日本ではニャー×3の語呂合わせから、
2月22日がねこの日として知られていますが、
これは愛猫家達の間で浸透していったものらしいです。
「ニャー」というのは日本語特有の擬音語ですからね。

 

 

グローバルな猫の日は8月8日です。
これは、ワシントンに本部を置き、
動物福祉・保全・慈善活動を行う、
国際的にも大規模な部類に入る
国際動物福祉基金(IFAW)が定めたものです。

 

 

 

さて、今日は3月22日。
日本の公益財団法人「どうぶつ基金」が制定した
さくらねこの日」です。

 

 

 

 

 

 

どうぶつ基金の活動は多岐に渡りますが、
その中のひとつに「さくらねこ無料不妊手術」があります。
これは殺処分ゼロを目指して、飼い主のいない猫達の不妊手術を進めるプロジェクトです。

 

どうぶつ基金が、行政および個人宛に発行している
「不妊手術無料チケット」。

これは、野良猫のTNRの際、
捕獲した野良猫を協力病院に連れて行き、
チケットを提出して不妊手術をお願いすると、
不妊手術代の支払いが不要になるという、
猫ボランティアにとっては大変有難いシステムです。

(手術代のみ支払い不要。同時に駆虫、ワクチン接種等を
行う場合がありますが、手術代以外は実費負担となります。)

 

 

誤解のないように付け加えますと、
猫を持ち込むボランティアの金銭負担はゼロになりますが、
動物病院の経営はボランティア事業ではありませんから、
手術代は当然発生するわけです。
そして、病院側は施術費用を回収しなくてはなりません。
その手術代を負担するのがどうぶつ基金です。

(どうぶつ基金の運営やチケット発行は
善意の寄付で成り立っています。)

 

 

 

 

チケットを使用して不妊手術を行う際の条件のひとつが
「猫の耳にカットを入れること」です。

 

オス猫ならば右耳に、メス猫ならば左耳に
「V字カット」と言われる切込みを入れるのですが、
この耳カットが、
「この猫は繁殖能力がない、つまり、不妊手術済。」
という目印になります。

 

このV字カットが桜の花びらのように見えることから、
左右(オスメス)に関わらず、カット入りの耳を「さくら耳」、
さくら耳をした手術済の猫を「さくら猫」と呼びます。

 

時々、外で長く生きている野良猫や地域猫の中に、
不妊手術済であるのに、耳カットがないシニア猫を見かけますが、
「耳カット」がまだ一般的に広く浸透していない頃に手術された猫かもしれません。

遺棄された、あるいは脱走した元飼い猫の可能性もあります。
室内で飼われている猫に、目印の耳カットは必要ありませんから、
飼い主は、普通、不妊手術の際に耳カットを入れないものです。

 

実は既に不妊手術済であっても、
耳カットが無ければ、未不妊の猫と思われてしまい、
不必要な再捕獲・再開腹…となることもあります。

 

麻酔下とは言え、2度もお腹を切られるなんて、
猫にとっては大負担・大迷惑。
猫の耳がさくら耳になっていれば、
こういった間違いは避けられます。

 


メスは左耳にカット
(捕獲当初はTNR予定だったルルちゃん)

 


オスは右耳にカット。
(TNR後、我が家に定住する地域猫になったポッちゃん)

 

 

 

 

 

 

日本では、総数は減少傾向にあるとしても、
まだ多くの猫の殺処分が行われています。

殺処分数を減らしていくには、

●飼い主が、飼い猫の一生に責任を持つこと。
(捨てたり、逃がしたり、自己都合で保健所等に持ち込まないこと)
●これ以上猫が増えないように繁殖制限をすること
(出入り自由の飼い猫はもちろん、餌をやっている野良猫もです)

が必要になってきます。

 

前者は一個人の人間性やモラルの話ですが、
後者は、受け入れ病院の有無、手術費用、人間同士の協力等、
条件が揃っていないと、一個人の力だけでは難しい部分があります。
それでも、10年前に比べたら、かなり着手し易くなっているのではないでしょうか。

 

「野良猫の手術OK。」「野良猫価格を設定。」という良心的な病院も、
やり方の違いは多少あれど「地域猫の手術費用」を助成する市町村も、
徐々に増えてきていることは事実です。

 

外で生きている飼い主のいない猫達に関心を持つようになった人々。
ペットショップやブリーダーから猫を飼う選択を外し、保護猫を迎える人々。
自分も何かお手伝いがしたいととボランティア活動に参加する人々。

と、人間もまた変化しつつあります。

 

 

野良猫問題を解決する一番の方法は、とにかく繁殖制限。
ボランティアが常に口にしているTNRのことです。

不妊手術をしたからと言って、将来猫が生まれなくなるだけで、
当該猫がその場所からすぐに消えるわけではないので、
猫嫌いの人の中には、TNRに肯定的ではない方もいます。

結果が目に見えるまでには、数年かかるかもしれませんが、
不妊手術をする・しないで、数年後の状況は必ず変わります。
場所によっては劇的に。

ペースはゆっくりですし、関わる人間にもよりますので、
直ちに野良猫ゼロ!ということにはなりませんが、
必ず外で生きる猫の数は減っていきます。

 

行政やボランティアがTNR活動に取り組みやすいシステムの一環として、
どうぶつ基金は、無料不妊手術事業を推し進めています。

どうぶつ基金では、常時、継続して毎月定額の寄付をして下さる、
さくらねこサポーターを募集しています。

殺処分に心を痛めている方、野良猫問題等に関心をお持ちの方は、
どうぶつ基金HP内の「さくらねこサポーター」ページを、
どうぞ一度ご覧になってみてください。