ずっと昔、上野動物園のパンダに赤ちゃんが生まれ、
その可愛らしい姿は、頻繁にメディアに取り上げらていました。
ある日の新聞に撮影された写真があまりに愛らしいので、
私は写真を切り抜き、長い間ノートにはさんでいました。
我が家の庭で白黒の若い猫と出会った時、最初は変な顔だなと思いましたが、
2-3度顔を合わせているうちに、愛らしい子に見えてきました。
ああ、そういえば・・・とあの赤ちゃんパンダを思い出して、
その白黒猫をトントンと呼ぶようになりました。
我が家の保護猫トントンについての最後のブログは、2021年2月。
もう4年以上も経過してしまいました。
その後のトントンについては、
時々、Instagramで簡単に触れていましたが、
こちらのブログにもきちんと書いておこうと思います。
一緒に食事はするが・・・
我が家のおばさん猫2匹と仲がいいわけでもなく、
かといって争うわけでもない。
保護猫として、それなりに平和に過ごしていたトントン。
私達にとってはとても愛らしい子でしたが、
一般的に考えて特別感に欠ける・・・
ありふれた白黒だし、
きれいなハチワレというわけではないし、
若いけれど一応大人のオスだし、
超可愛いとは言い難い猫。
性格甘えん坊で、私と家人からすればとても可愛らしい子。
トントンの里親候補者さまが現れるのを気長に待ちつつ、
そんなに簡単に里親が見つかるとも思えないので、
このままずっと家にいてもいいかな、なんて思っていました。
そんな日々が続いていた2021年4月。
我が家の猫事情に大きな変化があり、
のんびりと・・・・なんて言っていられない状況になりました。
近日中に別ブログで詳しい経緯を書く予定ですが、
庭の地域猫・ニャースを室内に保護しなくてはならなくなったのです。
正確には、しなくてはならない・・・ではなくて、
彼にとって今後、外での生活は大変になる、
保護してあげた方がいいだろうというという私達の判断でした。
庭の地域猫・ニャース。
ニャースは人に慣れていて扱いやすい子ですが、
他の猫に友好的とは言えばその逆。
何かの拍子に突如スイッチが入り、
攻撃に出てしまうことがありました。
同じく庭の地域猫くららも、
ニャースに怪我をさせられたことがありました。
ニャースが突然くららに飛び掛かり、
くららを組み伏せて嚙みつく・・・くららは逃げる・・・
というシーンを私はたまたま目撃しました。
また、ポッちゃんやトントンも
ニャースに追いまわされていたことが
何回かありました。
【*ポッちゃん、ニャース、くららについては過去のブログを参照】
そもそも、トントンを室内に保護したのは、
噛み傷の治療がきっかけですが、
その時の第一容疑者はニャースでした。
怪我をしていたトントン
2021年4月、事故による大怪我を負ったニャースは、
大きな手術を受け、傷のケアが家庭では難しいため長期入院。
退院後は外に戻らず室内に入ることになりました。
退院予定は7月終わり。
大変なことになってしまったニャース
外にいた時代、他の猫に手厳しかったニャースです。
そのニャースが室内に入り、再びトントンと一緒になる。
やばいです。
トントンにとっても、ニャースにとっても、よくない気がする
どうしよう。予備の部屋もないのに・・・。
ところが、これまでにも何度かブログで書いているように、
「物事には自然な流れがある」もので、
ニャースの退院日が近付いてきたある日、
ついにトントンへの問い合わせメールが来ました。
うちの先住の男の子に雰囲気が似ているトントンの画像が
目にとまりました。
可愛いのに問い合わせが今までなかったなんて。
可愛い、ですって!?
目にとまった、ですって!?
いました。
ごくごく普通の白黒に惹かれた方が(笑)!
お若いご夫妻です。
お住まいは隣市になりますが、我が家から20分ほど。
自分達で外から保護した男の子1匹、
里親募集サイトから迎えた女の子1匹、
計2匹の先住猫さんがいる。
男の子の方が遊び足りないようで、
仲良く遊んでくれるの元気な男の子を迎えたい。
メールのやりとりも丁寧で、
質問すべきところは質問して下さり、
ご自身の考えをきちんと書いて下さる。
日程を調整して7月初旬の暑い日に、
ご夫妻揃ってお見合いに来て下さいました。
久しぶりに閉じ込められたケージで緊張していたトントンでしたが、
ご夫妻に撫でていただくと、うっとりとしていました。
もともと、猫にも人にも優しくされたい願望が強い子ですから。
「特徴もなく特に可愛いというわけでもないのにどうして、また・・・」
の問いかけに、私よりもずっと年下のSちゃん(奥様)はこう答えました。
えーっ!?
