前回のお話。
2025年8月7日のブログ
「ねこ藩城下の猫たち:(19)ニャース、転院しよう。」
https://nekohan.jp/archives/18003
Y病院を出るとすぐにK病院に電話を入れました。
●家の近所の病院に転院させたい。
●これまでに終わっている検査結果報告を書面でいただきたい。
●これからニャースを迎えに行きたい。
K病院側は快諾して下さり(ほっとしたのかも)、
書類等、退院の準備が整う15時過ぎに
ニャースを迎えにいくことになりました。
それまでの間、私は家で、ニャースの長期入院に備え
必要になると思われる物をあれこれとり揃えて準備をしました。
出血や膿ですぐに床部分が汚れてしまうでしょうから、
替えの敷物、薄い座布団類、ペットシーツ、古タオル。
そして、とりあえずのフードを数日分。
K病院についてすぐに名前を呼ばれ、診察室に入ると、
昨日と同じ女性の先生です。
病院は、ニャースの現状を把握するための検査結果書類を
書面とCD(レントゲン画像等)でしっかり揃えて下さっていました。
「色々とお手数おかけしてすみませんでした。
これから手術や怪我の治療になりますが、
元気になっても、白血病ウィルスキャリアですから、
今後は注意してみてあげたいと思います。」
そういう私に先生は不思議そうな顔をしました。
「ニャースちゃんは、白血病ウィルスキャリアじゃないですよ?
昨日お伝えした通り、猫エイズウィルスのキャリアです。」
あらあ?
あなた、昨日、白血病ウィルスキャリア
って言ってましたよ?
だから隔離が必要とか何とか。
なんてこと、声に出して言ってません。
私の信条:
「揉めずにすむようなことなら極力揉めないようにする」。
「こちらが一瞬我慢すれば済むことなら我慢をしてやり過ごす。」
そこで言った言わないの押し問答はを無駄ですから、
「あ、そうでした、猫エイズウィルスの方でしたね。
と、「勘違いしていた私」を演じました。えらーい。
クラッカーを鳴らして万々歳というわけではないですが、
白血病ウィルスのキャリアではなかったことに安堵しました。
白血病と猫エイズのウィルスは、私の中では、天と地ほど違うのです。
しかし・・・・医者でも言い間違いってあるんだな。
ご自身が大変な間違いをしたとは
露ほどにも思っていない優しい先生(笑)は、
「ニャースちゃん、お大事に。がんばってね。」
とキャリーの中のニャースに声をかけて下さいました。
はい、恐ろしい会計の時間がやって来ました。
2日半の滞在で、17万です。すごいです。
いや、今はそんなことどうでもいい。
せまいキャリーの中で辛そうにしているニャースを
早く連れて行かなくては。
K病院を出たその足で再びY病院に向かい、
検査結果報告と一緒にニャースを預け、
夜には、診察結果とS先生の所見を伺いに。
交換用の敷物たくさん。
じっと耐えているニャース。
翌日、再びY病院。
S先生はより具体的な診断と今後の方針について
説明して下さいました。
◆足◆
皮膚がめくれ腱が露出してしまっているが骨折はしていない。
皮膚が開いている部分を全て縫い合わせるのではなく、
自然治癒(徐々に皮膚が再生して閉じてくる)を目指す。
感染症予防、殺菌消毒、包帯での固定。
◆骨盤◆
骨折している部分があるが、ボルトで固定しても元通りになるとは限らない。
比較的骨がくっつきやすく治りやすい部分ではあるので、これも自然治癒。
◆排尿口◆
尿道と会陰部の損傷により排尿できず、体内で尿が漏れたまってしまっている状態。
尿道を作り直す必要があるので、損傷していない部分の尿道をひっぱって
排尿口に繋げられるのであればそのようにする。
損傷がひどく繋げるほどの余裕がない場合、尿道は諦め、
膀胱をお腹側の乳首に繋げ、乳首を排尿口とする。
(骨盤前尿道造瘻術)
なに?
おしっこを乳首から!?
すごいなそれ。
「先生、そのようにして尿意のコントロールって出来るんですか?
もしかして膀胱に尿がたまったら、自動的に乳首から出てしまう?」
「その可能性はあると思います」
WOW!
タレナガシ~!
気付いたら寝床がおしっこでびしゃびしゃ。
歩きながら撒き水。
でも、方法はどうであれ、排尿機能カムバックです。
そこが大切。
「ニャースちゃんの皮膚状態が悪化してきていますので、
手術を急ごうと思います。で、今晩やってしまいます。」
速。
夕方の診察が終わった後、
もう一人、他院から獣医師を呼び寄せ、
万全の体制で手術に臨むということです。
全てを先生にお任せするだけです。
この時点で、地域猫のニャースは、元気になったら
また庭の地域猫生活に戻るのだという前提でしたから、
「元の生活に戻ってもらえるようにがんばっていきましょう。」
とS先生はおっしゃって下さいました。
静かに横たわる。しんどそう。
頑張れニャース!
23時、S先生から電話がありました。
「手術、終わりました。思ったより損傷がひどく、
伸ばして繋げるほどの尿道ではなかったので、
事前にお伝えしていた通り、膀胱をお腹の一番下の乳首に
繋げる手術になりました。」
普通の猫のように、これまでそうして生きてきたように、
おしりから排尿させてあげたいという望みは
ここで絶たれてしまいましたが、
とにかく、ニャースの排尿機能が損なわれずに済んだのです。
どんなに一生懸命お世話をしても、所詮私達は素人に過ぎません。
人間にしても、動物にしても、やっぱり医学のプロというのは
心強く有難い存在だとつくづく思いました。
翌日、面会にY病院を訪れると、ニャースは不機嫌そうでした。
そりゃ、そうでしょう。
何が起こっているのか、ニャースにはわからないのだし、
体に痛みがあるわけですから。
首にはカラー、腕には点滴の管、
足の裂傷はきちんと&がっちりと包帯で固定されていて、
動きづらそうではありましたが、
暴れるでも、泣き叫ぶでもなく、
ニャースはおとなしく横になっていました。
「ニャースちゃん」と声をかけると、
「へ~」と、小さく枯れた声で鳴きました。
それがどういう返事なのかわかりません。
「痛いよ~」なのか、
「オレ、がんばったんだよ~」なのか、
「ここはどこなんだよう~」なのか。
でも、私の声に反応してくれて安心しました。
術後のニャース。
敷物を避けてひんやりとしたステンレスの床の上にいます。
地域猫といっても様々で、体調が悪くても全く触れない子もいますし、
何かしてあげようとすると狂暴になる子もいます。
「ニャースちゃんは、おとなしくしていてくれるので
お世話が楽ですね。」と看護師さん。
そうなんです。
普段から割とそうですが、特に今はまな板の上の猫(鯉)。
その点はとても幸運だったと思っています。
大きな手術を終え、山をひとつ超えたニャース。
長い入院生活が始まります。
To be continued・・・