一期一会のとらちゃん

7月29日,2025 | TNR活動, サポート, 日々活動

昨年、庭にいた黒い子猫・ごまちゃんを保護した仲間のMさんはお米屋さん。
店舗内に、ねこ藩で作成した各種フライヤーを貼って下さっています。

 

 

お米を買いに来るお客さんで猫を飼っている方の中には、
掲出中の「市川市わんにゃんペットバンク」のフライヤーをご覧になり、
Mさん店舗にフードや猫砂を届けて下さることがあります。

 

 

ありがたいことに、
お店のあるエリアにお住まいのお客さまに、
「市川市にはこういった取り組みがありますよ」と、
細々ながら紹介する情報発信拠点になっているようですね。

 

 

 


Mさん店舗に掲出中のポスター

 

 

 

 

 

 

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2025年4月半ばのこと。
猫の件で、買い物に来たご近所の方から、Mさんが相談を受けました。

「庭に来ているオス猫の去勢手術をしたい」

ごまちゃんの経緯を書いた際、ブログでも少し触れましたが、
Mさん曰く、お店のあるエリア(ご自宅は別の場所)で、
飼い主のいない猫を見かけることはあまりない・・・。

 

 

 

ということは、いったいどこの近所だろう・・・。

 

 

相談者・Uさんの住所を調べてみると、
まあ、近いと言えば近いのかもしれませんが、
バイパスを向こう側渡り、更に通りを2本ほど行ったところで、
Mさん宅店舗からは400メートルくらいあるでしょうか。

 

猫のテリトリーとしてはともかく、人間にとっては、
「すぐ近所」ということにはならないかも。

 

 

 

市役所から捕獲器を借り、猫を捕獲し、病院に連れて行く。
そこまでは自分でやるつもりだが、
捕獲器の使用方法、捕獲のタイミング、病院の紹介、
その他注意点等、アドバイスをいただきたい、
とのことでしたので、
5月に入ってから、詳しい話を伺いにUさん宅を訪問しました。

 

 

 

 

 

●Uさん宅裏には、集合住宅兼自宅に住む大家さん一家が住んでいて、
以前から野良猫にご飯をあげている。(不妊手術済のサビ猫)
●そのフード目的なのか、だいぶ前から、白茶のオス猫が
来るようになった。
●Uさんもその白茶猫にご飯をあげることがある。
●居着いてくれるならば、もちろん、今後もご飯をあげるが、
まずは去勢手術したい。

 

 

 

 

 

とらちゃんと名付けたその白茶の猫について、

「家の中で飼ってあげられたらいいのですが、
我が家にはコーギーが1匹と、
以前、この庭から保護した猫【まよ】がいて
まよの性格からすると猫の2匹飼いは難しい。
なので、術後はお外の猫として世話します。」

と、Uさんはおっしゃいました。

 

 

 


Uさんがご自身で保護した、飼い猫のまよちゃん。

 

 

 

 

猫にご飯を上げることが出来る猫好きな住人が
ちょうど隣り合わせに住んでいて、
近所には苦情を言ってくる住人もいない・・・
という、地域猫活動の場としては理想的な状況。

 

 

 

 

オスですから急ぐ必要もなかったのですが、
とらちゃんの左頬に傷というか腫れがあるようで、
そこも診察していただきたいとのご希望があったため、
すぐに捕獲作業に入ることにしました。

 

 

準備OK・・・
BUT、猫の捕獲あるあるで、ターゲットの猫が、
来たり来なかったりするようになるパターンで、
1週間ほど経過。

 

 


トレーニング用にセット。

 


姿を見せたとらちゃんが、
捕獲器内でご飯を食べる練習中。

 

 

 

 

10日後の5月12日朝、
「とらちゃんが捕獲器に入りました!」と
Uさんから連絡が来ました。

 

 

 

 

 

私の車に、Uさんととらちゃんを乗せて病院へ。
去勢手術諸々、先生にお願いし、とらちゃんを預けました。

 

夜、またUさんと一緒にとらちゃんを迎えに行った際、
先生から説明を受けました。

 

 

左頬にあった傷と思われたものは、外側の傷ではなく、
頬の内側=口内に出来ていたエプリス(良性腫瘍)。
それが気になり、外側から自分で引っ掻いたせいで、
怪我の跡のように見えていたのだろうということでした。

エプリスについて

 

 

 

 

Uさんのご希望の医療行為は全て完了。

 

 

●去勢手術+耳カット
●エプリス切除
〇三種混合ワクチン
〇ネクスガード(駆虫薬)
〇コンべニア(抗生剤)
〇メタカム(消炎鎮静剤)
〇血液ウィルス検査
〇血液成分検査
〇耳そうじ