かわいいですよ~すごく!
人の好みって色々だな(笑。
1週間後にトントンを里親さん宅にお届け。
最初の数日はなかなかご飯を食べなかったり、
シャーしてみたり、引きこもってみたり・・・。
また、以前、さんざん悩まされた「大声鳴き」も
しばらく続きました。
お届け前に病院でワクチンなど・・・。
洗濯ネットがなくても全然大丈夫な子なんですが、
以前、肛門腺絞りに驚いて大パニックになり、
診察室がピンボールマシンのようになったことがあるので念の為。
ご主人に抱っこされ、とりあえずかたまる。
ケージに入ることにあまり抵抗がない子ではありました。
新しい環境で何を思うのか。
Sちゃんは、言っていました。
要求鳴きをするようであれば、
Hさん(私)のように原因追及して、
トントンが住みやすい環境に整えるつもりです。
ありがたいことです。
それから数日後、
「喉をゴロゴロと鳴らしてくれました」
「オリバー(先住の男の子)とも仲良くできそうです」
と報告があり、胸をなでおろしました。
譲渡後しばらくして、トントンに会いに行った時、
「誰だお前」と冷たい視線で見られたい。
その時、私の手を離れて幸せになったんだ…と
実感できると思うから。
↑↑
これは、以前のブログに書いた文章ですが、
本当にそうなりました。
譲渡後まもなく、一度、会いに行った際、
トントンは怖がってテレビの後ろに隠れてしまっていました。
私の訪問におびえる。
「すっかりSちゃん宅の子。新しい友達と仲良くして、えらいぞ、トントン。」
という嬉しさ。
「一緒に寝て私にあんなに甘えていたのに、なんなのあなた。」
という寂しさ。
両極端な感情が入り乱れ、帰りの車の中で
ほろりと涙がこぼれました。
譲渡後しばらくして、心配なことも1度ありました。
トントンとオリバー(先住の男の子)が仲良くなった後のことですが、
オリバーが一時攻撃的になり、
ダイナちゃん(先住の女の子)に対して転化行動をとるようになりました。
止めに入ったご主人の手を噛んでしまう始末。
内向的なダイナちゃんは怖がるようになり、心配したSちゃんご夫妻は
2匹の男子とは別の部屋にダイナちゃんを隔離させました。
先住猫のダイナちゃん(上)・オリバー君(下)
2年後、Sちゃんご夫妻は5日ほど家をあけることになり、
私は喜んでシッターに通いました。
隔離された部屋でおとなしく過ごしているダイナちゃんも、
わくわくして食事を待っているオリバーもとても可愛い。
以前Sちゃん宅にお邪魔した時、
テレビの後ろに隠れていたトントンですが、
オリバーと一緒に足元をうろうろ・・・。
体格のわりに小さな頭を優しく撫でて、
懐かしい気持ちになりました。
タワーの奥からこちらを観察していましたが、
すぐに出てきてくれました。
撫でるとゴロゴロは変わりません。
(動画から切り取ったものでぼけてしまっています。)
トントン・・・・いや、もうあなたは、
フィガロ君になったんだね。
私の庭で地域猫生活を1年半。
室内での保護猫生活を1年半。
私達とトントンは3年あまりの月日を一緒に過ごしました。
フィガロというステキな名前をつけてもらい、
Sちゃん夫妻の飼い猫となってから4年。
フィガロとして過ごした時間の方が長くなりました。
フィガロ
さて、トントンが卒業していったのは、
ニャースが退院して我が家に来る1週間前のこと。
たまたまそういうタイミングになっただけなのですが、
トントンはニャースのためのスペースを開けてくれた形になりました。
直後にニャースが室内に入り、世話をすることになって、
トントンのことを懐かしく想っている余裕などなくなりましたが、
それがかえって良かったのかもしれません。
でなければ、しんみりとしてしまったかもしれないから。
うちの飼い猫・くりこに冷たくされても諦めず、
すり寄ってすり寄って受け入れてもらい、
幸せそうにくりこと昼寝をしていたトントン。
私達人間を十分に癒してくれた。
そのトントンを私達から引き継ぎ、
フィガロとして大切にして下さっているSちゃんご夫妻に
心から感謝です。ありがとう。
Figaro, Ti voglio bene, sta attento !
◆おまけ◆
いちかわ市民まつりにコスプレでやって来て、
売り子のお手伝いをしてくれたSちゃん。