2020年度用ねこ藩カレンダーは完売しております。
お買い上げ下さった皆さま、ありがとうございました。
毎年、カレンダーにはメッセージを込めています。
2020年度カレンダーの表向きのテーマは、保護猫です。
そして、裏テーマが「母猫」です。
保護猫になった猫たちと、なれなかった猫たち。
正確には、なれなかったのではなくて、
人間側の都合で保護しなかった、できなかった猫達のことです。
保護され、譲渡され、室内飼いの飼い猫として、
一生人間の家族として生きていくことになった子猫たち。
子猫たちと別れ、外の世界で生きていかなくてはならない母猫。
そういうケースもあるのだということを知っていただきたかったのです。
裏表紙にカレンダーのテーマ「ほごねこになる。」に沿ったあとがきがあります。
またカレンダーに挟んでお配りしたペーパーの最後には、
「母猫」についてのあとがきがあります。
こちらに転載しますので、読んでいただけると嬉しいです。
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「ほごねこになる。」~カレンダー裏表紙より。
保護猫って?
ずっと外で生きてきた野良猫。
野良のメス猫から生まれてしまった子猫。
飼い主に捨てられてしまった猫。
逃げ出して迷い猫となったもと飼い猫。
そういう猫たちが、ボランティアの手によって外から保護され、
必要な医療行為を済ませて、安全な室内で過ごしながら、
一生寄り添って下さる飼い主さんとのご縁を待っている猫。
それが保護猫です。
猫を飼いたいと思った時、
ペットショップやブリーダーから購入するのではなく、
ボランティアが保護した猫を迎える方が増えています。
どんな保護猫が多く望まれているの?
子猫と、扱いやすいフレンドリーな若い大人の猫や、
検査と医療行為の結果、健康だと判を押された猫です。
誰でも飼いやすい猫を飼いたいと思うのは当然です。
しかし、保護猫すべてがそのような猫ではありません。
まだまだ授乳が必要な時期に保護した赤ちゃん猫は、
数時間おきの授乳と排泄が不可欠で、離乳までの数週間、
世話をする人間は寝不足になります。
外に置いておくことが出来ないと判断し、
保護せざるを得なかった警戒心むき出しの生粋の野良猫は、
辛抱強く付き合って慣らす必要があります。
噛まれたり引っ掻かれたりすることはしょっちゅうです。
引っ越しその他、人間側の都合で飼育を放棄され、
新しい飼い主を探さなくてはならなくなったシニアの猫は、
通院や投薬等のケアが欠かせません。
保護したボランティアは、日々、保護猫の世話をしつつ、
猫共々、新しい家族との出会いを待っていますが、
こういった猫を希望する里親さまは決して多くありませんから、
譲渡までに長い時間がかかることもあります。
飼いやすい状態にまでボランティアが仕上げた猫たちを迎えたい。
そう考える里親さま達が圧倒的に多いですからね。
しかし、その一方で、
長い間、地域猫として外で暮らしていた猫を、
人慣れせずに怖がって隠れてばかりいる猫を、
エイズウィルスのキャリアかもしれない猫を
家族として温かく迎えて下さった方々も、いらっしゃるのです。
飼い主さん達の猫を見る優しい目には愛情が溢れています。
どんな猫でも、毎日一緒に生活をしていれば、特別な愛情が沸きます。
また、猫も自分の世話をしてくれる人間を認め、徐々に心を許します。
猫を抱っこしたい、一緒に遊びたい、寒い時期に一緒に寝たい。
実は、それは全てあなたがしたいこと。
それが叶わない猫はちょっと無理!なんて言わないで。
元野良猫が、あなたの飼い猫へと変わっていく過程を、
険しかった表情が、柔らかい表情へと変わっていく過程を
そして、そんな猫と一緒に暮らす時間を愛しく思って下さいませんか。
時間がかかるかもしれませんが、猫があなたに心を許すようになった時、
あなたと猫の間には、必ず、唯一無二の信頼と絆が生まれます。
猫を外から保護して里親さまにお届けするまでの間には、
時間的にも、経済的にも、複数の人間の努力と忍耐があります。
辛いことも、苦しいことも、追いつめられることもあります。
それでも、猫を保護して一生懸命世話をする理由は、
猫の幸せを願う強い気持ちがあるからなんです。
ねこ藩
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「カレンダー添付ペーパーあとがき」
今回のカレンダーには、外にリリースした母猫4匹の写真も載せました。
外から保護され、預かりさんによって手厚くケアをされ、ステキなご縁に恵まれて卒業・・・
めでたし、めでたしと、良い面だけに焦点を当てがちですが、
幸せを掴んだ保護猫達の陰には、今でも外で暮らしている母猫がいることをお伝えしたかったからです。
時間の問題、経済的な問題、スペースの問題から、
私達ボランティアは全ての猫を保護することが出来ません。
どうしても、幼猫、子猫、捨てられたもと飼い猫、
そのまま外に置いてはおけない理由がある猫等を優先的に保護することになりますが、
それだって手がまわらないことが多いのです。
人慣れしやすい子猫達は保護しても、その母猫まで保護する余裕がなく、
ほとんどの場合、母猫は不妊手術をして外に戻すのが精一杯です。
その母猫にだって、小さな子猫時代はあったわけで、
その時に出会っていれば、猫生は180度違ったものになっていただろうにと、
いつも切ない気持ちになります。
子猫を迎えると、その圧倒的な可愛さに誰もが魅了されます。
そして「大切な家族」に対する特別の愛情と飼い主としての自覚が芽生えます。
しかし、時々でいいから、思い出していただけませんか?
あなたの可愛い猫を産んだ母猫がいたことを。
迎えた猫が保護猫ならば、その母猫は今でも過酷な外暮らしをしているでしょう。
保護猫ではなく購入した子猫であれば、その母猫は、売れ筋商品を量産するマシンとして、
繁殖場の小さな檻の中で繰り返し出産させられているでしょう。
あなたの猫が幸せな毎日を送っている一方で、
必ずしも幸せな日々を送っているわけではない母猫はたくさんいるのだということを、
少しだけ頭の隅において下さい。
その母猫がいなければ、今、あなたの膝の上で安心して眠っているその愛しい飼い猫が、
この世に生まれてくることはなかったのです。
考え方を押し付けるつもりはありません。
ただ、保護猫・飼い猫になることが出来なかった母猫の身を案じる気持ちを持っていただけたら、
その想いが母猫にも届くような気がするのです。