このイラスト、見たことがありますか?
これは、ねこ藩ホームページのTOPにあるイラストです。

 

 

 

 

TOPページを下方にスクロールしていくと、
パソコンで閲覧の場合には、
【不妊手術の記録】【卒業猫たちの物語】と
横並びになっているその右側に、
スマホで閲覧の場合には、
【不妊手術の記録】【卒業猫たちの物語】と
縦並びになっているその下に、
イラストを見つけることができます。

ただの可愛い猫カップルのイラストではありません。
イラストをクリックしてみてください。

出てくるのは、「ねこ算」のGIFです。
(*GIFとは複数の画像を連続再生した「動く静止画像」のことです。)

このGIFは、未不妊の♂猫1匹と♀猫1匹がいると仮定して、
どのくらいの速さで猫が繁殖し、
どのくらいの期間で近所が猫だらけになるかを示しています。

ビックリしませんか?

 

 

1匹の母猫が出産する赤ちゃん猫の数はだいたい2~6匹ですが、
その赤ちゃん猫がみな、大人の猫に成長するわけではありません。

幼猫の生存率はそんなに高くはないのです。
飼育放棄して赤ちゃん猫の世話をしない母猫もいます。
母猫が赤ちゃんを1匹づつ咥えて別の場所に移動中に、
忘れられたり、置き去りになってしまう赤ちゃんもいます。
母乳が必要な赤ちゃんに母猫がいなければ、
生き延びることは難しいでしょう。

また、屋外には虫や細菌が無数に存在していますから、
感染症に罹る確率も高いですし、
ハクビシン、アライグマ、タヌキ、キツネ、カラス等の
他の生き物に攻撃されることもあります。
オス猫に殺されてしまうこともあるんですよ。

人の手によって、袋や箱に詰められ、川に投げ込まれたり、
生き埋めにされてしまう場合だってあります。

 

また、子猫時代を無事に生き延びて大人になったとしても、
外で生きるということは、常に命の危険がつきまといます。
餓えや、病気、毒餌、交通事故。
最近では人間による虐待の犠牲になる猫も少なくありません。
猫嫌いの人間に捕獲され殺処分送られてしまう猫達もいます。

 

 

こういったことを考慮すると、実際は、GIFが示すよりも、
もう少し総数は少なくなると思いますが、
それでも5-6匹で済む話ではないのです。

 

猫が出産するのは常に4匹、
そのうち2匹が必ずメスだと想定してみましょうか。
(実際には2匹だけ産む猫もいますし、6匹産む猫もいますが。)

 

最初のメス猫Fが4匹産み、
そのうちの2匹をF1、F2とします。
そして、そのF1、F2が生後6か月を過ぎ、
それぞれ4匹づつ出産します。
F1からは生まれたメス2匹が、F1F1、F1F2、
F2から生まれたメス2匹が、F2F1、F2F1.
その頃には、最初のメスFもまた、
メスの子猫を2匹=F3、F4を出産してしまいます。

この時点で、メス(F)は9匹になりました。 ↓

F 〔1〕
F1+F1F1+F1F2 〔3〕
F2+F2F1+F2F1 〔3〕
F3 〔1〕
F4 〔1〕

Fの相手のオス(M)と、生まれたオス猫達も加えると、

F+M 〔2〕
F1+F1F1+F1F2+F1M1+F1M2 〔5〕
F2+F2F1+F2F2+F2M1+F2M2 〔5〕
M1 〔1〕
M2 〔1〕
F3 〔1〕
F4 〔1〕
M3 〔1〕
M4 〔1〕

合計18匹になってしまいます。

もともとメス猫1匹とオス猫1匹だけがいたその場所に、

メス8匹、オス8匹が加わり、
合計18匹の大所帯になってしまうのです。

オス猫はテリトリー意識が強いですから、
成長するに従い、もとの場所を離れていくことがありますが、
生後6か月ではまだ子猫に毛が生えたくらいの月齢ですから、
まだ元の場所に留まっている可能性は高いと思います。

 

いかがでしょうか。

 

これがあなたのお庭、あなたの路地やすぐ近所だったら
どう思われますか?
猫がたくさんいて楽しい、幸せ!と純粋に喜べますか?

 

 

あなたが最初の猫Fにご飯をあげている張本人で、
この状況を見て何とも思わないか、あるいは、
マズいと思っても何らかの対策を講じようとしないのであれば、
他人から見たあなたは「迷惑な人」になります。

可哀そうだからご飯をあげでいるだけ。
飼い主でない自分がなんでお金を出してまで
避妊手術をしなくてはならないの?
なぜ、猫に優しくした自分が責められるの?

