をしようというわけです。

ねこ藩が使用している捕獲器の使い方を説明したのですが、
UHさんは、捕獲器の扉を手で押さえつつ、
エスくんを中に誘導して扉を閉め確保。
捕獲器じゃなくても良かったでショ捕獲(笑)。

 


ありゃ、なんだここ?閉じ込められちゃったよ。

 

去勢後のエスくんですが、今でも同じ通りに留まり、
ご飯をもらいながら、行ったり来たり。
変わらない生活を続けています。

◆エスくん◆
年齢:6才くらい
体重:3.48kg
2018年2月27日:捕獲
2018年2月28日:去勢手術

 

 

 

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(2)ミヤくん

 

菅野さん宅のある路地には、♂のチビちゃんという
地域猫が1匹だけいます。
年齢はもう10才を超えているでしょう。
チビちゃんが寝泊まりしている場所は
現在でもハッキリとはわかっていませんが、
路地のどこかに居心地のいい場所があるはず。
チビちゃんは元気で長生きしているのですから。

菅野さん宅の前にある、Nおじさま宅
(じゅんちゃんを預かって下さっているおじさま)の
縁の下に段ボールや発泡スチロールの箱を置くと、
チビちゃんが時々入っていることがあるそうです。

菅野さんも見かければご飯をあげていますが、
菅野さん宅の斜め横に住んでいるMさんが、
主にチビちゃんにご飯をあげています。

 

 


チビちゃん

 

 

 

2018年夏頃、新しいミヤくんという猫が現れ、
チビちゃんのご飯を食べてしまうようになりました。
Mさんは、ミヤ君の去勢手術をした上で、
少し離れた場所でミヤ君に給餌することにしました。

予定通り、ミヤくんをすんなり捕獲。
手術後、ステンレスキャリーごと、
Mさん宅1階の和室で1日を過ごし、
翌日リリースされました。

 

 

 

菅野さん宅路地で暮らす猫は、
菅野さんの外猫こすず、
地域猫チビちゃん、
ミヤくんの計3匹になりました。

特に争うこともなく、まあ、平和に過ごしているようです。

◆ミヤくん◆
年齢:2才くらい
体重:5.14kg
2018年9 月19日:捕獲
2018年9月20日:去勢手術

 

 

 

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(3)トラちゃん

我が家のある通りから北に向かって約300メートル直進。
同じ△丁目ではなく、隣の▼丁目になりますが、
Tさんという衣料品店の店主さんがいます。
ご自宅でも数年前まで猫を飼っていらっしゃいました。
(高齢の為亡くなりました)。

Tさんの店の前、道を挟んだ向かい側にある店舗は
カプ君のもと飼い主・Yさんのお店です(自宅ではない)。
Yさんというのは、いまだによくわからない方でして、
猫が好きなのか何なのか・・・ご飯をあげたりあげなかったり。

●Yさんが猫に餌付けを始める。
 ↓ ↓ ↓
●長期の旅行など留守が多く、その間の給餌はない。
 ↓ ↓ ↓
●Yさんが餌づけした猫が餓える。

猫が代替わりしても、毎回そのパターンになってしまうので、
それを見過ごせないTさんは、ご近所の方と一緒に、
Yさん店舗にいる猫に給餌をするようになりました。

以前に世話をしていた猫達は♂猫ばかりでしたが、
世代が変わって、次にYさん店舗に居着いたのが、
つくねちゃんというゴージャスな長毛の♀猫。
つくねちゃんは避妊をしないとまずいのでは?
とYさんに進言し、Yさんを(無理に)動かしたのもTさんです。

 


何とかして、ブラッシングしてあげたいのですが、
つくねちゃんは警戒心大の猫で、触れない。

 

 

さて、そのつくねちゃんと一緒になって、
ご飯を食べるようになった♂猫がいました。
Tさんはトラちゃんと呼んでいます。

もう1本、駅よりの通りあたりから来る猫らしいのですが、
そのホームである通りには結構野良猫がいるにも関わらず、
「不妊手術をして猫を増やさないようにしよう」
なんて考えの住民はどうやらいないようです。
(まだブログには書いていませんが、後々、
そのような住民もいらしたのだということがわかります。)

Tさんにもまた、「不妊手術をしなければ猫は増える」
という意識が根付いていますので、
トラちゃんの捕獲・不妊手術の相談が来ました。
(オス猫も、野良猫が増える原因です。)

 

Tさんはちゃっちゃっとトラちゃんを捕獲。
翌日、私が病院に運搬して手術を済ませましたが、
Tさんの店舗は夜間無人になってしまう為、
その日は我が家でひと晩預かりました。
翌日午後、Tさん立ち合いのもと、店の横でリリース。

 

◆トラちゃん◆
年齢:2-3才くらい
体重:5.0kg
2018年8 月23日:捕獲
2018年9月20日:去勢手術

 

あれから、トラちゃんはTさんの店に来たり来なかったりですが、
姿を見せればTさん達がご飯をあげています。
私は、Tさんの店付近ではなく、
隣の通りでトラちゃんをよく見かけますので、
トラちゃんのホームはやはり、隣の通りなのでしょう。

 


○○会館のあたりによくこうして坐っています。

 

 

 

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「あの人、猫相手に一人で奮闘して、よくやるわねえ。」
そう思って、半ば呆れ気味に静観するだけの人もいるでしょう。
そういう人々の方が世間にはまだ圧倒的に多いかもしれません。

野良猫のTNRはさくさくとうまく行く時もあれば、
なかなか計画通りに事が運ばない時もあります。
それでも、猫嫌いの住民から嫌な目にあわされたり、
虐待の対象になったり、車に轢かれたり、
箱に入れられて川に捨てられてしまうくらいなら、
外にいる猫は少しでも少ない方がいいと思うから、
皆さん、頑張ってTNRを続けているのです。

そして、コツコツと地道な努力を続けていれば、
ほんの少しづつ、そして、ゆっくりかもしれませんが、
必ず、まわりの人間達にそれが伝わると思います。

これまで長い間、ご自身で猫のTNRを行ってきた菅野さんに
「はい、こっちもやって。」と頼ったり、押し付けたりするのではなく、
「私もやらなくては!」と自ら行動を起こすUHさんやMさんのような方々。
そして、無責任でダラダラな猫の餌やりさんを常に目にして、
餌やりの本人が動かないなら自分がやる!と即座に行動に移すTさん。

このような方々が増えていくことを願っています。

 

 

The End.