 

 

ウィルス検査結果は陰性。
成分検査では腎臓機能数値は正常。

 

 

 

 

推定5才くらいの男子ですが、
外で生きてきた子にしては健康状態は良い。

人と関わって生きている子なのでしょう。
(去勢手術はされていませんでしたが・・・)

 

 

 


術後のとらちゃん。

 

 

 

 

それにしても、TNRにしては、
とても丁寧な医療行為。

 

 

とらちゃんとの付き合いが長いわけでもないUさんですが、
縁合って出会い、捕獲できたのだから、
今の自分に出来ることはしてあげたいと思われたのです。

 

 

費用は全額ご自身で負担するつもりですと
おっしゃっていましたが、
不妊手術に検しては市の助成金申請が出来ることになりました。

とらちゃんのことを気にかけ、
出来る範囲のことは全てして下さったわけですから、
こちらも協力したいと思い、残額は、
Uさんとねこ藩で折半することにしました。

 

 

 

 

術後、とらちゃんは、Uさん宅玄関内に置いた
大きなキャリーの中で1泊。
うんちをしてしまっていたので、
洗濯ネットを使いつつ、
キャリー内のペットシーツを交換したそうです。

触っても怒らず、じっとしているので
人馴れしているのかな?という感じでしたが、
鎮静が完全にとけ時間が経過すると、
徐々に暴れ出す・・・

 

 


玄関の異変に興味を示す、Uさんの飼い犬さん飼い猫さん達。

 

 

 

翌日の夕方、Uさんはとらちゃんを外にリリースしました。
走って消えていったそうです。
Uさんも後ろ髪引かれる思いだったのではないでしょうか。

 

 


リリース前のとらちゃん。

 

 

TNRしたことを隣の大家さんに話し、
戻って来た時にご飯をあげてもらう。
戻って来て休めるように、
大家さん宅との間にハウスを置く。

 

 


寝床には最適。静かなお庭です。

 

 

 

 

 

とらちゃんがUさん宅/大家さん宅で地域猫となる準備は整い、
リリースから毎日、Uさんは待っていました。

 

しかし、とらちゃんが現れることはありませんでした。

 

 

 

 

 

 

Uさんは若干寂しさを感じているようでした。

「やってあげたいと思っていたことは出来ましたから、
あとは、どこかで元気に暮らし、
長生きしてくれれば・・・と願っています。」

 

 

 

 

たまたまパトロールで足を延ばした先に、
美味しいご飯がおいてあったのを発見し、
ご飯目当てに通ってくるようになった。
でも、自分のベースは別の場所にあるので、
食べたら去る。
そんなことを繰り返していたら、捕まってしまった。

 

「とんだ目にあった。もう来ない!」

 

推測に過ぎませんが、そんな感じなのかもしれない。

 

 

 

 

そうだとしたら、なぜ、お世話をしている方は、
とらちゃんの去勢手術を済ませていなかったのか。
世話をしている猫の顔に怪我のような跡があることに
気付かなかったのか。
気付いても、そこまではしないタイプの方なのか。

 

 

 

とらちゃんの猫生において、
とらちゃんとUさんの接点はほんの一瞬。
それでも、その機会を逃さずに、
Uさんはとらちゃんのケアをしてあげたのです。

 

 

 

何度もブログで書いていますが、
地域猫への対応には、人によって温度差があり、
どこまで手をつくしてあげられるのかは、
お世話をしている方々の考え方によります。

 

 

餌をあげるだけの方、
姿を現さなくなっても探さない方、
具合が悪そうでも、傍観するに留める方も多いですが、
(それが間違いだとか、悪いと言っているわけではありません)
一方で、飼ってあげられないからこそ、
出来ることはやってあげたいと行動に移す、
Uさんの様な方もいらっしゃるのです。

 

 

 

 

 

一期一会。
そんな言葉が頭をよぎりました。

 

 

 

不妊手術済、そして、食事や寝床の心配はないと言っても、
地域猫は所詮、外で生きている猫です。
もちろん、そんなことは考えたくもありませんが、
今、目の前でご飯を食べているこの姿が、
目にした最後の姿・・・となってしまう
可能性だってあるのですから。

 

Uさん、とらちゃんを気にかけて下さって
ありがとうございました。

 

 

 

End.

 

 

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ねこ藩士 まさむね

ねこ藩のイメージキャラクター
ねこ藩で一番最初に保護した子猫を基にしたキャラクター。ねこ藩のグッズなどに登場しています。モデルとなったキジトラ子猫まさむねは、現在市内の理容師さんご夫婦と一緒に暮らしています。