もちろん、その気持ちもわかるのですが、
他人はそのように考えないのが普通だと思ってもいいでしょう。

 

健康な動物であれば、妊娠出産するのは当たり前のこと、
それを全く知らない人間はいません。
猫の繁殖がそこまですごいとは知らなかった…
では済まされなくなってきます。

 

 

以前、このような方がいました。

↓ ↓ ↓

 

庭でご飯をあげていたら、その猫が子猫4匹を生んでしまった。
小さくて可哀そうだから子猫4匹を家に入れて、飼うことにした。
半年後、またその猫が出産してしまい、
その赤ちゃん達3匹も室内に入れて飼っている。
その翌年、また猫が4匹出産してしまったが、
我が家には既に7匹いるので、知り合いに貰ってもらった。
しばらくすると、また猫が4匹出産したが、
私も知り合いももうこれ以上は飼えない、無理。
どうしたらいいですか?

 

気付くの遅すぎだよ!

 

 

猫が増える度にこのままではまずいし、
猫達も可哀そうだから保護し続けたが、
自分にも限界がある。

そうでしょうね。

一番最初に子猫が生まれてしまった時、
その子達を室内に入れ飼ってあげたところまでは
彼女の優しさなのかもしれません。

しかし、その時、そんなことが繰り返し起こらないように、
庭に残った母猫に避妊手術をしてあげるべきだったのです。

 

野良猫は誰のものでもないんだから、
手術を勝手にしてはいけないと思った?
自分が手術をしなくても、誰かがやってくれると思った?
本当は手術しなくてはいけないと思ったけれど、
自腹を切ってまでやることではないと思った?

ご飯をあげているだけで、
飼ってもいない猫に自腹で手術代20000円?
と躊躇したのであれば、とんだ読み間違いをしましたね。

9匹の猫の餌代、医療費を考えてごらんなさい。
20000円どころではないでしょう。
猫の平均寿命は今や15年以上です。
猫1匹を終生飼育した場合、
その猫が病気とは無縁で医療費がゼロだとしても、
最低100万はかかるんですよ。9匹で900万円以上。

 

壊れた蛇口から溢れ出る水をいくらバケツで救ったところで、
もとの蛇口を修理して止めない限り、どうにもならないよ。

ってことです。

 

繁殖を止められるのは、その猫にご飯をやり、
すぐ間近でみていた彼女しかいなかったんです。
そのことに彼女は気付いていなかった。

 

「誰がお金を出して手術をするのか?」

ここが難しいところ。

市の助成金を使えない場合や、
近所の方々から手術費用のカンパを得られない場合、
やはり、自分が手術台を負担するしかないでしょう。
それがネックとなり、手術をしないケースは多いと思います。

 

 

また、誰か他の人が手術をするだろうから、とか、
そのうち(自分の敷地から)いなくなるだろうからいいやとか、
自分が動かなくても、べつに問題はないだろうと
考えている人々もいます。

 

餌をやっている人が手術をしなくてはならないという
法律はありません(多分)から、逮捕されることはありません。

これは、マナーの問題なんです。

野良猫の不妊手術を任務とする担当者/責任者、
または、それを業務とする行政機関もありません。
啓発はしますが、自ら出向いてTNRをすることはありません。

だから、愛護団体や、ボランティアや、
野良猫問題・環境保全に関心がある人々、
そして、不妊手術の必要性を理解している個人の方々が
不妊手術という作業に取り組んでいるのです。

今、ご自宅のお庭や、路地や、近所で、
未不妊の野良猫にご飯をあげている方。
お腹をすかせた猫に対して、
優しいお気持ちの方なんでしょう。

しかし、庭で生まれた子猫たちを見ながら、
「可愛い、癒される~」
と一時的に幸せな気分になっているのは、
あなただけだと考えた方がよさそうです。

その行動は、やがて。
近隣の環境問題を悪化させる危険因子に
成りかねない行為であるということも、
知っていただきたいのです。

近所の人からべつに文句を言われたわけではない?
それは近隣同士揉めたくないから、
近所の方が黙って我慢しているんです。

 

 

ご自宅で猫に餌をあげていない方でも、
近所に未不妊の野良猫がいたら、
少しだけ不妊手術の必要性を考えてみて下さい。

人生80年。
その一生の中で出会う猫はどのくらいいるでしょうか。
あなたは猫好きでもボランティアでもなないかもしれない。
でも、その中の1匹にだけでもいいから、
不妊手術をしてあげることは出来ませんか?

日本の人口=約約1億2000万人。
日本の世帯数=約5800万世帯。

1世帯が1生に1度だけ、1匹の野良猫の不妊手術をするとしたら、
それは大きな変化になると思います。
夢のような話でしょうけれど。

 

外で無邪気に遊んでいる子猫のきょうだいを見て、
可愛いと思いますか? 癒されますか?

私は既にそのようには考えられなくなっています。
野良の子猫を見ると、私の心からは涙がこぼれそうです。