前回のお話。
2025年8月12日のブログ
「ねこ藩城下の猫たち:(21)3カ月=9カ月」
https://nekohan.jp/archives/18021
3カ月の入院生活。
病院の先生、スタッフの方々に別れを告げて
ニャースは我が家に帰ってきました。
退院前の診察
ニャースにとっては初めての室内暮しとなったY病院
帰ってきました、という表現は語弊があるかな。
入院までは我が家の庭、つまり外暮しでしたから、
ニャースにとっては、病院の療養ケージを除き、初めての室内での生活。
同じ住所に戻ってきたというのは私達人間側から見た事実であって、
ニャースからすれば、懐かしい場所なんかではなく、
また知らない場所に連れて来られてしまったということになります。
だからと言って、パニックになることもなく、受動的。
玄関を入ったところに置いたケージに入れると、
案外と落ち着いた様子で、時々「へ~」と鳴いていました。
まずはお昼ご飯。
もともとせっせと毛づくろいをする子でしたから、
外の猫にしては体はきれいに保たれていましたが、
入院時、手足の先はそれなりに汚れてグレーっぽくなっていました。
それが、退院後は、手足の先は雪のように真っ白な毛、
肉球もつやつやのピンクになっていました。
1階廊下がこれからのニャースの居場所。
飼い猫達との隔離目的で、廊下に設置した3段ケージ。
書斎、リビング、ダイニングに通じる扉を閉めている時は、
ケージから出して廊下でフリーにさせました。
フリーといっても、7メートル程の細長い空間ですから、
大した広さではありませんが、
ケージ内に閉じ込めておくよりはずっといいでしょう。
宅配や来客などがあると玄関の扉が開き、外の空気が入ってきますが、
不思議なことに、廊下にいるニャースは外への未練がないようです。
廊下の窓から外を眺めてはいますが、窓を開けようとする素振りは全く見せず、
しばらくすると飽きてしまい、ベッドに横になったりしています。
これは安心材料です。
ところが、ここは暑すぎた!
時は7月末。
他の部屋への扉を閉め、廊下を独立させてしまうと
廊下にはエアコンからの冷たい風が全く入らなくなり、
サウナ状態になってしまいます。
これはちょっとかわいそうだ。
家人と話して、人間がそばにいられる時は、
ニャースをリビングに入れてあげることにしました。
広いリビングには、ソファも、マッサージチェアも、テーブルも、
飼い猫達の使っている天井までのキャットタワーもありますから、
ニャースは気に入った居場所を自分で選ぶことができます。
廊下から広いリビング内に入り、
マッサージチェアの上や、家人の膝の上で寛いでいる。
しかし、ニャースをずっとリビングに入れておくわけにもいきません。
ニャースがリビングにいる間は、飼い猫2匹はリビングに入れなくなり、
大好きなキャットタワーも使えなくなってしまいます。
締め出しを食らい、飼い猫達はストレスから、
食欲不振になり、嘔吐も多くなりました。
私達の監視のもと、ニャースと飼い猫を、
何度かリビングで一緒にさせてみましたが、
好ましくない状況となりました。
人間だけがいる環境では、ふにゃふにゃして穏やかなニャースですが、
飼い猫がそばに寄ってくると、手を出そうとしたり、
追いかけて追い詰めたりして、見た目とは異なるボス気質が現れます。
主にターゲットになるのはこまつの方でした。
ニャースとこまつ。
ニャースとくりこ。
遊びに来た元彼カプ君と対面するこまつと、
野次馬のくりこ&ニャース。
このように3匹落ち着いている瞬間もありました。
3匹から目を離さずにずっと監視続けている暇はありませんから、
いつどうなるかわからない状況では困ってしまいます。
ミックスはだめだな。
昔、ロンドンのスポーツクラブに通っていた頃、
プールに直結するシャワールームが、曜日によって男女交代制でした。
「今日は女性の日」「今日は男性の日」というプレートが
シャワールームの前に掛けられていますので、間違えることはありません。
なのに、一度、よく確かめもせずドアを開けて入ってしまい、
素っ裸のジェントルマンたちに私はびっくり、
仁王立ちをしているガールに彼らもびっくりなんて、
非常に気まずい状況になってしまったことがありました。
する必要がない話を書いてしまいましたが、
要するに「交代制にする」ってことを言いたいだけ。
〇時~〇時 ニャース様専用
〇時~〇時 くりこま様専用
のように。
数日間はこの「交代制」も機能していたのですが、
一度広い部屋を経験してしまったニャースは、
もう廊下では満足できません。
廊下にいる間は、リビングへのガラス戸の前で鳴きっぱなし。
そっちに入れてくれよ~
そこで、リビングに行けない間、ニャースには書斎を開放しました。
家人と私が仕事をしている部屋ですから、ニャースの行動をモニターできます。
書斎の隅には飼い猫達のハウスや爪とぎが置いてあり、
そこがニャースのお気に入りになりました。
当分の間はこのやり方でいこう。
そのうちニャースも慣れるだろう。
私が仕事をしている間は、書斎でこのように昼寝をしています。
実際、ニャースの大鳴きはなくなりましたが、
廊下&書斎の生活も長くは続きませんでした。
ニャースが、家人の仕事の書類の上に嘔吐したり、
トイレをしたりするようになりました。
床やラグが汚れるくらいなら掃除すれば済む話ですが、
大切な書類の上は困ります。
また、走り回ったのか、手でいじったのか、
パソコンやプリンターの電源コードがプラグから外れていたり、
