昨年、2020年(令和2年)2月4日にアップしたブログです。
「平成30年度:犬猫殺処分数(環境省公表)」
https://nekohan.jp/archives/11817

そして、昨年末、環境省が公表した最新の資料がこちら↓。
「2019年(令和1年)度の犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r02/2_4_3a.pdf
*2019年(令和1年)度=2019年4月1日から2020年3月31日まで。

 

 

平成29年度(2017)、平成30年度(2018)、令和1年度(2019)の千葉県の数字を比べてみます。

 

幼猫の殺処分に関してはほぼ横ばいの数字が続いていますが、
成猫は減りつつあります。(赤の囲み部分)

引き取り数は、変わらないどころか、若干増加していますね。
成猫も幼猫も1291匹→1026匹と、若干減少しています。

しかし、飼い主からの引き取り数にはほとんど変化が見られないのが、
とても残念です。(青の囲み部分

成猫の場合、飼い主自身が愛護センターに持ち込むか、
あるいは飼い主の病気・死亡、その他の理由により、
猫の扱いに困った第三者(家族・親族・清掃業者等)が
センターに持ち込んでくるのか。
幼猫は、拾って飼い始めたはいいが、やっぱり無理…となったか、
出入り自由いしている未不妊の飼い猫が出産した子猫か。

この表からはそこまで読み取ることは出来ませんが、
動物の飼育に関しての責任を放棄した人間が
千葉県だけでこれだけいるということは、悲しいことです。

この市川市では何人そういう人間がいたのか、
ぜひ知りたいと思う、出来ることならば。

 

 

 

殺処分となった猫の内訳は以下の通りです。

①譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等)
75匹(成猫32・幼猫43)  ・・・前年度は44匹(成猫29・幼猫15)

②愛玩動物、伴侶動物として家庭で飼養できる動物の殺処分
59匹(成猫9・幼猫50) ・・・前年度は141匹(成猫26・幼猫115)

③引取リ後の死亡
224匹(成猫11 幼猫213) ・・・前年度は216匹(成猫26・幼猫190)

 

②は、伴侶動物(ペット)として家庭で飼うことの出来る状態にもかかわらず、
殺処分となってしまった猫たちの頭数です。
前年は幼猫の数が115匹でしたから、
数字の上では50%以上減ったことになりますが、
それでも、大人になるチャンスすら与えられず、
ガス室→焼却という殺処分になってしまった子猫達がいるのです。

③は、持ち込まれたセンターで亡くなった猫の数字です。
幼猫に限っては前年の190匹よりやや増えています。

地球温暖化の影響いによる激しい気候変動。
暑過ぎる過酷な夏を生き抜いているのは私達人間だけではありません。
外で生きる動物達にとっても生きづらい環境になっているはずです。

熱中症、脱水症状に加え、餓えからくる低栄養による体力・免疫力の低下。
そんな野良猫が産んだ子猫が離乳期まで生き延びられたら
それは奇跡に近いことなのかもしれません。

 

 

 

「不妊手術をすることにより野良猫の数が増えないようにする」

 

ねこ藩が目標としていることであり、
この5年間、TNRを続けてきました。
TNRの浸透により、妊娠可能なメス猫の数は減り、
子猫が生まれることもなくなっていきます。
そうすれば、おのずと幼猫の殺処分も減っていく。

 

今回、このことをよく考えてみました。

子猫の殺処分が減ればそれでいいのか?

 

 

全然よくない。

 

子猫・成猫関係なく、猫全体の殺処分が減っていってほしいのです。

理由は様々ですが、野良猫を嫌う人間はたくさんいます。
しかし、この世に生まれて存在している以上、
人間の関与が禁止されている野生動物ではない以上(法律上)
邪魔だ迷惑だ消えろと、その命を殺めることはできません。

だったら、繁殖能力のない地域猫となり、
「私は子孫を残さない猫です、私が死んだら終わりです」という
重い看板を背負わされて生きる飼い主のいない猫になれば、
人間との共存が認めてもらえるのではないか。
少しは存在を許してもらえるのではないか。

だったら、もっともっと徹底的にTNRを行う。

そして、不妊手術と同じかそれ以上に大切だと思うことは、
「責任をもって生涯飼養する」という意識を、
猫を飼う全ての人間がしっかりと持って、
やがては野良猫になってしまう可能性のある
捨て猫、脱走猫をこれ以上産み出さないことです。

 

幼猫の殺処分の数字だけにスポットを当ててもね…
とは思ったのですが、

「繁殖能力のある猫が減ると子猫が生まれなくなり、
センターに持ち込まれる子猫の数が少なくなる。
そして、殺処分になる子猫が減る。」

つまり、逆に考えると、

●殺処分になる子猫が減ったのはどうして?
~センターに持ち込まれる子猫の数が減少したから。

●センターに持ち込まれる子猫の数が減ったのはどうして?
~生まれる子猫の総数が減少しつつあるから
~巷で保護され飼われる子猫が増加しつつあるから。

●生まれる子猫が減ったのはどうして? 
●保護され譲渡される子猫が増えたのはどうして?
~繁殖能力のある猫が減少しているから。
~猫を保護するボランティアが増加したから。
~ペットショップやブリーダーから猫を飼うのではなく
保護猫を迎えて飼おうとする人間が増加したから。

となりませんか(希望的観測)。

ということで、指標に近いもの、目安になるものとして、
TOPページの、幼猫の殺処分数の表示は続けようと思います。