分類して置いておいたファイリング用書類が、
床に落ちてバラバラ・・・なんてこともありました。
これでは仕事に支障が出てしまう。
書斎はやめて、また、いったん廊下生活に戻そう。
廊下生活に逆戻り。
廊下のケージ内で休む。
ニャース専用箱ベッド。
時々、短時間に限るが、家の中どこにでも行けるようにしてあげる。
その際、人間がきちんと3匹を監視すること。
それぞれが好きな場所に行けるのだから、
飼い猫もわざわざニャースのそばには行かず、
ニャースがいない部屋を選ぶかもしれない。
ニャースもまた然り。
こうして、廊下、リビング交代制、時々家中フリー、を繰り返しながら、
ニャースと飼い猫2匹の半隔離生活が続きました。
リビングでのニャース。
以外にもくりこにすり寄って行きリラックスしている。
家人はすぐそばに座って様子を見ています。
あ~あ、またケージに入れられちゃったよ~
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退院したと言っても、もちろん、それっきりではありません。
ニャースの通院は頻繁でした。
退院後、下半身の傷口を舐めないようにと、カラーをしていましたが、
カラーのせいで届きはしないが幹部に近い部分を舐め壊してしまったり、
食物アレルギーのような皮膚疾患が出てしまったり。
パツンパツンの術後服に、お借りした中綿入りカラー。
大きな手術をしていますから、傷口のチェックも必要ですし、
便秘解消の為の摘便も定期的にお願いすることになりました。
先生やスタッフさんを覚えているのか、おとなしい。
消化しやすくなるようなフードやサプリを与え、
飲み込む毛玉を少なくする為の頻繁なブラッシング、
ぶらんこ運動(脇を抱えてぶらぶらさせる)、
便秘解消になるのならと、色々試してはいましたが、
やはり定期的に便が腸内に詰まってしまい、大渋滞を起こすのです。
何とか排便しようと力み過ぎて、
排便と一緒に嘔吐することほぼ毎日。
トイレでふんばる
→少々の便が出る
→吐く
→そのトイレが嫌な場所になり他に移動
→そばにあるベッドや座布団等柔らかい物の上で再度ふんばる
→そこにまた吐く
→便の代わりに茶色い液体(うんこ汁と我が家では呼ぶ)が代りに垂れる
→そこがまた嫌になり移動・・・
この繰り返しで、家の床は、便、うんこ汁、嘔吐物、胃液まみれ。
掃除してもまたすぐに汚れる。
しかも、なぜか窓のサッシや、ケージの柵など、
さっと拭いて終わりというわけにはいかない場所に吐くことが多いのです。
もう家を出なくてはいけないという時に、
少し開けた掃き出し窓のサッシに吐かれてしまうのが一番しんどかった。
1階の掃き出し窓ですから、外出時には閉めなくてはならず、
後で片付けるというわけにはいかないのです。
時間を気にしながらせっせとサッシの掃除をしつつ、
泣き叫びたくなったこともありました。
マットの上、OTTOMANのファブリック部分、ソファカバーの折り目部分、ソファの背の上。
特にソファの背に並んだうんこは芸術的。
サッシのゲロゲロ。
マッサージチェアの座面とひじ掛けの間の隙間や、オットマンの縫い目、
ミシンの針板、すべり板、釜があるあの一番大事な場所に吐いたこともあります。
分解したり、細かい針を使って嘔吐物を掻き出したり、
それだけでも1時間近くかかります。
ニャース退院の少し前から、子猫の保護が続いていました。
仲間のMさん、KIさんが子猫たちの預かりを引き受けて下さっていましたが、
子猫たちの通院やお見合い、お届けなど、私も動くことが多くなりました。
様々な用事を終えてやっと帰宅すると、
朝掃除したばかりの床やカーペットのあちこちに、
嘔吐物、便、胃液を見つけてはため息の日々。
わざとか?
嫌がらせか?
この家を建てた時に、きれいなレモンイエローのカーペットを特別に採寸・注文し、
リビングの床に敷き詰めました。
まだまだ状態は良く、これから先何年も使えると思っていましたが、
ニャースが噴射する様々な物によって、ランダムな水玉模様の汚い無残な敷物と化しました。
2匹の飼い猫がいる生活でもきれいに保てていたのに。
カーペットは全て除去し代わりにクッションフロアを敷くことにしました。
こんなに手間もお金もかかってしまうようでは
先が思いやられる。
かまってもらえる時間も居場所も減ってしまった
飼い猫達の不満もある。
以前保護していたトントンも、保護からしばらくは要求鳴きが酷く、
人間側がまいってしまいそうにいなったことがあります。
しかし原因を取り除き、要求鳴きが改善された後は、問題も怒らず、
トントンは手のかからない保護猫となり、
飼い猫2匹とそれなりの距離感で暮らすようになりました。
ソファで家人と一緒に横になるくりこ。
たまにしかリビングに入れてもらえなくなったせいか、
リビングが開放されるとこうして人のそばにいたがります。
網戸越しに外を眺めてリラックスするのが
こまつの日課でしたが、それも出来なくなりました。
ニャースは元々は庭のハウスで暮らしていた猫。
必要と思われる医療行為は全て済んでいる。
トイレの後は排尿口を自分でせっせと舐めてきれいに保っている。
今後何かあれば、容易に確保できる子なのだから、
いつでも病院に連れて行ける。
私達としては、これからシニア中期に入っていく
くりことこまつのの生活を優先してあげるべきではないのか。
折りを見て、ニャースを庭に戻すことも
考えた方がいいのかもしれない。
そんな風に思い始めていました。
To be continued・・・・